小説・文芸の高評価レビュー
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心に残ったのは、登場人物たちの「感情の揺らぎ」。リア王の言動は、その瞬間の気分によって大きく変わり、子どもたちへの態度も一貫しない。それが物語の不穏さを生み出し、読者として「自分はどうだろうか」と考えさせられた。多分、規模は違うけど、自分も似たようなもんだろーと。
立場や役職にかかわらず、人はときに自分の都合で物事を解釈してしまう──その普遍的な姿が作品全体に映し出されているように感じた。
また、メタファーや難解な言葉が多用されていて、読みながら「もっと教養を深めたい」と思わせてくれ、深い背景知識があれば、さらに豊かな読み方ができそうだ。
余談で、リア王が嵐の中に身をさらす場面です。自分では経 -
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ネタバレ人が住まなくなった集落・蓑石を舞台にIターンでやってきた移住者に起きるトラブルを市の職員・万願寺が解決していく物語。
これぞ米澤作品というべき、濃厚なミステリーでした。
移住者たちに降りかかるトラブルに対応する万願寺だが、その甲斐もなく蓑石から離れて行ってしまう。その徒労が不憫で偶然と思いきや実は...。という展開に驚かされました。限りある財源を正しい方向へ...という正義とそのために移住者をわざと追い出すという冷酷な行動。事業を正すためとはいえ何も知らない移住者を追い出し、それを止めようとした万願寺の努力を無に帰すようなことをしたのはいただけないかなと思いました。万願寺はもう働かずに辞めるん -
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ネタバレ複雑な環境で弱々しく育った2人だからこそ分かり合える、その絆と愛情がとても美しかった。果遠ちゃんが結珠ちゃんのリボン盗んだり、嘘をついて友達から住所を聞き出したり、あげく結珠ママに睡眠薬飲ませたりと、終始ずっと結珠ちゃんへの愛情から犯罪チックな行動をしててサイコパスみを感じてちょっと怖かったところもあるけど‥笑。「光のとこにいてね」っていうのは、「自分は汚れてもいいからあなたは綺麗なままでいて」という意味にも捉えられる気がする。あと結珠ちゃんのお母さんが嫌なヤツすぎた。本を読んでて最初から最後までこんなに嫌なやつ、なかなかお目にかかれない。笑
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上巻ののどかでほのぼのとした感じから一変、下巻は少し不穏な雰囲気。
研究室で持ち上がるいくつかの問題に向き合うメンバーたち、そこに大きく関わるのが、のほほーんと入ってくる藤丸の存在。
門外漢の何気ない言動に気付かされるってあるあるですが、藤丸のこのキャラクターが効いてきます。
誰のことも一旦受け入れて咀嚼してみる、だから慮れる。もう藤丸は愛じゃん、と思ったり。
あとは松田先生ね、上巻から気になってましたがまさかそんな。松田先生いいよなぁ。
世紀の大発見も日々の地味な作業の積み重ねの結果で、これはいろんな研究室で今も進行中なんだよなぁ。
料理の世界だってなんだって、真摯に誠実に向き合うってのはそ -
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オモコロ記事として掲載されていた時からずっと好きだった城戸さんのまとめサイト風の読み物。
まとめ記事を中学生高校生の頃よく読んできた自分としては大好物でとてもよかった。
2chのスレ住民の距離感みたいなものが、けっこうそのまま描かれていて好き。もちろんお話としての体裁を保つために割と整頓されてはいるんだけど、死者が出ても結構ドライな感じとかがちょうどいいな、って思う。すごく良く言うとあの頃の2chにはゆるやかな連帯感みたいなものがあって、その雰囲気を残している。
あと、>>1から>>1000までの文字数って意外と短編〜中編に適したボリュームなんだなって思う。このフォ -
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世界観、登場人物の口調、ロジック構築の方法、少しの恋愛要素
個人的な好みが満載の作品だった。
魔法によりドレスに変身し舞踏会に参加したシンデレラが、冤罪をかけられるがお得意の屁理屈で自身の無罪を証明しようとするという話。
シンデレラの丁寧な言葉遣いから放たれる煽り文句や、一つずつ論理的に時間を整えていく様がとても好み。だからこそ途中のクロノアの勢い任せの推理パートを読んでいる時は複雑な気持ちになった。
シンデレラの推理パートの中を小さく区切られているが、その区切りの最後のセリフが毎回気持ちの良い物だった。中でも「ガラスの破片が、何故、靴だとわかったのでしょう?」というセリフには「確かに」と声 -
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天命に背く行為で災いを呼ぶからと
わずか4歳で幽郭の に合い
家族を含め育った町を奪われた蓮珠。
医療行為を禁止されるなんて酷いと思ったけど
病で死ぬのは天命で運命だといわれれば
確かにその通りなのかも知れないとも思えてくる。
薬と香辛料は表裏一体だから
香辛料を扱う家で奉公しながら
薬師として知識を守ろうとしてる蓮珠は
本当に強い子だと思うし
人を助ける為に薬を調合して
死罪になった時の覚悟や諦めは凄い。
そこから陰陽師の晴藍に助けられ
蓮珠の薬師としての知識と
晴藍の陰陽師の能力で協力しながら
ある村の災いを解決するし
蓮珠の出生や九十九の書の謎が見えてきて
2人の旅の幕開けって感じ