小説・文芸の高評価レビュー
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戦国時代の初め頃、「悪人」として忌み嫌われた松永久秀が主人公。織田信長に仕えながら二度も謀反を起こすが、なぜかその度に許されている。その信長が語る形式で話が進む。久秀の壮絶な生い立ち、人間や人生観、壮大な夢、人間の欲など、感情移入せずにはいられない。久秀の躍進や挫折のきっかけとなった出来事も現代に通じるものがあり、納得もするし、辟易とさせられる面も。歴史小説としても、ヒーローものとしても読める。何も三英傑だけでない、超有名なキャラクターではない人物の話は、意外と面白い。それにしても作者の力量に圧倒される。「イクサガミ」や「ぼろ鳶」にも圧倒的な主人公がいるが、そのどれにも似ていない。だからこそよ
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太陽系規模の危機を扱いながら、「未知とどう向き合うか」を描くSFとして非常に密度が高かった。導入の時点でスケールの大きさに引き込まれ、ヴァルカン計画やビルダーをめぐる調査・対立・交渉の流れが、緊張感を切らさず続いていく。科学的なアイデアが物語の推進力になっていて、読み味はとてもスリリング。
また、ラウルのような存在が終盤で効いてくる構成も印象的で、単なる対決では終わらない着地に作品の個性を感じた。人類側の論理と、ビルダー側の論理がすれ違いながら接続されていく過程が面白く、読み終えたあともしばらく設定を考え続けてしまった。ハードSFのスケール感、政治的な駆け引き、そしてファーストコンタクトものの -
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高額報酬に惹かれて集まった参加者たちが、閉ざされた暗鬼館で極限状況に置かれていく心理サスペンスとして、とても読み応えがあった。特に印象に残ったのは、結城の視点で進みながらも、登場人物それぞれの思惑が少しずつ見えてくる構成。終盤に向かうほど作品全体の緊張感が増し、読者として「誰をどこまで信じるべきか」を常に考えさせられ、とても面白かった。
また、須和名の存在感が独特で、前面に出続けるタイプではないのに、ふとした場面で空気を変える不気味さが強く記憶に残る。
全体として、派手な演出だけで押し切るのではなく、人間の疑念や欲望を丁寧に積み重ねていくタイプの作品で、先の読めなさと不穏さが楽しめた。 -
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ほんわかしていて読みやすい作品。
テイラー城崎で伯母の68歳の加代子さんは働いている。もうスーツは作っていなくて、ちょっとしたリフォームとか体操服入れを縫ったりしながらクリーニング店で働いている。
33歳のリボンちゃんこと百花もよくわからない店で働いている。社長の思いつきでいろんなことが始まるのだ。保奈美さんという人に頼まれたビスチェのリフォームを加代子さんに頼まれる。
同僚のえみが辞めるという。えみちゃんは前職でつまづいてしまって、外に出られなくなってリハビリがてら働いていたけど、転職するらしい。えみちゃんは考えたくない人で、転職祝いには1週間分のショーツが欲しいという。だが割とこだわり -
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言葉や辞書について向き合う作品であると同時に、「仕事にどう向き合うか」を考えさせられる作品だと思った。
この作品を通して、多様な仕事観に触れた。馬締や香具矢のように、熱中できる、夢中になる、打ち込めるものを仕事にする人もいれば、西岡のように、仕事は仕事と割り切り、「お金をもらえるなら嫌なこともやる」という現実的な価値観を持つ人もいる。
最近、私自身も友人たちと「仕事に何を求めるか」という話をする機会があり、その時間がとても印象に残っていた。だからこそ、この本を読んで、「人によって仕事への向き合い方は本当に違うんだ」と改めて感じたし、もっといろいろな人の価値観を聞いてみたいと思った。
ちなみに -
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自分の頭で考えること。民主主義を根づかせるため、戦後の日本人が、まず身につけなければならなかったこととして物語で描かれるテーマは、とりも直さず現代の私たちにも突きつけられるものだ。戦後とは異なり、お腹を満たすことや安心して眠れることなど、人間として最低限必要なことは、大抵の人が保障されている現代において、なおこのテーマは胸に刺さる。
個性豊かな4人のお嬢さんが、それぞれ自分の頭で、自分の未来を考えていく過程は、読者としてそれを見守る立場でも胸が熱くなった。
同じ著者の『みかづき』の時も感じたけれど、どんなことでも(勉強に限らず)学びたいと心から欲して、自主的に行動することの尊さのようなものの描 -
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ネタバレ復讐は、復讐しか生まない。
この小説を読んで1番心に残った。世の中には数え切れないほどの悪意があるけれど、悪意に対して悪意を持って接していては、いつまでも平和にはならないと改めて思った。
この物語の主人公「ぼく」のふみちゃんに対する姿勢のように、常に愛を持って人に接していきたいと思った。
また、身近な人が酷い目にあった時、その犯人に対してどう復讐するのか、もしくは復讐せず忘れようと努めるのか。自分だったら、、と考えさせられる小説だった。
小学4年生のぼくは、うさぎ殺しの事件で心を閉ざしたふみちゃんを救おうと懸命に毎日を過ごす。
当事者にとっては、人生を狂わせられるような大きな出来事でも、世の -
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ネタバレ【人文知は武器になる】山口 周、深井 龍之介
いまをときめく二人の対談。山口氏は誰しも知る著名人ですが、深井氏は、(株)COTENを率いて人文知の研究を進めています。歴史研究により「人類の軌跡や共通点から学ぶ」ための「世界史データベース」をつくることを目的とし、その事業の中心となる「Coten Radio」は、第1回Japan Podcast Awardで「大賞」、「Sportify賞」をダブル受賞。愛聴していて毎週ウォーキングのときに聴いています。
本書は、人文知、特に歴史から何が学べるかについてのお二人の対談。さまざまな知見が得られますが、例えば、深井氏は、戦争以外では、社会規範や -
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後半の展開は、序盤の予想を大きく覆す。
ストルムグレン国連事務総長とカレランのほんのりとした友情とか、ウェインライトの合理性とかを見せられると、まぁ言ってみればそのあたりの人類とオーヴァーロードの友情とかが最後のピースになるのかなぁ、と思いきや、とんでもないスケールの展開。
こんなにスケールが大きいのに、読後のこの寂量感はなんでしょう。
人類への鎮魂の感情であるとともに、オーヴァーロードに感じる果てしなき哀愁なのかも知れない。
オーヴァーロードこそ、ニーチェの言う超人なのだろう。解脱できないと知りながら、それでも前を向き進歩を止めない。
この話、大前提として、全く理解すらできない知性が存