あらすじ
福島県のある町で、「企業版ふるさと納税」を財源に不可解な事業が始まろうとしていた。著者の取材から浮かび上がったのは、過疎にあえぐ小さな自治体に近づき公金を食い物にする「過疎ビジネス」と、地域の重要施策を企業に丸投げし、問題が発生すると責任逃れに終始する「限界役場」の実態だった。福島県国見町、宮城県亘理町、北海道むかわ町などへの取材をもとに、著者は「地方創生」の現実を突きつけていく。本書は「新聞労連ジャーナリズム大賞」受賞の河北新報の調査報道をもとに、さらなる追加取材によって新たに構成、「コンサル栄えて、国滅ぶ」実態を暴く。
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Posted by ブクログ
福島県の国見町という場所で、「地方創生の一環として、高規格の救急車を12台買い、それを近隣の自治体にリースをする」という事業に10億円近い予算が投入された。普通の人間の感覚では、賛否の前に「いったいどういうこと?」ということになると思う。私もそう思った。
この事業の目的は、「国見町の評判をあげること」であるらしい。また、財源は実際には町の経常予算が充てられるわけではなく、企業版の「ふるさと納税」により企業から寄せられたお金が使われることになる。それの何が問題なのかと言えば、全体として、マネーロンダリング的なスキームを構成しているのである。ふるさと納税を行った企業は、それを損金として参入でき、節税できる。そして関連する企業に高規格の救急車を町から(市場価格の倍くらいの価格で)発注させることにより、実利を得る。また、これらのスキームを指導するコンサルタントは、町からコンサルタント料を搾り取ることとなる。
まさに「いったいどういうこと?」といった感覚である。なぜ、こんなバカげたことが起こるのか、許されるのか、というのが率直な第一印象である。本書の作者は、東北地方の地方紙である「河北新報」の記者である。偶然、この事業のことを知り、その仕組みを暴いていくことを、ある種のルポルタージュ風に仕上げたのが本書である。取材力・調査力に感心するし、読み物としてもとても面白い。
本書に書かれていることは事実であろう。要するに、「地方創生」という政策につぎ込まれる国のお金を、その規律の甘さにつけ込んで、搾取しようとする集団がいて、本書が紹介しているのは、搾取集団の成功例である。「地方創生」ばかりではなく、例えば「少子高齢化対策」「子育て支援」「防衛費充実」などの新しい政策の裏側には、このような公金を(ほとんど)だまし取ろうとする輩が存在するのではないかと疑ってしまう。
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1本目。⭕️「過疎ビジネス」横山勲(つとむ)
「僕たちは、企業版ふるさと納税っていう制度を使いながら、黒を白に変えている。侵食しまくっている。時にはマネーのパワーで抑え込んだり。⋯救急車の開発ということで、DMMが毎年4億から5億を寄付するんです。それをもってうちに全てがきて、研究開発できる。無償貸与と言う形で自治体から受けて、またそれを実証実験という名のもとに貸すんですけど、これはもう、企業の利益をぐるぐる回しまくっているんです。⋯ありとあらゆる政策をくっつけて、資金を浄化させて、超絶良いマネーロンダリングをして、そして仕事にして返す。キックバックじゃない。業務にして返す。それを今やっている」
福島県国見町、ブロック紙河北新報に寄せられた町政への苦言から始まった取材が、地方創生、ふるさと納税と絡む大きな問題を掘り起こしていく。
はじめの言は小さな町に喰らいついた「ワンテーブル」の社長が録音されてしまった本音である。
あのDMM.comが4億ほど企業版ふるさと納税をし、公金となったその金で子会社の作る12台もの救急車を買わせ、税金逃れと商売をダブルで実行したということ。ワンテーブルは町幹部に食い込む役回りだ。
これがよくできた小説のごとく解明されていく過程がミステリータッチで進行する。
コンサルに取り込まれた町幹部ら、騙されたことに気づき闘う町議員、克明に暴いていく新聞記者、内部告発者、町幹部の責任から目を逸らす報告をする第三者委員会委員長(弁護士)などなどキャストは揃っている。
