小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ページ数の多いなか、細かい章仕立てになっているおかげで、「気づいたら五章も読んでた!」を適度に繰り返しながら、達成感とともに最後まで読み切ることができました(๑•̀ㅂ•́)و✧
タイトルから、夏が終わるまでに読もう…と思っていたのですが、ひまわりは弁護士バッジの「天秤とひまわり(自由と正義の象徴)」を指してるようで、むしろ主人公の身体の強張りや緊迫する試験描写から、冬の静けさと寒さの印象が残りました。
『「法律家は言葉のプロです。無実を訴える被告人、労災がおりず泣き寝入りする労働者、声なき声を拾って、その言葉を伝える。相手の理解しやすい言い方で、相手が受け入れやすい状況に誘導して、落としどころを探る。それが交渉です。…言葉のプロとして、言葉の力を信じなさい。言葉があるかぎり私たちはつながれる。」』
『「何にもできないだろうからじっとしてなさい。ほら楽でしょう、暮らせるでしょうって。みんなだって私の立場になったら、同じことを思うはず。生きてるだけじゃ嫌だ、何かやりたいって」』
常に介護状態でも、自分に出来る最大限の力で司法試験に挑み、過酷な現実の中で戦う主人公の姿、強い意志、周囲の人との絆に胸が熱くなった1冊です。
2026.9 -
Posted by ブクログ
どうして2人は今この場所にいるのだろう。
2人にどんな出来事があったのだろう。
そんな疑問を抱えながら、過去と現在が絡み合いながら物語は進んでいきます。
目に浮かぶような景色や揺れ動く心の描写に、すっかり物語の世界に入り込んでいました。
綺麗な景色に感動したり、人の温かさに触れたり、なんとも言い難い気持ちになったり、胸を撫で下ろしたり、物悲しくなったり、共感したり。
私の中でも、いろんな気持ちが物語とともに揺れ動きました。
とても素敵な物語だからこそ2人の行く末が気になるのですが、章が進むにつれて、ページをめくるたびに物語が終わりに近づいていくことに寂しさを覚え、まだまだ読み終わりたくないと強く感じました。
きっと、2人の物語を通して、私の中にもある眩しくて大切にしまっている思い出に触れることができたからなのだと思います。
本の世界にずっと入っていたい大切な一冊になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々の逸木裕「森田みどり」シリーズ。過去のレビューを調べたら、「星空の16進数」も「5つの季節に探偵は」も2023年に読んでいるので3年ぶり。
みどりさんは本作では結婚して2児の母をしつつ、今もお父さんの探偵事務所で女性探偵として現役で働いている。前作では育児休暇中の彼女を描いた1作もあったが、本作では上の子はもう6歳になっていたり。
そんな彼女の活躍を描いた5編。どれも捨て作なしの読み応え、ミステリーとしても人間ドラマとしても質が高いねんなぁ。
理知的で美しい1話、デジタル社会への啓もうな2話、ドンデン返し連発の3話、クルド移民差別問題を扱う4話、そして短いながらもみどりの一家を丁寧に描いた5話。
読み終わるのがもったいなく、余韻もとても心地よかった1冊だった。 -
Posted by ブクログ
単行本は1979年刊。77年~79年に雑誌や新聞に載せたエッセイ、19篇を収める。舞台はもちろんスペイン。
5年かかった『ゴヤ』の執筆を終えたら、アラ還。思い切って、憧れのスペイン生活に突入した。驚くのは、その文章の若々しさ。『ゴヤ』で燃え尽きてしまったのかと思いきや、不死鳥のように蘇った。
75年のフランコの死去以降、スペインがどうなったのかも書いている。シリアスな話題も、どこかに笑いがある。なかでも傑作は「ゴヤの墓」。ゴヤの遺骨やお墓のことなのに、不謹慎ながら、読むほうは爆笑してしまう。「グラナダの夏」「ゴヤと怪物」「フランコ、頑張れ」「いわゆる王侯貴族なるものについて」も同様。傑作揃い。
冒頭は『月刊PLAYBOY』に載ったロングインタビュー「なぜゴヤか?」 インタビュアーの誘導し過ぎに、ちょっと鼻白む。堀田の「あとがき」には、「3日がかりで責めつけられた」とあった。 -
Posted by ブクログ
似たような内容で「検視官の現場」という新書も持ってるけど統計やら何やらが多くあまり読みやすい本ではなく我が家の積読コーナーに埋もれているが、この本は軽妙な語り口で小難しい話は少なくとても読みやすい。(確か検視官は警察官、公務員で、法医学医は医者だったような)
死、死者、ご遺体には当然ながら人間として法医学医として真摯に向き合い、日々死体の声を聞き、自殺か事故死か殺人かを見極めるその仕事ぶりに頭が下がる。腐敗や臭いや虫など強烈な現場の検分や遺体の解剖をするこのような人たちがいるからこそ真実が明らかになる。おぞましい状況の連続ではあるけど、著者のユーモア溢れる文章や表現でビックリするようなケースや日常がこれでもかと綴られていて思わず吹き出してしまうところもありとても面白い。事実は小説より奇なり。人間てホントに想像力がたくましい。そして悪事千里を走る。死体は口をきくことができないけど法医学医が手を尽くして調べてくれるおかげでその無念や本意が生きている人間に届けられる。
「いつの日か死が私に微笑みかけるまでは、死を笑い飛ばしたいと思っている。」
「この本に終わりがあるように、命にも終わりがある。
だから、命があなたに微笑みかけているあいだは、他人と自分自身を尊重して、人生を満喫することを忘れないでほしい。死があなたに微笑みかけるまでは。」
所詮この身はいつかその動きを止め腐って無くなってしまう。
毎日、様々な死を見つめる人が最初と最後に伝えてくれるこの言葉は明るくて優しい語り口だけど重い。肝に銘じて生きよう。
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