【感想・ネタバレ】マナーはいらない 小説の書きかた講座のレビュー

あらすじ

作家・三浦しをんが「小説」を真正面から考えた――。「小説を書くのは自由な行い」。だがしかし、「ここを踏まえると、もっと自由に文章で表現できるようになるかもだぜ!」。長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ贈る小説の書きかた講座。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。

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小説の書き方が丁寧かつ軽やかに書かれたエッセイ。語り口が楽しく、例を挙げて分かりやすく説明してくださるのでとても楽しく読めた。

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2025年07月06日

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文章を書くことに行き詰まった方に最適な本だと思います
三浦しをんさんのエッセイが好きならいつものテンションで書かれているのでお勧めします

物語を読むときはただ楽しんでいましたが、この本を読んでから作家の先生がどのような意図で書いているのか考えながら読むようになりました

文章を書き続けることの大変さも分かりましたが、楽しく末永く続けるコツも分かりました
とにかく先ずは書いてみること、そして楽しんで書くことなんですね

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2025年02月02日

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ネタバレ

「言葉を獲得することによって、深く考えることが可能になり、思考によって感情は育ち、周囲 のひととかかわった体験や書物などから得た知識によって味わった感情を、自分のなかで言語化してじっくり考える。この繰り返しを通して、想像力や感受性は鍛えられていくものなのではないでしょうか。」

ここで読書記録をつけ始める時にぼんやり抱いた動機的なものを見事に言語化してくれていて、そう、こういうこと!ってなった。作家になるため、とか大仰なものでなくても、こういう訓練が人生をより豊かなものにしてくれることを再確認し、ちょっと面倒…ってなっても、頑張って続けよう、と改めておもう。
人称の選択や人物の配置、情報提示のタイミングなど、小説を書く上でのヒントは、翻って、筆者の意図をくみ取る、味わうヒントでもあり、そういう意味で、読書を楽しむための指南書ともいえる。

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2024年09月17日

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三浦しをんさんによる、小説の書き方についての本です。
私は三浦しをんさんの小説が好みで、「この作品がどうやって作られているんだろう?」という動機で読み始めました。
小説家を目指す人にとっても、そうでない人にとっても楽しめるエッセイ形式で、WebマガジンCobalt(コバルト)にて連載されていたものを一冊にまとめて「お口直し」と称した部分を新たに書き下ろしたものだそうです。

注意点として、
『あの家に暮らす四人の女』
『むかしのはなし』
のネタバレがありますので、「ネタバレの前に読みたい!」という方がおられましたら、先にそちらを読まれることをお勧めします。

本書を読み終えて、三浦しをんさんのイメージが私の中でがらりと変わりました。
読む前は文学愛好家かつ大人の女性、というイメージでしたが、バリオタ(本書抜粋)だったんですね。
確かにひとつの物事を極めて一人で作品を仕上げるという職業には大切な資質かもしれないなと思いました。

肝心の内容は、
・人称について
・取材方法
・タイトルについて
・書き進めるコツ
などなど、ためになるような情報が満載な感じがしました。「作家ってこんな風に考えているのか」という読者視点で読んでも楽しいですし、「三浦流の書き方はこうなんだな」と志望者が参考にしても有用な一冊だと思います。
今までに読んだ三浦作品を再読してみたくなりました。

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2022年02月20日

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愛なき世界からどはまりした三浦しをんが、
小説の書き方の本を出してるなんて!と即購入。
自身も最近小説を書いて発表するようになり書き方に悩んでいたので藁にも縋る気持ちで購入。

……三浦しをんって、こんなに面白い人なの!!

自身の作品のネタバレをしながら解説したり、
アイデアの出し方や上達の仕方を面白おかしく書き記したり。特に私は三人称多元視点で話を書くが、いろいろまぜこぜになって意味が分からなくなるときがよくあるので、違いが整理ができてありがたかった。
あとは、どーーーしても嫉妬をしてしまう自分自身への向き合い方。三浦しをんも私の作品の方がおもしろいのにって思うことあるんだ……。
ちょっと安心した。

悩んだときに読み返すバイブルとなった。
とりあえず、ハイロー見ます!!!

あと、他の小説も購入させていただきました。
これから読ませていただきます!

