雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

ビジネス・実用
1,760円 (税込)

8pt

こころのケアははじめるものではなくて、はじまってしまうものである。
つまり、自主的に、計画的に、よく考えて契約書にサインしてから開始するものではなく、受け身的に、期せずして、否が応でも巻き込まれてしまうものです。
よく晴れた休日に散歩に出かけたら、突然大雨が降ってくるようなものです。
そういうとき、僕らは当初の予定を変更して、とにもかくにも雨宿りをできる場所を探したり、傘を買ったりしなければいけなくなります。

同じように、ある日突然、身近な人の具合が悪くなる。
子どもが学校に行けなくなる。パートナーが夜眠れなくなる。老いた親が離婚すると言い出す。部下が会社に来なくなる。あるいは、友人から「もう死んでしまいたい」と連絡が来る。
突如として、暗雲が立ち込める。
どうしてそうなったのか、なにをすればいいのか、これからどうなるのか、全然わからない。
でも、雨が降っていて、彼らのこころがびしょ濡れになっていることだけはわかります。
そのとき、あなたは急遽予定を変更せざるをえません。とにもかくにも、なんらかのこころのケアをはじめなくちゃいけなくなる。
傍にいるのがあなただったからです。その人があなたの大事な人であったからです。
ある日突然、あなたは身近な人に巻き込まれて、雨の中を一緒に歩むことになってしまう。
こういうことがどんな人の身の上にも起こります。
人生には、こころのケアがはじまってしまうときがある。

ですから、突然の雨に降られている方々に向けて、あるいは長雨の中で日々を過ごしておられる方々のために、心理学の授業をしてみようと思います。
雨が降ったら、傘をさすように、こころのケアがはじまったら、心理学が役に立つと思うからです。
(まえがきより)

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雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ポッドキャストで紹介されて気になっていた本。

    まずはタイトルと表紙が素敵。
    『雨の日の心理学』
    手に取りやすく、読みやすい。専門的なことを親しみやすく伝えてくれている。

    ケアする人をケアするための本というのはとても新鮮で、そして切実に大切なことだと感じた。

    みんなケアしたい気持ちはあっても、自分自身が辛くなったら、もう辛いという人もいるはず。

    仕事でも、プライベートでも誰かのケアをしている人にそっと差し出したくなるとても良い本だった。

    0
    2026年08月04日

    Posted by ブクログ

    この本を読む前、「カウンセリングとは何か」を読んでいてたため少し類似している部分もあるなと思った。人をケアするとはとても繊細で難しいことだけど専門家より先に身近な人の方がケアする機会が多いからこそこの本は多くの人に読んで欲しいなと思った。

    0
    2026年07月28日

    Posted by ブクログ

    あきらめないで繋がろうとすること。
    専門家としては、人柄でで心理療法をするなと叱られたこともあるのだけど、あなたが心配でなんとかしたいと私は思っているということは、やはり根底に必要だよね。
    東畑さんはちょっとひねくれてる人だなと思うけど、文章の中にちゃんと優しさがある。やはり支援者だなと思う。

    0
    2026年07月18日

    Posted by ブクログ

    以前も東畑さんの本を読んだことがあるが、毎度新しい発見と「なるほど〜」
    と思う視点がある。心理学の方


    「PSのときはメールをすぐ送らず、下書きに書いて一晩おくといい」はものすごく納得。そしてわたしも思い当たるので反省


    今、ケアする立場にある人(感情労働が多い人、育児・介護中の人など)には特におすすめ。

    「ケアの辛さをわかってくれる…!」
    でも、それは口先だけの言葉ではなく、
    しかし、ケアのよさもそうだよね、あるよね、
    とも思える本。



    ◯こころのケアとはなんだろうか


    ・心のケアの担い手は素人

    ・ケアとは傷つけないこと、
     ニーズを満たすこと(相手が必要としていること、相手の負担になっていることを肩代わりすること)
    依存を引き受けること、お世話すること

    ・セラピーとは傷つきと向き合うこと、ニーズを変更すること、自立を促すこと

    ・ケアが先でセラピーが後。

    例)仮病の対応
    子どもが仮病を使う→休ませる(ケア)
    次の日も仮病→休ませる(ケア)
    また休みたがる→「どうしたの?」(セラピー)

