小説・文芸の高評価レビュー
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『健やかな論理』
かなり短い話なのに、読後にずっと残るタイプだった。
主人公は、自殺した人のSNSを遡り、死にたくなる前触れを探すのではなく、むしろそこに因果関係が存在しないことを確認して安心している。
普通に投稿し、再配達を頼み、日常を続けていた人が、ある時突然死を選ぶ。
その不安定さを確認することで、「人間はそもそも説明できない存在なんだ」という感覚に安心しているようにも見えた。
この話の面白さは、「死にたい理由」だけではなく、最後に「生きたい理由」も同じように説明できないものとして描いているところ。
人は大義名分や明確な理由だけで生きているわけじゃない。
読みかけの本、明日の予定、何気な -
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高橋源一郎さんの「ぼくたちはどう老いるか」を読んだ。簡単な言葉で書かれているんだけど、中身は深奥までずしんと響いた。
鶴見俊輔の「もうろく帖」、ハルノ宵子の「隆明だもの」、有吉佐和子の「恍惚の人」、耕治人の晩年の私小説、谷川俊太郎の死、高橋源一郎の弟の死などを取り上げ多角的に「老いる」ことについて、自分自身、家族、社会にとってどうなのかが書かれている。
この中で一番衝撃的で考えさせられたのは耕治人の私小説だった。経済的に苦しい親類もいない夫婦二人の人生の終わりが描かれている。
長年売れない貧乏作家を文句も言わずに支えてきた妻が認知症で壊れていく様子。ガスの付けっ放し、夜中にご飯の支度、糞尿の垂 -
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ネタバレ今回は、前作「後悔病棟」の続編という感じで、主人公は早坂ルミ子から黒田摩周湖へバトンタッチされた感じ。摩周湖も、病院中庭にて聴診器を拾う。実は、ルミ子が仕組んだものでした。摩周湖は、ある末期癌患者2人を担当する
。1人は高校生の桜子、もう1人は国会議員の妻貴子。
2人は、治験で試した薬が劇的に効き、退院するまでに回復する。
桜子はみなし子で、施設で生活していたが、高校を卒業したら、施設をでなければならない。
そのため、当初就職のため工業系高校に行こうとしていたが、学力が高いためまわりの大人たちにトップ校に行くよう勧められる。しかし、それは施設職員のたんなるエゴに過ぎず、桜子の将来を考えてのこと -
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ネタバレ本当に良かった〜。西加奈子、こう、言葉にできないけど知っている感情を描写するのが上手なんだよね…。
こっこは9歳、小学5年生。祖父母と両親、三つ子の姉と団地で暮らしている。幼くて聡明で猛々しいこっこの、日常と成長の物語。
基本的に文体は軽やかでコミカルなんだけど、ふとしたところに出てくる各人の優しさにめちゃくちゃぐっとくる。「みんなそうだから」に流されないこっこが瑞々しい感性で世の中を見て、感じて、成長していくこと。こっこを取り巻く人々の形のない、けれど常に薄く漂う優しさ。
表題「円卓」は家族が揃う場でずっとタイトル回収はしてるんだけど、ラストがあまりにぐっとくる。力強い筆致で書かれたこっ -
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『竜の医師団』の新刊5巻が今月出る……!
ということに気づき、慌てて積んであった3巻を読んでいます。
めちゃくちゃ面白いんです、このシリーズ。
それに、この著者は絶対に裏切らないという信頼があって、
とんでもなく読後感がいいし、とにかく元気が出る。
メンタルが落ちた時に読もうとあたためていたのですが、
結局落ちることなく1年が過ぎてしまったので、
はい、もう読みます。笑
『竜の医師団3』庵野ゆき
竜が出てくるファンタジーはたくさんある。
最近読み始めた『フォース・ウィング』だったり、
『はてしない物語』や『ゲド戦記』にも竜は登場する。
でも、こんなにも竜と人間の距離が近くて、
竜 -
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記憶が、さらさらと砂のようにこぼれ落ちていくとしたら。
大切な人が、大切な場所が、大切な過去が、
少しずつ思い出せなくなっていくとしたら。
自分は最後まで小さな記憶をたぐり寄せてあがくだろうか。
それとも、すべてをあきらめて忘却に身をゆだねるだろうか。
たぶん、正しい答えなんてない。
けれど、人生の終わりにこんな旅ができたなら、
きっとすべてが上書きされるくらい、
最高の人生だったと胸を張って言えるのではないだろうか。
『空、はてしない青(上)』メリッサ・ダ・コスタ
若年性アルツハイマー。
最初は正直あまりピンとこなかった。
どこか、自分とは遠い世界の話のような気がしていて、
話題 -
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現在の日本における高齢者医療について考えさせられる作品でした。
信州の松本市の北にある安曇野市、梓川のほとりにある病院が作品の舞台。夏川さんの繊細でスッキリとした風景描写と医療のプロフェッショナルの側面と素直で明るく優しい人柄を併せ持った登場人物たちが活躍するストーリー。「神様のカルテ」シリーズとほぼ同じ社会を背景にしています。
「神様のカルテ」では医療の現場の過酷さ、医師の葛藤を柔らかなタッチで描いていましたが、本作のテーマは高齢者医療の現実。
自分自身の経験からいうと、内科、整形外科に行くと高齢者ばかりが目につきます。社会の定義としては私自身も前期高齢者ではあるけれど、その私から見て -