あらすじ
ここにもある袴田事件、免田事件、財田川事件、足利事件の理不尽。
生きるということは、かくも哀しく美しいものか。照らし出される司法の闇、冤罪の虚構、人間の絆。作家の才能に嫉妬する。―堀川惠子(ノンフィクション作家・代表作『教誨師』)
突然、父親を奪われた少女に救いは訪れるのか? 事件の謎は戦前から令和まで引き継がれ、慟哭の結末は我々に生きる意味さえ問いかける、前代未聞かつ究極の「冤罪」ミステリー。世代を超えて社会の歪みと戦い続ける者たちの行き着く先とはいったい何なのか。
時代を超えて受け継がれる法律家の矜持に心が震えた。―五十嵐律人(作家・代表作『法廷遊戯』)
わたしはこれ以上のリーガルミステリを知らない。―染井為人(作家/代表作『正体』)
冤罪と冤罪で翻弄されたものたちが辿る刮目のドラマ。戦中、時局に媚びる社会情勢の中で苦悩する弁護士のギリギリの戦いは、本人が戦場に送られて戦争が終わってからも、正義を信じる弁護士や検事により引き継がれる。彼らが報われる日は来るのか? 社会のひずみを壮大なスケールで活写したリーガル・ミステリーの雄の渾身作。
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Posted by ブクログ
mariさんの本棚から。
ありがとうございます。
500ページもありました。
分厚い。
この夏文庫本を変な持ち方して読んでいたせいで左手の小指を痛めております。
1カ月も引きずっております。
だから500ページの単行本を読むのに難儀しました。
持ちにくくて。
でもね、そんなのどうでもいいくらい(よくない)引き込まれてしまって。
章が変わるたびに“えっっっっ”となった。
うそ…って。
それにしてもなぁ。
ラストの真犯人が衝撃的すぎて。
うそやん…状態で呆けてます。
刑が執行された後の再審請求からの無罪判決って…なんかもう…何も戻ってこないじゃない。
戻ってきたのは名誉だけじゃない。
辛。
辛いなんて言葉で片付けられないくらい辛…
気分を変えよう!
このお話の舞台は三重県なのですが、私には三重県在住のお友達ができまして。
生きていると面白いこともあるもんです。
同じ三重ということでオススメしてみよう。
楽しい話じゃないけどいい本だからオススメしてみよう。
そう思って少し気分を楽しくして寝よう。
Posted by ブクログ
チャオさんのレビューをきっかけに、この本を手に取りました。ありがとうございます。
冤罪により死刑判決を受けた人物の無罪を訴え続けた、約80年にわたる物語です。再審制度について深く考えさせられると同時に、小説としても非常に楽しめる一冊でした。
まず驚いたのは、再審制度のハードルの高さです。やっとの思いで再審請求が認められても、検察の即時抗告によって覆されてしまう。「裁判できちんと白黒つければいいのでは」と、何度も思いました。
近年、再審制度は見直されつつあるようですが、まだ十分とは言えない現状があるようです。人が人を裁くことの恐ろしさを改めて感じるとともに、司法に携わる方々にはどうか謙虚であってほしいと強く思いました。
小説としての面白さも特筆すべき点です。物語は昭和から令和へと時代を移しながら進み、中心人物も世代とともに移り変わっていきます。それだけの歳月が、冤罪を晴らすためには必要だったということが伝わってきます。また、真犯人についても描かれており、これは小説だからこそ描ける部分だと感じました。
読み応えのある、すごい物語でした。
Posted by ブクログ
なかなかボリュームのある一冊だった。父親の冤罪と闘う娘とその支援者の話。
タツやんが…いい男過ぎるー。時代というものもあったんだろうけど、ほんと再審請求が長過ぎるわ。そしてまさかのラスト。うーん、そういうことだったのか。マジかー。
Posted by ブクログ
戦争中1943年(昭和18年)に始まり、1957年(昭和32年)、1985年(昭和60年)、2004年(平成16年)、そして2022年(令和4年)と5つの時を経て、80年前に父・谷口喜介を殺人犯として冤罪で捕らわれた一人娘・8歳の波子を主な語り手として、彼女を助けた弁護士・吾妻太一、その友人・花田勢太郎から始まる冤罪事件の再審を求める大長編ドラマ。その時に少年だった伊藤捨次郎も父・乙吉の拷問死の真相解明のため協力するが…。そしてその捨次郎が弁護士に、次に捨次郎弁護士の時代に不良少年だった本郷辰治が検事に、更に捨次郎の2人の息子・乙彦、(伊藤)太一が弁護士に、彼らの成長とともに時代を替えて、80歳を超えた波子と共に再審請求を続けていく壮大な物語り。最終段階では(伊藤)太一の娘・凪沙までが大きな役割を果たす。死刑囚の再審請求という現代の大きな社会問題にも視線を向けさせてくれる。素晴らしい感動のヒストリーだった!