は? なんで救急車なんだと思ったあなた。まあ、自分で読みねえ。ほんとに面白いから。現実に起こったことだから。あなたの町にもあるかもしれないことだから。
「地域力創造」とか「地域おこし協力隊」とかの名称も見つけたらちょっと注意しようと思う。
Posted by ブクログ
著者のこの事件を通じた功績は言わずもがな。職員が今どきガチで接待受けてるのに引いた。
ただ、役所側の解像度が低く、特に他自治体の取材のところは成功体験を元に何事も疑惑を差し向ける危うさを感じた。
Posted by ブクログ
某チャンネルで紹介されており、気になったので購入。
自治体関係の仕事をしている身としては、
身につまされるところも少なくなく、
改めて気を引き締めたいと思ったところもある。
Yahoo!ニュースの新着記事が
しょうもなくなって久しいが、
河北新報の記事はおっと思うのが多いので、
今後も注目していきたい。
個人的には、マスコミ業界の事情なども知れて面白かった。
Posted by ブクログ
事実と個人的な視点、データが、バランスよく入っていて興味深く読めた。
メインがきっかけとなった、福島県国見町についての取材で、
抽象的な議論ではなく具体的な情報が積み上げられている本を久しぶりに読んだ気もする。
どういうふうに取材を進めていったかといった背景情報もあり、
実際にネットで見れる著者の記事がどういったタイミングで、どういった文脈で出されたのかを知れる。そういうことはこれまでなかったので、報道の透明性という意味でもとてもよかったというか、興味を持てた。
Posted by ブクログ
・本書は、福島県国見町を中心に、人口減少が進む地方自治体を舞台にしたノンフィクションルポルタージュである。著者は河北新報の記者で、新聞連載(企業版ふるさと納税の寄付金還流疑惑)を基に取材を重ねて書籍化した。
・書名にある「過疎ビジネス」とは、過疎地域の自治体に接近し、制度を介して公金を吸い上げるコンサルタント会社や事業者たちの利権構造を指す。
・主な問題は「企業版ふるさと納税」という制度を悪用したもので、自治体が企業からの寄付を受けて行う大規模事業が、実際には地域の利益にならないにもかかわらず進められ、結果的に公金が関係者に流れる仕組みが暴かれる。
・第1章では福島県国見町での「高規格救急車リース事業」の計画を取り上げ、事業スキームの不可解さと背景にある利害関係を追う。
・著者は取材を進める中で、単純に「自治体が騙された」という構図ではなく、自治体側の人材不足やノウハウの欠如がコンサル依存につながり、責任の所在があいまいになるという構造的問題を指摘する。
・「限界役場」という表現を使い、小規模自治体が外部専門家に政策立案を丸投げすることの弊害を明らかにする。
・さらに、議会や住民との関係、録音データや内部暴露など具体的証拠と現場の声を示しつつ、官民連携の落とし穴を描写する章構成になっている。
・著者はこの問題を地方創生という名の下に進む制度や報道の不足という観点からも批評し、取材と報道の重要性を強調する。
・結末として、計画が撤回され、住民・議会の反発を招いた事例も紹介し、地方自治と民主的プロセスの再考を促す。
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これぞジャーナリズムと感じる1冊。
オールドメディアがオワコン化している中で、しっかりと足で情報を取りに行き取材をした上で、コンサルの過疎ビジネスなるもの闇を取り上げた点が意義深く感銘を受けた。
グレーな所を攻めて金を巻き上げようとするコンサルはもちろん、闇を暴かれた後にグダグダと言い逃れをする首長も大概である。
最近であれば静岡県伊東市の元市長が学歴詐称で物議を醸したが、本当に市民のことを思うのであれば保身に走らず、潔く謝り進退を決めて欲しい。
国見町の件も伊東市の件も首長が保身に走ったばかりに、元々の市政の停滞以上に影響を受けているのである。
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コンサルに喰い物にされていることもそうだが、自身の自治体の行く末を考える時間が確保できず、コンサルに丸投げせざるを得ない状況になっていること自体に問題があると感じた。
