あらすじ
うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。うる波が事実を打ち明けて程なく佐々は不審な死を遂げる。遺された千花が秘匿するある事情とは? 機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。
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今日も凪良ゆうは不穏で美しい歪んだ日々を綴る。
鹿野くんが死んだ。新婚2年目。お葬式が終わったら鹿野くんが縁側に座っていた。うる波はこの生活を守ることを決心する。
叔母さんがやってきて、見合いやメンタルクリニックを勧める。どちらもお断りする。鹿野くんの後輩の佐々くんと千花ちゃんカップルがくる。帰ったので鹿野くんと話していると、忘れ物で戻ってきて、一人で喋っているのをみられてしまった。他の人には鹿野くんは見えないし聞こえない。
佐々くんが旅行先で蕎麦アレルギーで死ぬ。千花は佐々くんを連れてきたというが、うる波には見えない。鹿野くんにも見えないようだ。しばらくして現れた千花はやつれてボロボロになっていた。エピペンを隠したらしい。それで佐々くんは死んだ。千花ちゃんの隣に佐々くんはいないらしい。
近所の西島さんはうる波がぶつぶつ言っていても気にしないおおらかな人だ。高校のカリキュラムが変わって休日が増えた。家庭教師を紹介された。ロボットがお友達という子だ。縁日で事故が起きて、ロボット機能が停止されてしまって、秋くんは泣く。
子供用の絵画教室に金澤くんという大学生くらいの子が来始める。小学生の秋穂ちゃんと好き合っているらしい。
高校でストーカー事件が起きた。
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凪良さんの作品を読んだのはこれで5作品目。
主人公うる波と事故死し、幽霊になって帰ってきた夫、「鹿野くん」の2人と、その周りを取り巻く人たちの日常を描いたお話。
「普通」ってなんだろうと、四編の物語を通してとても考えさせられた。
うる波は鹿野くんのいる生活が「普通」だと捉えているが、叔母や周りの人たちは幽霊と暮らす生活なんて「普通」ではないと否定し、自身の「普通」を善意で押し付けようとする。他の登場人物も皆、自分だけの「普通」を抱えており、うる波は彼らと関わりながら「普通」とは何かを思考し、成長していく。
他人の「普通」を肯定も否定もせず、ただ温かく受け止められる西島さん夫妻のような人になりたいなと思った。
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亡くなった夫の幽霊と一緒に暮らし続ける女性。ロボットを親友として心の支えにしている少年。まだ大人になりきらない未成熟な少女を見守り続ける青年。ひたすら美を追求しては辛かった過去の復讐を繰り返す女子高生。そして彼女のストーカーに疑われながらも接触を続ける美大志望生。
世の中の一般常識や世間体から見れば、はみ出てしまうような人たち。そんな彼や彼女の心の葛藤が、こんなにもストンと自分の心の中に沁みてくるとは思わなかった。
前掲の人々は、なんとか前向きに生きていこうとするのだけれど、家族、学校、会社、地域の共同体の人たちの目は厳しく、傷ついてしまうことも。
そんな煩わしいことはまずは横に置いておいて、今という瞬間を悔いなく大切に生きていこう。すべてのことがうまくいくなんてことは思いあがり。最後に守るものは、やはり自分が大事に思っている人・物・ことであるべき。本作を読んでいるとそんなふうに思えてくる。
凪良さんが紡ぎ出す人々に好感がもてるのは、奥ゆかしく暮らしながら、決して独りよがりにならず、常にそばにいる人を思いやりながら、時に明るくおおらかに、時にユーモアをもって涼やかに生きているところ。
凪良さんの別著『わたしの美しい庭』に登場する人々にも共通しているよう。ああ、こんなふうに自分も振る舞えたら…とも思うのでした。
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「誰かに迷惑さえかけなければ、いろんな幸せのかたちがあってもいい。」
人を想う気持ちに、型やルールはない。
世間の“普通”から少し外れていても、その人にとって心地よい生き方や愛し方なら、それがその人らしい幸せなのかもしれない。
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事故死した夫鹿野くんの幽霊と一緒に暮らしているうる波の物語です。
世間から切り離され、皆に理解されなくても鹿野くんとの2人の世界を選ぶうる波。何だか切ない>_<
人が愛する対象はそれぞれ。そして、その愛する人との寄り添い方もまた違う。
当たり前の事の様に思っていましたが、私の普通(?)とは全く違う愛の形の物語に引き込まれ、あっという間に読み終えてしまいました。
