あらすじ
「苦しかったり、つらかったりするのは、あなたがちゃんと自分の心と頭で考えて、前へ進もうとしている証拠よ」
元エリートサラリーマンにして、今はドラァグクイーンのシャール。そんな彼女が夜だけ開店するお店がある。ここで提供される料理には、優しさが溶け込んでいて――。
仕事一筋の40代キャリア女性へ「春のキャセロール」。
手料理を食べない中学生男子に「金のお米パン」など、心と身体があたたまる四つの物語。
10年愛され続ける名作が、ついに文庫化!
〈解説〉ドリアン・ロロブリジーダ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ずっと気になっていたけど、読んでいなかった本。
やっと読み終えましたが、、、
心につっかえたモヤモヤした感情を、シャールさんが温かく、優しく拭き取ってくれる感じ。最高です。
もっと早く読めばよかった!!!!
最後の、ドリアン・ロロブリジータさんの解説も読み応えがあり、解説まで含めて、何度も読み返したい本になりました。
続編も絶対読みます。
こういう夜食カフェどこかに無いかなぁ。
あと、作中に出てくる音楽がどれも落ち着く曲調で、とってもすきです。
・モーツァルト アイネクライネハトムジーク
・ガムラン
・ドビュッシー アラベスク
・サティ ジムノペディ
この音楽を流しながら、本を読むと至福の時間を過ごせます、、、。
Posted by ブクログ
とても温かくて、やさしい一冊なんだけど、
今生きながら毎日感じる焦燥感とか劣等感とか、苦しみも凄くリアルな描きた方で自身とリンクして、すごい没入しながら読めました。
昔、摂食障害いわゆる〝拒食症〟になった経験が
あるのですがあの時私もシャールさんとマカンマランに出会っていたらなと心の底から思いました。
食べ物への知識は勿論、何よりも身体に素直に優しく生きることへの大切さを沢山学ばせてくれる、そんな素敵な路地裏にわたしも迷い込みたいです。
いつかシャールさんに出会えますように。
Posted by ブクログ
たまたま本屋で見かけたので、読んでみました。
読み終わりたくないな、と思う読書体験は久々でした。
物語の主要人物であるシャールはもちろん、キャラクター全員が魅力的かつ、お話の構成もサクサクと読みやすく、本当に素晴らしい本でした!!
続編もあるとのことなので、引き続き読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
初めての、古内一絵さん。
昨年、読書YouTuberがオススメされてて気になっていたものの、文庫を待とうと思ってた矢先に先月文庫で出たので購入。
元エリートのシャールが夜に開く『マラン・マカン』で、自分に自信がなく不安な日々を送る人たちに、温かく体に優しいご飯を提供する。
そんな彼(彼女というべきか…)の言葉は、温かく心に染み込む。それがシャールの人生を物語ってるかのように、弱った心を支えてくれる。
ライターのさくらと同じような状況でもある自分にも、シャールの言葉は包みこんでくれた。
言葉もご飯も上手ければ、元気、前を向いて進められる後押しにもなり、心がホッとする。そんな物語に出会えました。
ドラァグクイーンの生き様、好きです。性の立ち位置に苦しく、苦い思いをしてきた人生であれど自分の生き方に後悔も未練もない、自由奔放に自分らしく生きる。それが彼らなんだろうなと。
リアルでお会いしてみたいです。
Posted by ブクログ
ドラァグクイーンのシャールさんの言葉ひとつひとつが優しい。彼はきっと辛いこと、悲しいことが沢山あったのだと思う。だからこそこんなにも人に寄り添える。私もそんな風になりたいと思う。なれるかどうかは分からないけど、なりたいと思う心はずっと持っていたい。
Posted by ブクログ
マカン・マラン。インドネシア語で夜食という意味のカフェ。おかまのシャールこと御厨清住がドレスの店をやりながら、夜には夜食のお店を営む。シャールは癌を患っており、抗がん剤治療中。
第1話 中堅社員への早期退職勧告が始まり、塔子はどうするか決めあぐねていた。そんな時貧血で倒れ、シャールに介抱される。
第2話 ある時から家出ご飯を食べなくなり、ジャンクフードやコンビニしか口にしなくなった。何なら食べられるのか?教師の奮闘が始まる。
第3話 雑誌のライターをしているさくらは、「秘密の夜食カフェ」特集のために孤軍奮闘していた。なかなかいい店が見つからない。足を棒にして探しまわるが…
第4話 黒光大輔は宅配便の配達員。同時にマカン・マランの常連であり、夜にはドレスの縫い子であるジャダでもある。マカン・マランの店が、地上げにあっていることを知り、不動産業者の男と戦うが…
Posted by ブクログ
文庫化するのに10年待っただけあった⋯!
特に第一話や第三話、10年前なら青二才ゆえにちょっと自分には味わいきれなかった箇所もあると感じたから、社会人経験をいくらか積んだ今にぴったりだった。
そんな風に、いつ読んでもその時々で誰かに沁みるような言葉が紡がれていて、心解けた。
これからも何度も読み返すだろう。
Posted by ブクログ
本書が単行本として出版されたのは、およそ10年前、その時には余り深夜カフェ形態のグルメ小説は余り出版されていなかったはずですが、10年も経てばあちこちに似たような設定の作品も多く出版されていて、正直そんなに心を動かされるのか⁉️半信半疑で読み始めました。
『第一話 春のキャセロール』を読むと、5年程前に自分の会社も希望退職を募っていたのを思い出し、ちょっと切ない気持ちになりましたが、第二話以降は思っていた以上に物語に惹き込まれて、結構面白く読み終えることができました❗️本書の魅力はなんと言っても、シャールとジャダというとても個性的なキャラクターたちが凄く魅力的だということです。個人的には、シャールの同級生の柳田もイイ味を出しています。
また最終話の展開が、ちょっとご都合主義的な感がありましたが、読む前よりも好意的に受け入れることができた作品でした❗️
好きな話しは、『第二話 金のお米パン』です。続きが気になりますが、一先ず文庫化されるまで待ちたいと思います。
Posted by ブクログ
マカンが食事でマランが夜とインドネシア語でいうとはじめて知りました。だからこのタイトルなのか〜と思いながら読み進められて、出てくる料理ひとつひとつも体に良さそうで、とても食べたくなった。読んでいてとてもホッとできました。
Posted by ブクログ
以前から「いつか読もう」と思いつつ、文庫本の発売を機に購入した。
本書は4つの短編から成っている。どの物語を読んでいる間も、私の中にはずっと優しい風が吹いていた。
温かい食事と寄り添いによって、人生の答えを他人から与えられるのではなく、自分の力で見つけだそうとする人たちの姿に、そう感じたのかもしれない。
『マカン・マラン』。
私の近くにもそんな場所があれば、と思う。