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2021年12月16日

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ネタバレ

小説家になりたいわけでも、趣味で小説を書いているわけでもないのに、つい買ってしまった三浦しをんの本。
でも読んでよかったです。

幼いことから本ばかりは沢山読んできて、中学生くらいまでは褒められましたが、高校生ともなると「作家になるわけでもないのに、本ばっかり読んで…」と言われたものです。
でも、私は本を読む才能はあったかもしれないけれど、本を書く才能は全くない自信があったので、作家になろうなどと思ったことは今に至るまでない。

この本を読んで、そんな考えがどれほど傲慢であったか思い知りました。
才能があるからと言って努力をしないわけじゃないんだ。
というか、多分才能があるからこそ、自己に恃む部分が多くなる分、書くことの苦しみが増すんだなあって。

三浦しをんといえば、いつも締め切りが守れないなどとエッセイに書いてあったり、自由にのびのび書いてあるような作風なので驚いたのだが、ちゃんと構想・構成をしっかり作り上げてから作品を書いているのだ。
手書きのノートの写しを見て、当たり前だが、行き当たりばったりで書いているわけではないのだなあ…と。

だから、「何でもかんでも伏線を重視する昨今の風潮には賛同しかねます」には納得した。
東京03の飯塚さんも言っていたが、「伏線なんてものは後からさかのぼって書き足していけばいいんだから、大したテクニックではない」のだそうだ。
それよりも見てほしい部分は他にある、と。

学生時代にゼミの先生に「ストーリーを追うだけではなく、プロットを見よ」と言われたのがまさにそれで、卒業して数十年、ようやく先生のおっしゃった意味が分かるお年頃になりました。←遅っ

小説家を目指さなくても、小説をよりよく読むために、この本は読んでよかったと思いました。

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2025年10月18日

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小説の書き方を料理のフルコースに見立てて、24皿(項目)ごとに解説してくれている。

24皿のコース料理は多かったし、途中途中でHigh & Low(おそらく執筆当時にハマっていたであろう趣味)に脱線するあたり…三浦さんらしい。
足の爪剥がれたくだり…自分の実話だったか。
(『ゆびさきに魔法』の大将のネタ)

テーマは真面目に、内容は凡人でも共感しやすく書いてくれているので、なるほどなぁ~と思った。また自身の作品をネタバレしながら、構成の仕方を説明してくれていて、頑張って身を削っているぞと思った。

そんなネタバレしていた作品をどう書いているのか、じっくり読んでみたいと思う。

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2025年10月04日

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語り口が腐女子のそれ
「マナーはいらない」とタイトル通り、明確な答えは出さない(というか出せない)タイプ
多少書いている人間にとっては後半の小説への向き合い方は刺さるとと思う

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2025年08月06日

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フルコース、いただきました!目次からお料理風で楽しいです。くどくないところ、押し付け論でないところが好きです。
小説家志望ではないが、ひとつの小説ができあがるまでの準備、取材の段階や心意気、表現方法等について知ることができた。小説以外の文章を書く時にも役立てることができそうな内容だと思う。

〜フレーズ〜
目に映ったものや感じた気持ちを、普段から脳内で言語化する

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2025年07月28日

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枚数感覚の話とマラソンの話が個人的には収穫。
とりあえず短編から書いてみようという気になった。実践の中で試行錯誤するのが大事。

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2025年04月29日

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好きな作家さんがどう書いているのかが分かって楽しかった。まだ読んでいない小説はかなりあるのでこれからも楽しみ。エッセイはほぼ読破してるけどw

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2025年01月05日

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大好きな三浦しをんさんの手ほどき本。

構想→登場人物や舞台の設定。どういう雰囲気の作品にしたいか。家の間取りとかも必要。
構成→どのエピソードをどのあたりに持ってきて,どういうストーリー展開(起承転結)にしたいか。

完成に漕ぎつけること。持久力の鍛錬を目標に構想と構成を練る。コースの地図と水笑
長い文章に書き慣れていないうちは、構成も構想もじっくり考え、それなりに練って始めるのが安心。
国語は鼻ほじってても満点だった人が多い。
言葉でしか表現できないから、説明でない表現をする。
性に合うとは「習慣になりやすい」こと。
慣れることと並行して、「認証や文章(文体)をどうするか」「どんな構成にするか」「どういう登場人物にしてどう配置するか」などのスキルを磨いていくことも大事。つまり書きたいなと思ってる小説についてとことん考える。
闇雲かつがむしゃらに書き始めるのではなく、自分の中で曖昧に埋めているものをどうしたら小説と言う文章表現として実体化させられるか工夫し、戦略を練ってから取り掛かる思考と実践を繰り返す習慣をつけると「枚数に応じたベストの物語」が思い浮かびやすくなる。
原稿用紙(20字×20字=400字)短編50枚、あるいは長編500枚で何を書きたいのかということが1番の根幹になっている。
短編は序破急を意識。キレと余韻。
長編は構成力と、コツコツ。

