ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • ペッパーズ・ゴースト

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    文体が読みやすく、なにより現代に生まれるからこそ感じる不満や問題などを交錯して描かれているのが良かった。
    読み終えるだけでは、自分の未来や考えについて希望やポジティブな気持ちを感じるわけではないが、解説を読むことによって実感した。

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    2025年11月28日
  • 白魔の檻

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    「禁忌の子」の城崎先生再び!
    タイトルの「白魔の檻」っなんだろう?と思いながら読み始めたけれど、答えは直ぐにわかる。
    事件は複雑で、病院の間取りを何度も見直しながらの謎解き。面白すぎて通勤中、駅のエスカレーターでも読んでた!
    小説の中だけではない過疎地の病院の現実。最終章の犯人の語りが切ない。
    シリーズ続編もきっとあるはず。楽しみ!

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    2025年11月28日
  • 錦繍

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    書簡体小説といわれるものは、夏目漱石の「こころ」がはじめてでした。手紙は一方的なのですが、その人の感情が痛いほど感じとれるものだと思います。それを読んで泣いたのを覚えていますし、小説にはまったのもそれがきっかけだったような気がします。それほど強く衝撃を受けたものでした。
    「こころ」は往復ではなく片道のたった一通の手紙でしたが、「錦繍」の手紙は男女でやりとりされる往復で、最初から最後まで手紙のみ。
    昔夫婦だった二人が久しぶりに再会し、手紙のやり取りをはじめるのですが、1ページ目から心をぐっと掴まれます。読むのをやめることが出来なくなりました。
    内容は男女の激しいものですが、書簡体なので印象として

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    2025年11月28日
  • 月の立つ林で

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    青山さんの書かれるお話は、みんなが繋がっていて、最後は心が温かくなることが想像されるのだけど、毎回、読み進めていくにつれ、ワクワクして落ち着かなくなってしまいます。和栗ましてや、細切れに読むとわからなくなって、読み戻すこともしょっちゅう。
    今回も最後まで楽しく読み、心温まるお話でした。

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    2025年11月28日
  • 怠惰の美徳

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    面白かったです!
    怠け者の著者が昭和日本をユーモア溢れる文体で切り取った随筆と、頽廃的な雰囲気を纏う短編が収録されている。
    句読点の多い文体がある種のリズムを作って本の世界観に呑み込まれていく体験をした。
    前半の随筆は面白い語り口のなかでも考えさせられるような内容。
    後半の短編はどこか寂しげな読後感に心地よさがある。

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    2025年11月28日
  • クリスマス・プレゼント

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    普段であればこんな厚い文庫本は手に取らない。だが、クリスマスの陽気が私をそうさせたのだと思う。この本を買ったのは10年近く前になる。そして短編集だと知ったのは先日だ。

    事実は小説よりも奇なりと言うが、やはり小説の方がよほど「奇」だ、なぜなら事実を時系列に並べているはずなのに「大どんでん返し」が成立するのだから。
    なごやかな雰囲気で読む短編集では無いと思う、一転二転三転する内容に心の準備が追いつかない。
    どんでん返しの瞬間は一瞬だ。字を目で追う一瞬。痛い話だが、紙で指を切ってしまう、あの一瞬に似ている。心臓からじんわり血が滲んで痛む気持ちだ。

    よかった。ディーバーの長編もトライしてみたい。

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    2025年11月28日
  • 緋色の研究

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    ネタバレ

     私的シャーロック・ホームズを読もうキャンペーンの第三弾にして、シリーズ一作目です。構成として、犯人が捕縛された直後から、第二部「聖徒たちの国」が始まり、世界観が切り替わって驚きました。編集部注釈により、作中の宗教のありようは実際とは異なることが示されていますが、当時の世論や世相が垣間見える気がして、引き込まれるように読み進めました。
     また、第一部には、あまりにも有名な以下のセリフが出てきて大変興奮しました!
     ”人生という無色の糸桛には、殺人というまっ赤な糸がまざって巻きこまれている。それを解きほぐして分離し、端から端まで一インチきざみに明るみへさらけ出して見せるのが、僕らの任務なんだ。“

