あらすじ
「お前は、ただの物知りになりたいのか?」
夏木林太郎は、一介の高校生である。幼い頃に両親が離婚し、さらには母が若くして他界したため、小学校に上がる頃には祖父の家に引き取られた。以後はずっと祖父との二人暮らしだ。祖父は町の片隅で「夏木書店」という小さな古書店を営んでいる。その祖父が突然亡くなった。面識のなかった叔母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。トラネコは、本を守るために林太郎の力を借りたいのだという。
お金の話はやめて、今日読んだ本の話をしよう--。
感涙の大ベストセラー『神様のカルテ』著者が贈る、21世紀版『銀河鉄道の夜』!
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人間の言葉を話すトラネコ。ファンタジー系のSFなのかなと読み進めると、次第に、ああ…なんて面白い題材なんだ!と視界が広がる。
読書家を名乗って、こういう人いるよね(批判ではなく、分かるんだけれど〜…という感じ)と思ったり、自身を省みたり。
コレクション、速読、書籍とは…本を読むということは……
つまるところ、皆、本が好きなんだよね。
医療系ではない夏川草介さんの作品。気がつけばこちらもしっかり、哲学的で現代社会への問いかけもあり、とても良かったです。
Posted by ブクログ
凄く読みやすい。
ファンタジーなのに、リアルな懐かしさを感じるのは、自分も本の中での出会いから妄想し、世界を作ったことがある(今もかもしれない)からか。
本が好きな人には刺さる作品だと思う。
どの迷宮も本が好きな人に変わりはなく、ただ求める形が違うだけ、世界の変化によって、変わってしまっただけ…
私はどれかといえば、少し前まで第一迷宮に近かったと思う。
再読はよくするけど、汚してはいけないって意味で神経質すぎたから。
最近は第二迷宮の人も多い気がするし、第三迷宮がきっとあるんだよなぁ…。
Posted by ブクログ
大学の友達にオススメされて読みました。
本を大切にするってどういうことだろうという事を考えさせられました。
⚠️これより下の文はネタバレを含みます⚠️
私は本をどれだけ早く読むかという事に共感してしまいました。あらすじは大切ですし本を選ぶ時に見たりします。それだけで本の内容が理解できたら、確かにどれだけ良いことでしょう。私は小説を書きます。その視点から考えるならあらすじの文章だけで本を理解することは不可能に近いと思います。決して無理とは言えませんが…。この本のこのページ、このセリフはここに、このシーンがあるから、その他色々、書く人はその本の構成などを大切にしています。無理とは言えないと書いたのは中身だけを理解するなら可能だからです。この小説の中でも書かれていましたが「メロスは激怒した」という言葉を見て「メロスという登場人物はすごく怒っているんだな」ということは分かります。ですが、なぜ?だれに?どういう状況で?などはどう足掻いてもストーリーを読まないと理解できません。小説は長編の物も多く疲れてしまうかもしれません。ですが新たな発見を見つける良い機会になると思います。その一環としてこの小説を私もオススメします。
Posted by ブクログ
ファンタジーな物語の中にも現代が抱えている問題をうまくミックスされとっつきにくさが全くなかった。
物語の構成、言葉選び、どれをとっても人を魅了する力がとてもある作家さんだと思いました!
