あらすじ
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々と浮かぶが、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い目をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別の道を歩んでいく。二人の周囲に見え隠れする、いくつもの恐るべき犯罪。だが、証拠は何もない。そして19年……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。
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Posted by ブクログ
800ページを超える分厚い本を読んだのだから、それなりの時間がかかったはずなのに、読み終えると「あっという間だった」と感じてしまう。
ものすごい引き込まれ方をさせられた。
危うく寝食を忘れるところだった。
亮司と雪穂が主人公であり、これは彼らの物語なのに、彼ら自身の心情が語られる場面は一切ない。
ふたりが顔を合わせて会話する場面すら描かれない。
読者は、彼らに関わった人々の証言や視点からその言動を知り、心情はもちろん起きたことの真相まですべて推測するしかない。
しかし、そのヒントの散りばめられ方はあまりに緻密だ。
ほんのわずかな描写やたった一行から、無関係と思われたピースとピースがカチッとはまる。
思わず「うわっ!」と声が漏れてしまう瞬間が、作中のあちこちに仕掛けられている。
物語は、最後の最後まで救われない。
愛の物語と呼ぶにはあまりにも悲しく、重く、そして暗い。
それでも、ふたりが与え合い守り抜こうとするものは、読み進めるうちに愛としか呼べないものに思えてくる。
暗闇を手さぐりで逃げるように歩き続けるふたりにとって、「白夜」とはどんな意味を持っていたのだろう。
雪穂が「白夜」を思わせる話をする場面がある。
そのときだけは、雪穂の心の内にはっきりと亮司の存在が見える。
そして、あのラストだ。
胸が抉られる。
Posted by ブクログ
白夜・・・真夜中になっても太陽が沈まないか、または夜になっても暗くならない自然現象
生まれた時から、雪穂と亮司はずっと太陽が当たることもなければ暗闇になることもない世界で生きてきたのだと思う。暗闇にならなかったのはお互いがいたからで、でも強烈な光が差し込むこともなかった理由もまたお互いの存在があったから。光をふたりで探すこともできたはずなのに、それをしなかった。そう生きることをお互いがあの時に共有しあったのだと思う。でもそれは私の想像でしかない。
二人のことは二人にしかわからない、この先誰が二人の生き方に触れようとも…
Posted by ブクログ
傑作だ。描写がうますぎる。結局どうなったの?結末は?と、疑問が残らないのが面白い。文章の中に決定的な言葉もないし、絶対そうだ、という確信にはなんにも触れてないのに全てが繋がっている。なにも言わなくても伝わってくる。そこが面白い。あーそうなんだ…と。余韻がすごい。めちゃくちゃよかった。
Posted by ブクログ
とても良かった
小さい頃は東野圭吾難しくてあんまりビビッときてなかったけど、大人になった今となっては名作揃いだな〜と改めて感動。
最初は犯人全然わからなくて各章のつながりもはっきりとしなくて、二人周りの話のひやっとする話が続くけどこれがなんの伏線、関連なんだろうって思っていて
けど読み進めていくうちに、あーこの背景はこれだなとかこれはこの人だなとか、この発言は伏線だなってくる部分が増えてきてミステリーとして面白かった
あまり普段ミステリーを読んできてなかったから頓珍漢な感想かもしれないけど、ミステリー初心者からするととても面白かった
もちろん人を殺めることは悪なので殺人犯が悪いといえばそれまでだし、その他犯罪においてもやってはいけないことではあるから犯罪に手を染めた人に同情する余地はないとは思っている。
けどやっぱりこの本で巻き起こった一連の事件は、人間の性として納得されてしまう部分もあるとは思う。
そして何より犯人が起こした数々の事件は醜悪的なものではあるものの、その周りで巻き起こる事象もまたこの人の世における醜悪の詰め合わせといったような形で。
私は人生経験こそ輝きにつながると思ってしまうタイプだし、周りに恵まれているおかげかこの世は基本的には素晴らしいものだと思い込んでいる節があるが、あまりにもそれはお花畑すぎるな〜と
あとなぜか人を引き寄せる人っているよね、大してその人のことを知らない段階でこの人と仲良くなりたいとみんなに思わせる人。ずっと不思議だったけど何なんだろうねあの引力は。
Posted by ブクログ
著者の訃報を受け、一番好きな小説を再読することにした。未読の方は人生で一度でいいから読んでほしい。絶対に後悔はしない。下手な恋愛ドラマよりもよっぽど純愛である。
他の小説よりも圧巻なのは、読後感の凄まじさであった。まるで自分が小説の中の世界にいて、登場人物に対するやりきれない思いや同情を読後に強く抱く。本当にそうすることしか出来なかったのか。違うやり方があったんじゃないのか。そういったことを目の前に存在するかのように語りかけてしまいそうになる。それほどまでにこの小説には理屈ではない人を惹き込む力があり、没入させられる。まるで雪穂のように。
これ以上うだうだ言わない。ただ一人でも多くの方に読んでいただきたい。それだけだ。
そしてこの小説を生んでくれたことに感謝する。本当にありがとう!