自治体の業務は多様化、複雑化しており、取捨選択を迫られていると考えているため、手間、予算の割に費用対効果の小さい、無駄な事業を潰し、コアとなる事業の安定した運営と思考のための余白を作り出していくことが大切であると感じた。
Posted by ブクログ
著者をはじめ、協力者の覚悟も伝わるものすごい熱量で書かれていてとても引き込まれた。最初、別件を調べていた際に感じた違和感からこの問題を見つけ問題が地続きにどんどん規模や地域を広げて発覚していく様から、記事が書かれた後、協力者が増え「このままではいけない」と公務員や議員が変わっていく様子や、全国誌も協力し他の地域でも問題意識を持って自分たちの施策の振り返りが行われていく様子は地方新聞社と地方自治の底力を見せつけたドラマのようだった。後半胸が熱くなった一方、記事で取り上げられなかったらこのように彼らが自らを省みることはなかったと思う。また、地方創生自体の問題については結局解決していない。また、公益通報者を守れない世の流れもまだ続いている。この本の「このままではいけない」と立ち上がり改善する各々の心意気には胸が熱くなったが、『その後どうするのか』という点は私たちも考え注目する必要がある。
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思った以上に黒かった
ただ、コンサルが悪さをしたというより、悪いやつが悪意を持って政策の穴をつくスキームを実践するコンサルティングを行っていたという印象
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地方の小さな自治体を食い物にする企業と腐った体制の自治体
国の税金が地方自治や官民連携の名のもとに不正に利用されている可能性があることを初めて知った。
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河北新報所属記者による粘り強い調査報道の記録である。昨年読んだ秋田魁新報社によるイージス艦配備問題同様、いち地方紙による告発が多くの反響を呼び起こし、結果的に国の制度や方針を転換させるに至った快挙である。新聞の衰退による人手不足で、どこの記者も日々の業務に忙殺されるようになり、行政側、警察側から提示される公式発表から紙面を構成する安易な報道に陥いりがちになる。そんな中、この著者は地元民の小さな違和感がもたらした情報から、大きなうねりを生み出すことに成功した。ここで扱われているような過疎ビジネスは、都会に住む為政者の甘い制度設計がある限り、今後も日本各地で起こるのではないかと考えられる。オールドメディアと称されて、新聞の存続さえ危ぶまれる昨今、このような業績が正当に評価されて、権力を監視する本来のメディアの役割が、広く認識されることを願わずにはいられない。
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友達に勧められて。
横山さんの語り口が非常に熱が入っていて記者らしさを感じた。怒りの気持ちが伝わってきて読者側も感情移入させられる、そんなような文章だった。
最初はコンサルが全て悪いのではないか?金稼ぎコンサルも大概にしてほしい。と思い読み進んでいたが、徐々にそうではないことが明らかになるにつれて自治体にも怒りが湧いてくる。
コンサルはもちろん民間企業なので稼ぐことも大きな使命としてあると思う。だけどもそんなアコギな商売でチマチマ稼いだお金を使ったその先の事業なんてたかが知れてるし、ダサいと思わないのかな、。ビジネス界隈では法律の穴をつくことがハングリーさがあって賢くて良しとみなされているなら、ビジネス色が強い会社にはあまり行きたくないなと思う次第。
逆に地方自治体には、公職者としての矜持を持ってほしいし、もっと自分の自治体、仕事にプライドを持ってほしいと思う。
でもそれを達成するには、給料を含む資金だったり、もっとイノベーティブな仕事が必要だったり、構造的な問題が根深くあると思う。
本当に今回の件は氷山の一角だと思うし、なにも官民事業の話だけではないと思う。
地方創生という名のもとに蔓延る悪徳事業は全てなくなって欲しい。
