あらすじ
昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族三人の幸せを噛みしめる日々。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう──。アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、いつの世も変わることのない不滅の情を描く。魂ふるえる、父と息子の物語。
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Posted by ブクログ
古き良き時代の、父と子の不器用で妙にリアルな親子物語。
行きつけの居酒屋、顔馴染みの女将、世代を超えた地元の友人たちに見守られながら、親子共々成長していく姿に、自分の父親像を照らし合わせながら読み進めました。
ブレながらも、漢としての芯はしっかりとあるヤスさんと、そんな父の不器用ながらも息子思いな心を、子どもながらに理解しながら優しく育つアキラの姿はしばしば目頭が熱くなりました。
自分の子育ての軸として、この作品は大変重く鋭く心に刺さりました
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広島県備後の話しだったので、方言が読みやすかった。自分の父親と似ているヤスさん…父親のことを思い出しながら物語の中に没入した。
涙が溢れて読む手が止まらないくらい…この家族の人生に寄り添った感覚になってしまった。
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昭和の男の生き様・父親や職業人としての矜持を感じ、心打たれた。時代や舞台となる地域が、自分の両親と重なる部分が多く感情移入してしまう。
会話は方言が中心で注釈はないので、西の言葉に馴染みのない人はニュアンスを汲み取るのが難しいかも?
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やっさんへの愛おしい気持ちが止まらなくなる。
旭じゃなくてやっさんが兎に角愛おしい。
自分、不器用ですから、を自で行く男。
和尚さんの厳格だけど懐の広さというか、包み込む優しさというか文章から手に取るように伝わってきます。
旭が結婚決めた時も本当にカッコよかった。
すごく大好きな本です。
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ずっと読みたかった本で、読むのを楽しみにしていました。通勤時間に読もうと手に取りましたが、序盤から涙を堪えるのに必死で、とても集中して読める状態ではなく、休日に心置きなく号泣しながら読みました。ヤスさんの不器用な愛情や優しさに、もどかしくも心温かくなりました。こんなに本で泣いたのは初めてかもしれない。
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不器用な父親ヤスさんと息子のアキラの物語。今まで読んだ重松さんの作品が好きで選んだが、今回もとても良かった。妻の美佐子さんを失い、男手一つで悩みながらも息子の反抗期、受験、就職、結婚などの困難に向き合っていく。ヤスさんとアキラには多くの人が関わっていて、ヤスさんに人望があるのがよくわかる。だからこそアキラはまっすぐで優しい子に育ったのだと思う。
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過去に重松清の本を2作品くらい読んだけど、どちらも暗く重く、私には全く合わなかった。
だけどこのとんびはドラマをチラッと見たことがあって、面白そうだなーと思った記憶があったので、まあ読んでみるかくらいの軽い気持ちで読み始めた。
もう、本当に良かった。
なんなのさ、過去に出会った重松清作品との相性の悪さで他の作品も避けてたのが馬鹿らしいじゃないか。
もっと早く読めば良かった!
と思う反面、今のタイミングで読めたのは私には良かったのかもしれない。
舞台は広島。とは言え岡山寄りなのかな?私も広島だけど少し言葉が違う。
でもやっぱりこの方言がすごく良かった。馴染みがあるし親しみがわく。
そして主人公ヤスさんの人柄。
不器用で照れ屋、だけど愛情深く真っ直ぐで時に暴走してしまう愛すべき親父。
そのヤスさんの周りの人も素敵な人ばかり。
不器用なヤスさんをフォローして手助けしてくれる心強い人たち。
ヤスさんとその息子の物語だけど、この周りの人たちがいなければ成り立たない。
物語は割とサクサクと年月を経て行くけど、全く軽くなくてどの章も胸を打たれる。
笑って泣いて、心があったまる物語。
また何度も読み返したいな。
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幼くてして母を失ってしまった息子と父の物語
母は息子のために命を落としたが、それを息子に気づかせまいと嘘をつく父の優しさや地域住民の母代わりとなって育てていく様子が、現代の社会にはあまり見られない集団で子供を育てると言う原点を見た。
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不器用で捻くれてすぐにヘソを曲げて素直になれないやすさん。自分の家族や親に素直になれない気持ち、照れ臭さ、いろんなことでうまくできなかった自分を思い出して、そうだよねって胸がぎゅっとなった。
いつか私が親になったとしても、きっと全然うまくできないだろうけど、この物語をもう一回読んで精一杯幸せを願って、寂しい思いをさせないようにしたいな。
子供が大人になって家を出る、当たり前のことって思ってたし、自分も目の前のことが大切でついつい親との時間を後回しにしてしまうけど、親への感謝を絶対に忘れたらいけないし、言葉にしたいと思った。
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とても面白かった。こんなに泣いて、こんなに笑った話はあまり覚えがない。
不器用な父親ヤスさんと息子のアキラ、そしてヤスさんをめぐる色んな親子の話。ヤスさんとヤスさんの周りの友達はもちろん、私自身もアキラを一緒に育てている気分になれた。みんな、幸せになってほしい。
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昭和の不器用な父親と1人息子の話
自分の父親が職人で短気でヤスさんに重なるのと、自分が親になって子供に対して思うことが物語と重なって、しみじみと何度も涙してしまった。
昭和から時代は変わっても父と息子の関係はいつも似た感じになるんじゃないかなと思えた。
しみじみ感動した作品でした。
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昭和の素敵な家族の物語。不器用で無骨ながら家族愛に溢れるヤスさんの振る舞いにほっこりさせられながら心打たれる。令和のこの時代にあってもこの先の時代もこのような愛に溢れた世界であって欲しいと心から願いたい。人としてもっとも大切なことを小説から教えてもらった。
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ヤスさんやアキラが持つ「人としての優しさ」も大切だけれども、周囲のみんながいてこその物語だと感じました。
みんなが優しい!