    ※最初から
    「どうしたの?」では打ち明けられない

    ・見守る(セラピー)の方がよっぽどパワーがいるときも多い。


    ★仮病を使う時点で、こころの具合が悪い



    ◯こころをわかるとはどういうことだろうか
    …傷つけないためにはわかる必要がある

    ・一緒にいる時も、LINEでも「わっ」と思うことがある
    …心を自然に受け取っている

    ・晴れの日とは、どうしたら相手を傷つけないのか、よくわかっている日

    ・雨の日とは、どうしたら相手を傷つけないのか、わか、なくなっている日

    →雨の日は個別的な対応が必要になる


    ・「死にたい」と相手がいう時
    死にたい気持ちと死にたくない気持ちの両方があることを「わかる」必要がある

    傷ついているのは希望で、無傷なのは絶望


    ・いい人と悪い人、味方と敵に世界が真っ二つに分かれているのがPSポジション
    (一瞬一瞬に命を賭けている)…異常心理学

    いいところも悪いところも両方ある人たちで世界ができているのがDポジション
    (過去と未来の全体を見ることができる)…正常心理学

    ★PSのときはメールをすぐ送らず、下書きに書いて一晩おくといい

    ・引きこもるって実は非常に攻撃的



    ◯こころはどうしたらきけるのか

    ・転移や逆転移が起きないようにするのではなく、修復、やり直すこと

    ・きく(相手の心を預かる)
    →考える(相手の気持ちを考える)
    →わかる(自分の心を相手の心に重ねる)


    ◎また話そう


    ・相手の気持ちに踏み込むのが怖くて、なかなか深い話を聞けないと思ったら

    …多くの場合、相手も無力ではない。
    勇気を出してノックしてみて、ドアを開けたくない時は開けないでいい、という姿勢を見せるのが大事。
    自分も相手ももう少し信じられるといい

    ◯こころはなにをすれば助かるのか

    ・社会が個人主義になり、自由になるのはいいが、孤独になりやすい。
    おせっかいのハードルが高くなっている。


    ・目の前のニーズに応えることが助けるおせっかいであり、
    (例:震災で水がなければ運ぶ、トイレが汚れているなら掃除する、仮設住宅への引越しを手伝う)

    ニーズ以外のものを押し付ける(きく)のが余計なお世話

    (例:被災された方に
    「感じ方を変えましょう」というのは暴力」)


    ・環境を変えるのが助かるおせっかい、本人を変えようとするのは余計なお世話になり


    ・ケアがうまく行っているときには、人はケアされていることに気がつかない

    ★環境はうまくいっている時は忘れられて、失敗した時にだけ思い出される


    ・ニーズが満たされてボエーっとしているときの自分が「本当の自己」
    …「本当の自己」になりたいなら、自分探しにインドに行くより近隣の温泉に行く方がおすすめ

    (ケアされている時は、ケアされていることを忘れている)


    ★ニーズを満たしてもらえない局面(環境の失敗)が続き、偽りの自己しかなくなると、こころが死んでしまう


    →完璧な環境よりもときどき失敗する環境のほうがよい
    (× perfect ◎good enough mother)


    ・人は孤独になると能力を発揮できなくなる

    学校でも、「自分のことは自分でやろう」と言われ
    手伝ってもらうことに罪悪感を抱きやすい

    ◎「一緒にやろう」



    ・SOSが出せない子には
    →先回りしてSOSを汲み取る


    ◯ケアする人をケアするもの

    ・孤独にならないことが大切

    ・ケアはつらい。同時に楽しいこともある


    ・ケアがつらくなる理由
    原因をひとつに絞ると危険。
    ケアがつらくなるのは、
    こころと社会、
    つまり個人の問題と環境の問題の両方があるから


    ・こころは移動し、つらさは感染する
    感染系逆転移で重要なこと




    ①「どうしようもない親」と自分を深く責めてしまう時、それが子どもの自己否定感の感染だと気づけることは役立つ

    ②感染しているということは、ちゃんと接触しているということ


    ・ケアは成果がわかりにくいし、
    どの段階で成果と言っていいかもわからない。


    ・ケアする人をケアするもの
    【社会編】
    ・お金で解決できるものは、お金で
    ・人手を増やす
    (回復などを一緒に喜べると◎)
    ・権力、承認、仲間も大事