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった!
最初は亮司と雪穂怖いなーと思って読んでたけど、話が繋がっていくにつれて辛い気持ちが込み上げてくる。
2人はお互いのことをどう思っていたのか、最後は事故なのか助ける為なのか、雪穂はそれを見てどんな感情を抱いていたのか。
これだけ長々と読んで2人のことが全く分からなかった。
Posted by ブクログ
昭和52(1977)年、大阪の廃ビルで質屋桐原洋介52歳の店主が殺害される事件が発生。
事件の被害者の息子である桐原亮司と、吉田ハイツ103号にすむ容疑者西本文代の娘である西本雪穂を軸に物語が進んでいく。二人を追う刑事笹垣は、エビとハゼの共生の関係という。
エビとハゼがどのように連絡をとっているのかが一才わからなかった。
そして、エビはいう「全然知らない人です。アルバイトの採用は店長に任せておりますから」
この結末が、全くスリリングで、呆然とする。というか、唖然とした。いいね。このエビの根性。
質屋の店主は、銀行で100万円の定期を解約。そして、プリンアラモードを西本母親の家に届ける。その日のうちに、店主桐原は殺された。そして西本母親は、容疑者とされたが、鍵のかかった部屋で、ガス中毒で死んでいた。そのため、桐原店主の犯人は見つからなかった。雪穂は、何も言わず、『風とともに去りぬ』を読んでいた。そして、雪穂は西本から、唐沢になり、高宮となり、篠塚と名前を変えていく。そのたびに、妖艶な美しさが増していくのだ。
店主桐原洋介は、なぜ殺されたのか?誰が殺したのか?それが終わりのところではっきりする。まさに、笹垣刑事の執念。退職しても、追い求める執拗さ。それが、この作品ではひかる。
亮司は、殺された父親のことを「金に汚い男だった。だからみんなに嫌われていた。俺も嫌いだった。殺されていい気味だと、たぶん誰もが思っただろう」という。
そして、その生まれ、育った大阪の街のことを「くすんだ町だ。埃っぽくて、薄汚れていて、ちっぽけな人間たちが虫みたいに蠢いている。そのくせ連中の目だけはギラギラしている。隙を見せられない町だ」という。
東野圭吾は、1958年の大阪、生野区で生まれ、実家は時計メガネ貴金属の小売店で父親は時計職人だった。少年時代、1970年代は、『明日のジョー』『巨人の星』で成り立っていた。この物語は、そんな東野圭吾の少年期の雰囲気が、文字化され、昭和という時代を浮き彫りにする。
雪穂の周りでは、小学校の時に母親の事故死、中学校のクラスメイトの藤村郁子のレイプ事件、大学の時のダンスクラブで、篠塚のガールフレンドの江利子のレイプ、雪穂の結婚相手の高宮の好きな人だと思われた三沢千都留のすれ違い、篠塚康晴の娘美佳のレイプが重なっていく。
雪穂はいう「わたしの空には太陽がないの。いつも夜。でも暗くはないの、太陽に代わるものがあったから。太陽ほど明るくはないけれど、わたしには十分だった。わたしはその光によって、夜を昼と思って歩くことができたの」
ある意味では、桐原亮司は、プログラマーであり、ゲームの海賊版を作ることができ、企業ハッカーもでき、盗聴もし、さまざまな撹乱をすることができ、紙挟みで巧みに切り絵も作る。そのハサミは、人生も変えた。
亮司は死ぬことで雪穂を守り抜き、雪穂は亮司の死を無駄にしないために「知らない」と突き放すことで彼の最期の献身を受け止めた。そして白い服を着て、颯爽と物語から去っていく。