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単純に本をたくさん読みたいとか、知識をつけたいとか、本が好きな人が持つ欲求だと思っていたけど、
この王様たちと同じ感覚があったかもと気付かされた思い。
1冊の本に深くどっぷり浸かって味わうような、時間をかけるのが本当の贅沢なのかもしれない。
Posted by ブクログ
読書好きには楽しくなるようなお話だと思いました。
でもその中でも興味深かったのが自分が難しいと感じる本に対しての解釈とかが書いてあって、私も苦手だなと思って読めなくて諦めた本も何冊もありましたが次そういう作品に出会った時は新しいことを知れるチャンスだと思って読んで行けたらいいなと思いました。
本は人生の栄養だと思う
最初は何気なく読んでいた物語であったが、読み進めるうちに世の中への風刺といった印象を感じ始めた。そして、振り返ってみると、本から今まで様々な生きる糧のようなものを受け取っていたのだなと知った。後書きを読んで、また読み返してます。
Posted by ブクログ
ファンタジーなんだけど、ちゃんと本のことを考える切っ掛けを与えてくれる哲学書でもあったような気がします。
作品に他の小説のオマージュやパロディが散りばめられているらしいのですが、私には気づくほどの知識がありませんでした。ネットで調べてやっと分かったのが、主人公 夏木林太郎 は夏目漱石+森鴎外(森林太郎) だと推理できるでした。ふむふむなるほど〜でした。
Posted by ブクログ
本が抱える現代的な問題に向き合う言葉は理想論かもしれないが心意気は感じた
本の持つ力はなんだろうか
名著の持つ力は普遍的な、忘れてはならない心という
心の指針になる高い山にも登ってみようか
Posted by ブクログ
引きこもり気味の高校生・林太郎が、祖父の遺した古書店で人間の言葉を話すトラネコと出会い、本を守るために異世界に入っていく、という設定。
最初はあまりのファンタジー感にちょっと入りづらい印象だったが、読み進めていくうちにどんどん引き込まれていった。
読む人によっていろんな解釈ができそうだが、自分にとっては、ファンタジーの形を借りた、夏川先生なりの“読書論”だと感じた。
本は一度読んで終わりなのか?それとも繰り返し読むべきものなのか?
難解な内容の本を時間をかけて苦労してでも読むのか?それとも効率よくエッセンスを掴むことがよいのか?
商業的に「売れる」本が価値の高い本なのか?
本を読むことの意味ほどこにあるのか?
たぶん、どれも絶対的な正解はない。
でも、本と向き合う中で、一度こういうことを考えてみるのはどうですか?というメッセージを受け取った気がする。
Posted by ブクログ
祖父を亡くし、ひとりぼっちになってしまった主人公が、一匹のトラネコと出会うことから始まる物語。祖父の遺した書店と「本」の存在を通して、なぜ人は本を読むのか、本にはどんな力があるのかを改めて考えさせられた。
読みやすい本だけでなく、時には難しく感じる本にも意味があり、さまざまな本と出会うことの大切さを感じる。読書の楽しさや、本を読む時間の尊さを優しく教えてくれる作品だった。
本をたくさん読むこと自体が目的になってしまっていた時期もあったが、この作品を読んで、一冊一冊を大切に味わいながら読んでいきたいと改めて思えた。本には、自分では経験できない人生を体験させてくれる力があるのだと感じた。
Posted by ブクログ
自分に危機が訪れた時、必ず駆けつけて力になってくれる本はなんだろうな
解説を読んで、散りばめられたオマージュやパロディに気付けるように名作を手に取りたい気持ちはある
Posted by ブクログ
「神様のカルテ」の夏川草介による本を愛する人たちへの物語。いや、そうではなく、本をそれほど愛しておらずタイパやコスパ重視であらすじさえ分かればいい、要点さえ分かればいいと思っている人にこそ読んでほしい物語。
それぞれの迷宮で出てくる「敵」は現在の世相を表している。多読(冊数)を誇るコレクターや「走れメロス」を一行で表現して分かった気になっている人々を見ると林太郎でなくとも本好きな人であれば悲しくなる。商業主義に走って売れ筋の本しか作られない世の中になったら困る人たちはたくさんいるはずだ。そういう意味では本作は本好きな自分としても興味深く読めたが、改めて教えられた内容もあった。
「本の力」='人を思う心'を教えてくれる力
なるほど、そうなのか。確かにそうかも。
自分で体験しなくても本に出てくる人たちの喜び、悲しみ、怒りに共感したり、逆に反感を持ったりするのは、その人を思っているからに相違ない。
ところで私は本を愛しているが、何年も前からリアルな本ではなく専ら電子書籍を購入している。書棚にずらっと並ぶ本を愛でていた時期もあったが、今はそれよりも好きな時に好きなものを読める実用性を重視している。これって林太郎やトラから見たらどうなんだろう...?