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    2025年11月28日
  • 夏の子供 魚住くんシリーズV

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    榎田先生の作品は、読めるものは読んだ。中学の時に読んだ宮廷神官物語が初めて手に取った作品だった。高校になって読み直して、妖琦庵夜話も読んで、その後に交渉人も、ラブトラも、猫とメガネも死神シリーズも読んだ。その上で魚住と久留米の5作を読んだ。
    原点だと思った。先生の作品には、どうしても死が薫る。伊織先生にも、芽吹さんにも、鶏冠にも。その中で彼らは""自分""であろうとして、生きていた。もがいていた。その源流にいたのが、先生の中にいた魚住なんだと思った。
    魚住は、生きるのが下手である。いや、下手というより、あれだけの惨事を引き受けた身の上でありながら、引きず

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    2025年11月28日
  • 空中ブランコ

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    先端恐怖症のヤクザが、注射する時が毎回命懸けのような騒ぎになったり、大の大人3人で、人のカツラを取ったり戻そうとしたり大騒ぎするところとか、声に出して笑ってしまった。

    そして、相変わらず先生がヤブなのか名医なのか分からないのがいい。

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    2025年11月28日
  • ああうれしい

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    麻之助、ちょっと忙しすぎないか?と言うぐらい忙しい。

    しかも気がつけば、養父が怪我して箱根へ。義理の弟が仕事継いで頑張っているけれど……。

    女性だけの集まりも、一葉が居なくなったら無くなっちゃうと思いきや、こっちは続きそうですね。

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    2025年11月28日
  • 銀座「四宝堂」文房具店

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    とても好きな物語に出会えました!
    どの短編もとてもよく、店主の人柄、アドバイスすべてが刺さりました。
    泣けた!

    文房具好きなので、各話に出てくる文房具たちもついつい気になってしまいました。
    モンブランの万年筆気になるー!
    高級品だけど!

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    2025年11月28日
  • 徒然草・方丈記

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    徒然草は読者にそっと語りかけるような口調が親しみやすくいいですね。人の道を説いているのに説教くさくないのもお勧めのポイントです。兼好法師の人を見る鋭い観察眼はさすがです。変わって方丈記は火事や地震など重いテーマを扱っているので堅苦しく小難しい印象でした。

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    2025年11月28日
  • 女には向かない職業

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    ネタバレ

    この世には人を愛せないかもしくはものすごく薄くでしか愛せない人間がいるのだということが、メッセージとしてすごく心に残った。エヴリンの父親やカレンダー卿のような人物。
    そしてコーデリアの父親も子どもを愛せなかったと仄めかしている。
    その上で
    208ページ
    「でもだからってその父親の罪ではありません。人間は誰かを好きになりたいからと言って好きになれるものではありませんもの。」
    それはコーデリアが自分を納得させてきた言葉なのだろう。
    自分に言い聞かせるように、放ったように思える。
    この本の中でコーデリアの両親の記述は少ない。
    けれど彼女が乗り越えてきたのだなとわかる。
    そこに励まされる。

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    2025年11月28日
  • 法医昆虫学捜査官

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    みんみんさんとウルトラマンさんにお勧め頂いた。
    現代ミステリーも最近読み始めた所なので何もかも目新しいと言えばそうなのだが、そんな中でもかなりニッチな内容であるのは分かる。
    設定だけで既に面白い。

    農業や林業では重宝されているようだが、昆虫学を使って犯罪を捜査するのは確かに日本では理解の得られ難い分野だろう。

    何故、被害者の食堂や胃だけがウジの餌となったのか、そこから昆虫学博士の赤堀が読み解いて行く過程が非常に興味深い。
    生態系のサイクルとは凄いものだ。
    そこから死亡時刻や犯行現場まで割り出す事が可能となると、海外だけではなく日本でも取り入れる価値があるのではないか。

