小説・文芸の高評価レビュー
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著者は二人でペンネームは創作。片方が好んでいた名前(フランシス)と、もう片方の家がある地名(ビーディング)から合作されている。ともにオックスフォード大を卒業して国連で勤務した異色の経歴。フーダニット(Who has done it ?)というジャンルで、作中で与えられた手がかりから、犯人を突き止めることを主眼とした推理ものである。舞台は、イギリスの海辺に面した保養地で、犯罪には無縁そうな静かな土地。冒頭、そんな町へ人目を忍んで、定期的に逢引きに訪れる男性が登場する。彼はその町の住民から財産を騙し取った過去がある。逢引きの相手の女性、彼女に横恋慕する従兄、この町に住む住民が関係性を伴いながら紹介
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4分の1も読まないうちから続きを知ることはキャパオーバーで、読み進めることが苦しくなった。それは単に暴力がきついからではない。夜戸瑠璃子が率いる「家族」と称する集団の中で、家族の乗っ取りや略取、「しつけ」という名の制裁が行われる。しかもそれを家族同士で実行させる構造がある。第三者としても到底受け入れられないが、被害者は執拗な肉体的・精神的暴力にさらされ、やがて学習性無力感の中で抵抗する力を失い、最終的には死に至る。
多少の誇張はあるのかもしれないが、これが実際の事件を下敷きにしていると思うと、言葉を失う。内容としては理解できたはずなのに、意味はまったく分からない。この出来事をどう受け止め、 -
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嵐の夜、息子と娘が帰ってきてひさびさに家族四人がそろった桜石家の玄関に、高熱の男が倒れこんでいた。彼は誰なのか、そして家族の誰が彼を引き入れたのか。一見「ふつうの家族」であるはずの桜石家の面々がそれぞれに抱えている秘密が徐々に明らかになっていく群像劇ミステリです。
順調に出世を重ねた会社員の父、完璧に家事をこなす母、お調子者の明るい兄と自分の道を突き進む妹。まったく瑕疵のない理想の家族のように思える桜石家ですが、もちろんそんなはずはありません。とはいえ家族にも言えない秘密を抱え悩みを持つ彼らの姿は、それこそが「ふつう」なのではないかと思いました。謎の青年の正体に思いを巡らせる中で、自らの過去に -
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ネタバレ小川洋子さんの文章がとにかく美しいと感じます。
独特の世界観のため、読み手も想像力が必要ですが、文章の海を漂うような心地よさがあります。
著者の作品は「博士の愛した数式」をかなり前に読んで、これが2冊目ですが、素晴らしい作家さんと再認識しました。
チェスってこんなにも深く、その人の生き様までも表現するゲームなのだと初めて知りました。
(もしかして将棋や囲碁もそうなの?)
通勤時間にいつも読書をするのですが、
最初から美しい文章に引き込まれて、
これは満員電車などではなく
家で猫を撫でながら読みたい
と思いました。
しかし、少年がリトルアリョーヒンとして深海クラブでチェスをさすようになってか -
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ネタバレ『グラスホッパー』『マリアビートル』と続いた伊坂幸太郎の<殺し屋>シリーズの第三弾が本作『AX』だ。殺し屋たちのあだ名がタイトルに付けられているこのシリーズでは、これまでは彼らのあだ名が昆虫の名前だったり、あるいは果物の名前だということからタイトルが決まっていたのだが、本作では初めてあだ名以外がタイトルになっている。
その本作の主人公となる殺し屋のあだ名は、斧(AX)ではなく兜だ。同業者たちからも恐れられているという最強の殺し屋だが妻の方が遥かに恐ろしいという恐妻家のこの兜は、表の顔は文房具メーカーの営業として働きながら、裏では「仕事」をするという一面を持っている。ちなみに本名(本名ではなく -
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ネタバレ複数の殺し屋の物語が並列して描かれ、やがてカタストロフィーを迎えるといった構成が抜群に面白かった『グラスホッパー』の続編に当たるのが、本作『マリアビートル』だ。前回はタイトルに当たる”バッタ”が比喩的に使われていたのだが、本作ではズバリ殺し屋の一人のあだな”てんとう虫”で、その登場人物の名前がそのままタイトルになっているというわけだ。ちなみに本作はブラッド・ピットが主演したハリウッド大作『ブレット・トレイン』の原作・・という位置付けになっているのだが、映画版はほとんどオリジナルストーリーということで、映画を観た人でも本作は面白くみることができる。
前作『グラスホッパー』の魅力は、殺し屋とい -
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ネタバレ妻を殺された元中学校教師の鈴木。なぜか本人の前に出ると対象が自殺してしまうことから、自殺専門の殺し屋をやっている鯨。そして若手ながらも凄腕の殺し屋「蝉」の3人が主人公となるオムニバス形式の本作は極めて映像的な作品であるともいえる。
まずその設定が漫画的というか極めて映像的で、出てくる登場人物の中で真っ当な人間は一人目の主人公である「鈴木」しかいない。もともと中学校教師として真面目に生きていた彼は妻を殺された復讐を目的に、非合法な事業を生業としている会社フロイラインに入社する。このフロイラインという会社、非合法なことを生業にしているだけあって、周囲には殺人者がゴロゴロしているし、殺人以外にも未 -
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ネタバレ『生きるとは、解釈の連続』
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おすすめ頂いて読んでみたのですが、『アヒルと鴨のコインロッカー』を読んだ時よりは、楽しむ余裕があったのかな、と思います。鈴木には幸せになってもらいたいなと思いました。
特に印象に残ったのが、「自分は操られている」と思っていた蝉が、中西との会話で彼が蝉の独り立ちを誇らしく思っていることを知ったところです。
「自分は操られている」と思っていれば人生はそう見えてしまうかもしれないけど、本当にそうかどうかは分からないなと思いました。
鈴木の奥さんの名言、「やるしかないじゃない」も、まさに「君の言う通り」。
弱気になりそうな時に思い出したいなと思いま -
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「大国の目線」で見た第二次世界大戦は周辺国が大国のコマのような扱いになり、実際を反映していない。したがって周辺国の目線から第二次世界大戦を説明した本。確かに私はこれを読む前は大国目線で戦争を捉えていた。周辺国は大国にすぐに降伏する脇役だと思っていた。しかし実際は違った。実は、周辺国は迫り来る大国へどう対処するのか、自国が生き残るためにはどうしたら良いのかを必死に考えていたのである。例えば、オランダのウィルヘルミナ女王はロンドンからラジオ放送を通じて国民に抵抗を呼びかけた。フィンランドは冬戦争でソ連と戦った。これら全ては自分の愛する国のためだ。愛国心であったのだ。
また、イラクとイギリスが戦って
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