ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • 名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―(新潮文庫)

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    繰り返される解決編からのラストに向けた流れは、こんな探偵の姿と結末が書けるのかと衝撃を受けた。
    閉鎖された空間で行われる、適度におかしい人々の交流など雰囲気が大好きな中物語が進んでいった。
    タイトルの秀逸さが堪らなかった。動機の深掘りも良い。

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    2026年09月13日
  • 桐島、部活やめるってよ

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    ネタバレ

    桐島が「装置」に徹底している点に感銘を受けた。

    同じクラスで、異なるカーストに属する登場人物たちのエピソードが展開する中、最終盤で「桐島」を主人公とした章が当然あるのだろう、そこで桐島の心情が事細かに露わにされ、それまでの物語の見え方が大きく転換するのだろうと予想していた。
    しかし、桐島は本を閉じるまで登場せず、それどころか彼の人物像の全貌が浮き上がることはなかった。
    与えられた情報は、クラスの一軍で、バレー部のキャプテンで、不動のリベロで、だけど部内で軋轢が生まれ去ったという客観的事実のみ。彼が日々何を思い、どのような葛藤を抱え、部活を辞めた後どのような学生生活を送っているのか、桐島の心の内はすべてが読者の想像に委ねられた。

    究極、この物語は桐島がいなくとも成り立ちうる。
    自分の置かれたカーストにより相手を見下し見下され、優越感に浸ったり劣等感を抱いたり、という手触りのある青春時代のほろ苦さがよく描かれていた。
    群像劇として読みながら、かつての自分が受けた痛みや知らず知らずのうちに放っていたであろう「ひかり」に思いを馳せた。19歳で書いたと知り、「だからこんなに瑞々しい表現、胸がざらりとする表現ができるのか」と感心した。

    この物語は、桐島がいなくとも完成度の高い群像劇として成り立ちうる。
    しかし、あえてこの本の主軸に「桐島」という輪郭の見えきらない存在を置き、またタイトルに据えた点が、朝井リョウの意匠の光る点だと思う。世に溢れかえる数々の「青春群像劇」に埋もれず、『桐島』として多くの読者を惹き付けたのは、桐島を終始「装置」として描き切った点にあるのではないか。


    自身の高校時代を振り返って、いわゆる「一軍」の中にも本当に浅いやつと、実は仲間の外を見て手を差し伸べようとする者がいたりとグラデーションがあったのかということに今更ながら気付かされた。
    当時の私は、「一軍」は「外見やスポーツの得手不得手等で一方的に線を引き、「そうでない者」を理不尽に見下してくる者たち」と一括りにして遮断していた。実際に、映画部が受けたような冷笑にも身に覚えがある。
    しかし、「一軍」と一括りにして視野の外に捨てた群れの中にも、個々の関係であれば仲良くなれる人もいたのかもしれないと考えさせられた。
    また、「カオリ」のように、周りから見れば何でも持っていて恵まれた存在でも、実は周りが持っているものを持っていない、ということもあったのかもしれないと思わされた。
    皆が何かを持っていなくて、代わりに人にない何かを持っている。本当は皆どこかでお互いに同じなのかもしれない。学生時代のカーストは絶対的なものに見えるが、大人になると自然と取り払われていく。あれはなぜだろう。

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    2026年09月13日
  • 夜空に泳ぐチョコレートグラミー(新潮文庫)

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    友人に薦められた1冊
    オムニバスが少しずつ繋がっていて、あの時のこの人だ!が、どのストーリーにもあって粋な演出だった
    人生は辛いことの方が多いけど、魔法の言葉を抱えて、大切な思い出に魔法をかけて、強く生きていくんだ
    優しくて強いいい話だった

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    2026年09月13日
  • バリキャリの子

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    母親が結婚した年齢になった娘は、婚活を始めてみた。

    主人公は化学メーカーの研究員。アプリで婚活を始めたばかり。論理的に自己分析しているのになかなか上手く行かない。
    令和でも男性に無意識に残る母性信仰、公平と平等を履き違えた家計折半希望。
    主人公の奥底に残る忙しい母親の姿。

