小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
遅まきながら、本作を読み始めるきっかけはNHKのあさイチに夏川草介先生が出演していたのを見たから。夏目漱石などの文学オタクで現役医師。優しそうなお人柄に、作品を是非読みたい!となった。
地域医療のど真ん中で激務に忙殺される医師栗原一止(いちと)。
信州を舞台に地域医療現場の大変さをリアルだけどコミカルに描き、笑いあり泣きありの素晴らしい作品だった。
医師として人として患者の最期に向き合う一止。第三章、安曇さんのお話では号泣した。
こんな先生に診てもらいたい。
大学病院と中核病院の役割の違いや、医師の勤務地の選択、深夜の救急外来の過酷さなど初めて知る事が多く、とてと勉強になった。医療従事者の方々のご尽力があるからこそ私達の健康が守られているのだなぁ、と再認識させられた。
医療従事者の皆様、ありがとうございます。
一止が今後どのように成長していくのか、見守るために、続編を読んでいこうと思います。 -
Posted by ブクログ
これは、犯人を当てることが目的の推理小説ではない。むしろ、事件を通して「人は人をどう見るのか」を考えさせられる作品だった。
ある名家で起きた毒殺事件。
生き残ったのは、盲目の少女・緋沙子ただ一人。
数十年後、事件を再調査するため、関係者へのインタビューが行われる。
証言を読み進めるうちに、あたし自身も「もしかして緋沙子が……?」と疑わずにはいられなかった。
でも、最後に彼女の胸の内に触れたとき、その疑いは一気に切なさへ変わった。
盲目で、美しくて、知性があって、勘も鋭い。
そんな「特別な人」だからこそ、周りは彼女を恐れ、勝手なイメージを作り上げてしまう。
被害者なのに、誰にも信じてもらえない。
周りから作り上げられた「特別な人」という物語の中で生きるしかなかった彼女を思うと、胸が苦しくなった。
人は、自分とは違う存在を恐れてしまう。
そしてその恐怖はいつの間にか、
「あの人ならやりかねない」
という根拠のない先入観に変わってしまうのかもしれない。
最後、彼女はもう「美しい人」でも「盲目の少女」でもなく、ただの一人の人間としてそこにいた。
そのときの彼女の痛々しさと、どこまでも報われない孤独が、ずっと心に残った。
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