【感想・ネタバレ】神さまのビオトープのレビュー

あらすじ

うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。うる波が事実を打ち明けて程なく佐々は不審な死を遂げる。遺された千花が秘匿するある事情とは? 機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めての凪良ゆうさんの作品!
旦那の狩野くんを交通事故で突如失ったうる波。
抜け殻となったうる波の元に、なんと、幽霊となった狩野くんが目の前に現れます。
•幽霊の狩野くんとは、うる波に話したり食事したりできますが、うる波が用意した食事は現実には減りません。
•見えるし話せるし触ることだってできる。
でも狩野くんの姿が視えているのはうる波だけ。
狩野くんと話しているうる波は、他人の目には異常者のように写ってしまいます。
•「夫を失ったショックで心が壊れてしまったのかも…」
「私と話せる狩野くんは、自分の願望が生み出した幻覚なのではないか?」
作中、うる波はそんな不安をずっと抱き続けています。
最終的に、今自分が大切だと思う世界をを守る選択をしたうる波に拍手!

0
2026年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「汝、星のごとく」を読んで、登場人物の感情がふわっと香ってくるような表現が好きになり本作を読みました。


「神様のビオトープ」では、妻「うる波」さんにしか見えない幽霊、夫「鹿野くん」と共に暮らす中で身の回りでおこった答えのない四つの歪な愛に関する出来事について、夫婦二人がそれぞれの心境を伝えたり、伝えなかったりする作品です。自身も「鹿野くん」に対して、歪な愛をもつうる波さんが、常識と道徳と愛の共感で自身の行動を選択するところが見どころだと思いました。

私の心が最も動かされたシーンは、春君、秋君についてうる波さんが語る場面です。私も鹿野くんと同じように、固定概念による偏見があったことを認めさせられたときに、私は物語の理解者から彼らを「歪」とする世間一般人であると突き付けられました。正しさの床が抜けた衝撃を感じました。

また、鹿野くんは彼らしい言動を行っていますが、彼は幽霊ではなくうる波さんの幻覚である可能性があります。その場合、それは彼女の理想とする鹿野くんでしょう。そして彼女が理想の鹿野くんを作り出しているということも、おそらく彼女はわかっているうえで選択しているだろうと私は思いました。これからの人生を生きていく強さと救いを求めて。

題名「神様のビオトープ」の「ビオトープ」は様々な生物が生息する場所、損なわれた自然を回復させることを意味します。確かに、様々な愛の形をもつ人が生きる世界は、神様から見れば生態系の一つに見えますね。動植物のビオトープでは、食物連鎖に従って生物の命が循環し、それぞれの死がそれぞれの生をつないでいます。これと同様に、人間の「ビオトープ」内で起こる不幸や嫌なことは生きていくうえでどうしても避けられない、必要なことなのかもしれません。うる波さんの鹿野くんを亡くしてしまった痛みを癒すためにも。

歪な愛それ自体は、どれも法律には触れていないため、罪であるとは言えません。誰かを純粋に愛することを裁くことはできず、そうあるべきだと私も思います。しかし、その愛は時に当人たちだけでなく、周囲の人間を巻き込んで不幸を生んでしまうことがあります。そのようなことが少しでも減るように、私たちは理解しがたいものを簡単に拒絶するのではなく、共感はしなくともすこし寄り添うことが大切なのではないかと思いました。

―秘密のない人なんて、いるわけないでしょう。


普通な幸せとは何なのか、そもそも普通とは存在せず大衆が勝手に作り出したものなのだろうかと思わせられた作品でした。

0
2026年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うる波と鹿野くんの話がひたすら続くわけではなくて、後輩、絵画教室の生徒など周りの人間に順に焦点を当てていく。
1つ1つの話はわりと重たいテーマなのにどこかほのぼのした雰囲気があるのは鹿野くんという異質な存在が当たり前にいるエブリデイ・マジックだからか。周囲のいろんな形の恋愛、友情を知り、自分はこれでいいんだと納得する。それでもエピローグのうる波には不安や葛藤があって切なかった。2人が納得するその日まで2人の秘密の暮らしが続きますように。

0
2026年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死んだ夫/彼氏と遺された可哀想な女、心のない少年と擬人ロボ、純真無垢な少女とロリコン大学生、冴えないストーカーと哀れな美少女、などなど…。他者によってラベリングされた関係値が、当人にとってはいかに的外れで陳腐で、時には暴力的なのかを痛感した。未亡人として腫れ物扱いされ他人の了見に辟易していたうる波自身も、無意識下に金沢くんと秋穂ちゃん、立花さんと安曇くんの関係性をラベリングしていたのがリアルで、どんな人間も大なり小なり他者間の関係性を勘繰ったり決めつけたりするエゴイスティックな一面を持っていることに納得。
また、外野には理解されない愛や関係性を丁寧に丁寧に育むうる波たちの姿が、他の凪良作品のキャラクターたちと重なって見えた。全部自分と地続きの世界に感じられるところが、凪良さんの描く物語に備わった一種の魅力であると思う。

0
2026年04月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

凪良ゆう先生ほんっと大好き……ありえないくらい美しい感情の描写。。
優しい物語でした……。
愛には色んな形があっていいよね。
個人的に好きだったのは

・愛することはそれだけで不平等をうむ
・そもそも私たちの起源ですらよくわかってないのに新たな可能性を否定することはどうか
・神はこえられるような試練を与えるっていうけどそれは、苦しみをかかえる人を救うための人が作った方便。苦痛のない人だっている。苦痛は成長を促すこともあるかもしれないけど、丸い円を歪ませてしまう。それを芸術だと思うかもしれないけど、歪んだ方はたまったもんゃない。

みたいな……
うろ覚えですが。

0
2026年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

事故死した夫の鹿野くんの幽霊と一緒に暮らし続けるうる波。うる波の周りの人達を含めそれぞれのしあわせの形があるんだなと思いました。
アレルギーで恋人の命を奪った千花ちゃんや、大好きなロボットの親友のいる世界を作りたい秋くん、幼い女の子を愛する金沢くん、強気なのに隠れた恋心を持つ立花さん、兄弟の西野さん、それぞれが葛藤しながらすごしている感じが考えさせられるというか、自分でも色々思いを馳せるきっかけになりました。

0
2026年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うる波は幽霊として戻ってきた夫を、さらっと受け入れていてびっくり。でも、もう2度と会えなくなることと比べたら、幽霊でもいいと思う気持ちはすごくよく分かる。

幸せの形は人それぞれで、他人がとやかく言うことではない。私も手放しで幸せ!と思えるときと、そうは思えないときがあって、ぐるぐるしている。多分、みんなそういう一面があったりなかったり、人それぞれ。

神さまにとっての人間は、地球という大きなビオトープの生き物なんですね。私はベランダにメダカやエビのビオトープをつくっているので、眺めているときを思い出しながら読みました。

0
2026年02月25日

「小説」ランキング