その土地の、その土地に生きる人の、良さを引き出す事業が必要だし、そこに住む人たちは全てを他人に任せてはいけないし、諦めてはいけない。
Posted by ブクログ
小さな政府の実現が地方自治体の管理能力を圧迫し軋みを生んでいる。
クレバーで倫理観ガバなやつには近づかないようにしてるけど、
悪いやつ以上にシステムをちゃんとこっちも把握しておかないと
勉強してる悪いやつに太刀打ちできなくなる。本当に良くない。
Posted by ブクログ
この件のことは全く知らなかった。すごく取材されていて大変興味深く読んだし、“雑魚”呼ばわりされて奮起した人たちの「雑魚でも生きてますから」てのが何か良かった。
Posted by ブクログ
悪事が暴かれるまでの取材の緊迫感は非常に面白い、まるで小説。ワンテーブルは悪事に目が行きがちだが、行動力は目を見張る。ルールの穴を突くのは行政に限らずどの世界にも起こり得ることだが、みんなが幸せになる透明性の高いやり方で、ワンテーブルも自治体も稼ぐ方法があったのではと思ってしまう。ただそれをやっても、人口減少と地方の衰退の解決策は自分の中で未だ見出せない。本書にも記載の通り、国も個別課題の解決策の羅列を東京でやっているのではなく、地方に出向き、住み、自治体の枠を超えたグランドデザインを描くのがいいのかもしれない。が、そんなことは霞ヶ関の人間が絶対にしないのも見えている。
Posted by ブクログ
話題になってたので。こんなことが起きてたんですね。背筋の凍る思いで怖くて震えました。現実を知らされた、という感じ。これがすべて国民が払っている税金から、なんですもんね。怒り、呆れを禁じ得ない。ここまで徹底的に取材を重ねた記者さんには拍手。
Posted by ブクログ
人口減少化のなかで地方が壊れていく事を不正を対象に書いているが、根はもっと深い難しさがあるなと思う。人が少なくなることは止められない。その中で豊かさをどう作っていくかが難しい。
Posted by ブクログ
こんなにも情熱と気骨のあふれる調査報道は久しぶりに読んだ。
賞も多数受賞している。
地方紙の河北新報の記者が書いた調査報道をまとめた一冊で、都会のコンサルが過疎化する小さい市町村を喰い物にして、お金を還流させるスキームを白日にさらしていく。
「社会の問題を自分ごととして引き受ける」。そうありたいと思った。
Posted by ブクログ
事件ノンフィクションかと思ったが、実際7割近くは1つの事件だが、描かれるのは、地方自治の現状や地方議会の能力、地方住民の無関心が温床となってはびこるコンサルタント
もちろんコンサルが悪いのだけど、労働人口の減少といった日本の課題が根っこにあって、事件ノンフィクションとしての面白さ以上の問題提示を受ける
Posted by ブクログ
地方紙は頑張っている(河北新報は東北のブロック紙だが)
囲碁の一力名人の関係新聞社
本書も触れている地方自治体職員と地方議会の劣化荒廃ぶりは近年目にあまるものがある
多くの職員、議員は真面目にその職に励んでとは思うがハイエナのようなコンサルに食われる余地も残る
メディアの記者諸君の奮闘に期待したい
Posted by ブクログ
これは「残念な日本の、我々の物語」だと思いました。
私は東京生まれで企業勤め。過疎自治体の話はあんま関係ないんだけどな…と思って読み始めたら、日本全体の失われた30年のひずみがここに集まっているような印象を受けました。
エピローグにあるように、最終的には人口減少の話に行き着くのですが、人口が減っても一人当たりの生産性を上げて全体を維持しようね、というストーリーのはずが、一人にたくさんの仕事を負担させてダウンサイジングしようね、と筋書きを勘違いした結果、この悲しい30年の物語が生まれてしまったのだ、と。
さて本著、河北新報の記者による調査報道をベースとした「地方創生」の現実をつきつける1冊です。
「企業版ふるさと納税」を使って「無視されるちっちゃい自治体」を企業が抱き込み、便宜供与・利益誘導に使われてしまう。
記者がそれを報道しながら全容を解明していき・・・という構図なのですが、読んでいてどうにもやるせない。確かに制度の抜け穴を突いていてモラルが高い行動とはとても言えないのですが、「だってしょうがないじゃないか」と返ってきそう。結局デフレで食い詰めて手段を選べなくなったのでは?
