あらすじ
昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族三人の幸せを噛みしめる日々。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう──。アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、いつの世も変わることのない不滅の情を描く。魂ふるえる、父と息子の物語。
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Posted by ブクログ
やっさんへの愛おしい気持ちが止まらなくなる。
旭じゃなくてやっさんが兎に角愛おしい。
自分、不器用ですから、を自で行く男。
和尚さんの厳格だけど懐の広さというか、包み込む優しさというか文章から手に取るように伝わってきます。
旭が結婚決めた時も本当にカッコよかった。
すごく大好きな本です。
Posted by ブクログ
不器用な父親ヤスさんと息子のアキラの物語。今まで読んだ重松さんの作品が好きで選んだが、今回もとても良かった。妻の美佐子さんを失い、男手一つで悩みながらも息子の反抗期、受験、就職、結婚などの困難に向き合っていく。ヤスさんとアキラには多くの人が関わっていて、ヤスさんに人望があるのがよくわかる。だからこそアキラはまっすぐで優しい子に育ったのだと思う。
Posted by ブクログ
不器用な昭和の頑固親父が主人公だからこその心に沁みる父子の物語。涙腺崩壊必至の人情ドラマです。
作者のあとがきでも「不器用な父親の物語を描きたい。ただし不器用さをシブさにしてはいけない、と自分でルールを決めた。寡黙であるよりは間の抜けた饒舌を、堪え忍んで動かないことよりも暴走して空回りしてしまう父親に。正しさではなく愚かしさで愛される人であってほしいし、強さではなく熱さで我が子を愛し抜く人であってほしい」と、物語の構想を語っている。
その試みは、見事に名作として誕生した。平成23年10月文庫本初版が令和4年4月で38刷という売れ行きが実証済み。
本書には、感動的な山場が何カ所もあるが、個人的には「秘すれば、花」が美しく切なかった。
また、片親家庭の寂しさや難しさを端的に表現した名文も印象的。
「2人きりの家族はつらいな、とあらためて思う。ヤス(父親)さんに叱られたアキラ(息子)を慰めてくれる人がいないし、アキラにそっぽを向かれたヤスさんをなだめてくれる人もいない。2人きりの家族が仲違いをしてしまうと、そこには【一人ぼっち】が2人しか残らない」
蛇足1:満点評価にしなかったのは、マジ肝心な場面でも父親の不器用さを前面に押し出した作者のあざとさ(初志貫徹でもある)を感じてしまったから。
蛇足2:同作者の「その日のまえに」も短編連作の傑作なので、是非一読を。