小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ数多くの著名人が面白いと口にするエッセイで以前より気になっていた。最近に上白石萌音ちゃんお勧め書籍の一冊との紹介動画が決定打となり購入。
「読んでいると笑ってしまうので人がいる場所では読めない」というお勧めのされ方だったため、かなり笑いへのハードルが高くなってしまっていた。読み始めた頃は「あれ?私には面白いの感覚が異なる作品だったかも…」と少し沈む気持ちもありながらも、読み進めていく内にさくらももこさんの物の捉え方や表現の仕方にジワリジワリとハマっていき、メルヘン翁のエピソード当たりからはすっかりさくらももこワールドにハマっていた。ゲラゲラ笑うほどではないけども、喫茶店での読書中に一人で破顔してしまう威力を持つ作品だった。
エッセイそのものだけでなく、あとがきにも著者の想いや考え方をさらに深めたり拡げられていて、あとがきも楽しく読めた。
笑えるだけでなく、感情移入をして目が潤むエピソードも盛り込まれていた。結婚式を挙げる夫婦が減り、また私の年齢が上がるとともに結婚式に出席する機会も無くなったこともあり、著者の結婚式での父の心情に感情移入にしてしまい、想像するだけでジーンとした。
面白いエピソードの中にも、世には決して円満な家族だけでないことを著者自身の経験からも綴ってくれていて、家族だから当たり前のように愛し愛される関係でないこともある。そのことをありままに書いてくれていることにも救われる作品だった。 -
Posted by ブクログ
湊かなえの『花の鎖』は、私の初めて読む湊作品だった。緻密に練り上げられた構成に、ただただ驚愕した。
タイトルが示す通り、人間関係が「鎖」のように絡み合う本作は、三人の主人公の物語が同時進行で進んでいく。
それぞれのストーリーに、「アカシア商店街」「梅香堂」「山本生花店」「雨降り渓谷」「香西路夫」といった共通のキーワードが散りばめられており、最初は「時間軸に沿って物語が進み、やがてストーリーが交差するのだろう」と予想していた。
しかし読み進めるうちに、その絡みつきは並列的ではなく、垂直的だと気づかされる。ヒントは随所に配置され、読者はそれらを拾い集めながら、真の構造を解き明かしていくことになる。
この本の最大の魅力は、まさにその「気づき」にある。まるでクロスワードパズルのように、散りばめられた手がかりを頼りに「花の鎖」を辿る感覚。それは読書というより、探偵になったような知的興奮だった。
きっとこの作品は、二度読むべき本だ。全貌を知った上で改めて読めば、また違った発見と深みのある面白さを感じさせてくれるに違いない。 -
Posted by ブクログ
虐待とか育児放棄の物語で、正直めちゃくちゃ辛かったです。あまりに酷くて、何度も目を背けたくなりました。それなのに、ページをめくる手がどうしても止まらなくて、一気に読んでしまいました。
世界で一番孤独だと言われる「52ヘルツのクジラ」。誰にも届かない声で鳴き続けるその姿は、キナコやムシが抱える孤独そのもの。届かない「助けて」という声、そしてそれに耳を澄まして「聴く」声。真っ暗な絶望のなかにいる彼らも、アンさんや美晴といった大切な人たちと出会うことで、凍りついた心が少しずつ溶けていきます。
支えている側も、実は相手に支えられているんだな。誰かを助けたい、守りたいっていう必死な気持ちが結果的に自分自身を強くして、自立させていく。人間って一人じゃ生きられないし、お互いを必要とし合っている姿に、ぎゅっと胸を掴まれました。人との出会いによって、何度でも変われるし、強くなれる。
読み終わったあと、広大な海を泳ぐ美しいクジラの姿が思い浮かびます。それは寂しい姿じゃなくて、これからはじまる希望の姿にみえました。痛みの先に優しい光を感じられるような、余韻が残る美しい名作です。 -
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ネタバレ今年読んだなかで1番よかったかも。川上未映子さんのリボン通信の中で津島裕子の名前が出てきて、興味が湧いたので買ってみた。大正解だった。
