小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ページを進めるほどりりちゃんはつかみどころがなくなっていく。そんな感じがする。
りりちゃんはめちゃくちゃ優秀な子だと思う。マニュアルは接客や営業の勘所をおさえていて詐欺ではなくビジネスに適用しても上手くいっただろうし、人の感情の機微を捉える天性の上手さもある。冒頭、不覚にも彼女を魅力的な人物と捉えてしまう。ただ読み進めていく中で、罪の意識の薄さや被害者への罪悪感のなさが明らかになるにつれ、彼女のことがよく分からなくなる。りりちゃんを演じているようでもあり、脊髄反射的なコミュニケーションをしているだけのようでもある。
詐欺は悪いことだし、事件自体は孤独や疎外感を持った人たちの不運な出会いによ -
購入済み
面白い
幸か不幸か小職に伴侶はいませんが、
こりゃあ面白いですね。
夕方から酒でも飲みながらのどやかに読んでますが、笑いが止まらねえ。
ドフトエフスキーさんの引用とかもあって、積読してるから読むかねとか思いました。
ゆるゆる楽しみたいと思います。
お好みで。 -
Posted by ブクログ
“静かな革命”みたいな言葉が似合う小説だなと思った。主人公の少年は自分の大切なものと平穏を守るために、残酷な現実と向き合い、時には対峙し、時には逃げ出す。その現実の残酷さにすら気がついていない時もあり、意味がわからないまま大人の世界に翻弄されてしまうけれど、実際生きていてもそんなことは起こりうる。少年の優しさと信念は、自分を変化させながら、時には変化しないことを目標にしながら、ゆるやかに人生を包み込んでいく。小川洋子さん初読みだけど、すっごいわ。
とにかく序盤から話がどう転がっていくか全く予想できない。先に背表紙を見ていたからチェスの話と知っていて読んだけれど、少年とチェスとの出会いの前にも -
Posted by ブクログ
「両思い確定だけど、まだ恋人になってないワクワクキラキラキュンキュン状態」が女子の友情の特定の期間にはあると思うのですよ。自転車の2ケツシーンが正にそれで、エモすぎてこれ以上読み進めるのが勿体無い!と一旦本を閉じてエモさを噛み締めました。
が、その後の展開が辛すぎて…。。あぁ、そうだった、私たちはそんなに一筋縄ではいかないのよね。わかるーーーー!!
全体的にデフォルメ感があるので、「いや、そんなんありえんやろ」な展開に現実に引き戻される事もありつつも(まおちゃんの指令とかね)、結局は家庭環境に端を発していることなどは頷きすぎて首がもげそうでした。
子育てが若干落ち着いて、ようやく女子の友情 -
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
もはや、特殊設定✖️本格ミステリといえば、今村先生を思い浮かべるほど。
今回も他のミステリでは見たことのないような特殊なクローズドサークルが構成されており、館を徘徊する巨人(見つかると殺される)とともに閉じ込められた人達の間で起こる殺人事件がテーマとなっている。
特に印象的だったのは、本シリーズの名探偵役である剣崎が、好きで名探偵をやっているのではなく、そのような状況下で自分が生き残るために最善の方法を取ることに一貫している点であった。
シリーズ1作目、2作目は犯人を探し出すことが、ある意味生き残るために必要であったことに対し、本作では違ったアプローチを見せている。
本 -
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。
マチ先生の考え方が本当に好き。
ゴッドハンドでありながら、医療の力の及ばないことがあることをわかっているところ。
治すことだけが全てではない。死と向き合う人に対しても、医師としてしっかりとケアするところ。
相手の地位、立場によって態度を変えないところ。
好きなところを挙げるときりがない位。
こんな医師に診てもらいたいというのはもちろんだけど、命について語り合いたいと思える人。
エピクロスのいう幸福は、死の恐怖から解放され、質素な生活を通じて感じられるものらしい。
過去や未来に幸福を探すのではなく、「今」の幸福を感じ取れるように…と改めて思った。 -
Posted by ブクログ
妙に刺さって一気読みしてしまった。
読み始めて共感性羞恥の一種なのか、ヴーーーと唸り声をあげそうになった。若い頃ならそのまま本を閉じていたかもしれない…
でも歳をとると言うのは悪いことではないようで、自分は今はもうその痛さの先に居て昔より格段に生きやすくなったな、なんて素直に喜びながら読んだりしていたのだけど。
半分過ぎたあたりから少し様変わりしてきて真顔になっちゃったよね…
自分らしく生きるって結局なんなんだろ。
理想を演じていれば真実になると信じて知らない間にガチガチに固めちゃってた鎧を少しずつ脱いでいくのは途方もなくて勇気のいる作業だけど、柔らかい部分を剥き出しのままでいられるような