Posted by ブクログ
昭和18年の殺人事件から死刑判決を受け昭和34年の死刑執行後も冤罪と戦い続けた人々の80年にわたる物語
冤罪を晴らそうと正義と信念に基づいて行動する元検察官の弁護士
戦時中という特殊な状況下、全ての事実は国の非常事態という大義名分のもとで有耶無耶にされていく
事実を隠蔽する体制派への挑戦
事実を事実だと声を上げることの難しい社会
それでも消えない人々の良心や正義が時代と世代を越えて継承されていく展開に人間への信頼感が高まり暖かい気持ちになった
一方で
「正義」という言葉がずっと頭から離れない
自分の正義って何だろう
どこにあるんだろう
正しさの軸足を踏み違えないように
憤りを感じた時にその矛先を誤らないように
「正義」って実は凄く危ういってことにも
気がついてしまった
Posted by ブクログ
冤罪というものが、人の人生その周りの人の生活も壊していく事の恐ろしさ、80年にわたる、志のある人達の執念と崇高さ、そして最後の最後に突きつけられる真実への驚愕
わたしが、今年読んだ中でNo.1です。
Posted by ブクログ
《過去は変えられなくても、未来は変えられる》
レビューを拝読して読みたくなった作品。
世代を超えて受け継がれていく冤罪との闘いと、そこに関わった人々の人生を描くリーガルミステリー。
こちら「百年の時効」が好きな方は好きだと思う!♡
私はこちらの方が好みでした- ̗̀ ෆ( ˶'ᵕ039;˶)ෆ ̖́
結構な分厚さでしたが、合間の語りの内容がとにかく気になって、グイグイ読み進めてしまいました!
事件そのものだけじゃなくて、戦中から戦後へと社会そのものが大きく変わっていく中で、人々の暮らしや価値観、言葉遣い、司法のあり方まで変化していく様が描かれていたことが印象的だった。
戦争という大きな出来事が、事件とは別のところで人の人生を変えてしまう。
その時代を生きた人たちの選択や苦しみが、何十年も後の世代にまで繋がっていく。
戦争の影響の大きさに驚かされ、改めて戦争の怖さを感じた。
冤罪についても重みや怖さ、決して単純な話ではないということを改めて感じたし、冤罪についての波子のある言葉が胸に突き刺さった。
一つの事件が人を動かして、人と人が繋がって、その繋がりがまた別の人の人生を動かしていくところがこの作品の一つの読みどころでもあり、胸熱ポイントでもあると思うのですが、彼らが抱いていた想いって結局はそういうことだったのだろうな。
とても大事なことですよね。
世代を超えても受け継がれていくもの。
時代とともに変わっていくもの。
自分たちで力を合わせて変えていくもの。
現実の司法の重みを感じさせながらも、心地よい余韻を残す作品だった。
Posted by ブクログ
ものすごい長いドラマだった
戦時中から時代を超えて冤罪に取り組む法律家たちの長い戦いと苦悩を描いた物語
無実と人権を回復するのにこれほどまでに高いハードルがあるとは…一度にらまれたら終いなのか
殺人事件ほど大きくなくても日常のちょっとした事件で疑いをもたれることがあったとしたら…誰の身にも起こりうる話だと思うと恐ろしくなる
長い物語なので一度に読み切れないけど、とにかく続きが読みたくてちょっとの時間でも本を開く力をもった作品だと思った
Posted by ブクログ
真実が司法によりねじ曲げられていくのは当然に許しがたいことなのに、力のない者を嘲り、切り捨てていくという、世の中を支配する気持ちの悪い塊、そして、司法の安定性をかざす権力に抗うのは、何と困難なことか、どこまで非情なんだと暗い気持ちになったり、これらに対して行動を起した人の矜持(私は本郷さん推しです)に胸がいっぱいになったり…ここまでで十分に読み応えがあリ面白いのですが、最後にどんでん返しが!ラストを読んで、善悪の境目がわからなくなりました。読者の良心も試されている…?
