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夕方五時までは家に帰らせてもらえないこども。 娘に手を上げてしまう母親。 求めていた、たったひとつのもの――。 怖かったのも、触れたかったのも、おかあさんの手だった。
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Posted by ブクログ
親からの虐待やネグレクト被害にあっている子どもがいて、その状況やそれが起きる背景について描かれている。苦しい内容。赤の他人が出来ることって何だろうか。児童相談所に通報してあとはお任せするとか短絡的なことでもなくて、ここに登場する大人たちのそっと見守る目が絶望の中のひとすじの希望に感じる。それがいいと...続きを読むか悪いとかって事でもなくて。 名も無きどこかの誰かによって見守られている。ひとりぼっちにしない。今苦しんでいる子の周りにもそんな優しい世界があるといいなと祈らずにはいられない。一方で、現実はもっと残酷なはずとも思う。これは祈りの物語なのかもしれない。 静かに深い良い文章だった。
ただ「泣ける」、それだけの本なら山ほどある。だが魂の内側に入り込んでそこの奥深くにある傷にそっと寄り添うような作品がいくつあるだろうか。 「子供」と「大人」に焦点を当てたこの連作短編集は大人だって子供だし、子供だって実は大人の目線を持っている、という事を我々に突きつけてくる。 虐待に教師の悩み、幼少...続きを読む期とは死ぬまで永遠に続く檻のようなものだ。本書を読んでもしかしたら自分自身もそうだという事に気付かされる方もいるかもしれない。 この本はそれほどよく出来ている。 収められた短編は粒揃いだが、その一つ一つがわずかな繋がりを見せてくる時、読者は初めて「全ては繋がっている」という世界に辿り着く。いい本だ。何度でも言いたい。
面白かったよ、自分の親がいかにまともだったかを思い知らされたし単にそれってラッキーなだけだったのかも。愛されて育った子はいい子に育つんだよなあ多分、愛されずに育った子供は絶望だろうなあ、かわいそうだよなあ。本当にクソな親に当たると性格や人生変わっちゃうよなあ。あるただ愛されたいだけなんよなあ。
うん、 子どもは家族にだけに育てられる訳じゃない。 身近な大人の関わりが大切。 そして、そんな大人に出会えるか、なんだよね。
子育て中の今、心に深く浸透してきた もしこの先子どもに手をあげたくなることがあるとしても、今子どもを心の底から可愛いと思っている事実を忘れないようにしようと思わされた
短編集なんだけどどれも心にズシッとくる。 それは私も継母に虐待に近いことをされていたからか。 とくに今でいう虐待の連鎖とワンオペ育児の 「べっぴんさん」 かつて虐待された母親が認知症になり 過去の記憶と向き合う「うばすてやま」 作者もそんな経験があるのか?と思うぐらい 描写がうまくて、そして自分の経...続きを読む験とシンクロして 心が苦しくなった。 でも昔を乗り越えた今、つかんだ幸せがある。 小さかった自分を抱きしめてあげたいと思った。
【サンタさんの来ない家】 『一枚のTシャツだって、一本の鉛筆だって、この子のためにだれかが用意してくれた。そのひとたちの思いが、この子たちひとりひとりにつまっている。 そのだれかは、昨日はこの子たちにごはんを食べさせ、風呂に入れ、ふとんで寝かせ、今朝は朝ごはんを食べさせ、髪をくくったりなでつけたりし...続きを読むて、ランドセルをしょわせ、学校に送り出してくれたのだ。 そんなあたりまえのことに、ぼくはやっと気づいた。』 『たしかに、こどもは親をえらべない。住むところも、通う学校もえらべない。偶然によせあつめられて、ここにいる。ここで、揚げパンを食べている。 だからこそ。 みんな、こどもなりに、ここで、ふんばっているんだ。 ぼくは揚げパンをかじりながら、泣きそうになるのを、必死でこらえていた。』 【べっぴんさん】 『あたしもそうだった。 たたかれるようなわるいことは、なんにもしていないのに。 