小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ一穂ミチ作品は初めて。2022年本屋大賞3位、文庫解説は辻村深月と来たら読まないわけにはいかないよ。
短篇集だけどどれも大変読みやすく、それなのに読み応えもあって夢中で読んでしまった。
ネオンテトラ
美和はなかなか子宝に恵まれず、夫の不倫も気づいてはいるが表面上は何事もなく過ごしていた。
父親に罵声を浴びせられている笙一を見かけて、姪の同級生ということもわかり、家に帰りづらくなっている彼を構うようになっていく。家庭も仕事もイマイチな自分が、不思議と彼と時間を共有する間はホッとしていた。
ある日不在にしていた自宅で姪と笙一が身体を重ねていることを知った美和は、ある計画を実行する。
魔王の帰 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画は半年前に観たから、少し記憶が薄れていますが…
それにしても徳ちゃんの存在よ!!!
映画では最初と最後ぐらいしか出てこなかったよね!?
この原作みたいにガッツリ喜久雄の側にいてくれたらどんなに心強いか。。。映画は喜久雄からどんどん人が離れてひとりぼっちで悲しそうだったんだよな。。
喜久雄の実子である綾乃にも懐かれているし、なにより俊ぼんとの再会シーンにお父ちゃんの位牌を一緒に連れて行くなんて!!徳ちゃんめちゃくちゃいい奴!!!涙
あと白虎と半二郎のW襲名披露で喜久雄の心が闇に一気に傾くシーンが、映画ではかなり派手に演出されたんだなぁと。あれは渡辺謙も吉沢亮もすごかったもんね!
と、原 -
Posted by ブクログ
ネタバレ必要とされたいという誰しもが持っているであろう普遍的な感情、その想いをことごとく幼少期から大人になるまで踏み躙られてきた幸乃が選んだ結末は、あまりにも悲しく、胸を掻き毟られる想いだった。
恵まれない家庭環境で育った人と接すると、必要とされたい、愛されたい、といった感情を異常なまでに感じる事があるが、それが叶わないと諦めてしまった時、また幾度とない失望に晒されて、希望を抱くことすら恐怖に感じた時、人はこの世にいることを諦めてしまうのだと思うと、身の回りの人にも起こり得そうな気がして、言葉を失った。
様々な事情から、承認欲求や愛を渇望してる人たちに、自分は何をしてあげられるのだろう。
一生彼ら -
Posted by ブクログ
うわあ 素敵な本でした。
5つの短編が最後に繋がっていく。
一つ一つの話しに 深い愛情を感じました。
お天道様の 娘が嫁に行っちゃう父親の話し
ぐっときました。
世の中の口下手で不器用なお父さんたち
娘がこんなふうに言ってくれて 婿がこんなふうにしてくれる。
自分が気が付かなかったことは おくさんが解説してくれる。
ここまできて やっとわかるお父さんは 手間がかかるけど 幸せな人です。
そしてそのお父さんのやってる修理工場が 次の話し
ウミガメの逢坂那智のオートバイ神風を 直してくれて 繋がっていく。
離婚して 子供がどっちの親と暮らしても
なかなか口に出せない思いが -
Posted by ブクログ
引き込まれる話の展開と考えさせられる深いテーマが盛り込まれていて一気読み。
人種問題や差別はなくなることはない。この世に黒人しかいなくても、生まれや見た目などで差別するだろう。実際、この本の中でも黒人の肌の色が濃いか薄いかの会話が何度も出てくる。
人間は、階級や違いを見つけては差別する生き物だ。「人種差別はしない、するべきではない」という素晴らしい信条を持っていても、「あの人は〇人だから」といった、偏見を少なからず持っている。
黒人のトムが日本に駐在中、「ここには平和がある。そして何より素晴らしいものがあります。それは平等です。平等があるから、だから私は日本が大好きです。」と、笑子や笑子