Posted by ブクログ
冤罪という非常に重いテーマで、気分も重くなりがちだったが、この分厚い一冊に引き込まれてしまった。
80年という長い年月を経て勝ち取った無罪だが、あまりにも長く苦しい時間だった。
正義とは、法とは。
1人の無実の人間の全てを、命までもを奪い、その家族の一生も不幸へと飲み込む。
時に真実とは、非常に残酷なこともある。
普通の人間に潜む化物、自分やその周りのことだけ考えて生きている。
誰にでもあり得ること。
人間の心の闇は深い。
久々に心に響いた一冊でした。
Posted by ブクログ
冤罪による死刑執行という、取り返しの付かない愚行に立ち向かう、遺族と支援者、弁護士、検事の80年にも渡る戦いの記録。ラストのとんでもない真実と悲劇に対しての主人公の下す判断が哀しい。
そこには、隠蔽や不正の連鎖を断ち切るために、怪物をこれ以上産まないために立ち向かう、清廉とした誇りと魂があった。
Posted by ブクログ
初めての作家さん。
直木賞候補とのことで。
冒頭、時代や方言で読みにくいなと思ったのも束の間、どんどん引き込まれ、第一部と第三部、時代と共に文体も違ったテイストで、500ページ程の分厚さも、存分に楽しめた。
途方もなく長い年月。。当事者がどんどん亡くなる中、最後の最後まで、どこに終着するのか、ハラハラした。うーーん。まさか。。
何年もかけて追ううちに、真実よりも都合の良い結末を求めてしまったのだろうか。ここまで執着する意味とか、気付きながら引き返せなくなるほどに取り憑かれたように。
結果的に、全ての冤罪事件に関わる人たちの苦労が、泡になってしまうような結末、しかも、それはもっと前から隠されてきたことであり、誰かがどこかで断ち切らなきゃいけなかった。苦しい判断に、何が正解なのかと悶々となる読後感だった。
Posted by ブクログ
またしても激しく心揺さぶられる物語との出合いに感謝です。深い感動の後は、暫しその余韻に浸るべく言葉を上手く紡げません。冤罪をテーマとした重厚・骨太・壮絶な物語は、それほど価値ある読書体験となりました。
物語の舞台は、神が鎮座する「神都」と称される宇治山田市(現三重県伊勢市)。戦時中に、この聖地に似つかわしくない一家惨殺事件が起きます。当時8歳の少女の父が、逮捕・死刑判決を受けるも冤罪でした。少女は差別や偏見に負けず父を想い続け、熱意ある弁護士と出会って物語が動き出します。
昭和から令和にかけて、約80年にわたる冤罪との闘いです。司法の深い闇に、ただ一つの正義を求めて代替わりしながら挑み続ける弁護士たちの、執念の群像劇でした。法廷ミステリーというより壮大な人間ドラマの色が濃く、惹きつけられます。
戦時下で民衆の人権が無視され、国や司法の安定とメンツを守りたいが故に非道を行った検察側。時代に翻弄された理不尽すぎる運命は、家族にも社会的な死をもたらします。冤罪の恐ろしさと根深さをどこまでも突き付けられ、正義とは?と自問させられます。
伊勢神宮20年に一度の神事「お木曳き」の高揚感を効果的に挟みながら、人間の身勝手さや想いの深さ、命の儚さや愛おしさなど、奪われてはいけない尊いはずの人生を考えずにはいられませんでした。