Posted by ブクログ
月末に夏川草介さんの講演を聴く機会があるので、予習の一つとして手に取る。祖父が営んでいた古書店夏木書店に祖父に先立たれた林太郎が引き籠もっている。どこからともなく現れる喋るトラネコに導かれて本を守る行動に出ることで、成長する物語。様々な本が挙げられ、作者の本に対する愛がヒシヒシと。本人の解説によるトラネコのモチーフが「百万回生きたねこ」とのこと。持ってなかったかな。
Posted by ブクログ
本を読む意味を分かりやすく教えてくれる一冊。
なんでも調べればすぐに情報を得られる時代の中で、本を読むことは人として大切なことを気づかされる、人でいられる、そんな気持ちにさせてくれました。
読書は時間もかかるしお金もかかるけど、一つのことに没頭し内容について自分自身で考えて自分なりの意味を見出すことは人生にプラスな影響を与えるんだなと思いました。
Posted by ブクログ
書店で見て、タイトルが気に入って購入。
ビジネス書多読を揶揄したようなストーリー。
読書法批判の物語なんて書けるのか、と驚いた。
多読、速読、売るためだけのビジネス書……。
最後には、本そのものが見捨てられる社会に相対する。
自分の考えとしては、多読速読を悪くは思わない。
必要に応じて、自分でも使う技法だ。
内容の薄い本も、ガシガシ読むと思う。
その一方で、好きな物語をじっくり読む時間もちゃんと作って、大切にしようと感じた。
Posted by ブクログ
ファンタジーの要素が強かったので、途中で飽きないか心配だったが、内容は「本を守る」ということ自体がどういうことなのかを考えさせられる話だった。
「好き」という言葉は様々な定義があり、独り占めしたり簡素化したり、自分自身なりの解釈をしたりが許されるはずだが、それを「好き」ではないと判断するのもまた違う「好き」を持つ人なんだと思った。
読むのに時間がかかることを、自分の知らない世界を呼んでいるからとするのは、とてもいい事だと思った。
本のことだけでなく、色々考えさせられる物語だった。
Posted by ブクログ
まっすぐな本だ。これから本を読みたいと思いはじめたティーンが、まずはじめに手に取るべき本だ。ビブリア古書堂もいいけど、まずは本書だ。
解説にある作者の問題意識も、まったく同感。これは、万人におすすめしたい本だ。感動した。
匿名
読書好き必読書⁉︎
本や読書、小説がテーマになっているストーリーが読みたい人にお勧めです。
読書初心者の方にもお勧めです。
読書の向き合い方、本に対しての思いを、改めて考えさせられます。
主人公の青年林太郎の祖父が言っていた「本を読むことは、山に登ることと似ている」という言葉が、読書に時間と手間をかける理由だなと、しっくりしました。
Posted by ブクログ
夏川草介さんのこれまでの作品とは大きく毛色の異なる作品でした。ただ現代のなんか間違ってるんじゃないのってことに疑問を投げ掛けると言う意味で、本流は同じなのかなと。
Posted by ブクログ
インスタのフォロワーさんのレビューを読み興味が湧いたので読んでみました。
古書店を営む祖父が亡くなり呆然とする主人公の前に、人の言葉を話す猫が現れます。そして、本を守るために力になってほしいとお願いされるところから物語は始まります。
本を守るために主人公とヒロインが奮闘する温かいお話でした。。
・・・温かいお話ではあるけれど、速読する人や、ビジネス書やベストセラーしか読まない人などを否定しているようにも受け取れてしまい、世界の名作を読まないと本が好きという資格がないような、そんな印象が少なからずあって、そこがちょっと引っかかりました。
著者の、名作への思い入れが強いんでしょうね。
