今村夏子さん、初めまして。
大好きです。
語られる視点が、私にとっては初めての視点で、それがとっっても新鮮で面白くて大好きでした。
信頼出来ない語り手とも言えるのかもしれないけど、それとはなんかまた感じ方が違う、本当に不思議な読書体験でした…!!
どういうことかというと、語り手が、「むらさきのスカートの女」を追う「黄色いカーディガンの女」なんですね。
その黄色いカーディガンの女から見た、むらさきのスカートの女を語ってくれるのですが、ストーカー状態なので、ほぼ作者が神の視点でむらさきのスカートの女の全ての行動を語ってるように思うんですよ…でもふとした瞬間に本当の語り手である黄色いカーディガンの女のプライベートな話があったり、主観があったり、黄色いカーディガンの女が、音で憶測するしかないむらさきのスカート様子があったりするんです。
だから、「あぁそうだった。これはあくまで黄色いカーディガンの女が語り手であって、全てを知り得ている神の視点をもつ語り手じゃないんだった」って急にまた超現実に引き戻されるんですよ。
もうそれがなんか読んでいて不思議でたまらなくて。この感覚たまんないですね。
その読む視点のこと以外にももちろん面白いところは沢山あります。例えば問題提起されていることが沢山あって、非正規雇用のこと、女が多い職場特有のこと、人間の孤独について、「変わった人」をいやに気にする「他人」について。
色んな人に読んでもらって、語り合いたい本。たっくさんの視点から語り合えること間違いなし。
文庫本の最後についていたエッセイも良かった!最近たまたま辻村深月さんの子育てが出てくるエッセイとか、この今村夏子さんの子育てが出てくるエッセイを読めていて、作家さんたちの子供にまつわる話が面白くて大好きです。
嬉しい!頑張れる!!
そして最後に!ここまで辿り着いてくれた方、プッチャヘンズアップ!!
帯について語りませんか?!
1人でも語ります笑
「何も起こらないのに面白いとTikTokで話題沸騰!」という帯の謳い文句について!!!
まず、ストーリーズで「SNS で話題」とか逆に萎えると生意気にも発信させていただいたら、何人もの方に共感いただきました。これはマーケ部的なところ(?内部の方教えてください!)がプロとして作ってるし、これで売れると思われているからまず間違いないのでしょう。本好きはどっちみち買うから、誘いたいのは普段本を気軽に買わない人ですもんね。素人の私がブーブーいう筋合いはマジでない笑
でも特にTikTokは本と合わないよね、と色々話をさせてもらいました!みなさんありがとうございます!!モヤった時に、話せる相互さんいるの本当に嬉しいです。
スッキリです!笑
この点は良いとして、どうしても「何も起こらない」が全く理解できず。
ストーリーがどんどん進むし、結構ドラマ起こると思うんだが?どゆこと?
もっとほんっっとに何にも起こらない本沢山あると思うよ?笑
英語に訳したルーシー・ノースさんの解説を読んで少し分かった。海外の読者(および日本も含め全世界のTikTokの民)は分かりやすい個性を持ったキャラクターたちと、「むねのすくような分かりやすい結末」を期待していたのかな。
各国の文学作品(エンタメ小説でなく)にそんなものあるのか?とも思うけど、そういうこと?
なんか「何も起こらない」で本当にびっくりしました。
帯はさておき、こちらの小説大好きな本になりました。芥川賞をもっと読みたい欲に火がつきました。
買いたい本増えすぎる…