小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
あまりにも衝撃的な内容だった。本作の中で引用されている母と娘のラインを読むだけで胃が痛くなってくる。全く無関係の私が文字上で読むだけでこれなのだから、実娘にして同居人、教育虐待の被害者であるあかりさん(本事件の犯人)がこれらを受け取った時の心労や苦しさはいかばかりだろう。正直想像もつかないし、想像することで彼女の苦痛を矮小化してしまうのすら烏滸がましいとすら思える。
あかりさんは母親を殺したことを悔いていて、「もっと周囲や身内と話すなどすれば、このような結果に終わらなかったのでは」と内省されているようだ。それ自体は刑務所のプログラムの正しい成果なのだろうとは思うが、しかしこの母親を前にこれ以外であかりさんが開放される術はあったのだろうか、とどうしても考えてしまう。それぐらいあまりにも母親があかりさんに依存し束縛し自他境界を崩壊させて寄りかかっていて、こんなものどうしたらいいんだ、という口汚い感想が出てきてしまう。本当にあかりさんは9年もよく耐えたと思う。私なら1年も持たずに狂っている。それでもやはりあかりさんにとっては母親で唯一の人でもあったのだろうなと思う。本当に「どうすればよかったのか」という気持ちになってやり切れない。
頼むからこれからあかりさんの人生に幸せなことが沢山起こりますように、と願わずにはいられない。幸い父親が非常に献身的にあかりさんをサポートしてくれているとの事でほんのわずか救いになった。全く何の関係もない無責任な発言ですまないが、あかりさんのこれからの人生が明るいものであることを祈っている。 -
Posted by ブクログ
まず物語としては結婚し、子供もいて家族で海外旅行に行こうと計画する順風満帆な男が1つの仕事のきっかけから始まりどんどん自分の周りの環境ガ絶望的に悪くなってしまった状況をのりこえ、好転させていく話。個人的にはとくに主人公と重なる部分があり、特にプラス思考が苦手で常に不機嫌そうでそう思われるような表情が多く、そういった人が多くの機会、運を取りこぼし、状況を悪化させてしまうのは思い当たる節が多くあった。特に「運を貯める」考え方は自分に無かった発想で恩を仇で返されたみたいな発想しかなかった自分にはこの本のはまさに目から鱗を初めて体験した。少し日頃の自分自身の振る舞いや考え方を変えられる転機となる本に出会えた気がした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ書店ガールの5作目。
前作で取手駅の駅中店店長となった彩加が、引き続き主人公で、
大学中退や学生のアルバイトを巻き込みながら、
自分なりのお店を作っていく。
その大学中退のバイトが、
実はライトノベルの新人賞を受賞したばかりの作家だとわかり、
彩加も常磐線沿線の書店員たちとその本の販売に力を入れていく様子は、
いささか出来過ぎのきらいはあるが、楽しい。
もう一人の主人公は、亜記の夫、伸光。
転職後のライトノベルのレーベルの立ち上げで新人賞を創設、
いい作品が大賞となったことを喜んだのもつかの間、
部下の編集者が勝手に作品に手を入れたと作家に言われ、
本は刷り直し、新人賞佳作の作家には他の出版社に行かれてしまう。
そのため、レーベルの存続を賭けて新人賞の作品を売り込む。
シリーズの最初の頃には嫌なところのある奴だと思っていた伸光に、
肩入れしたくなるような気持になるとは。
彩加の戀愛にも肩入れしたい。 -
Posted by ブクログ
まーじで文章うますぎて好き
1.法律
くそわかる。自分の場合は非合理罪を設けている気がする。与えられたシチュエーションに対して合理的でない行動を取られると(感情で動くのも良い、その感情に至る合理性があるならば)読む気が失せる。
小説ではないが、プリズンブレイクとかワンピースとかHUNTER×HUNTERとか、非現実のなかで各登場人物が自分の目的達成のために都度合理的に動いてて好きなんだよね。
3.知らない世界
すごい。君が手にするはずだった黄金について、がまさにこれよね。会社員してると間違ったこと書いちゃいけないて強迫観念が強まって、自分のこと以外書けないかも。
4.文体
