あらすじ
一攫千金を夢見て忍び込んだ砂漠の街にある高レートカジノで、見事大金を得たジョージ。誰にも見咎められずにカジノを抜け出し、盗んだバイクで逃げだす。途中、バイクの調子が悪くなり、調整するために寄った小屋で休むが、翌朝外へ出ると、カジノがあった砂漠の街は一夜のうちに跡形もなく消えていた──第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に選ばれた表題作を始め、奇跡の如き消失劇を5編収録。稀代のトリックメーカー・北山猛邦の新たな代表作となる、傑作推理短編集。/【目次】一九四一年のモーゼル/神の光/未完成月光 Unfinished moonshine/藤色の鶴/シンクロニシティ・セレナーデ
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
北山猛邦さん、初めて読んだ。
色々なミステリランキングにランクインしていて気になった本で、「消失」をテーマにした5つの推理短編集。
どれも世界観が分かりやすくて、短編なのに一気にストーリーに引き込まれた。
館が、街が、一瞬にして消失してしまうという一見ありえない話ばかりなのに、論理的なオチがありすっと物語が終わる感じが良い。
ホラーというわけではないが、どれも何だかゾッとしてしまうような話ばかりだった。
Posted by ブクログ
前評判通りのおもしろさ。ミステリーにありがちな文体の読みづらさもないし、ある程度予想できた上でその上をいかれる塩梅が自分にはちょうどよかった。それにしても、消失トリックだけで何をこんなに思いつくことがあるのか。一番好みだった消し方は「藤色の鶴」。
Posted by ブクログ
なんかのベスト1に押されていたので、著者のことも内容もよくわからないまま購入。あらすじと感想が良さそうと感じられたのは確か。
モチーフが「建物の消失」の作品ばかりの短編集だった。本格トリックなのだが、ゴリゴリ理屈詰めでいくのではなく、その設定や会話になんとも不思議な味わいがあり、楽しんで読めた。
最近流行りの、癒し系謎解き連作短編集(あれはあれで好きだが、最近多すぎ)とは異なるテーストの良い作品だった。
Posted by ブクログ
全編"消失"というシチュエーションのみを扱った本格ミステリーで、銃のスコープの中の屋敷、砂漠の街、ポオの遺稿に書かれた小屋、神聖な丘の頂上に建つ鳥居、複数の人間の夢に現れる白亜の館の五編が収録されていて、どれもが読み手の意表を突くトリックと幻想的な雰囲気が魅力的で外れ無しの短編集だった。
Posted by ブクログ
9月に刊行されていたのをすっかり見落としていた、北山猛邦さんの最新刊である。帯によると、週刊文春ミステリー・ベスト10で第2位、そして何と、2026本格ミステリ・ベスト10で第1位。遅れ馳せながら手に取った。
本作は、全5編とも、建造物が姿を消す消失トリックを扱っているという。ネタの難易度が高いせいか、自分が知る限り先行例は少ない。1編だけでも大変なのに、5編揃えるとは。期待以前に、斜に構えてしまったことを告白しておこう。
「一九四一年のモーゼル」。酒場で老人から聞いた話。監視していた邸宅が、跡形もなくなっていた。本作中、最もトリックらしいトリックか。伝説の某コント番組を思い浮かべたのは、自分だけだろうか。時代は戦時下なのに、何と愉快なことか。
「神の光」。ラスベガス近郊の秘密のカジノで儲けた男。翌日、カジノは町ごと消失していた。史上最も大掛かりな消失トリック(?)に違いない。米国の地理や歴史、そしてあのことを考慮すれば、なるほど、あり得ない話ではないかもしれない。
「未完成月光」。エドガー・アラン・ポオのものだという未完成原稿に描かれた、小屋消失の謎とは。確かにそのような事故は発生していた。北山さんはこの事故を知っていてアレンジしたのか。情報収集力もまた、作家の重要な資質に違いない。
「藤色の鶴」。時代が1055年、現代、近未来の2055年と前後する構成は見事だが、ファンタジーかリアリティか、ぎりぎりの線を攻めた印象を受ける。言うなれば、最先端技術と伝統技法の融合。自分が知らないところで、ここまで進んでいたのか。
「シンクロニシティ・セレナーデ」。山中に佇む、夢に出てきた洋館。ここに建てられた理由とは。オカルトっぽい展開かと思ったら、結末は予想外だった。ハウダニットでもあり、ホワイダニットでもある。それは欲望に塗れた人間たちへの警鐘か。
全5編とも、史実や社会情勢を巧みに取り入れ、派手さだけに頼らない作品に仕上がっているのは、作品世界を緻密に作り上げることに長けた北山さんらしい。本作は、物理の北山の面目躍如であると同時に、原点回帰ではないだろうか。