自分で何度も読み返して、独りよがりでないか、伝わるか?描写が説明になってないか?など推敲する。

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2024年11月17日

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突然HiGH&LOWの二次創作みたいなの始まって爆笑した。HiGH&LOW最高なんだよなぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!
オタクっぽい言い回しやツッコミが良い意味でクセが強くて、気軽に楽しみながら読めた。真面目な部分はきちんと丁寧に自作を用いて説明してくださるので勉強にもなった。HiGH&LOW大好きだけどHiGH&LOWの良さを上手く言語化できなかったので、先生が語るHiGH&LOWの魅力を読み、ああー!なるほど!こういうことだったのか!HiGH&LOWの謎の熱さは!!と勝手に納得。HiGH&LOWのファンブックの評価みたいになってしまった。

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2024年01月25日

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三浦しをんさんの小説の書き方エッセイ。しをんさんの小説が好きなので、裏話が読めて楽しかったです。あと、ところどころ話が脱線し、『推し』の話になるところがツボです。気がつくと『推し』の話ばっかりしてる人が好きなので。
最後に、小説を書いてると一人で仕事をしてる気持ちになるけども、実際はそうではなく、相手(読者や編集者)がいるので、コミュニケーションは大事にしないといけない、とありました。何をするにも、コミュニケーションは大事!身に染みました。

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2023年04月21日

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書きたいものを自由に作る三浦しをんさん(勝手にそう思っている)、よくこの連載執筆を引き受けたなあ。24皿も!

1皿目に「念入りに推敲するのも、非常に大事です。」真面目な語り口は、しをんさんが真面目に書く本なのかと。

2皿目文頭に「小説なんて書いてられっか!」とすでに皮が剥がれている。

7皿目『一行アキについて』と、もちろん真面目にアドバイスされつつ。

9.10皿目『HIGH &LOW』を熱く語り脱線はさみ。

17皿目副題-中ニの魂が叫びたがってるんだ風。

あとがき「やはり二十四皿は過剰接待(?)だったかすみません」って。

楽しいなあ。

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2023年04月15日

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普段は読み手役ばかりの小説について、書き手側のネタバラシをしてもらった気分で読みました。成程と感心させられる部分も多かったし、勉強にもなった。ただ何故か全体を通して有川ひろさんのエッセイと雰囲気がよく似ている気がして混乱し続けた……なんでだ。(なんなら途中までこの本の作者は有川さんだと勘違いしてた)

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2023年03月19日

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ネタバレ

面白かった。
小説技巧を学ぶというよりかは、書く際の精神を学ぶ感じか。
繰り返されるハイなんちゃら、三代目 J Soul なんちゃら語りには辟易させらえたが、それを超えるタメになった感はあった。

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2022年11月17日

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三浦しをんさんによる小説の書き方エッセイ。

私自身昔から本を読むのが好きなのでいつか自分でも小説を書いてみたいな〜と思っていて、人気作家さんがどんな風に作品を書かれているのか興味があって読んでみました。

もっと堅い感じの内容なのかなと思っていたのですが、読んでみると全体的にフランクで砕けた語り口で、とても読みやすかったです。
小説を書く際の基本的なテクニックから心構えまで、ご自身の作品などからも例を挙げつつ、とてもわかりやすく、楽しく教えてくださっている1冊でした。

この作品を通して、小説を書くことについてより強く興味を持つことができ、また、自分が普段読んでいる小説がこんな風に書かれているんだな〜というのもわかって面白かったです。

小説を読むのが好きな方、書くことに興味がある方にとてもおすすめの1冊です(^^)

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2022年09月11日

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三浦しをんさんの人柄にすっかりファンになってしまった!教科書というより読み物として非常に面白い。
小説書いてみたいけどどうしたらいいかわからない…と言う方にとてもおすすめ。

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2022年06月28日

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とても軽い語り口で書き方講座という観点を置いておいて、エッセイを読んでいるような気分でも楽しめた。説明も納得のいく話が多く、なんだか自分も書いてみようかなと思ってしまう。
読み手に伝える工夫と、あとは情熱というのが主か。