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美しい話だなーって。美しい言葉と文章。静かな愛情と景色。たまらなく好きです。旦那さんと別れるとかいうオチじゃなくてほんとによかった。そのままでいい。静かに時は流れて行きつく先まで一緒にいてほしいなって。もしくは秋くんの発明に期待。
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他人からどう見えていようとも本人が幸せならそれでいいんだ、そんなシンプルなことを改めて思いました。死んでしまった夫鹿野くんの幽霊と暮らすうる波。2人の関係性を聞くとうる波を可哀想な人と思ってしまうかも知れませんが、それを私が勝手に決めるのはなんと傲慢なことかと突きつけられました。たとえ世界から切り離されようとも、鹿野くんとの2人の世界を選ぶと言い切れるうる波の強さが愛なんだなと思います。誰もが何かしらの秘密を抱えて生きている世の中だからこそ、それぞれの幸せが大切なんだと思いました。
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亡くなった夫の霊と一緒に暮らしてるってなに?と思ったし、あらすじから暗くて重い話なのかな…と不安に思ってたけど杞憂に終わった。
うる波ちゃんと鹿野くんの夫婦愛は本当に素敵だし、全然アリ。
3日で読み終えるとは思ってなかった…。(流浪の月を読み終えるのにすごく時間がかかったので)
余韻に浸りたくなる物語だった。
Posted by ブクログ
うる波ちゃんのいるところが、俺にとって世界の果てみたい。
・柔らかい文章だから重すぎす読みやすいけれど、やっぱりとても切ない話だった。大好きな人が大好きなままいなくなるなんて嫌だな。うる波が少しでも多く笑って過ごしていけるといいな。
Posted by ブクログ
凪良先生の書く男の子ってなんでこんなかっこいいんだろうなあといつも思う。痩せてて骨ばっててでも絶妙に察しがよくて、そして先に死んでしまう、みたいな。
死んだ夫の幽霊と暮らす美術教師の話。鹿野くんがもうずっとかっこいい。
幸せも不幸も、決めるのが自分なら、正解を世間に求めたところで何にもならない。
「彼女の謝肉祭」のキヨくんもすき。甘酸っぱすぎて泣くかと思った。
とっても現代に即している
凪良先生の作品はどんな人も否定しないところが素敵だと思います、ロリコンでも狂ってても、人に迷惑かけてなければいいではないかと
共感などは求めない、もしくは押し付けるべきではない、という感覚は、最近の20代の子たちに非常に共感できるのではないかと勝手に思っています
あと、同著作品である「おやすみなさいまた明日」の作中に出てくる主人公の書いてる作品ってタイトルこそ違えどこれじゃない?って勝手に思ってます。
凪良先生の本だ〜表紙可愛い〜アハハ〜って読み始めたら……
もう一気になんて読めなくて。
苦しくて切なくてふとしたワンフレーズに心を抉られつつ時々本を置いて考えて………。
ゆっくりゆっくり読みました。
何だろう、
とにかく、
何か色々つまってました(語彙不足
間違いなく買って損はないです。
多様性
人の生き方、幸せの多様性を考えさせられるお話でした。自分の中の非常識な部分との折り合いのつけ方、他人と自分の考え方の違いを理解した上で、相手との距離の取り方にとても共感できました。凪良先生のお話は、考えたことないような内容のお話でも、最後にはきっちりお話を納得して楽しめるので大好きです。鹿野くんがはじめ苦手に感じたけど、最後にはすごく好きになれました。
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世間一般の「普通」とは違う愛の形がいくつも出てくる。
普通とは違うこと、型にハマらないことを強調するためだと思うけれど、描かれている「普通」が古くて少しモヤッたりもするけど、お話自体は好きです。
凪良ゆうはBLが好きで色々読んでいたんだけれど、文芸はこれが2冊目。うーん、BLと何かが違うようで、私はやっぱりBLの方が好きかなあ。
たぶん「女の人ってこうだよね」「夫婦なら」といった封建的な価値観がたくさん出てくるからだと思う。もちろん凪良ゆうがそういう価値観の持ち主ということではなくて、それを乗り越えた先の…とか、そういう人を露悪的に描いているようなところはあるんだけれども、なんというか、今どきそんな人まだいるの?という思って嫌な気持ちになってしまうんだよねえ。
今回は叔母さんが超絶嫌な感じだったのはもちろんのこと、女の子=虫が苦手、包丁研ぎ=男性の仕事、あげくは女性が泣き夫に「すべてのものから守られたい」と言ったりする。
男らしくない夫が好きで結婚した私にはちょっと理解不能だったな。
何より蝉踏んづけちゃって動けなくなる描写なんかさ、我が家なら「何してんの?蝉可哀想」で終わりだと思う。我が家は「仕方ないなあ」みたいな甘えが許されんのである。う、羨ましくなんかないんだからねっ!
