小説・文芸の高評価レビュー
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文句なしの星5。
まばゆい光を見たような、あわい光を見たような。どちらとも言えるような、私にはもう手に入らない、眩しい思い出を追体験させてもらったような気分になった。
子どものときに出逢ったかけがえのない存在が、大きくなっても自分のピースの一部になりつづけるのって、すごくわかる気がする。意識しなくとも、なんとなく日常に残り続けるものなんだよな。それこそ、そこかしこに漂っている「光」のように。
ほんとうに大事なものに巡り逢えたとき、全てを投げ打ってそれを追いかけることができるだろうか。現実だと、それは難しいかもしれない。でも、この物語に出てくる彼女たちを見ていると、「あなたにもできる」と背中を押 -
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まさに宮本輝小説の真骨頂、日常生活の中で経験する様々な出来事を通じて感じる人生の機微を見事に表現していて、普段忘れていた感情をしみじみと思い起こされた。
文庫本最後にある木内昇さんの解説文が言い得て妙だと思いますので記載させてもらいます。
「この空気の中にずっと浸っていたいと願う気持ちが、残りのページが次第にすくなくなるにつれ、否応なく高まっていった。」
「一見なんら問題もないように見える人も含めて、誰しも抱えているものがある。当然ながらすべてが理想通りに整っている人などいないのだ。それを忘れて、相手を上辺だけで判じて、人と比べたり羨んだりすることの、なんと無益なことだろう。」 -
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隕石の衝突により、雨のやまなくなった北半球。高校生の娘・茜と母・小夜子は、ある事件をきっかけに、スラムで暮らす樹希と行動を共にするようになる。そんな折、政府は国を挙げてブリスベンへの移住計画を発表するのだが……。
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第一部は高校が舞台。素行の悪い生徒たちが中心となり、クラスメイトを巻き込みながら担任教師を罠にはめていくという胸糞の悪い展開が続く。
そこから20年以上が経った第二部では、地球への隕石衝突による大厄災によって気候が激変し、北半球では雨が降り続ける世界になっている。政府は日本を捨て、南半球に新たな国を建国し、大規模な移住計画を進めていく。
こうした現実離れした世界観こそ、フ -
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ネタバレ久々に河野裕、9年前に「階段島シリーズ」第1作読んで以来らしい…読んだのすっかり忘れていたけど
世界の一部を盗んでいく怪物ジャヴァウォックが小学生冬明の紫の絵具を盗んだことから、世界が変容していく。「コウヨウしたギロンのタマモノ」が生み出すジャバウォックとそれが変容させていく世界の謎と対峙するのは冬明の異父兄楓。
ファンタジー要素が骨幹の小説だが、扱うテーマは現代風かつ現実味あふれたもの。伏線が回収され謎が解けた時の哀しみは、子供には味あわせたくないビターな物。
せやけど今や、現実そうなっているんだろうなぁ。世論や世間なんか、家族や自分が愛する者との時間空間と比べたら、そうそう大切でも気 -
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読み始めは、日本の小説?って思った。
文章が翻訳っぽくなくて。今の本屋大賞はすごく読みやすい文章が多くて。難しい漢字も言い回しもなくて。
ただ読めば全てが分かるというか。考えなくていい。
だから、海外文学もそういうふうに変化してるのかなって思ったら、2019年の作品なのね。
もとから読みやすい文体なのか、翻訳が変えているのか。私は原本を読まないから。気になる。
旅はしているけど、風景の描写は少ない。2人のやりとりが淡々と書かれて進んでいく印象。
私はあまり風景の描写好きじゃないからいいんだけど、それが今っぽさを出しているのかなぁと。全部を説明してくれているというか。
読み始めはローラ可哀