    二章、家計折半男の話。「出産の痛みは僕には関係ないので出産費用は自分で出して下さい」と言える男のどこが駄目なのか気づいてからの主人公がとても良い。

    共働き家事家計折半の自立した女性を求める男性の本音は、自立しているから世話をしてやらなくても済んで、かつ女性には母性があるはずなので子どもや親や自分の世話をしてくれるだろうという無責任幼児思考で気持ち悪い。

    この物語に出てくるのは男女共に高学歴で高収入。『高学歴男子を育てたのは専業主婦』で、『高学歴女子を育てたのはバリキャリ』考えてみれば、ひと昔前の専業主婦は娘の学歴には否定的だったし、バリキャリだと息子は寂しさでグレそう。

    ちゃんと良い方向に向かうから、婚活に悩む女性は安心して読んでほしい。

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    2026年09月13日
  • 夏への扉〔新版〕

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    ネタバレ

    非常に読みやすい訳書でした。50年代の海外作品を何の違和感もなく読めることにまずは感謝。
    時間SFとしては割とシンプルな筋書きかと思いますが、全体的なストーリー展開の面白さと、未来の世界や人物の描写の巧みさですぐに読み終えてしまいました。特に、主人公が70年代に戻ってからのワクワク感、これから全てが良い方向に進んでいくんだという期待感は、格別な読書体験でした。
    私自身はあまりハッピーエンドを好まないのですが、そんなことを忘れさせるような説得力のある文章で、読後感も最高でした。

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    2026年09月13日
  • リバース

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     裕福な家庭と誰もが羨むような家。そこにある、いろいろな周りには見えないものがありとても恐ろしかった。 一見、裕福で普通な家庭みたいだけど一人一人の異常さが見えて、最後はとてもゾーっとした。

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    2026年09月13日
  • スロウハイツの神様(下)

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    ネタバレ

    ストーリーや、起こる出来事、すべてのキャラクターが素敵なだけでは無く、その全てに意味があり、最後に救われる結末であることがとても良い作品だった。

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    2026年09月13日
  • 異世界居酒屋「のぶ」 二杯目

    ネタバレ 購入済み

    すっごい大物が、続々とやって来る店に、なっちゃって(笑)守破離か〜それで出来た肉じゃが、食べてみたいなぁ〜

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    2026年09月13日
  • 四つ子ぐらし(15) 本当の自分を取りかえせ!

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    「トー横界隈の時、胸糞悪い話は腐るほど聞いていたけどまさかここまでとはな...」

    #ダーク #怖い

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    2026年09月13日
  • 沈黙

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    個人的かつ人間的なレベルを超えて神を理解する事や、認識する事が出来ないというテーマもあり、神の存在証明や、神の沈黙というテーマをこれほど分かりやすく、多角的に考えた作品はないと思いました。

    踏み絵を踏む事や、棄教を選択する事が、神への裏切りやクリスチャンとしての汚点だと考える、その考え自体が傲慢であり、すでに神に赦されている存在であるという事がよく理解できました。


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    2026年09月13日
  • 成瀬は信じた道をいく(新潮文庫)

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    ネタバレ

    成瀬シリーズ2作目
    今作も成瀬ワールド全開!
    高三になった成瀬
    小学生からインタビューうけたり
    京大の入試もあったり
    アルバイト先では万引き犯逮捕に貢献
    そして表紙にもなっている様に観光大使になり最後の章では『探さないでください』って笑
    ゼゼカラも健在!
    やっぱり成瀬はスゴい!最高!
    まっすぐに信じた道をいく姿にパワーをもらえた!
    何度も声に出して笑ってしまうほど面白かった〜
    私のツボワードは『コンビーフはうまいと覚えてくれ』かな笑

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    2026年09月13日
  • 草の花 現代日本のエッセイ

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    女子学院に通った少女時代を回想する表題作がよい。思春期の感性豊かな心の動きが丁寧に描かれている。特に精神的に惹かれる正枝や、作者に手紙で好意を打ち明けてくる滝沢さん等、思春期の女子特有の精神的恋愛のエピソードが面白い。

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    2026年09月13日
  • 生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った

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    北朝鮮より命がけで脱北した少女の自伝。北朝鮮からの脱出後も中国での危険な生活を経て韓国まで命がけで脱出等、相当な困難があったことを知った。

