小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
この小説だけではなく各文学で恋愛感情を示す「好き」という言葉の危険に満ちる一方、なんとも微笑ましいことか。さらに本書のような良質な心理描写の中で綴られる「好き」は一入である。好きという単語の配置のタイミングは恋愛小説の評価の多寡を分ける。本書はだいぶん後半に入ってくるが。
私がそこまで「好き」という表現を好むのは他の曖昧模糊になりがちな恋愛感情の表現より明らかな直接性があり覚悟がいる表現であることであるからだ。この言葉を繰り出すシチュエーションを思い浮かべるが良い。好きな対象に自分の制裁与奪を委ねてるのが普通に理解できる。他者に表明することで自分の尊厳を委ねかねない、この大事な言葉を気安く発 -
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弁護士の張(ジャン)が地下鉄の駅で爆弾騒ぎを起こす
そして彼のスーツケースから元検察官の江(ジアン)の遺体が発見される
江は張の教え子で自分が殺害したと…
しかし初公判で、張は突然自供を覆し、捜査は振り出しに戻る
警察が再捜査を進めるが…そこには…
初めての華文ミステリ!
過去と現在が交錯しながら物語が進むが大変読みやすかった
というかこんな作品、中国では大丈夫なの?圧力があったのでは…と思ってしまった…
ラスト一行が意味深だな、と思ったら解説によると中国人ならどういうことなのか分かるらしい…
中国社会の暗部!こわい…
しかしそれでも
巨悪に立ち向かっていこうとする男たちの姿には涙した
すば -
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河合さんが赤毛のアンを新訳!?と情報解禁の際に驚いたものの、考えてみればシェイクスピアが全編に散りばめられたアンの世界を、シェイクスピアの第一人者である河合さんが訳すのはとてもわくわくする流れで、大好きなアンの世界にまた新たな魅力が沢山見つかりそうで胸が高鳴る。
不思議の国のアリス同様、沢山の翻訳家さんが訳してきた世界的文学作品であり、有名な名称や言い回しが多い作品だけに、新しく訳すことの難しさやどこに特色を付けていくか、往年のファンの方々への配慮など、細部に渡り大変でチャレンジングな訳業をこうして大御所である河合さんが新たに担ってくれたことに歓びを噛みしめながら読んだ第一巻。
一番馴染み -
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腎臓の病気の治療法である人工透析を通して、生と死について、医療について深い示唆を与える本である。著者は、腎臓の難病によって人工透析しなければならない夫を看取る。しかし、衰弱して人工透析が受けられなくなった夫は、苦しみの中で亡くなった。なぜ、最後まで苦しまなければならなかったのか。まず、人工透析を受ける患者は緩和ケアを受けられない。そして、人工透析にも血液透析以外に腹膜透析という方法があることを知らせられない。緻密な取材で、乱暴に言えば金のなる木としか見られていない人工透析患者の現状を紹介し、患者の尊厳を守り安らかな最期を迎えられるようにするにはどうすればよいかを提言する。死の瞬間に尊厳があるの
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ムーミンシリーズ、読むたびに「この巻が一番好きかもしれない」と思うなぁ。
この短編集も大好き。ムーミン谷に住むさまざまな小さいいきものたちが懸命に、かつ自由にその日を生きるということ。その愛おしさが詰まった本だった。
「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」のフィリフヨンカが一番好きかもしれない。意外と手放してしまうと自由になるもののほうが世の中には多い。
そして、全体を通して「ひとりでいること」と「誰かといること」の双方の大切さを話してくれる本だなと思った。
ひとりの時間も、誰かに考えを分かち合う時間もどちらも大切。私も海や森に出かけてひとりの時間を持って、そのあとそれを誰かに話したり記 -
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天才的に面白かった。最高だった。
四畳半神話体系から好きだった自分にとって
下鴨幽水荘!明石さん!師匠!小津!
知ってる名前たくさん!聞いたことあるセリフ!
もう楽しくて楽しくて仕方がなかった。
タイムマシンがこの世にあったら?と考えたことはないけれど、あったらあったで大変なのかもな〜なんて思いつつ、今を変えないようにこっそり覗き見るのも楽しそうだな〜って思ったり。
結局たくさんの選択をして今の自分があるから、
それがきっと正解なんだと思う。
過去を変えて今の自分が変わるのも寂しいし。
最後の最後。
ニヤニヤしながら読んだ。
森見さん。天才です。 -
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垣谷さんの小説は読みやすく一気に読めます。
今回もあっという間に読めました。
マンダラチャートって何?と思いましたが内容を見てなるほど!
私もタイムスリップしたら中学生に戻り勉強をやり直してトップの成績を取って良い高校に入りたい、と思いました。タラレバですが···
そんな夢のような気持ちにさせてくれた本でした。現実は甘くない、今の生活も不満はあるけど······お互い様かな?
それでも昔はこんなことあったよね?
そうそう、女性は就職に不利だった、医学生も点数下げられてた。と怒りを覚えました。
今は少しでも改善できているのだろうか?
パワハラ、セクハラ、色々聞くけどそれじゃ社会人を育てられない -
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短編集。
受験詐欺の話が1番、グッサグサ刺さり号泣しながら読んだ(いつもだな…)。親目線でも子ども目線でも読めていたけど、今回ばかりはほぼ親目線。子どもの幸せだけが母親の望み。そのためならなんでもできるって思うのがわかりすぎる。。
うちは間違いなく夫婦円満だけど笑、 もし同じ状況になったら完全に一致!だなと読みながら思った。夫婦に限らず言葉の温度差ってあるよね。何度も確認したのに!「え、そういうつもりで言った訳では…」とか、軽く言ってくるのが夫という生き物なのかな…(悪口ではないです!) 何度も相談してたのは?なぜ相談してると思っていたのか?
母親の方が、絶対子供との距離が近いよなぁ。夫は助