Posted by ブクログ
大長編のメイントリックに使えそうな大ネタをそれぞれの短編に惜しげもなく詰め込んでいる。圧巻。
特に表題作「神の光」や、「藤色の鶴」などは、小説としての情感もあり、見事というほかない。
Posted by ブクログ
建物消失という壮大なテーマの五篇の短編集。
「その街は、たった一晩で姿を消した」という帯に猛烈に惹かれてまんまと買ってしまいました。
トリックが壮大すぎて、ちょっとそれは無理がないか?と思うものもありましたが、そういうのも自分の予想の範疇を超えているだけでもしかしたら不可能ではないのかもしれないと思わされるくらい、全ての作品がハイクオリティ。
そもそも建物や街を消すなんて、無理やりすぎるくらい大がかりな仕掛けがないとできないですしね。
というかトリック抜きにしても一篇50ページ程度でこんなに独自の世界観を作り上げられるのかというほど面白く、ゆっくりじっくり読もうと思っていたのに続きが気になって読む手が止まりませんでした。
表題の「神の光」と「未完成月光」が特に好きです。
すごく面白い本読んじゃった!という満足感でいっぱいです。
Posted by ブクログ
北山猛邦さんの作品は、どうしてこうスッと入ってくるんだろうか。
そして不思議と童話を読んでいるような不思議な世界観を感じる。
文体が読みやすく、そしてイメージがつかみやすい。
『消失』がテーマにされた短編5本。
ただミステリー要素もありつつ、物理的な仕掛けもあって、また歴史的な学びもあって興味深かった。博識な方だなぁ。
Posted by ブクログ
消失をテーマにした5つの短編集
ロマンを感じた作品
この作品の雰囲気が好き
短編集なのにどの作品も強いインパクトが残る
お気に入りは表題作「神の光」と「藤色の鶴」
特に「藤色の鶴」の鳥居の消失トリックに惚れた!!
美しすぎて最高でした!!
Posted by ブクログ
どの作品も精巧に積み上げられたストーリーで、読み進めるたびにドキドキする。
特に表題作「神の光」と最後の「シンクロニシティ・セレナーデ」は出色。
本当はこれが真実なのではないかと思えてくる。
Posted by ブクログ
5本の消失トリックがけっこう凝ってるのも凄いが、文章としても結構バラエティに富んでおり、素晴らしい。この方の作品を読んだのは初めて。他の作品も読んでみたい気になったわ
Posted by ブクログ
作者の作品を初めて読みました。
作者について、何の予備知識もなく読み進めていて化学系か物理系の雰囲気で、少し理屈っぽくて読みにくい、、と思った一編目と二編目でした。
しかし、三編目からはその内容が怪しげとなり、四編は不思議へと変化していきました。
五篇目では、いよいよ本格ミステリー要素か強くなり最後は「そうだったのか」と思わせました。
読後に作者についての紹介文、「物理トリックに定評があり幻想的な独自の世界観」とあるのを読んで納得納得。
物理系や化学系のトリックは苦手で、幻想的や怪奇的な作品の方が好みですが、なんとも不思議な満足感で面白く読めました。
Posted by ブクログ
上質な消失トリックの詰め合わせ。
トリックは着眼点に驚かされるものが多く、技巧というよりも、意外性が光る。
短編集は賞レースには不向きな印象もあるが、各ミステリ賞にでもランクインしててすごい。
Posted by ブクログ
今年初レビュー。
戦時中のロシアで豪邸が一夜にして消える「一九四一年のモーゼル」、カジノのあった砂漠の街が一夜にして消える「神の光」、未完成の小説に出てくる小屋が忽然と消える「未完成月光 Unfinished moonshine」、2025年の未来、カスピ海の小国で一瞬にして消えた車輛や建物「藤色の鶴」、度々見る夢の中で霧に消える館「シンクロニシティ・セレナーデ」と5つの消失推理短編集。
どの作品も建物や街などが忽然と消えるミステリー。不思議な感覚で、まるで歴史小説を読んでいるよう。そして、そのネタバレがどれも感心させられ、知識が増えた気分になるものばかり。
「神の光」は第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に選ばれた作品とあって、なるほどな種明かし。作者の北山さんは初読み。なかなか知的な小説だった。
殺人事件がメインのミステリーばかり読んでるけど、こういうミステリーも心の栄養になるなぁ。
今年も昨年のように、たくさん読んで、たくさんレビューできればと思ってます。みなさんのレビュー楽しみにしてます!