こんな世の中ですが、諦めずに根気強く正していくのもまた人間なんですよね…。
折しも再審制度改正案が、法施行(1949)以来初の見直しで先月衆議院を通過しました。この改正案は、検察側による証拠の開示義務化や、再審開始決定に対する検察官の抗告の原則禁止などが柱で、果たして救済の実効性に確実につながるか、参議院での審議を見届けましょう。
昨年は、昭和100年・戦後80年に当たる年でした。相次いで発表された『神都の証人』(6.30発売)、『百年の時効』(8.20発売)、『デモクラシーのいろは』(10.2発売)は皆筆力ある傑作で、今読まれるべき作品揃いだと感じました。
Posted by ブクログ
直木賞の候補作。
これまでこの素晴らしい作品がノーマークだったが、ブク友の皆さんのおかげで、この本と巡り会えました。
冤罪がテーマで戦前から令和まで続くので、重苦しいし、ヤキモキする場面が多い。語り部は8歳で父親が強盗殺人の容疑で逮捕された谷口波子。
父親は死刑判決を受ける。
父親を支援する人達が長くて苦しい戦いを続けるのだが、父親の疑いは晴れるのか?
父親が冤罪なら、犯人は誰なのか?
500ページ弱の大作で、電車で立ちながら読むのは辛かったが、時間を忘れてしまうほどのめり込んだ。
Posted by ブクログ
この小説の発端の事件は昭和の戦時中なので、強引な取り調べとか酷いけれどあったんだろうなと思えますが、一度冤罪を認めてしまったら終わりというのは今も変わらないような...。昭和、平成、令和と続くスケールが大きい冤罪ミステリーです。冤罪に翻弄された主人公の八十余年に渡る闘いの日々。赤の他人なのにあそこまで信じてくれた人たちがいた事が救いです。500ページの大作ですが本当に読んで良かったです。
Posted by ブクログ
三世代に亘る冤罪と再審請求の闘いの一大サーガ。そもそもが戦時中の事件だからあり得ない杜撰な捜査と裁判だか、再審請求の即時抗告のシステムは今も変わらず。再審制度の見直しがやっと動き出した今、タイムリーな1冊。主人公となる各章の3人も誠実な1人目、破天荒な2人目、非エリート側の3人目とお決まりな流れでなく面白い。流石の直木賞ノミネート作品でした
Posted by ブクログ
良かったデス。面白い作品でした。
ちょうど少し前に、「袴田さんの」
袴田さんとお姉さんのドキュメンタリーを
テレビで見ていた頃でした。
この本は胸が苦しくなる作品でした。
あまりにも長い年月、しかも戻って来ない貴重な年月の物語です。
どこへぶつけて良いのかわからない憤りや、不条理に悶々としました。
これは物語であって、フィクションなのですが、
現実に起きている事件もあるので、戦慄しています。
冤罪が無実になって良かった良かった?だけでは終わらない物語になっていると思います。
その先の問題提起も孕ませていると思います。
いったいなぜこんなことが起こるのか?
いまも起きるのは何故なのか?
あの時どうすれば良かったのか?
この先の未来はどうすればよいのか?
それを阻むものの正体は何なのか?
作者の慟哭が聞こえるような気がしました。
今まさに国会でも審理中のニュースをよく目にします。
まもなく、法律は改正されるでしょう?