けど、それぞれのお話は楽しく読めました。イヤミスちっくなお話や、ロボットもの、法に抵触するかしないかギリギリなものなど。
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凪良ゆうさんの過去作が気になり手に。
10年近く前に書かれた本書も、とても読みやすくスルスルと読めた。
やはり、経験したことのない状況にある人の気持ちを見事に代弁しているというか、よくここまでわかるなぁと驚く。
ただ、理解できない人の気持ちを共感できる程の描写かというと、近年の作品の方が上手かなと思う。
秘密がない人なんていない。
確かに、誰にも共感してもらえないと思うからこそ、秘密なのであって、そこはなかなか共感できなくて当然なのかもしれない。
亡き夫の幽霊と暮らしていることがうる波にとっての幸せ。
幸せの形はホントに人それぞれで、他人に迷惑をかけなければ、とやかく言われることではない。
端から見たら幸せに見えなくても、皆が何かしらの秘密を抱えながら、本人にとっての幸せの形を守っているのだろう。
結局は、自分以外の幸せの形など、永遠に理解できないのかもしれないな。
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喪失や孤独を描いているのに、不思議と重苦しさはなかった。大切な人を失っても、その人との関係は本当に終わるのか。そんな問いを押しつけることなく、そっと差し出してくれる。
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幽霊と暮らしたっていいじゃないか、ロボと親友だっていいじゃないか、兄妹愛があっていいじゃないか。
千花と金沢くんの話はちょっと共感できなかったけど、私が共感できなかったからと言ってその生き方を全否定することはできない。幸せの形は普通とか誰かが決めたものではなく人それぞれで、自分たちの幸せの形を望むのだから、他人のフィールドにも土足で入って行くなよ、というニュアンスを感じた。うる波は鹿野くんとの生活を異質と感じてるからこそ、境界を越えずに線引きが上手だった。鹿野くんは最後にうる波を異質から普通の世界へ戻そうとしたけど、異質のままでいる選択をしたのがよかった。うる波と鹿野くんが幸せならそれで良い。色々な生き方をしている人がたくさんいる世界だから、神さまのビオトープというタイトルの付け方は上手だなと思った。
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4.0
最初、神さまのビオトープってどういう意味なんだろうと思ってましたが読んで納得。
社会には色々な事情を持った人がいる、秘密を持った人がいる、でもそれでいいんだよと言われているような作品でした。
大切な相手と一緒に歳を重ねていけることは、当たり前じゃないし、この幸せを大切しなきゃと思いました。
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凪良ゆうさん7冊目
多類婚姻譚や流浪の月とも似たような部分ある
最初は変だなって思っちゃった。人から理解されにくいことを、嫌な目で見ない人でいたいと思った。
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事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と暮らしているうる波とその周囲のほのぼのファンタジーかと思いきや、そんな生易しいものじゃなかった。「密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間」との紹介文だったけど「愛がこんなにも親切で苦しいものだとは」という読後感があった。
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夫を事故で亡くしたうる波が自分にしか見えない幽霊?の夫鹿野くんと暮らす話
その周りに様々な境遇を抱えた人々が起こすエピソードが読んでいて面白い。人の描写や心情が本当に綺麗だなと思う。
1番驚いたエピソードは彼氏のエビベンをタイムカプセルに隠してしまって結果亡くなってしまったエピソード。これも淡々と描かれていて読んでいてびっくりした。