どんな本でも読み手次第で得られるものはあると思うし、どんな読み方でも好きなようにさせて、私は思うのですよね。
Posted by ブクログ
亡き祖父の古書店に引きこもる孤独な高校生が、言葉を話すトラネコと共に本を救う不思議な迷宮の旅へ出かけ、本への愛と自らの生きる力を取り戻していく心温まるファンタジー
Posted by ブクログ
ファンタジーの体裁を取りながらも、現代の読書のあり方に対する鋭い問いを投げかける作品だった。
物語に登場する“狂人たち”はそれぞれ極端な価値観を象徴していて、「たくさん読むこと」「早く読むこと」「売れること」「価値が不変であること」といった一側面に囚われた読書の危うさを描いている。
しかしこの作品は「正しい読書」を提示するのではなく、むしろ読書における価値観の偏りそのものを問うてるのだと思う。
個人的に、途中で読むのをやめることや、要約から入ることなどは一概に否定できない。
本来の作品が持つ豊かさのほんの一部しか受け取らないまま満足してしまうことには、なんて勿体無い…と感じるけれど。
が、そこに違和感を持つことまで含めて、この作品が内包するテーマの一部なのではないかと思う。
また、本を届ける側の葛藤や、時代によって評価が揺れ動く作品のあり方にも思うことはあったが、どの時代においても物語が持つ価値は失われないと信じてるし、信じたいと思った。
どの狂人も現代の真実を含んでいて、本好きとしてはもどかしく悲しい気持ちになる。
でも、狂人含め登場人物は本への愛を持ってる。
それはつまり作者の愛なんだと思う。
中でも印象的だったのはじいちゃん。
読書を誇示するのではなく、自分の言葉で静かに語るその姿は、理想的な読書家の在り方の一つとして心に残った。自分もいつか、あのように読書を語れるようになりたいと思った。
Posted by ブクログ
夏川さんの解説が好きです。
冒険としては起伏は大きくなく短い時間で読めるもの。
トラネコは想像通りで解説で出自がつながり不思議と温かい気持ちに。
高い山に登った後、再度読み返してみたい。
Posted by ブクログ
夏川さんは医療系のイメージが強いけど、印象が全然違う感じ。
絵本みたいに、とてもわかりやすくて、読みやすくて、ストレートな言葉遣いで思いが素直に伝わってきます。
「本は人を思う心を教えてくれる」ってほんとそうだなぁと納得。
Posted by ブクログ
夏川草介さんの医療モノではない本は初めて。祖父を亡くした夏木林太郎が、不思議なしゃべるトラネコに導かれて迷宮に行き、本に関係する人と話す。「閉じ込める」「切りきざむ」「売りさばく」「最後」の四つの迷宮で、自分の考えを話すことで相手が変わっていく。特に最後の話で、「本は人を思う心を教えてくれる。たくさんの人たちの物語や言葉に触れ、一緒になって感じることで、自分以外の人の心を知ることができる。身近な人だけでなく全然違う世界を生きている人の心さえ本を通して感じることができる」という部分、とても心に残った。本に対する思いは熱いが、静かな本という印象。
Posted by ブクログ
不思議な世界の中で、本が好きなあまり歪んでしまった人を、主人公が言葉を尽くして解決する。
人間の言葉を話すトラネコは案内役としての出番しかなく、ちょっと物足りないー。
もっと主人公とトラネコのやり取りが読みたかった。トラネコ不足!
期待しすぎた。本を好きな人間が一度なら考えたであろう理不尽を湛えた迷宮に主人公は誘われ、それぞれの迷宮の主を説得していく、という趣旨の物語だが、結局この迷宮も、それぞれの主も、猫も、なんなのかはわからない。説得も、高校生の感情論の域を出ない。児童文学ならよかったかもしれないが、大人の、本を好きだと自覚があるだけの読み手に対する読み物としては非常に薄い。