この物語の余白の多さが、想像を掻き立てる。
Posted by ブクログ
ふと読み直そうと思って、2週間前からちびちびと読み始めたら、東野圭吾さんの訃報を流れてきた。
この作品は東野さんの作品の中でも忘れられない作品の一つだったが、このような素晴らしい作品がこの先、作られなくなると思うと何とも言えない寂しさを感じる。
しかし、この作品に出会えてよかったとつくづく思う。
私がこの作品、東野さんの作品全般に言えることかもしれないが、良さをあげるなら、読みやすさと没入感。
どんどん読めてしまうのは、人物視点が切り替わる場面の最終行にいつも何かしらのヒントや鍵がさらっと書かれていて、一瞬考えさせられるのだ。それがあるから次へ、次へとめくってしまう。
また、出てくる女性が謎めいてたり影があったりして、しかも魅力的に描かれている。単純に読んでいて興奮を伴う。
さらにこの作品は20年前の事件を追っている内容になっていて、今からだと30年前くらいの日本の姿が描かれていてノスタルジックな思いにもなる。
Posted by ブクログ
分厚い小説だったので、なかなか読む気が起きなかったが、なんとなく読んでみた。展開が読めないため、読んでいて続きが気になり寝る間を惜しんで読んだ。
Posted by ブクログ
直接は描かれないメインキャラクターの二人が、周りの人からの言葉で描かれて行くになっていく構成が凄まじいなと思いました。
二人が何を感じて考えているのか全くわからないまま、でもずっと物語の中心にいてずっとその二人のことを考え続けていました。
描いていないものが描かれている凄さですね…
Posted by ブクログ
おもしろい。もう一度読みたい。
次読むときは相関図を書きながら読みたい。
解説にも書いてあったけど、傑作です。いつか銀座のバカ高いクラブで奢らせてやろう。
Posted by ブクログ
20年弱に渡る主人公たちの人生を、共に歩んだ気持ちになりました。
一つ一つの出来事が徐々に繋がっていき、次第に大きな渦となり周囲を巻き込んでいくような感覚。
ラストスパートでたしかに二人は白夜の中を歩いていたんだと思い知らされました。
最後は雪穂の人間としての恐ろしさが遺憾無く発揮されていて、この小説を読んだ人とすぐに感想を共有したくなる衝動に駆られます。
なるほど主人公の二人の心理描写が全くと言っていいほど描かれていないということに、解説で気付きました。
他人の内面なんて客観的には行動からでしか推察するだけであり、本当のところは本人にしかわからないというのは、現実でもそうであり、我々が常日頃から行っていることだとも改めて思いました。
明るいからと言ってもそれは白夜であり、気味が悪いほどのその明るさで照らされると、周囲の人々は夜だと気付けないものなのかも。
Posted by ブクログ
一気に読み切ってしまうほど惹きつけられた。読み終わった後、旅から帰ってきたみたいな感覚になった、多分それくらいのめり込んでた。この2人の関係性は一生私の頭に残りそう
Posted by ブクログ
長い本、かつ暗いストーリーだったが、物語に引き込まれて一気に読み終えてしまった。エンディングはもう少しそのあとの展開が欲しくなる感じだった。
傑作!!
東野圭吾の傑作!!登場人物の感情を描かないからより物語に吸い込まれ想像力を掻き立てられる。クリスマスのラストシーンも素晴らしい!!!
