あらすじ
大学病院での医療事故に関わり、世間から「偽医者」とバッシングを受け職場を追われた産科医の阿比留一馬は、逃げるように北へと向かっていた。途中、雪の中で産気づいた妊婦に出会い、小さな産院に同行する。そこは村唯一の分娩施設・竹下診療所だった。院長の相良の言葉で診療所で働き始めた一馬は、限界集落の産院の実情を目の当たりにする。さらに、彼の医療事故を世間に広めた女性記者が診療所を訪れて……。現役医師が描く、命に向き合う感動の医療小説。
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Posted by ブクログ
医療小説は今まで何冊か読んだけど、今までのものとは少し違った。
医療ミス?から病院を追われたうえに記事がでたことにより、SNSでの誹謗中傷。追い詰められ逃げ出してしまう。
一方で記事を書いたジャーナリストも自分の記事で1人の医師の運命を狂わせてしまったと記事が書けなくなっていた。
そんな2人が村の産院で過ごすうちに自分を取り戻して行くお話。
産院だけに出産シーンは詳しく書いてあり、いつ何が起こるかも分からない現場の中で最善を尽くしてくれる医療従事者の方には尊敬と感謝しかない。
ただ、人柱となり病院を守ってきた相良先生の言葉ありがとうは麻薬みたいなものだ
は考えさせられた。言われたら嬉しいから人にも言うと思っていたけど、人を縛りつけてしまうこともあるんだと…
阿比留先生の
文字でも人は死にますよ
とのセリフは実際、今の社会問題でみんなが考えていかないといけないことだと思う。
Posted by ブクログ
医療ミスをしたとして記事にも書かれ
いくつもの職場を追われた 産科医の阿比留一馬が
限界集落にある小さな産婦人科に出会うお話。
いやあ〜〜〜!とても疾走感があって
ページをめくる手が止まりませんでした!
村で小さな産婦人科を医師ひとりで切り盛りする
相良先生がとても素敵で言葉一つ一つが
心に響きました。
医療ミスをした過去を抱える一馬と
相良先生にもとある過去もみれてとても感動した。
子どもが産まれることって本当に奇跡で
神秘的なことでお母さんもそれに携わる人たちも
言葉では言い表せないぐらいすごいなと思った。
医療ミステリは好きで色んな作品を
読んでいるけれど
実際に産科医をしている作家さんの
作品を呼んだのは今回が初めてでした!
とても面白かったです!!
他の作品も出ているので
読んでみたいと思いました!
Posted by ブクログ
医療事故、ネットでの執拗な誹謗中傷を受けた産科医阿比留一馬がたどり着いたのは限界集落で身を削って働く産科医、助産師がいる診療所。
失意の一馬は、この診療所で何を感じるのか。
タイトルの偽医者なんかどこにもいない。
本物の医者が全力を尽くす物語。
命に向き合うというのは勇気が必要だが、感動も大きい。
緊迫感のある出産のシーン、本当に胸が熱くなる。
ラストまで一気読みでした。
Posted by ブクログ
思わぬ記事の炎上により逃げた先は…、というところから始まるのだけど、なかなか緊迫した話だった。ただ医者に戻るというだけでなく、記者にとっても思わぬ炎上だったのが何だかリアル。
細かい知識がない部分は想像で補うしかないが、手術の場面は読んでいる方も緊張を強いられた。
限界集落が舞台なのもいまの現代日本の問題点を考えさせられる。医者と地方との折り合いは難しい。それでも現状できる限りをそれぞれが考えていくしかないのがつらいな。
読みごたえがあって、よかった。
Posted by ブクログ
あっという間に読み終えた。
ラストは想像と少し違っていた。
同著者の作品を過去に一度読んだことがあったが内容が薄く感じて(既視感が強かった)印象に残らなかったのだ
今回もラストは人情に訴えて一馬が竹下診療所の院長になりましためでたしめでし、かなとある意味危惧しながら読み進めた