すげーー。情報の順序という観点気にしたことなかったけど確かにな。あと、情報量の差をあえて作るか埋めるかの話も。あえて差を作って回収する話し方できる人でかっこいい。
5.どこから何者どこへ
なんとなく行く先を知ったうえで進みたいという気持ちもありつつ、自分は映画も本も絶対ネタバレとか感想とか読まないので、相対的には自分で考えたい部類だろうな。
ちなみに小川哲には、観点、視点の提供を期待しながら読んでる、この本のような。
6.コミュニケーション
知らない何十万者もの他人に伝わる文章てすげーよな。会社内でもうまく伝わらんのに。
7.伏線
小説中で銃が登場したら使われないといけないという格言?があるが、まさに。意味のない描写をしてはいけないよなあ。
8.何故友人が小説を書けないか
これはあんまわからんかった。
9.アイデア
意味のある分析などほとんどない。行動を正解にしてってアイデアになるんや的な自己啓発を勝手ながらした。
11.小説の見つけ方
これはすごい。答えがあるものは小説じゃない、てね。5why大事。やりすぎると人に話しが伝わらなくなるが。
12.本気で小説を。
4章に近しいが、小説はリアルよりも情報の次元が落ちるが、それを強みに変えられるかて観点まじでおもろいな。
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Posted by ブクログ
南綾子の作品に出てくる登場人物はどうしてこんなにも痛々しく、それでいて愛おしいのだろうと思う。 彼女の作品はおそらく3作目(のはず)だが、出てくる登場人物はいずれもかなり難ありである。
今作もタイトルからわかるように、それぞれうまく行かない問題を抱えていて「死にたい」と思っているような人間が出てくる。
それぞれの「生きづらさ」はあるのだが、作中でシスターフッド足切り問題ついて展開されているところが好きだ。 「シスターフッド」は今やフィクションでは定番となっているし、現実にある女性差別に対抗する連帯として好意的に受け止められている。
たしかに今までの歴史のなかで女性差別に対抗してきた女性たちはシスターフッドと称される連帯があっただろうし、現在もシスターフッドというこの社会をともに生き抜く仲間や共闘する仲間の存在はある。
ただシスターフッドは女性なら誰しも発生しうるものだろうか、とも思う。
私はシスターフッドが扱われるフィクションは大好きだし、現実の社会でも女性差別の撤廃を目標に活動している女性たちが対談したり、共同でイベントを開催したりとシスターフッドが煌々と輝く場面は勇気をもらえるし、女性として心強さもある。
でもその「シスターフッド」は本当に女性なら誰しもが開かれているものなのか、と言われると首をひねる。
作中で奈月が発したように女性同士の相手を労ったり、変化に気づいたりするケア的な要素を多く含んだ会話が苦手な女性はシスターフッドに入れてもらえるのだろうか。
私の考えるシスターフッドというものは、そういったなめらかなコミュニケーションやケアをしあうだけのものではなく、女性差別の呪縛から女性を解放したい、されたいという思いを抱えているのであれば、そのあいだにコミュニケーションは必ずしも発生する必要はないと思っている。
しかし、女性ならこういうコミュニケーションができるはず、ケアができるはず、という言説は女性間でも、特にシスターフッドを熱く支持している人のなかでも、かなり根強いものに感じるし、それらが苦手な女性は存在しない、ゆえにできない人を排除しているということに思い至ってないのではないだろうかとも思う。 そこに切り込みを入れた展開はこのシスターフッド称揚激しい時勢ではかなり稀有なものだと思われるし、どんなコミュニティにもなじめない人の存在をとらえていることが南綾子の強みだ。
すごくきらきらしていて、まぶしくて魅力的だけれど、私の物語ではないと消沈してしまう作品も多いなかで、人間がもちうる痛々しさをとらえ、それでも必死で懸命に生きているのだと描くことで、どうにか報われてほしいと願えてしまうような魅力ある人物たちにこれからも魅了されていくのだと思う。
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