小説・文芸の高評価レビュー
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太平洋戦争に向かいつつある昭和初期に、家族も亡くしたハジメが、住み込みで働いていた牛飯屋で親しくなったのは卓三だった。
卓三がハジメに見せた『セザンヌゴオホ画集」の向日葵の絵の強烈さから感じとったものにより、2人は演劇の世界に興味を持つ。
冨美に冴子が加わり、やがて一三座を作り活動するが、戦争間近になると警察や軍部による検閲や大衆の目が厳しくなる。
卓三が兵役に取られ、東京大空襲に巻き込まれるが、奇跡的に生き残る…。
戦争という抗えないものに翻弄される者が多いなか、ハジメや卓三は演劇に対して真摯であり、みんなに希望を与える力を持ち続けているのが凄いと感じた。
その時代に演劇を続ける勇 -
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今更ながらのレビュー第2弾。『火星鉄道一九』と『巡洋艦サラマンダー』の二つの短編集を纏めたもの。第一次外惑星動乱の始まりから終わりまでを描いている。
『火星鉄道一九』では、太陽系各所での戦闘を主に航空宇宙軍側から描いている。そして『巡洋艦サラマンダー』では、外惑星連合軍の唯一の正規巡洋艦サラマンダーの最期が描かれる。作中でも触れられている第二次世界大戦時のドイツ戦艦グラーフ・シュペーを思いこされる。艦長の名はドイツ系であるし。
ここで描かれる宇宙空間での戦闘は、アニメ等で描かれるビームが飛び交い、誘導ミサイルが命中するようなものではない。何しろ超遠距離をミサイルより高速で飛行する艦船 -
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「戦争は何も生まない」という言葉は、誰しも一度は耳にしたことがあるだろう。しかし、本作で一人の少女の視点に深く没入したことで、その言葉の持つ意味がより鮮明で血の通ったものへと変わった。
戦争は人を「悪魔」にする。それは単なる比喩ではなく、戦い抜くためには精神を戦争という異常事態に無理やり適応させ、歪ませなければならないという現実を突きつけられた。その結果、勝ち負けが決まった後もPTSDに苦しみ、日常に戻れない人々が生まれる。女性への性犯罪を含め、戦争が残す禍根はあまりに深い。
この物語で描かれた悲劇が、決して過去の話ではなく、現代でも起こりうるという事実に強い恐怖を感じる。二度とこのような惨劇 -
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ネタバレ【チップス】 真山 仁 著
ハゲタカ・シリーズは全て読んでおり、8年ぶりの鷲津政彦の登場に心躍らせて読み始めました。台湾の某半導体メーカーを巡る日台米中韓の闘いです。2023年11月から『日経ビジネス』に連載されたものを加筆修正したとありますが、高市首相の台湾発言、ワーグナー(トランプ)大統領のベネズエラ侵攻なども書かれており、一気に書き上げた感があります。登場人物が多いので、巻頭の「主な登場人物」を参照しながら読み進めました。
上巻は導入部で背景説明的とも言えますが、下巻に入ると、まるで現実に展開されているかのような国際政治の絡んだ買収劇となり、緊迫度を増して一気に読み終えました。こ -
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終末医療について知りたいと思い、この本を読み始めた。重いテーマの物語かと思っていたが、全体を通してとても穏やかで心地よい文章で書かれており、静かな余韻が残る作品だった。
物語の中では京都の街並みや季節の移ろいが丁寧に描かれていて、その情景が目に浮かぶようで美しいと感じた。町家や路地、静かな空気感など、京都ならではの雰囲気が物語の魅力をより深めているように思う。
また、作中に登場する京都の老舗の和菓子も印象的で、どれも上品でおいしそうに描かれており、実際に京都を訪れて食べてみたくなった。
主人公のマチ先生が自転車で京都の街を往診して回る姿も目に浮かび、患者一人ひとりに寄り添う姿から、終末医 -
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ネタバレ※未読の方へ。ネタバレは見ないほうがいいぞ!!
面白かった!!!!!読後最初の一言はこれに尽きる。あまり時代ものに興味を持たない自分だけど、ちょうど来週から実写映画が上映されるし評判良さそうだし、と読んでみたら読む手が止まらない。あっという間に読み終えてしまった。
ミステリ仕立てというのは実写映画に出演している役者が番宣で話していたので知っていたし、正直お与根さんの章あたりでこれはもしかして?と感じていたけれど、最後に全ての真実が明るみになってもその面白さは損なわれなかった。
何より、タイトル回収が気持ち良すぎる!!座って読んでたら本当に膝叩いてたと思うわ。
役者小屋の面々の一人ひとり森 -
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娘のおあいから見た父西鶴の話。娘は父を嫌っていたので、最初はビックマウスの声のデカい嫌なジジイにしか見えないが、段々父が娘を愛していることがわかってきて、娘も愛されていることを自覚していく。
井原西鶴は刀剣を商う商家の生まれだったが、完全な放蕩息子で家業は継がず、年いくらかを実家からもらって暮らしている。俳諧師をやっているが、声ばかり大きく、仕掛けの上手なだけで、上席にいけない。
妻があったが亡くした。娘のおあいは目が見えない。弟たちは養子に行って、女中のお玉と3人で暮らしている。
その西鶴がめっきり句を作らなくなった。何やら長い物を書いているらしい。父が急に淡路に行くと言い出した。おあい
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