ところが相良の確固たる意思に救われた。一馬も美希も私も。現在日本至る所で同じようなケースがあるし、これからどんどん増えていくのだろう。そこに小説とはいえ綺麗事だけで完結することは気持ちのいいものではないからだ。
そして人間の過ちとはなんなんだろう。罪を償うということはなんなんだろう
今回は重いテーマだった
Posted by ブクログ
終盤のスピード感のある展開にひきこまれた。限界集落の産院をテーマにした医療小説。
救えなかった命に対する償いを、他の患者の「ありがとう」と言う言葉で贖おうとすることは、本質的にな償いにはならない。
それでも前を向いて、償いのためにではなく、自分がやりたいことをやっていく。
自分に対する戒めにもなった。
Posted by ブクログ
作者3作目。産婦人科医は喜びと悲しみが同居するやりがいのある仕事だが、とても激務だ。まさにそんな重圧に、たった1人で耐えている老医師、相良のもとに偶然舞い込んだ訳あり産科医の一馬。たった数百文字の記事が原因で職場を追われ、傷ついた一馬は北国にある限界集落の産院で医師としての喜びを感じ医師としての自信を取り戻す。そこに件の記事を書いたことで、傷ついたジャーナリストの美希が訪れて・・・
現役産婦人科医が書く出産のシーンは圧巻で、あふれる涙をおさえられない。
妊娠も出産も奇跡だ。読むと妻と子供が愛おしくなるお話し。
Posted by ブクログ
医療事故、限界集落での医療をテーマにした社会派小説。産科のリアルが臨場感たっぷりに綴られており、一気読みしました。
2人の医師が過去の自分の想いを背負いながら目の前の難しいお産に挑む場面には、涙が止まりませんでした。
登場人物の様々な思いが溢れた、尊い物語でした。
Posted by ブクログ
私たちの忘れられない大野病院が少し触れられていました。
こんな良心の残った記者がいないものとして、また警察や議員たちもこんなもんだ、としてビクビクしながら我々は救急医療を日々続けてます。
少しだけ、あかりをくれた作品でした。
Posted by ブクログ
新刊情報見て絶対よむーー!って意気込んだ一冊☺︎
結末が気になってあっという間に読み終えた!
方言はあるものの文自体が読みやすかった印象( ◠‿◠ )
医療もの好きなら是非読んで欲しい!!☆彡
結末も好きでした!
Posted by ブクログ
産科医の過酷さがよくわかる。ハイリスクの妊婦、さらに稀有なケースでも助けられなかったことをこれ程責められるのならやってられない。お産は予定が立たないから近頃の開業医は予定日に出産させると聞いたことを思い出した。ちょうど出産一時金を公的保険適用にするか検討されていることも含め難しい問題だ。阿比留が今後も産科医を続けてくれることを希望したい…
Posted by ブクログ
一本の記事により偽医者とネットで叩かれ、職場を転々とした後に辿り着いた限界集落の診療所。
逃げてきた産婦人科医の再生への物語。
始まりの電車でのシーンから引き込まれました。読みやすさもありあっという間。
Posted by ブクログ
緊迫した出産シーンに思わず涙したのが美容室で、美容師さんを心配させてしまった。
それは医療ミスか不可抗力か…。
産科医のみならず、医療に携わるということは総じて自分ではない誰かの命に向き合っているということ。
その中でも、とりわけ妊娠出産というダイレクトに命を預かる産科医の重圧は計り知れない。
センシティブな題材なので、安易に良い悪いは言えない。
どんなに力を尽くしても、経験を重ねても、素人には理解できない経緯の果てに哀しい結果をもたらすことはあるのだと思う。
それをどんなに丁寧に真摯に説明を受けたとしても「はい、そうですか」と簡単に納得できるはずもない。
どちらも傷付いている。
医療現場から去ることを余儀なくされた医師の苦悩と再生。
自らの書いた記事により、ひとりの産科医の未来を奪ってしまったことに苦悩する記者。
長きに渡り、たったひとりで限界集落の妊産婦を支えてきた年老いた産科医。
