小説・文芸の高評価レビュー
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下巻をカフェで読み終えたんですが、危なく泣きそうになりました。
荒筋はだいたい皆様ご存知のとおりだと思いますが、任侠の家に生まれた喜久雄が歌舞伎の女形として大成するまでの物語。先に映画を観てから原作を読みましたが、これが大当たりでした。
不勉強で歌舞伎の事はズブの素人ですが、映画を観ていたことで歌舞伎の演目の描写の場面では鮮明にその映像が蘇り、また映画には登場しない演目も沢山出てきますが、観ているといないとでは脳内イメージの精度が全然違うもので、なんとなくではあるものの舞台の情景が目に浮かんできました。
映画では語られなかった部分、異なるストーリー展開、登場しなかった人物の活躍など、全く -
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ネタバレ2024年12月、半世紀以上にわたり続いたアサド政権が突如として崩壊した。
本書は、その歴史的転換点の前後を、シリア人の夫を持つ写真家である著者が、自身の立場と経験を通して描き出した記録である。政権崩壊前のアレッポ訪問、ヨーロッパへ向かう難民たちの姿、そして崩壊直後のシリア。日々断片的には報道されるニュースでは捉えられない、人々の生き様が静かだが強い筆致で浮かび上がる。
取材から帰還した直後、著者を待っていたのは、夫から突然切り出される「第二夫人」の話だった。文化的背景として理解しようと努めながらも、理性では整理しきれない動揺と怒りが率直に綴られている。
圧巻なのは、政権崩壊直後に著者が訪 -
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本書で言う「本を読む」とは、文字通り読書という意味でもあるが、それを含め、読者自身それぞれが生活に必要不可欠な文化のことである。
私はガッツリ読書が趣味なので、なおさらタイトルに惹かれた。ホント読めないんだよ、本。なんでだ、という思いで手に取った。
働いている(働きすぎな)ことで、そもそも物理的に時間がなくて「読めない。」
仕事に全身全霊で取り組むことで、こころに余裕がなくなり、働く私が求めている情報(仕事に役立つスキルだったり)じゃない情報を受け入れられなくて、そんな情報が集まっている本は「読めない。」
タイトルの言葉には、概ねこのような意味があると理解した。
あと、個人的に最近感じている -
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隅から隅まで面白かった。「“読む”は読む前から始まっている」という考えは、私もぼんやりと思っていたことではあるが、この四人のおかげで私の罪と罰読書も、読んでないけど始まったぞ!と感じた。
四人の自由で対等な雰囲気がまたとても良かった。罪と罰を読んでない者同士で話すという企画なんだから対等なのは当然だが、誰かの持っていた文学や歴史の知識がヒントになるときも、ガイド役の学者先生的な人の授ける解説を拝聴するみたいな空気は一切なく、プロ作家としての作劇的勘で何かを言い当てようとするときも、「ここできっと二人の対話が八十ページ続くんですよ」とか「結婚式で繰り広げられる七日七晩にわたるロシアの宴の描写 -
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小泉八雲といえば、怪談話の蒐集だけが有名ではあるが、実はそれが総てではない。此処に紹介されている話の多くは「怪談」ともいえない「ちょっと不思議な話」が多くある。
江戸時代。蔦屋重三郎の耕書堂の店先に展示されている本の数を、絵やドラマなどで確かめると、せいぜい20種類にも満たない。毎月様変わりして行ったとしても、せいぜい100作ぐらいが毎年の刊行著作だったろう。
そのうち、黄表紙滑稽本以外の著作はどれくらいあったのだろうか。
人は常に物語を欲している動物である。
ちょっと怖いけど、なんかスッキリしない、なんか悲しい、なんか心があったまる、なんか腹立たしい、そんな話を聞いて、人はなんか心を整