紙質が少し変わっていて、つるつるした感じで質が良さそうだった。

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2022年04月27日

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堅苦しい小説の書き方本というよりもエッセイ寄りで読みやすかった。
小説を書くにあたってどのようなことが考えられているのかが学べて、小説を書かない人も楽しめる1冊。
時に厳しい指摘もありつつ、一貫して「あなたらしう、楽しんで書く」というメッセージが伝わり、三浦しをん先生の小説への愛情が感じられた。

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2022年01月13日

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三浦しをんさんによる、小説の書き方フルコース。さまざまなコースメニューをいただきながら、小説を書く上で知っておいた方がよいコツや心構えなどを学べる。
でも、好きに書けばいいから、ほんとに!という著者の思いがタイトルに詰まっていて、優しさに溢れた一冊。
楽しく読めたし、書いてみたくもなった。

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2022年01月09日

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小説の書き方講座という副題がついているが、堅苦しいものではなく、エッセイとしても楽しめる。

小説を書きたい人、書いている人、三浦しをんファンの方(作品の創作秘話=ネタバレあり)はもちろん、作家が何を考えながら書いているのか知りたいという読書家の方にもお薦め。

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2021年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 身も蓋もないことを申せば、小説を書く際に要求されるのは「センス」です。でもそんなことを言ったら話が終わっちゃうし、「私にはセンスなんてない……」としょんぼりしてしまうかたもおられるでしょう。
 早計だ! センスを才能(もっと言えば「天賦の才」)のことだと考えるのは、早計だ!
 よろしいですか、みなさん!(自分で勝手に話題を振っておきながら、勝手に詰問口調になる)「あの人、ファションセンスあるねー」と言うじゃないですか。でもそのセンスって、生まれ持ったものでしょうか?
 否! 服を着て生まれてくる赤子など一人もおらん! ファッションセンスがいいひとは、たぶん雑誌を眺めたり、直接お店に足を運んでいろんな服を見たり、失敗を重ねつつも果敢に服の組み合わせを試みたりしながら、自分に似合う装いを見いだしていったのだと思うのです。
 つまり、センスっちゅうのは天賦の才などではない。向き不向きはちょっとはあるかもしれないし、天才もごく一握りはいますけど、センスの内実は、「後天的に獲得するもの」なのです。
 小説を書くのも同じです。試行錯誤して後天的に身につけたセンスで書くのです。天賦の才で書くのだ、と勘違いして、努力も研究も読者への心くばりもせず、ボーッとしてる(ように思える)やつを見ると、あたしは胸ぐらをつかんでがくがく揺さぶり、「目ぇ覚ませ!」と言いたくなる。貴様は、鼻くそほじりながらパソコンに向かってれば、いつか傑作が書けるはず、なぜなら才能があるから、とか思ってんのか? 才能なんかだれにもねえよ! あるのは、たゆまずセンスを磨きつづけようとする意志だけだよ!

「この小説好きだなあ」「これが小説ってもんなのか、すごいなあ」と思えるような理想像と、読書を通して出会っているからこそ、「自分の書いたものには、なにがたりないのか」「どうしたら、斬新だったりおもしろかったりする小説を、自分なりに工夫して書けるのか」を、判断し実践していくことができるのです。
 あせることはないので、「好きだな」「楽しいな」と感じる小説を、思うぞんぶん味わってください(小説にかぎらず、創作物全般で、ご自分の性に合うものでいいのです)。ときに、「どうして私はこれが好きなんだろう」「この小説の楽しさは、どこから醸しだされているものなんだろう」と、分析してみることも大切です。「分析」といっても、むずかしくとらえる必要はありません。「考えてみる」「言語化してみる」というぐらいの意味です。
 創作物を味わい、考える、ということを繰り返していると、だんだん自分の好きなものや書きたいもの、自作に欠けていることなどが見えてくると思います。

 基本的には、小説を書くうえで人生経験はさほど重要ではないと考えます。だってさぁ、「人殺しの小説を書くためには、人を殺した経験がなければならぬ」って理屈は、どう考えてもおかしいだろ。殺人を犯したことがなくても、人殺しの小説は書けます。なぜなら我々には、想像力が備わっているから!
 では、想像力の源泉とはなんなのか考えてみると、他者への思いやり(共感力)と、なりきり力と、知識だと私は思います。そして、それらを統御し蓄積するための言語能力です。