過疎化が進む小さなコミュニティで大きな力に翻弄されてゆく診療所と町の人々。
それぞれに正義があり、それぞれに葛藤がある。
今この瞬間にもどこかで小さな命が産声をあげ、同じように小さな診療所が静かに姿を消している現実。
これは産科医にとどまらず、全ての医療現場が抱える問題だ。
人口減少、医者不足、過疎化…未来への不安は拭えそうにない。
深く考えさせられる一冊でした。
今年の13冊目
Posted by ブクログ
自分の道は自分で決めた方がいい。今も昔も、そういうもんだ。
せっかく免許を持ってるんだから、使わなねえと勿体無いだろう。
逃げたらどの道、もとの世界には戻れなくなるぞ。
自ら価値を下げてどうするのか。
自らの意思で、後悔なく向き合う。
ゆっくりでもいい。自分を取り戻したい。
その肩書きを失ってしまうと、私自身が築き上げてきたものが、全部崩れてしまう。
いっそ縛るものがなくなれば、外の世界に飛び立てるかもしれない。
どうせ先が見えないのであれば、現状に早く見切りをつけて新しい形に変わった方がよい。
求められていない場所は、消えていくのが自然の摂理。
あんたが全力を尽くした結果だったんだから。
そろそろ前を向けよ。世間からどう言われようと、堂々と胸を張ればいい。前を向いて、本当にやりたいことを見つけたほうが、よほどよい。
外の世界を見ろ。他にも色々な世界を目に焼き付けて、本当にやりたいことを見つけてほしい。
Posted by ブクログ
最初の、思いがけず産気づいた妊婦に出会うシーンからこの作品にどんどんひきつけられました。
村の限界集落の産院の実情が想像以上に過酷であることを知りました。
また、自身も出産(二度)を経験していますが、どちらも無事に済みましたが、それは医師看護師のお陰であったのだと改めて感謝の思いを感じると共に、出産は命懸けのことなのだと再確認いたしました。
Posted by ブクログ
産科医療における訴訟リスクの問題と、衰退する集落における医療施設の存続問題。そんな問題に鋭く、それでいて優しく踏み込んでいる小説。色々考えさせられる。よくわからない正義感から炎上に加担してしまうような人には特に読んでみてほしい作品。でもまぁ、そういう人は読まないよね。
Posted by ブクログ
初めて読んだ作者さん。冒頭から一気に惹き込まれました。医療過疎地の産科医療の実態、問題提起、意義深い作品。診療所の面々の人情深さにも心温まります。違う作品も読んでみたい!
Posted by ブクログ
誰かの命が自分の腕一本にかかっていたら
どれほどの重圧だろう
医療に携わる人たちは日々そういう責任を担っていることを痛感する
これは作者が産婦人科医ということで
リアルな出産シーンや医療事故の様子、若き産婦人科医の苦悩が描かれている
それでも医師は命を救うことができるし
産婦人科医ならば、新しい命を誕生させることもできる
Posted by ブクログ
限界集落で産院をどうするのかという話。自分のお産を思い出した。入院騒動もあったし、今日元気に生きていられることに心から感謝。
そしてネットは怖いと改めて思った。意図したことと全く違う解釈ばかりが拡散されていく。最後に平安を見付けた場所があまりにも遠くて呆然。
産科といえば、漫画のコウノドリはオススメ。
Posted by ブクログ
お医者さんが書いた小説、オーソドックスというかセオリー通りというかでもやっぱりこういう話好きだわ。ってなるやつですね。産婦人科医ってほんまキツいよなあ。命ってほんと尊いよなあ。院長、相良の達観した人間性に脱帽です。怖いくらいかっちょえー。
Posted by ブクログ
相変わらず読みやすい作家さんで好きです。
辺鄙な村の産科のお話。
若いドクターが結果村の小さな産科をついでハッピーエンドかと思いきや、そうはならない。ただ最低限の人員でなんとかぎりぎり背負っているものを継続させるという単純な考えでは支えていけないよなと思い知らされる。