Posted by ブクログ
作品の中で散りばめられた謎が終盤にかけて繋がり、犯人が浮かび上がる。本当にゾッとした。
人間の二面性というテーマを最もリアルに、かつグロテスクに描いた作品ではないだろうか
匿名
白鳥とコウモリを読んでから見た。あっちは被害者の娘と容疑者の息子だからこれとは違うが、この本があったからこそ白鳥とコウモリが輝くのだと思う。太陽を失った雪穂がどう生きていくのか、今まで通り何事もなかったようにできるのか、或いは・・・
Posted by ブクログ
東野圭吾さんが亡くなった。
僕は東野圭吾さんのそんなに良い読者ではなかったが、追悼の気持ちを込めて、代表作としてよく取り上げられる本書を読んだ。
読み応えたっぷりで、ミステリーとかノワール小説とかのジャンルを超えた豊饒な読書体験をする事ができた。この作品は確かに傑作なのだろう。
東野圭吾さんはほぼ同世代でも有るので、この作品で描かれている時代の空気感はよく分かり、事件解決の契機になる重要な事件もよく覚えているのだが、主人公二人の人としてのあまりの闇の深さ邪悪さ、分かってみればしょうもない被害者にも最後まで感情移入が出来ずに読後感はどんよりしたものであった。
個人的には不必要に思われるエピソードもあり、もう少し救いがあっても良いのかなと感じたが、
20年にも及ぶ長い物語を、視点をうまく転換させる事で巧みに描いていく筆力には圧倒された。
まだまだ僕には未読の東野作品がたくさんある。まだまだ多くの東野作品を楽しめる事を持って東野さんを追悼したい。
Posted by ブクログ
不思議な読後感。
最後に分かりやすく種明かしするわけじゃなく、犯人が自白して動機を語るわけでもなく、でもちゃんと謎は解けているという感じ。あえて説明しきらず読者の想像力や理解力に委ねている部分が多いと感じた。それ故にカタルシス不足ではある。分かりやすい勧善懲悪で得られるようなそれは本作では少ない。ただ、その代わりにこの独特な、霧が晴れきらない、日が当たりきらない、ただそこに何があるかはほぼ完全に分かっているという不思議な読後感があり、本作を他とは一線を画す傑作たらしめている。
Posted by ブクログ
東野圭吾の長編小説
亮司と雪穂の心理描写が一切無いため、周りの証言や行動で予想するしかない。
見えないところで2人で助け合っているところがすごかった。
読んだ後考察したくなる。
雪穂は亮司の死体を見てどう思ったのか気になる。
とても悲しい話だが、引き込まれた。
Posted by ブクログ
長かった!達成感!
解説にもあったけど本人目線の話がないのに人間性とか感情が見えたり、「あぁ人間ってこういう生き物か…」って思わせる東野圭吾すごいと思った
Posted by ブクログ
まずは、「父親が元凶じゃん」のひとこと
庇いきれない所まで落ちてしまった2人はどうすれば良かったのか…
幼少期にまともな大人と関わりを持てていれば違う人生だったのか。それとも元々の資質もあるのか。
大長編をするする読み進めさせる力量は流石。
ただ、女子児童を、妖艶な、と形容している所は
「昭和のおっさん過ぎてキモい‼︎」
「子供を子供扱いしろ‼︎」
と叫ばせていただきました。
コンプライアンス世代なので。
Posted by ブクログ
想像以上に、重く苦しい小説だった。
どうやったら、この2人を救えたんだろうと思う。
もう少し賢くなかったら、結果的に救われたのではないか。
被害者でもあり、加害者でもある。
自分からとても遠いようで、実は近いところにあるのかもしれないと思うと、とても怖くなった。
(とにかく登場人物が多く、一人一人じっくりと抜けなく書かれている。正直、評判を聞いてなかったら最後まで読み終わらずに脱落していたように思う。連休中に読み耽る価値は存分にあった。映画も観てみたいと思うけれど、心が持つかどうか、、、)
Posted by ブクログ
長編すぎる!達成感!
緻密に張り巡らされた繋がりがすごかった。
雪穂と亮司について、直接は描かれてなくて全部周りの推測と証言だけなのに全体像が見えてくる書き方ってすごい。
でも私は、すごいとは思うけどその犯人を直接描いてすっきり事件が解決するような話の方が好きだなーと思った。
あと一世代前の小説だからかな、男尊女卑が感じられてちょっと苦手かも…
Posted by ブクログ
東野圭吾の代表作。登場人物も多く、それぞれの日常が詳細に描かれるため、ペースは若干遅いと感じる箇所もある。ただ、家族や友情、性など扱うテーマ一つ一つにきちんと向き合う時間をとっているため、単なるミステリー・サスペンスよりも昇華した作品となっている。
Posted by ブクログ
桐原亮司と雪穂からの視点の描写が一切なく、彼らの周りの人たちの視点からの描写のみで物語が進んだ。2人は客観的な行動のみからしか描かれなかったけど、最後は彼らの復讐心や深い悲しみが伝わってきた。2人とも芯から悪い人じゃなくて、両親から最低の扱いしか受けていなかったからああなってしまったわけで。やるせない気持ちになった。