    【個人編】

    ・贅沢とは自分を人間扱いにすること
    ・勉強◎
    知識が孤独を救う
    ・休養
    1人になること
    ・仲間



    ・ときどき虹が出ること「も」ある

    ・ケアする人がケアされていないとき、ケアはつらくなる
    ケアする人がケアされているとき、ケアには楽しいところもある


    ・40を超えると1日のほとんどがケア。
    つながりの中で生きているということ



    ・授業とはただ知識を伝えるだけではなく、こころがこころに働きかける場所である


    ・どうしたら人を信じられるか?
    →練習してみよう

    0
    2026年06月05日

    Posted by ブクログ

    こころに関する理論について、とても噛み砕いて、比喩を用いながら書いてあるからわかりやすい。その上、つまみ食いでもよいと、かなり読むハードルを下げてくれる言葉もある。
    とにかく、ケアする人が楽になれるように考えられた本。読んでいて、自分が癒える感覚がある。
    福祉のような対人的な仕事におけるケアから、友人や家族同士の相談事のような、日常的なケアにも当てはまる。

    表紙の雰囲気が手に取りやすく、読んでみて、これは買ってよかった!と切実に思った。

    0
    2026年04月11日

    Posted by ブクログ

    『雨の日の心理学』(雨の日の心理学)を読んで、心のケアとは何かについて、考え直す機会だった。

    本書の中で印象に残ったのは、心のケアとは特別なことをするというよりも、「相手を傷つけないこと」にあるという視点。普段、心が穏やかで安定しているときには、ケアはうまくいっているように感じ、あまり意識されない。しかし、ひとたび心に「雨」が降り出すと、これまで気づかなかったズレや難しさが一気に表面化し、「どう関わればよいのかわからない」という感覚が強くなる。

    そうした「わからなさ」が立ち上がったときに、どのように向き合えばよいのかを丁寧に示している。単なる気持ちの持ち方にとどまらず、専門知を背景にしながら、日々の関わりの中で活かせる具体的な視点や技術についても触れられていた。

    また読み進める中で、不思議と自分自身がケアされているような感覚もあった。誰かの心に寄り添うことを考える本でありながら、同時にこの本を手に取っている読者自身の心の揺らぎにも静かに寄り添ってくれる。そのためか、読み終えたときには、心の中にあったモヤモヤが少し晴れているように感じられた。

    心のケアとは、何かを「うまくやる」ことではなく、わからなさを抱えたまま相手と向き合い続けることなのかもしれない。

    0
    2026年03月29日

    Posted by ブクログ

    『カウンセリングとは何か』を読ませていただいてから、専門書なのにかなり読みやすく、面白いとも感じたので、こちらも読ませていただきました。
    こちらは、心が落ち込んでいる状態を”雨の日”と例えて、そんな雨の日のケアはどの様にすればいいのかを素人でもわかりやすく解説してくれていて、『カウンセリングとは何か』と同様、やはり読みやすく、またこちらはさらに優しい文体で描かれている印象で、時折冗談を挟んでクスッと笑えるところがあったりして東畑さんのお茶目な部分なども感じ取ることができて一見暗くなりそうな内容にもかかわらず、楽しく読み進められました。
    今回、『カウンセリングとは何か』で2026年の新書大賞を受賞されたとのことで
    やっぱりすごい方だなあと改めて感じました。

    0
    2026年03月03日

    Posted by ブクログ

    心のケアの難しさ、ケアする人の難しさに触れながら、ケアとは何かを語っていく。こうすればできる、のようなハウツーではないことを理解しながらの語り口が読みやすい。
    単純なエッセイとしても読める気がする。

    0
    2026年02月07日

    Posted by ブクログ

    面白かった。ケアの労働は社会で低く見積もられてる、という指摘には本当にそう思う。
    雨の日の心理学という言葉も良い。
    東畑さんの著作はやはり面白く、読んでいて学びや振り返りにもなる。

    0
    2026年09月15日

    Posted by ブクログ

    東畑開人さんの文章は、安定の興味深さ。300ページ以上あり、読み応えもあるが、最後までテンポよく読めた。装丁も素適。この1冊で伝えたい内容全てを網羅しようと試みたのか、文字たけで十分伝わるように書かれているが、初心者が最後まで読むには、気力が必要なボリューム感かもしれない。もし挿絵や図解があれば有り難いが、そうなるとページ数も値段も増えてしまうのでしょう。このままで十分。1冊の書籍として仕上げていただき、感謝。

    0
    2026年09月14日

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