今になってわかる。 そのときはあたしも、あたしは世界で一番わるい子だと思っていた。』 『冬はいい。寒いから着込んで、肌の露出が少なくなる。たたいた跡も、けった跡も、おして家具にぶつけた跡も、積み木を投げつけた跡も、みんなあたたかい服がかくしてくれる。着せれば着せるほど、いいママになれる。』 『なんであんなことしたのよ。なんであたしを怒らせたのよ。なんであんなことして、あたしにたたかせたのよ。あたしは、いいママでいたかったのに。たたかせたのは、あんた。みんなあんたのせいなんだから。』 『あたしもそうだった。なにもかもがくりかえされる。 はじめからなにもしなければ、きっと、こんな気持にならなくてすむのに。 こどもを、生なければよかったのに。 そう。ママは、生まれなければよかったのに。 あたしなんか。』 『わらっている。でもその笑顔をいつ貼りつけたのか、あたしにはわかっていた。あたしもついさっき、扉の前で貼りつけたばかりだったから。』 『「たばこでしょ。おんなじ。」 はなちゃんママは、知っていた。そのときの痛みを。消えない親の怒りの跡を。自分の体に刻まれたそのしるしを見るたびに、自分は、親に嫌われている、世界で一番わるい子だと思い知る。いくつになっても消えない、世界で一番わるい子のしるし。』 【うそつき】 『ぼくは知っている。 たとえ別れても、二度と会わなくても、一緒にいた場所がなくなってしまったとしても、幸せなひとときがあった記憶が、それからの一生を支えてくれる。どんなに不幸なことがあったとしても、その記憶が自分を救ってくれる。 雨に振りこめられた家の中。 このひとときの記憶が、いつか、優介とだいちゃんを救ってくれますように。 ぼくは祈った。』 【こんにちは、さようなら】 「ね、ひろや。しあわせってなんだっけ。しあわせは?」 「しあわせは、晩ごはんを食べておふろに入ってふとんに入っておかあさんにおやすみを言ってもらうときの気持です。」 『たしかに、それほど仕合わせなことがあるだろうか。 たたかれたって、おとうさんに捨てられたって、おかあさんに殺されそうになったって、この子は仕合わせの意味をよくわかっている。』
子ども虐待の話。 最初の2つ目くらいまでの話は 読んでいても辛くて辛くて・・・ 救いようのない話に、いったい作者は何が言いたいのかと。。。 しかし、読み進めるうち 物語の先に、かすかなかすかな希望の灯が見えて来るのです。 たとえ親が愛してくれなくても その子の手をそっと握ってくれる人がいれば・・・...続きを読む 自分は悪い子だと思い込んでいる子に 『きみはいい子なんだよ』と笑顔でささやいてくれる人がいれば・・・ きっとその子は生きていける。 だからこそ大人は もっと周りの子どもたちに目と心を注いであげなくてはいけないんだと改めて思いました。 第28回坪田譲治文学賞受賞作品。 いい本です。
読み進めるのが辛くなるような、虐待を題材にした短編集。 どの話にも、最後には救いと希望があるのがフィクションのいいところである。 虐待する母親の心理などなかなかないので辛くなった。 なぜそんなことで殴るのか?なぜその子のことを尊重できないのか? でも、自分の中にも同じような気持ちは蠢く。放出するきっ...続きを読むかけがあるかないか、本当は些細な差なのだ。 きみはいい子だ。みんなに言ってあげたい。きみはいい子。大人になったとき、認められた記憶が残るように。 幸せな気持ちが残るように。
私は心の専門家として虐待を受けたお母さんを癒し子育てを楽しんでもらえるように、自分を肯定できるように支えていきたい。虐待連鎖防ぐのが今の私に出来ること。 虐待連鎖の話辛すぎます。
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きみはいい子
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中脇初枝
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