その中でも特に優しかった「美佐子さん」。
ずっとアキラやヤスさんの側にいてほしかった。
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親の教科書のような本でした。
親の勤めは、子どもを寂しいと感じさせない、元気に生きていてほしいと願うこと。
細かなことを言えばキリはないと思うけど、親としてしてあげられる大切なことってそういうことなのだろうなって思いました。
名言がたくさん出ますが、中でも和尚さんがグッとくること(シーン)が2つありました。
1.「寂しい」は「寒しい」(さむしい)からきている。前(ヤスさん)からも後ろ(照雲や和尚)からも抱かれているアキラは寒くないだろ?と言う。寒くないように寄り添える関係を作りたいと思わせてくれる。
2.海のような男になれ。和尚はヤスさんに向かいそう言う。雪が海に溶けても、海に雪は積もらないし、海は様相を変えない。相手の悲しい気持ちも包める海になることは大変だけど、相手をものすごく愛せないと海になることはできない。沁みた。
よかった
作者がいうように全くほど遠い関係ない自分でさえも
重なるものがある事が、、
人とはと一生とはと考えさせてもらえるきっかけをもらえた気がします。
素晴らしい
本当に素晴らしすぎる作品。家族、人との繋がり、それに伴う心情の表現力、温かさ、悲しみ、言葉がとにかく胸に響いて、こんなにも感情輸入してしまった作品は初めてかもしれません。あまりたくさん読書してきたわけではありませんが、今まで読んだ中で一番の作品です。是非、1人でも多くの人に読んでほしい。
Posted by ブクログ
すごい小説だった。
妻を亡くし、子供を立派に育て上げた愛すべき「ザ・昭和の男」ヤス。涙なしに読めない。
個人的に刺さった箇所は2つ。
・保育園で母の写真を友達に破かれたアキラ。それに対して暴力で抗ったアキラ。そして、ケガをした我が子を抱きしめる母親。その姿を見て大泣きしたアキラ。幼い子にとって抱きしめてくれる母がいない苦しさ、悲しさ、寂しさ、虚無感、絶望を突きつけられる瞬間だった。忘れられないシーン。
・海雲和尚の手。母のいないアキラをみんなで支えているのだと、背中を温める海雲和尚。その人柄の温かさと、別れ際に会えないアキラの思春期の葛藤がもどかしい。
読後に見た映画も再現性が高く、またよかったです。
Posted by ブクログ
小説『とんび』は、昭和の時代を背景に、不器用ながらも深い親子の愛を描いた物語である。主人公のヤスは頑固で融通が利かないが、家族を誰よりも大切に思う情の厚い人間だ。そんな父のもとで育ったアキラは、周囲の人々の温かい支えを受けながら、まっすぐに成長していく。
特に心に残ったのは、母の死をめぐる場面である。事故のきっかけは幼いアキラにあったが、息子に罪の意識を背負わせたくないという強い思いから自分のせいだと嘘をついた。そこにヤスの不器用でありながらも深い愛情を感じた。もし自分が同じ立場なら、同じ選択ができただろうかと考えさせられた。
また、アキラが進路や結婚について父に報告する場面も印象的だった。ヤスの理想とは異なる道を選ぶアキラだが、自分の考えを逃げずに伝える姿には、父の背中を見て育った息子の強さと誠実さが感じられた。そして最終的に息子を受け入れるヤスの姿に、親としての成長も見て取れた。
ヤスとアキラを支える周囲の人々の存在も温かく、二人が多くの人に愛されていることがよくわかる。現代ではヤスのような父親は少なくなったが、親子の絆の深さや、人を思う気持ちの尊さは時代を超えて変わらないと感じた。『とんび』は、人の優しさと親の愛の大きさを改めて教えてくれる作品だった。
Posted by ブクログ
親 私は子どもであり親です。父母は田舎で離れていますが健在。ありがたいことです。親になって親の気持ちが分かる。親の気持ちが分かる子の気持ちが分かる。辛いことも悲しいことも、楽しいことも嬉しいしことも、家族で分かち合って生きていきたいなと思いました。
帰れる田舎が無かったら逃げることが出来ないと、東京での同居をしない決断をしたヤスさん、そんな気持ちがアキラにも腑に落ちる時が来るんだろうなと思いました。