Posted by ブクログ
消失ものだけを扱った短編集。
様々な形や規模の建物が消えるのが面白い。
SFやファンタジーの要素を感じさせつつも、不思議なだけでは終わらない着地の仕方をしている。
好みの作品は「一九四一年のモーゼル」と「未完成月光」どちらも余韻が良い。
自称長年のファンとしては「本格・ミステリベスト10」で1位になったことがとても嬉しい。
Posted by ブクログ
“消失”をテーマとした短編集。
建物だったり街だったり、消失する対象のスケールが大きく、謎自体にワクワク。異国の地を舞台に選んだり、時代を変遷しながら物語をつむぐことによって、破天荒な真相に納得感を加えて着地させている。ロジックよりトリック、リアルより幻想、に寄った本格ミステリ。
◆一九四一年のモーゼル
独ソ戦最中のレニングラードで、屋敷ごと消失した宝石装飾部屋『硝子の間』
最後に一気に繋がるのが爽快。
◆神の光
カジノで大勝ちして大金を得た後、一夜にして消失した街。光に包まれた後、大金も失ってしまい…
異世界オチを想像していたが、撃沈。
◆未完成月光
ポオの未発表原稿の続きを書きたい作家のために、作中に出てくる山小屋消失の謎に挑むが…
消失の種明かしはまだ理解できるが、その後の不穏な展開が意味不明。
◆藤色の鶴
消えた砦の上の建物と車両、鍵を握ると目された少女までも消失。
千年の時空を越えて謎解きをする構成がユニーク。こんなプロット読んだことない。トリックがぶっ飛んでて苦笑。
◆シンクロニシティ•セレナーデ
館が消える夢を繰り返し見る人たち
物理が嫌いな人、化学はいかが?
『消失』で思い出した。中西智明さんはいずこへ?
週刊文春ミステリーベスト10 2位
このミステリーがすごい! 7位
本格ミステリ・ベスト10 1位
ミステリが読みたい! 8位
リアルサウンド認定国内ミステリーベスト10 5位
Posted by ブクログ
『一九四一年のモーゼル』はアイデアのみで評価すれば『占星術殺人事件』に匹敵するレベルかと思います。殺人のトリックではないのが玉に瑕ですが、心理の盲点を突いたようなエレガントな消失ものです。2004年初出ということで、20年も書籍にならずに埋もれていたのが信じられません。このアイデアだけで星4献上です。
ただ、この短編だけクイズの側面が強い。後半の『藤色の鶴』や『シンクロニティー・セレナーデ』あたりは消失をメインに添えるのではなく、ドラマ性で支えていただけになんか惜しい。
表題作『神の光』はギャンブルものとして開幕し、街が一つ消失する。「インセキジャネーノ?」と思ったが、さらにとんでもない真相だった。一応ロジックなるものがあり、世界史にそこそこ詳しい人間なら推理が可能ということで本格の範疇か?
