あらすじ
「苦しかったり、つらかったりするのは、あなたがちゃんと自分の心と頭で考えて、前へ進もうとしている証拠よ」
元エリートサラリーマンにして、今はドラァグクイーンのシャール。そんな彼女が夜だけ開店するお店がある。ここで提供される料理には、優しさが溶け込んでいて――。
仕事一筋の40代キャリア女性へ「春のキャセロール」。
手料理を食べない中学生男子に「金のお米パン」など、心と身体があたたまる四つの物語。
10年愛され続ける名作が、ついに文庫化!
〈解説〉ドリアン・ロロブリジーダ
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Posted by ブクログ
ご飯から力をもらうだけではなくて、シャールさんがシャールさんでいることで人が励まされていく物語でした。読んだだけなのに、私もなんだか励まされた気がします。また、提供される料理を想像するのも面白かったです。ぜひ食べてたい、、!
「自分の負荷は自分で決める」
お気に入りのフレーズです。
漠然と今の自分に不安を感じていましたが、みんながなにかしらの負荷(荷物)があると考えたら、なんだか気が楽になりました。どうせ背負うものなら、登場人物のように責任を持って自分で決めるべきですね。
Posted by ブクログ
読み終えた後、まるで温かいスープを飲んだ後のような余韻に包まれた。
店主シャールさんの言葉がこれほどまでに心に響くのは、彼が圧倒的な人間性を持ちながら、常に自分の考えを自分の言葉で、素直に語っているからなのだと思う。
特に、20代半ばのさくらが自分の人生を「空っぽ」だと自覚するシーンが深く心に残った。
「受験とも恋愛とも本気で向き合ってこなかった。その都度流れに身を任せ、流され続けたツケが回ってきたのだ」
この気づきは、親となった今の自分にとっても無視できない重みがあった。人生の節目節目で、目の前のこととどれだけ真剣に向き合えたか。その積み重ねが、社会的な立場以上に、その人の価値観や人間性を形作るのだと痛感させられる。
そんな絶望に近い気づきに対しての、シャールさんの返しがまたいい。
「空っぽなら埋めていけばいいんじゃないかしら」
「苦しかったり、辛かったりするのはあなたがちゃんと自分の心と頭で考えて、前へ進もうとしている証拠よ」
誰かの救済を第一に考えている彼だからこそ、第一声でこれほどシンプルに、優しく肯定してくれるのだろう。
今、人生がうまくいっていないと感じるすべての人に、シャールさんのような存在がいてほしい。そして自分自身も、いつか誰かにとってそんな存在になれたらいいなと思わせてくれる、大切な一冊になった。