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Posted by ブクログ
素敵な話。
始まりは重たく、暗く、どこまでこの調子?とも思ったが、新しい藤堂看護師長が来てから全てがつながり、面白くなってくる。
看護師という仮面を被りプロの態度で看護し、患者を救い、院長に楯突いてやめさせらせられるものの、全ての看護師が意識を変えるきっかけになる。
弥生は、「自分で自分を育てたのね」
「上手に自分を育てたわね」と言われるが、まだうなづかない。
親に捨てられ、3月に拾われたから弥生。
養護施設で育ち、生きるために手に職をつけて、准看護師。
神田さんは新しい彼に子どもを虐待され、その声を心配していた、ラッキーの飼い主、菊池さん。
青森から働きに出て苦労もされながら、弥生がいるから手術も受けられた、と感謝される。
人は1人では生きられない。強く感じる感動の一冊だった。
Posted by ブクログ
『施設のものはみんなのものだった。
そんなこと知っていた。一度だけ、ほんとの気持を言ってみただけだった。
その一度きりで、自分がいい子じゃなければ、受け入れてもらえないことを知った。
だからこわかった。』
「名づけは親の最初の暴力みたいなものだし。 - つけられた名前で生きていかなきゃいけないんだから。」
「心臓のことはいつもほめてたわ。よく何十年も休まずに動いてるよねー、えらいねーって。彼女の話をきいていると、なんだか、自分の臓器が動いて、自分が生きているだけで、自分がえらいような気がしたものよ。」
「人生の総決算よね、入院と葬式は。 - そよひとが今までやってきたことがみーんな出る。」
『それまでのわたしは、一日三回、三百六十五日、毎日だれかにごはんを作ってもらって食べていた。そんなこと、それまではあたりまえすぎて、なんとも思っていなかったけれど、実はすごいことだった。』
「看護師は患者のためにいます。それだけは、みなさん、忘れないで。迷ったら、患者のためになるかどうか、それだけを考えて。そうすれば、答えは出ます。」
「大丈夫よ。正しい答えを探す必要はありません。答えはどこかに転がっていたりはしません。答えはいつも、あなたがたの中にあります。」
『もう、わたしにはわかっていた。
今、立っているのが自分の場所。それは、たとえどんな場所でも、こんなところまで来てしまったと嘆く場所じゃない。』
Posted by ブクログ
こんなにも人の心の傷をやさしく描けるのは、中脇さんならでは。
いわゆる”一般的”な子供時代を経ていない子供は、自己を確立し自分を保つためだけでも、極限に伸ばされた太く平べったいゴムを常に腰に巻きつけられ後ろから引っ張られているような状態のまま前に進んでいくという日常生活を送らなければならない。
そのつらさは他人には見せないし、見られたくないものである。大人になったって、一番ありのままの自分を受け入れてほしい、受け入れられなきゃならない時代に受け入れてもらえなかった寂しい思いを隠して生きている。大人になってから人にありのままの自分を受け入れてほしいと求めるのはエゴだということもわかっているからこそ、そんな子供時代に思いを馳せる。
「あなたは、自分で自分を育てたのね」
「あなたは、上手に自分を育てたわね」
という藤堂師長の言葉。
病院が舞台であるため人の死が随所に描かれており、都度感情移入しがちになってはいたが、この言葉を読んだとき、公共の場で読んでいたにも関わらずドッと涙があふれ出た。
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