Posted by ブクログ
昭和の田舎の父親と息子の物語。
子供の頃に重松清の作品は複数読んでいたがしばらく離れていて、今回約10年ぶりに読んだ。
そういえば、この昭和のにおいのする語りが苦手になって、あまり重松作品を読まなくなったのだということを思い出した。令和の今となると、やはり時代性を強く感じてしまう内容ではある。今だったらこういうやり方は通用しないだろうな、とか。
ただ、親子の心情を描く物語として、とても良質だったと思う。主人公の心中描写も丁寧で、感情移入はできなくとも没入して最後まで心地よく読むことができた。時代が変わったいま読んだからこそ、親子というものの価値やあり方、普遍性を考える良いきっかけにできた。
Posted by ブクログ
初志貫徹
不器用なお父さんの愛。
お父さん不器用すぎる笑
いつか自分にもこんなに大切な存在ができるのか不思議に思う。
大人になってからまた読みたい。
Posted by ブクログ
不器用でガサツで口の悪いヤスさん。
事故で奥さんを亡くし、男手一つで息子のアキラを育てる。
私自身の育った年代と近いせいか、昭和のザ・頑固親父の姿が愛しくもあった。
周りの人たちの人情深さも昭和の懐かしい匂いがした。
不器用だけど、熱くて泣き虫なヤスさんの生き様に心を打たれた。
Posted by ブクログ
言葉と態度が逆に出てしまう気持ち分かるなと思う。
そんな不器用なヤスさんを支える周りは本当に優しい。
健ちゃんを一番に大切にするって言葉は感動した。
Posted by ブクログ
テレビドラマになったらしいが、見ていない。
ドラマはわからないが、本書は面白い。
子を持つ身としては、何度も泣けるポイントがある。
ヤスさんのキャラクターも良い。
家族とは良いものだと思わせる良作。
星は4.7とする。
Posted by ブクログ
不器用だけど優しい父親の感動ストーリー。
お子さんがいる方(特にお父さん)には刺さる本だと思います。もちろん高校生の私でも十分感動できました。自分の思っていることを素直に言えなかったり、逆に本心ではないこと、子供を傷つけてしまうことを言ってしまったり。主人公のやすさんはそういった不器用な父親です。しかし、子供を思う気持ちや日常の幸せをしっかり感じることができる心の豊かさも持っています。
やすさんの心情がじっくり書かれているので、今まで理解できなかった私の父の気持ちが少し分かったような気がしました。
夜の海辺の、寂しいは寒しいから来ているというくだりが1番好きです。
色々なお父さんがいますが、どんなお父さんでも、その子供でも共感できる物語になっていると思います。父親じゃなくても、ぜひ読んでもらいたいです。
Posted by ブクログ
星4.5かな
やっさんの不器用すぎるけど父としての愛情深さがめちゃくちゃ泣けた
子供の成長、思春期、ライフステージの変化に戸惑いながらも息子を愛し続けて一番の味方でいるやっさんに感動した
Posted by ブクログ
良い話です、羨ましいほど。
現代ではまず構築出来無さそうな人間関係が素晴らしく物語に深みが加わりますし、昭和の親父像の代表みたいなヤスさんが良いですね!
Posted by 読むコレ
いやぁ、泣きました。自分にも息子がいるだけに相当堪えました。
ヤスさんの息子への愛情が伝わりましたし、それをどう表現していいのか困惑する様子には共感できましたし、自分は子供にここまでのことをしてあげられているのだろうか・・と不安にもなりました。
良かれ悪しかれ、感情を揺すぶられるのが良い物語と信じる自分としては、これ以上ない物語と出会ってしまったことになりますね・・。
子供がまだ小さいですので、これからも成長とともに再読しては泣くことでしょう。
その時を心待ちにしつつ。
とりあえず明日は家族に電話でもしますか・・。
Posted by ブクログ
面白かったです。広島弁が癖になりそうでした。
最初はヤスさんの素直じゃない性格や口の悪いところが苦手でしたが、読んでいるうちに優しいところや情の厚いところは素敵だなと思うようになってきました。奥さんに好きになったきっかけなどをとても聞きたかったです。