人には言えない秘密を皆持っているよねというのがテーマの本だなあと思った。
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あらすじをよく読んでなかったので、序盤の設定に「え、幽霊いるの?」となりました。それでも単なるファンタジーなお話にならないのが、凪良ゆうさんの作品らしさだなと引き込まれた。
『わたしは幸せだけれど、この幸せは理解されにくい形をしている。多くの人たちは異質なものを、受け入れないし、幸せすら定型にはめたがる。…「結婚しないの?」「子供はまだ?」「女なのにいつまで仕事をするの?」自分の常識からはみ出す人に、心配という大義名分で気軽に引っ掻き傷をつける人がいる。言ったほうには悪意がないから余計にタチが悪い。-植物性ロミオ-』
登場した人物たちは、人生で実際には出会わない稀有な存在かもしれないけど、その人その人で様々な境遇があって然るべきだし、主人公みたいに1回咀嚼して考えられるようになりたい(;・∀・)
2026.4
Posted by ブクログ
章を追うごとに、私個人の固定観念なのか、倫理観なのか、思想なのか、何かわからないのですか、咀嚼して共感することは難しかったです。でもだからといって、私が肯定も否定も強いることはなく、リスペクトと礼儀は持っていたいと思いました。
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これまで読んだ凪良作品の中でも、一番心が温かくなった。
事故死した夫鹿野くんの幽霊と暮らすうる波が、色々な愛のかたちに出会う。
世間に理解されなくても、本人たちにとっては正真正銘の愛のかたちであり、誰がそれを裁けようか、という彼女の一貫したメッセージが好き。
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現代らしい作品。
良くも悪くも、「個人の自由」を尊重してる。
押しつけの思いやりや、外部からのレッテルの貼り付けへの批判が題材だと思う。「好きに生きるからほっといてほしい」ということだろう。
人には知られたくないことがあって、知らない方がいいこともたくさんあって、時にそれが人の心を守る。たとえそれが「健全」とは言えなくても。
共感できる点や、納得できる点も多くあったが、他方で、「普通」と違うことを受け入れることを必要以上に迫られているようにも感じた。
私は小児性愛者を「個性」として受け入れることはやはり難しい。
本人たちにしか分からない問題があることは理解できるが、それだけを他人が口出しをしてはいけない理由にしてはならないと思う。
Posted by ブクログ
愛に溢れた作品。夫を交通事故で亡くすも、幽霊として現れ今までと同じ暮らしを開始。その中で、様々な歪んだ愛に関わることで、自分達の愛の形を見つけて行く。彼が離れると分かり殺してしまう愛、小学4年生フェチの大学生。素直になれないおささな馴染みとの恋愛。どれも苦しくもほっこり。
Posted by ブクログ
ひとは見た目だけでは判断できない
人から何と思われようと一途に思い続けるうる波が素敵
そして凪良さんの物語りに出てくる男子はいつもかっこいい
これを購入するためにはじめてBLコーナーへ(内容はBLでは無かったけれど)
学生さん向けなのか、非常に読みやすかった
Posted by ブクログ
凪良ゆうさんの作品を読むと いつも切なくなる。好きな人を無くした寂しさや悲しさを愛と一緒に丸ごと抱えて生きていく主人公、他人から見ると切ないなという感情すら余計なお世話なんだ。ただ相手が居ればいい。形は人それぞれで愛も幸せも自由なんだ。
色々考えてしまうけど、一章ごとのタイトルが秀逸。
Posted by ブクログ
私は、とにかくお話を知りたいので本を読むスピードは速く…なんなら速読くらいの勢いで読む。で読み終わってからじわじわとくるんだけど、凪良ゆうさんのお話は特に本を閉じてからが世界が広がる感じがする。
この本に登場する人はそれぞれ何かにとらわれている…それが悪いのか良いのか?とにかくうる波さんは、幽霊の鹿野くんと暮らし続けていることで、1人になってしまった自分を上手にケアしながら日々を生きているのだと思う。自分の相手は自分でするんだよと言われた言葉を思い出した。1人だからこそすがるというか、支えというか…そんなものが必要なのかも?と思えた。