    小難しくもなく、人

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    2025年11月28日
  • 恋のすべて

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    #染野太朗 #くどうれいん 
    短歌教室でご指導くださってる染野太朗先生とくどうれいんさんの恋愛に関する連作が掲載。
    忘れていた恋の断片や泣きたくなるような苦痛を伴う記憶が鮮明に浮かぶよう。
    誰かと恋愛について語りたくなる、もしくは秘密をのぞき見しているような衝撃的な歌もあったりする。
    生活雑貨や日常場面がドラマチックに詠まれていて、まねしたいけどまねできない美しさ。

    好きな歌を抜粋

    今世をあなたは先にあきらめてどこで待っても自転車で来る
    この恋は海に行きたくない恋だ もういい、深いのもとおいのも
    どこへでもいけるだなんていわないであなたと行けるかを聞いてるの
    くしゃくしゃに笑うあなたとぱん

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    2025年11月28日
  • ステップ

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    重松清の『ステップ』を読み、前に進み続けることの大切さを改めて感じた。主人公の健一は、突然妻を失い、幼い娘のみきを抱えてシングルファザーとして生きていく。彼が娘を抱っこしながらも、どうしても「仕事の延長」のように業務的になってしまう姿は、とてもリアルだった。生活のために働き続けなければならない一方で、みきが求めているのは、抱っこのぬくもりや、母親のような柔らかさだ。そのギャップを埋められないと理解しつつ、それでも必死に寄り添おうとする健一の姿には胸を打たれた。

     物語の中で、義理の父が健一に説教をする場面がある。「自分の娘が悲しんだことを他人事だと思うな。自分のことだと思え」という言葉は、読

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    2025年11月28日
  • 本日は大安なり

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    結婚式場で展開される四つの物語が、最後はつながる、、、あっという間に読み終えてしまった。これは面白い。

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    2025年11月28日
  • 桜の嫁入り

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    個人的なことで言えば、初ラノベだったので、けっこう衝撃を受けながた物語を味わい、楽しんだ。キャラクターの輝かせ方がすごいし、得意なことを思う存分させていて生き生きとしたシーンがたくさんあった。ストーリーも展開多めで読んでいてワクワクする。設定と設定から生まれる舞台装置が全部面白い。名前の付け方やメインキャラクター以外もこだわりがすごく、ファンタジー世界に没入させてくれた。

    ストーリーは『大正あやかし溺愛奇譚』とサブタイトルにある通り、恋愛ものなんだけど、身分の違う二人の間の障壁を乗り越えるために頑張るというよりは、結ばれるのは確定していて、その結ばれ方や二人を邪魔する過去を打ち破るストーリー

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    2025年11月28日
  • 銀獣の集い 廣嶋玲子短編集

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    もっとも優れた銀獣を連れてきたものに財産を譲るというお話の「銀獣の集い」
    故郷で罪を犯したヨキが孤島の灯台守として過ごすお話の「咎人の灯台」
    黄金館で母親と暮らすキアのお話の「茨館の子供達達」

    少し不気味な世界観にも、生き生きとした人間そのものが描かれ、気づけば物語の世界に入ってしまう。
    挿絵の秀逸さもまた、それに拍車をかけている。
    どれもその後どうなったか気になる〜。

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    2025年11月28日
  • 新訳 チェーホフ短篇集

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     “チェーホフの魅力、たっぷり丸わかり”

    チェーホフの作品を読んでみようと思ったきっかけは、『1Q84』(村上春樹)でした。

    “チェーホフがこう言っている。(中略) 物語の中に拳銃が出てきたらそれは発射されなくてはいけない。”

    こんな記述があり、村上春樹さんが影響を受けているのはドストエフスキーだけではないと知り、興味を持ちました。

    訳者の沼野充義さんは、定訳となっているタイトルに変更を加えるといった、あらたな試みをしています。作品選択も素晴らしいです。

    年がら年中、恋なしにはいられない、オリガちゃんのお話(「かわいい」)、家庭教師をしている少年の兄と恋愛中の場面をのぞき見されてしま

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    2025年11月28日