私のお気に入りは『未完成月光 Unfinished moonshine』 幾度となく擦られた「エドガー・アラン・ポーの未発表原稿ネタ」で、恐らく唯一原稿の中身までしっかりと描かれた作品。「ポオにしてはなんか軽くね?」に対する言い訳もいい。大鴉に館の焼失、美女の死とポーネタ散りばめ、消失ものを演出。ポーならこんな種明かしはせず、『アッシャー家の崩壊』のようにぶん投げて終わりそう。語り手と小説家の2人のキャラはどことなく三津田信三作品っぽさもある。
『シンクロニティー・セレナーデ』は異質な雰囲気で、消失よりも館が消失する夢の共有という現象に惹かれて読んでしまう。夢と記憶の共有・集合的無意識を取り扱った幻想小説としても読める。荒唐無稽だが面白い。
Posted by ブクログ
気持ちいいくらい鮮やかに消えてしまう消失ものの短編集
時代背景や事件内容はバラバラだけど全編において「何故消える!?」と疑問から物語に引き込まれた
「藤色の鶴」が雰囲気的に1番好きかな
ちょっとマニアックな物理と化学と歴史も多くて勉強になった
Posted by ブクログ
街、建物等の消失をテーマにした5編から成る短編集。
短い中にもブレがなく、また短いがゆえにしっかりと組み立てられていてミステリーの醍醐味を堪能した。表題作も面白かったが、第1話の一九四一年のモーゼルが図解まであって気に入った。かなりドライなマティーニが飲みたくなる作品だった(どんな意味よ)
Posted by ブクログ
消失に焦点を当てた短編集ということで、割と期待していたが、それまでに言及されていない歴史的背景などをヒントに提示してくるあたり、アンフェアに感じた。
そのヒントは一般常識として扱ってもよいか微妙な範疇で、浅学な人や理系がかわいそう。
本来目指すべきは「考えたら分かる」であって、「知ってたら分かる」ではないはずなので減点。
Posted by ブクログ
消失系ミステリの短編集。荒唐無稽なトリックなんだけど、やろうと思えばできないことはない、という所をうまく押さえた話だった。
未来のための消失を書いたシンクロニティセレナーデが一番好き。未完成月光も京極夏彦風味を感じてよかった。
Posted by ブクログ
館が消える事象を集めた短編集。どれも話は違うが薄暗い不気味な雰囲気が漂う感じが好みだった。
程よく先が気になる感じだが、読み返すほどではないかなと思い星3つ
Posted by ブクログ
消失トリックと言われてピンとこなかったんだけど、館が街がお社が一瞬で消失するという不可能状況で統一されたミステリ短編集。どの作品もトリックありきなんたけど、それをどう語るかがミステリ小説の面白さのひとつなんだなということを再認識させられる。私自身物理トリックは「ふーん」で流すタイプなんだけど、本作は各作品とも楽しく読めました。
「一九四一年のモーゼル」→戦時下のロシア、狙撃手の監視下で文化財の館が一晩で消失
「神の光」→一攫千金を狙って潜り込んだ違法カジノが街ごと消失
「未完成月光 Unfinished moonshine」→ポーの未発表原稿とされる作品中、小屋が一晩で消失
「藤色の鶴」→千年前の日本で山の上の社が、ちょっと未来の異国で監視下の少女が、そして現代田舎のお祭りで鳥居が消失
「シンクロニシティ・セレナーデ」→白い屋敷が消失する夢を繰り返し見る主人公。同じ夢を見るという人物から接触があり…。この作品、夢についての仮説と屋敷消失のイメージが一致する「腑に落ちた」感覚が忘れがたいのと、全編通しての神秘的な雰囲気が好きで印象に残りました。
Posted by ブクログ
期待して読んだけれども
新本格隆盛期の短編集に比べるとちょっと期待外れかなあ
どれもものすごく読ませるのだけれども
なるほど!とか、うまいなあ、というのがあんまり
トリックは出尽くしたということか…