Posted by ブクログ
昭和18年4月20日、戦時中に行われた伊勢神宮の20年に1回の遷宮の最中に宇治山田で起きた一家3人殺人事件。
犯人とされた谷口喜助は無実を訴えるが聞き入れられず、死刑判決が確定する。
谷口の8歳の娘波子は、当日父娘が遷宮の川曳の見物で内宮にいたという。
波子とのふとした縁から谷口の弁護を引き受けた吾妻太一は、再審請求のため友人の弁護士花田勢太郎とともに事件を調べ始める。
新たな証拠が出るたびに裁判所の再審決定は得られるものの、法的安定性を盾にとる検察の厚い壁にはね返され続け、最中に谷口の死刑も執行され、気がつけば事件から83年、ついに父親の無実が認められた時が来たと思われた波子の前に明らかにされた真実は、実に意外なものだった。
拷問死した父乙吉の無念を晴らすため、埋葬された父の遺体から掘り起こした頭部を名古屋帝大まで運んだ伊藤捨次郎。
父のために戦った吾妻を襲って弁護士となり、谷口の再審に身を捧げた捨次郎は真実を悟っていたのか。
捨次郎が本郷辰治に語った岡麟太郎真犯人説にも別の意図が隠されていたか。
波子への一途な思慕から谷口の冤罪を晴らすためだけに司法試験に合格し、検事となった本郷。
真実を知らずに非業の死を遂げた本郷の生涯は、しかし、決して虚しくはなかった。
波子のために葬儀場に安置された遺体から奥歯を抜くまでした愛娘凪沙に励まされ、真実を追求する捨次郎の不肖の次男太一。
エリート弁護士の兄、エリート裁判官の妻を持つ太一だったが、一連の事件と一族の縺れた歴史を正すために兄にもできなかった決断をする。
いろいろな糸がもつれ合い、まさに禍福は糾える縄の如く浮き沈みの激しい展開は、息をもつかせない。
本郷たちが追いかけた岡家の闇はまさかの傍筋だった。
人生の敗者から立ち直りながらも劣等感を抱える太一が下した選択は、周囲の人々にどんな影響を与えるのだろうか。
Posted by ブクログ
冤罪で死刑判決を受けた父の無罪を信じる娘波子。80年に渡って再審に向けて闘うストーリー。弁護士もその間には代替わりするのだけど、それぞれが弁護士になった道程も感慨深いし、個性も違い魅力的。
一度被疑者になると疑いを晴らすのは困難で、検察に都合の悪い証拠は隠されてしまう。理不尽なことが罷り通って、人生を潰される人がいることに怒りと恐怖を覚える。
Posted by ブクログ
冤罪を晴らす王道のストーリーかと思いきや、想像をはるかに超える壮大なスケールで展開していく作品。
一部、やや強引に感じる急展開もあったが、ラストに待ち受ける「正義とは何か」という問いかけには、前段の重厚なストーリーの積み重ねがあってこその、圧倒的な説得力と深さがある。
Posted by ブクログ
冤罪事件に真っ向から立ち向かった弁護士たちと検察官の物語。国家権力の非道さと見捨てられていく人々、やりきれない思いもあるが、真実を求める少なくない人々に希望を感じた。骨太の読み応えのある物語。
Posted by ブクログ
は〜すごかった〜おもしろかった〜
冤罪がテーマの戦中から約90年にわたる話。
3冊ぐらい読んだ感じがする。
最後は好みが分かれるかな?無理やりどんでん返しにしなくてもとも思ったけど、作家としてはそういうわけにいかんのやろね。
Posted by ブクログ
賑やかな関西弁の場面から入り、物語に入りやすい。テンポよく進む話は数十年の歴史を描く。
人情や各人の個性が繊細に表現され、多方面から筋の通った冤罪というテーマを掘り下げていく。
ボリュームはあるものの飽きずに読み進められる冤罪ミステリー。
また、モチーフとなった事件が存在するのも興味深い。
法律は人権や基本的な営みを道徳の観点から守ってくれるものと理解しているが、ひとたび頭のいい人がそれを保身や武器に使おうと試みるなら、法律ほど残酷なものはないと思った。また、法律は不備や欠陥があると危険なものだと、改めて思う。
ぜひ最後まで読んでほしい。