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    2026年09月13日
  • 一鬼夜行

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    百鬼夜行から物理的に落ちた自称大妖怪の小春は、百鬼夜行に戻れるまで落ちた先の喜蔵の家で暮らす。喜蔵は妖怪よりも怖い顔をしている人間。そんな二人が織り成すドタバタな日々。とてもほっこりするお話。小春かわいい。喜蔵もまたかわいいw

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    2026年09月13日
  • 京都寺町三条のホームズ : 23 アートの巡礼 前編

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    ホームズさんと葵ちゃん、ロンドンへ行く!最初は楽しそうだったのに、事件が発生して二人は別行動(・_・;)そして最後に気になっていたあの人が登場!!(⁠・⁠o⁠・⁠;⁠)

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    2026年09月13日
  • 夜の道標

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    大好物の社会派。ミステリではないけど、色々な立場の視点から、見えなかったものが見えてくる構成が面白くてページを繰る手が止められず。
    ままならない人生と、そこにある優しさと。

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    2026年09月13日
  • 風化水脈 新宿鮫8~新装版~

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    今回も、事件盛りだくさんという感じで。

    高級車窃盗事件を追っていた鮫島は、大江という、駐車場の管理人に出会います。

    その前の家が、窃盗事件に関係ありそうな家で。

    そのうちに、その家の井戸からかなり綺麗な状態の古い遺体が出てきます。

    高級車窃盗事件も、裏に中国人とヤグザが絡んでいて、そこに、出所してきた真壁がどう関わっていくのか?

    日本は人口が減っていて、外国人を使わないといけない時代に来る。という言葉がしょっちゅう出てきますが、まさに今がその時代で。

    でも、真面目に働いている外国人に罪はない。という鮫島の言葉にも救われます。

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    2026年09月13日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『あだ討ち』に至る物語の真相を主軸に、それを取り巻く芝居小屋の面々の来し方に心打たれた。

    このところ、存在のすべてを〜熟柿と親子愛に涙する小説が続いていたが、今回も久蔵の段で胸が締め付けられた。まあ坊を想って打ち首を作り上げた久蔵の心情はいかばかりか。ただひとり、死にゆく幼な子を抱きしめるしか出来なかった母のお与根の悲しみは、いかばかりであったか。

    そこかしこに不条理が存在する江戸の世。元大工の年寄りが無惨に斬り殺されても奉行所は動かない。殺した当人は士官先まで手に入れる。自身の来し方行く末に悩む与三郎に、お三津が働く飯屋「つるや」の親父が言う。『しかし、まずは御身を大切に。腹を満たして笑うこと。それでも割り切れぬ恨みつらみもありましょうが、そいつは仏にお任せするのも、手前どもの処世術というもので』。
    現代よりも神や仏が身近だった時代。不条理をしなやかに受け止めて生きる人々。白黒ハッキリさせなければ気のすまない風潮が蔓延している現代で、今ここで生きる自分も見習うべきと感じた。(頭の中では、つるやの親父は鬼平に登場する相模の彦十(江戸家猫八)であった)

    『己の想いを貫くことの難しさも、道理のままに行かぬ割り切れなさも、この世には幾多ある』。そんな時代だからこそ、菊之助の想いを貫くために芝居小屋の面々が力を合わせ、あの『あだ討ち』を成し遂げる。大団円の気持ちのいい結末だった。


    アマプラで映像化作品を見た。いつものことだけど、小説の方が何倍もいい。小さい画面のせいもあるんだろうけど。その人にそんなに大活躍させなくても…。

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    2026年09月13日
  • 夜市

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    キューライスさんデザインのパモス表紙の角川ホラー文庫を買いました、可愛い。
    『夜市』も、一緒に収録されている『風の古道』も、どちらもとても面白かったです!
    解説にもあったように、ホラーというよりファンタジーって感じがしました、どちらも。
    『風の古道』の登場人物のレンくんが推しです。

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    2026年09月13日
  • ゆびさきに魔法

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    私の爪は割と脆いので、ネイリストもネイルアートも全く縁がない。
    専門用語もあったけど、この本を通して知らない世界に触れた気がする。
    悪い人は出てこないお仕事小説。
    でも指先のほんの小さな変化が、人の気持ちを変えていく。
    タイトル通り「ゆびさきに魔法」だ!

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    2026年09月13日