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エッセイ・紀行 13位
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あなたは心を見つけ出す 夫が嫌いな上品な老婦人、段ボールにひきこもる少年、悲劇のヒロインを演じる女性……臨床心理士の著者は、日々の出来事やカウンセリングを通して出会う人々の大きな重荷を背負った心が変化する瞬間を掬い上げる。あなたが見失ってしまっている心にもう一度出会うためのヒントが詰まったエッセイ集。 解説・辻村深月 単行本 2021年9月 文藝春秋刊 文庫版 2025年2月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
もとは『週刊文春』に1年間連載した「こころはつらいよ」(2020.5~21.4)。書名、「チーズはどこへ」にあやかったリタイトリングも決まっている。 「トイレ侍とウンコ男」がいい。「補欠の人格」「補欠の品格」も読ませる(私も永遠の補欠だったもん)。「脳のせいなのか」もいい。このなかにある“ 脳は他者...続きを読むである”は至言。「学者の味噌汁」の回には、まさかの成瀬悟策先生が登場。 どの回も、軽くて深い。構えずに入ってゆけて、心揺さぶられるこの感じって……昔どこかで味わったことのあるような。うん、なだいなだ、だったかもしんないな。
最近好きな東畑さんの本。 この本はエッセイで、1つの話が短くてサクッと読める。 話の中に出てくる、クライアントとのやり取りが興味深かった。あ、そういう返しをするんだ、と思うところがたくさんあった。 他の本にも書いてあったけれど、カウンセリングはその人のこころを指摘することではなくて、ただ聞くこと...続きを読む。自分で気が付くように、認められるように、言葉をかけること。そんなやりとりが詰まっている。 なんだか、ほっとする。不思議な本。
東畑さんのエッセイは面白いっ!こんなに面白く書けるなんてズルいと思うくらいに面白い。 文春への連載記事をまとめた一冊である。 本の内容とは離れるが、この本のあらすじには、1年間の連載のなかで東畑さんが何を考えていたかという「舞台の裏側」が書かれている。 いつか本を書きたいと思う私にとって、この舞...続きを読む台裏は大変学びになるものが多かった。 大きすぎる物語のまえで、脅かされる小さすぎる物語たち。心はどこへ消えたか?それは大きすぎる物語に吹き飛ばされたのである。心はどこで見つかるのか?それはエピソードの中にある。 私もエピソードを書いてみたい。そして迷ったら、この本をまた読み返したいと思った。
大きな物語に飲み込まれ、小さな物語が見えなくなっている。しかしカウンセリング室には様々な人がやってきて、小さな物語が確かに存在している。クライアントは自分がなぜ不調に陥っているのかをわかっているつもりでいるが、著者という他者に心を預かってもらうことで、行動の背景にある本当の心に気づいていく。直面する...続きを読むのには痛みを伴うが、心理士は一緒に様子を見る。クライアントが次に進めるよう別れの時まで見守り続け、それを繰り返していく。 ユーモラスな文体。クライアントの行動の背景にあるものを垣間見た時ハッとした。面白い。
序文とエピソードのギャップでいきなり心を掴まれました。 1つ1つの短いお話の中でも二重人格…?と疑うくらい文章に波があって面白く、なのになぜか1つの話を読み終わった後に毎回種類の違う余韻が来て、(良い意味で)サクサクとは読み進められず、毎日少しずつ読み進めるのが楽しみになっていました。 時代の変化な...続きを読むのか、自分が歳を重ねたことによる変化なのかはわかりませんが、日常生活で相手の心に想いを馳せることが少しずつ減ってきたような気がしていて、それを優しく楽しく思い出させてくれた作品でした。
心理士である著者が行うカウンセリング、その1つひとつのエピソードと、そこから著者が感じた「心」についてのエッセイ集。 心理学、心、というと、興味はあるが読み解くにはとても深遠なものであり、その関連書はさくっと読めるようなものではない、というイメージがあった。 だから、この本はそんな「ふつうの」感覚を...続きを読む持った人たちにはぴったりの本だと思う。 エピソードに登場するクライアントの境遇や性格はさまざまだが、共通して言えることは、人間はそんなに立派なものでもなければ、表に出ているものがすべてではない、そんな陳腐なことを思った。 ふだんは他者のそんな「心」が見えない。それが、カウンセリングを通じて、生々しいほどに立ち現れてくる。そして、不思議な力を持っていることを知る。ただの学術書を読み込むことでは知り得ないものに、たくさん触れることができた。 辻村美月さんの解説の中にもあったが、今は心が元気で、おかげさまで何事もなく、前向きに日々を過ごせているけれど、人生のなかで躓くことはこの先いくらでもあると思う。そんな時に備えて、手元に置いておいて、何度でも読み返したい、そう思わせてくれる本だ。
非常に素晴らしいエッセイだった。 日常のたわいもない話とカウンセリングの話と、ふしぎなかたちで混じり合い、気持ちのよい読後感へといざなってくれる。 久々によいテキストを読んだ感触がある。 藤田翔平のテキストを以前読んだ気持ち良い読後感と同様な感じを感じた。
『正欲』を解説の言葉に惹かれて本を購入。 結果、とてつもなく面白かった。 心の動きを丁寧に間欠的に面白く、時に深く悲しく書かれていた。 人間味のある禁煙日記は大好きだ。日常系ギャグ漫画みたいに笑いながら読んだ。とあるクライアントの話には泣きながら読んだ。心が動く。 この本を読む間は、物語を読む自分の...続きを読む心の動きに注目し、大切にすることが出来た。友達にも送りたい本No.1である。
単行本が出た時にあ読みたいかもと思ったもののずっと後回しにしていて、今般文庫化されたのを書店で見つけ遅ればせながら読みました。 で、とても面白かった。学術・読み物(エッセイ)・ユーモアのバランスがとてもいい。解説の辻村深月さんが『お守りみたいだ』と書かれていたのもすごく納得でした。本作も含め自分が...続きを読む好きになった小説やエッセイに対する気持ちもまさにそれでした。 浮世離れすることでしか根源を問うことはできないという大学院生時代のエピソードは自分の学生時代の友人との深夜の議論や、大学生の自分の子どもとの真剣な話でも感じたことだし、別れや何かを失うときに私たちは幾分クレイジーになるというのは思い当たりすぎて何度も頷いてしまった。 オススメの本です。
当たり前の日常からコロナ禍になり、みんな心が混雑していた。 心が少しざわついた時、よく分からないと足掻いたりしてもいいじゃかいか!と思わせてくれるバジーさん。 寄り添ってくれる、そう思える本でした。
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