Posted by ブクログ
意外と壮大な物語だった。
時代や世代が移り変わって物語は進んでいくけれど、読み終えてみると大事なことは序盤に出てくる「正義とは何なのか」ということに尽きる話だったように思う。
Posted by ブクログ
冤罪で死刑判決を受けた父。
そして、8歳でたったひとり残されてしまった娘。
昭和から令和へ――80年という途方もない歳月をかけ、「無実」を証明しようとする人々の執念と祈りに、何度も胸を揺さぶられた。
人を裁くことの重さ。
一度下された判決を覆すことの絶望的な難しさ。
正義を信じるだけでは越えられない現実の壁にぶつかりながら、それでも希望を手放さずに進み続ける姿が、深く心に残る。
ニュースを見ていて、「判決まで慎重すぎるのでは」「死刑執行まで長すぎるのでは」と感じたことは少なくなかった。
けれど、この物語を読んだ今は、簡単に答えを出せなくなった。
もし、ほんのわずかでも冤罪の可能性があるのなら――その“重み”を、どこまで背負えるのか。
読後、すぐには感想を書ききれなかった。
それほどまでに、「正義とは何か」を静かに、そして重く問いかけてくる作品だった。 ★4.0
Posted by ブクログ
昭和18年、三重県伊勢市で一家三人が殺害される殺人が発生。事件当時、谷口喜介は娘の波子とお木曳を見に行ってたのにも関わらず逮捕され、死刑判決を受ける。弁護士の吾妻太一は谷口喜介の冤罪を証明するために奔走するが…
大河小説が好きだ。
Wikipediaによると、大河小説とは“一個人の生涯、あるいは一族の数世代にわたる歴史を、社会的・時代的背景とともに広範囲に描いた長編小説“。時代の移り変わりと共に、登場人物達が成長しつつ世代交代していく人間ドラマに魅了される。既読の大河小説では、『赤朽葉家の伝説』、『檜垣澤家の炎上』、『百年の時効』が非常に面白かった。私の本棚で“大河小説”でタグ付けしているので、興味のある方は是非。ちなみに大河映画だと『ゴッドファーザー』シリーズも好き。
話がそれたが、本書は「冤罪」をテーマとしたリーガルミステリかつ大河小説。冤罪を疑い真実を追い求めて奔走する検事や弁護士らが、時代を紡ぎながら信念を受け継いでいく。およそ80年の時を経て、事件はどう着地するのか。若干作為的な展開が目につくが、読みやすくて読み応えも充分。登場人物の中では本郷辰治が好漢。「法的安定性」について語るくだりが印象に残った。
「なあなあ、あんた」から始まる伊勢弁の語り口も情緒があって良い。私自身、三重県には少しだけ住んだことがあって、本書に登場する伊勢弁「〜やに」とか「ケッタ」とかなつかしかった。伊勢神宮にはまだ行ったことが無い。“神都“と呼ばれる三重県伊勢市山田。いつか行ってみたくなった。
山田風太郎賞 授賞
Posted by ブクログ
やきもきしながら数日で一息に読んだ。
戦時中なんて遠い昔と思っていたけど、令和まで続くこの事件の顛末を読んでいると、地続きなんだと実感する。そしていかに再審が難しいかということも。
とても面白かったのだけど、最後の大どんでん返しだけはさすがにやりすぎな気がした。そこまでの波乱万丈で十分だったのに。それがないと本当に描きたかったテーマがぶれてしまうのかもしれないけど…。
偶然財布が落ちていたというのもなんだかモヤっとする。
あいまに挿入される語りかけの手法もあまり好きではなかった。
とはいえ、久しぶりに夢中になれた大河小説だった。
どうにか谷口の冤罪を晴らそうと人生を懸ける各章の主人公たちの中では、やはり本郷辰治がいちばん魅力的だった。あと吾妻編で出てきた法医学の先生がかっこよすぎる。
Posted by ブクログ
昭和18年の事件の判決に対し、冤罪を証明する為に弁護士やその家族が奔走する。司法が下した判決を覆す為の努力や弁護士が変わってもバトンを繋いで粘り強く訴えかけ続ける過程に一日でも早く決着が着くように、と願ってしまいました。