 好きな小説から影響を受けるのは当然で、影響を受けて「真似っこになっちゃったかな」と思っても、あなたの脳が生み出したものなのだから、それはあなただけの文章になってます。自信を持ってください。
 でも「真似かも」って気にしちゃう気持ちもわからなくはないです。なぜなら小説は、言語だけで表現するものだから。
 言語は、あなたや私が生み出したわけではないですよね。つまり、「オリジナル」ではなく、すでにあるものを使って表現しているということになる。それで不安になるのだと思います。
 たとえば「漫画を描く」という行為は、より身体性が直に画面に出ます。それぞれの漫画家さんの筋力とか目のよさとかが、各人固有の「線」になって表れる。ほんの一コマ、いや、人物の体の一部を見ただけでも、「あ、これは◯◯さんの漫画だな」ってわかることはしばしばありますものね(ありますよね? 私が漫画オタクだからってだけじゃないですよね?)。
 とはいえ、「この人は〇〇先生の漫画が大好きで、影響を受けたんだろうな」と推測されることはあるし、コマ割りなどの漫画文法から完全に解き放たれたら、それはもはや漫画ではなくなってしまう。漫画も、すべてがまったくの「オリジナル」ってわけではないのです。あらゆる創作物は、先人たちが築きあげてきたもののうえに成り立っているためです。

『風強』(と略す)は、構想と構成がほぼ同時に頭に浮かび、それをもとに取材を進めつつ、少しずつ書いていきました(これまた連載ではなく書き下ろしだったので、時間は充分に取れました)。
 まず、「弱小チームががんばって、箱根駅伝出場を成し遂げる」という構想が浮かんだ。『がんばれ!ベアーズ』や『シン・ゴジラ』も、要約すれば同じタイプの話なので、まあ物語の常道ですよね。お話を思いついたとき、「ありがちかな」って悩みすぎなくてもいいということだと思います。「ありがち」な話が、なぜ「ありがち」なのかといえば、多くの人の胸を打つ「なにか」がそこにあるからです。

 個人の感情面を掘り下げてみるのは大事で、まあぶっちゃければ、自分自身のなかにひそむルサンチマンとか怒りとか、あるいは喜びとか感動とか「こうなるといいな」という希望とか、そういった気持ちのなかに、物語のタネ、小説を書かずにはいられない原動力のようなものが眠っています。その意味では、感情型も悪いことばかりではなさそうです。ま、身近にいるひとにとってはまじで迷惑だろうから、ぷんぷんはなるべく控えたいですが。
 もちろん感情面を取っかかりに発想するのが苦手なかたもおられるでしょう。その場合、やはり「考える」ことが大事だと思います。自分いついて、友だちや家族などの身近なひとについて、街でふと見かけた光景について、社会について、この世のありとあらゆることについて、気にするなることがあったらいろいろと思いめぐらし、調べ、考えつづけるのです。そこからきっと、「ああ、私はこういうことを書きたいんだな」という物語のタネが芽生えていくでしょう。

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2024年07月21日

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ネタバレ

16
小説執筆にまつわる全ての作業は、作品にこめた思いを、読者に的確に届けるためにあるのです。

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小説とは、言葉を使ったコミュニケーション

214
ありがちな話=多くの人の胸を打つ「なにか」がそこにある

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2024年12月05日

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ネタバレ

三浦さんの小説の書き方講座。
中級者向けなのかしら?結局考えて書く、ちゃんと設定を練る、みたいなことが書かれてた気がする。

著書のあらすじとかそうした理由とかも載っけてくれてるので、三浦しをんファン的には結構よかった。

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

「ハイロー」の話が一つの章の大部分を占めているとか面白すぎる。私が今まで読んできた小説もこんな工夫がなされていたのかーと思った。

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2022年11月05日

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ネタバレ

三浦しをんさんの文章は幅が広い。 エッセイの時は自虐すぎて面白いし、小説の時は恋もシリアスも、全部が面白い。内容によって別の人が書いたのかと思うくらい。 そのしをんさんの小説の書き方。 作家を目指す人にはとてもためになる、本当に基本から小説に取り組むことができる 1冊なっていると思う。 基本を抑えてこそのおもしろが活きるのだと思う。

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2022年10月09日

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内容(小説の書き方)には全く興味がないけれど、しをんさんが好きなだけで読めました。
創作するって凄いなぁ。

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2021年12月08日

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WebマガジンCobaltの連載「小説を書くためのプチアドバイス」を単行本化。

エッセイかと思って読み始めたけど、コバルト新人賞に応募する人向けに連載されていたものなので小説の書き方寄りです。
EXILE熱で話が脱線しつつ、新人賞だから若い人向けの?ライトな文体の読み物。
「深夜に書いたラブレターを教室でまわし読みされる」とか比喩表現が面白い

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2021年12月01日

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