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曰くつきの人工の翼
あとに戻れない。
前に進むしかない。
だから、出会いはチャンスと捉え
逃さないように必死になる。しがみつく。
そして周りを巻き込んでいく。
彼はこれからも見ていてくれるだろう
まだスタートラインに立ったばかりだから。
Posted by ブクログ
絶望に翼はいらない――人は、強さで飛び立つ。
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中山七里さんといえば、警察・検察・弁護士など“法を扱う主人公”のイメージが強いですが、『翼がなくても』はその枠を抜け出した力強い一冊でした。
オリンピックを目指していた沙良が、交通事故で片足を失い、人生そのものが折れたように思えるところから物語は始まります。ミステリー要素やどんでん返しの緊張感ももちろん健在ですが、今回はそれ以上に、“喪失から立ち上がる人間の物語”としての厚みが際立っています。
苦しみ、怒り、恨み、そして再起。沙良の歩みは決して平坦ではなく、その姿が読者の胸を強く揺さぶります。中山作品の常連キャラである犬養刑事や御子柴弁護士が物語に関わってくるのもファンには嬉しい仕掛けで、シリーズを横断する世界観の広がりも魅力のひとつです。
“ミステリー”という枠を超えて、読後には深い余韻と温かい力が残る作品でした。いつもとは違う空気感を楽しみたい中山七里ファンにも、とてもおすすめです。
Posted by ブクログ
ミステリーと障害者スポーツの現状をミックスさせた中山七里ならではの作品。本作では何と犬養隼人と御子柴礼司が登場する。しかも御子柴はちょっとの顔出しではなく、まあまあ重要な役割だ。中山七里のシリーズを越えたキャラクターの共演が楽しめる。
さて、ミステリーの方は途中からある程度タネが想像できたのでここでは言及しないが、障害者スポーツ関連については非常に勉強になった。最近でこそオリンピックとパラリンピックが共催されてテニスの藤枝慎吾や小田凱人、上地結衣などのお陰で多少は認知度が高まってはいるが、それでもマスコミの報道は圧倒的に少なく、当然それに比例して一般人の認知度も高くない。基本的には「無関心」が大多数だ。本作では陸上競技のアスリートが主人公なので、それに関する企業の姿勢や現代の義足事情、費用感などが描かれていたが他のスポーツでも似たような現状であろうことは想像に難くない。更にもう一つ踏み込んで考えると単に障害者スポーツの問題ではなく、障害者がどういう生き甲斐を持って暮らせる社会になっているかという話だ。
いずれにしても人間はみな自分の身に降りかかってこなければ真剣に考えようとしない。私自身、過去に親が車椅子に乗るようになって初めて駐車場の身障者マークのスペースを気にするようになった経験がある。
例え翼がなくても、手がなくても、目が見えなくても生き甲斐を持って暮らせる社会にしたい。
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