文体が自然でなんだか懐かしいような気がした。現代では見なくなった失われたような綺麗な文章に惚れ惚れする。本の裏のあらすじを見たら結構ドロドロした物語なのかなと思ったけど、生々しさというか胃もたれするような重さはなく、もうちょっとしっかりしろよと言いたくなるような、まあでも人間こんなもんかもなという人間らしさを主人公に感じた。光の領分というタイトルのとおり、光や夢が多用されていて幻想的というか味わい深い小説だった。うまく感想言えないけどよかった、他の作品も読みたいなと思った。 -
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いきなりだけど以下引用。
「まあ、これが遺作だな。死後公開だ」
学芸会の劇ではいつも主役で、12球団全部のマークを自分で手描きした野球帽をかぶり、蓄音機でDJをやっていた少年時代。
高2の夏の一目惚れから始まった一生の恋。岩手から上京し、細野晴臣の家に集い作曲を学んだ「はっぴいえんど」前夜。
バンド解散後に手がけたCMソングがテレビで流れたときの喜び。
ナイアガラ・レーベルを創設し、アメリカン・ポップスが大好きだった少年時代に原点回帰した「ロンバケ」の大ヒット。
壁一面ビデオ・デッキで埋め尽くされた伝説の部屋。
インターネットが一般的になる前からのめりこんでいたパソコン通信。
放送直前に完成した完璧なドラマ主題歌――
1991年8月、「死後公開」を約束に、親交のあった著者が聞き手となって
福生の仕事場に三日三晩泊まり込みで行われたロングインタビュー。
カセット・テープに録音されて30年以上封印されていた「軽妙洒脱な語り」をそのまま活かし、
深い愛情を込めて綴った、POPの頂点を極めた大滝詠一の知られざる素顔。
教師をしながら一人親で息子を育て、欲しがる雑誌は全て定期購読し、ラジオを与えて「大滝詠一」の礎を築いた母。
新婚時代、ラジオ局が激安で放出した大量の中古レコードを「全部買えば」と鼓舞した妻……
ふたりの女性の格好良さにも痺れ、朝ドラのような展開に心が熱くなるノンフィクション!
ぼくはこの3日間を記録した膨大なカセット・テープの山を棚の奥にしまい込み、内容をどこにも公開せずにおいた。
でも、大滝さんが突然逝去された2013年からもすでに10年以上。そろそろかな、と。
大滝さんの言葉をもう一度、まあ、超膨大な情報量のうちのほんの一部ではあるのだけれど、
世紀を超えた今の空気の中に解き放ってみようと思う。
(「第2章」より)
大滝さんは誰かを聞き手に立て、自分の考えを“証言”として残すことを好んだ。
そうした意味で本書は、ぼくを聞き手に大滝さんが綴った記録帳のようなものなのかもしれない。
(「あとがき」より)
引用終わり。
下手な要約よりこれがこの本をきちんとあらわしている。
大瀧詠一の生涯を自らが語っているのだ。
オタクで超マニアックで母親にたかってばかりで運命の出会いをした愛妻もほったらかしで、、
この本を読んで一番の発見は、
あの超大作、アロングバケーション、あれが売れなければ大瀧詠一の音楽活動は終わってた、ってとこ。
はっぴぃえんどが終わった後、三ツ矢サイダーやアサヒビールのCMソングで生活してたけど、
音楽家としては世間をにぎわすことのできなかった大瀧詠一。最後の勝負だった。
それがあんな素晴らしい作品になり、、、
全く古びないからなあ。あのアルバムは。大学生の時、車に乗るたびカセットを流してた。
なんか伊豆に向かう絵が思い出されるよ。
はっぴぃえんども3年ほどで発展的解消?したというのも興味深い。すごいメンバーだからねえ。
これを読んだ日、車に乗ってたので、さっそく大滝さんの音楽を聴きました。アップルミュージックで
第1章 Happy Endで始めよう:1997
第2章 槍が降ろうがブタ降ろうが:1948‐1960
第3章 カラーに口紅 KOパンチ 1960‐1963
第4章 アゲハー!アゲハー!:1963‐1966 Part1
第5章 ポケットが虹でいっぱい:1963‐1966 Part2
第6章 おっ、ゲット・トゥゲザー:1967‐1968
第7章 1969年のドラッグレース:1968‐1969
第8章 あのー、バンド名変えたんですけど:1969‐1970
第9章 口ギター、口ベース、口ドラム:1970‐1971
第10章 みなさん、そろそろ出番です:1971‐1972
第11章 あなたがジンとくるときは:1973‐1974
第12章 趣味趣味ミュージック、聞け:1975‐1978
第13章 昨日じゃなくて 明日じゃなくて:1981‐2001
第14章 滝の流れは絶えずして:1993‐2013