・自治体:継続的なコスト削減を求められ、外部委託などでノウハウも形骸化
・民間:同様に食い詰める中で、補助金を使って楽して儲けられる仕事を探す
という中で利害が一致してしまったなと。
※後半に「良い例」として岩手県紫波町と東洋大学が連携した事例が挙がっていましたが、町職員を大学院に派遣できるなんて余裕あるなぁという印象。
加えて、個人的に思ったのは、
・ワンテーブルの島田昌幸社長(当時):2005年に新卒で補助金ベンチャーを設立
同期だなぁと思いつつ(笑、この年は就職氷河期最後の世代で就活は相当厳しく、この道に島田氏を進ませたのはそういう理由もあったのでは?と勝手に思いました。
本著の素敵なところは、「俺たちこんな悪を暴いたぜイェーイ」で終わらず、どうしてこうなった、というところまで考えているところ。
だからこそ、この話はいち地方の話にとどまらない。そして同時にだからこそ、ここをこうすればほら解決!という単純な正解は得られない。
ひとまず、一緒に問題認識を共有しましょう(笑
Posted by ブクログ
2026/01/09 読み終わった
積読チャンネルで紹介されていたので。
自分たちの暮らしがこんな形で脅かされたら嫌だな、知っておいて未然に防ぎたいな、と思って読み始めた。
スキームがだんだん明らかになっていった時に、感情ではなく論理的にこの行為が悪いことであると証明する必要がある、という筆者の姿勢に感銘を受けた。法律に違反してないから何しても良い、という観点はこの部分で否定できるのだと。
誰かが何かを行なっていて、それを自分が見た時に「なんとなくモヤモヤする」、そんな時にはこの観点を思い出したい。
あと地元をよくしたい。
Posted by ブクログ
福島県国見町における、企業版ふるさと納税の寄付金の還流スキームに関する、河北新報の記者の取材実録。地域コンサルの自称するワンテーブル社が救急車ベンチャーのベルリングと提携し、救急車リース事業を国見町から受託した際、その原資がベルリングの親会社であるDMMが納税したものであったという一件について、時系列に沿いながら説明している。
企業版ふるさと納税制度としては、寄付金を使った事業を受注する際に自治体の入札契約のプロセスを経ていれば、仮に寄付企業やその子会社が寄付金を使った事業を受注することになっても「癒着の問題は生じない」というスタンスであり、「過疎ビジネス」の深い闇を生んだのは国の責任もあるとしている。地域ごとにニーズやプロセスが多様であるというなかで、自治体の財源確保という課題に向き合った結果が企業版ふるさと納税だと思うが、本年のような「悪い」使われ方を防ぐためにどこまで制約を増やすかというのは難しい問題。実際に企業版ふるさと納税をうまく活用している自治体もいれば、創設以来このような悪用は(表沙汰になっているものでは)数えるほどしかない。筆者は行政スキームの甘さにも言及していたが、自治体側の自律を求めるべき点も多い。行政と地方自治のバランスについて考えさせられる。
Posted by ブクログ
実際にあった取材をまとめたものだけど、池井戸さんの作品を読んでいるようなスリリングさがあった。
問題は根深く、コンサルの狡猾さもさることながら、自治体の体たらくさ、国の制度設計の甘さ、そして住民自身の関心の薄さなどの複数要因が絡まってこの事態に陥っているんだなと。「地方創生」の困難さをひしひしと感じた。
それにしても、この国見町のこの不正を見つけ出し、慎重にかつ確実に真相に迫る情報を集め、全国的に広め、「コンサルが僻地を狙いうちにして公金を吸い上げる」事態を問題提起できた記者さん(著者)すごい。
こうして、国や行政機関が国民や住民の意図しない方向に行かないように監視するのが本来の報道機関のあるべき姿なんじゃないかと思う。少なくともコタツ記事や、つならない挙げ足取りの記事じゃないと思う。
Posted by ブクログ
企業版ふるさと納税の制度を悪用した自治体とコンサルの闇を書いた内容です。確かにひどいものだと感じました。
悪い事例は、これも氷山の一角かもしれませんが、この本で書かれています。でも、当初の意図、目的は地方にお金をまわし、ビジネスを起こし、地方を活性化することだったと思います。では当初の意図を実現した例はどんなものがあって、どのくらいあって、ということも調べてみたいと思いました。
なんらかの制度をよかれと思ってつくると、必ず悪用する人は現れる。これは避けられないものなのか? 悪用される可能性があるからやらないでは何もよくならないのではないか? いろいろと考えさせられました。
Posted by ブクログ
こういうのを読むとまだまだ新聞(と新聞記者)は必要なんだなぁ と思わせられる
このまま新聞離れが続くと失われていく職種だがジャーナリストは残って欲しい と切実に思う
内容は自分とは関係無い地域の公金チューチュー事件のあらましなので全部真面目に読むことはなかったなぁと思った
ただこれは氷山の一角で似たような話は日本中であるんだろうなぁ 嫌だねぇ
Posted by ブクログ
本書が取り扱っている内容は、昨今の言葉で表現するなら「公金チューチュー」に分類される。エコ、弱者救済、多様性など、人道や倫理で着飾って利権を貪るムーブメント。21世紀になって、さまざまな局面でこのスキームが暴露されるようになった。前世紀は潜在していたのだろうが、もはや隠しようもなくなっている。市井の身でも知れることが大手を振ってまかり通っていたのは、主導者勢力に大国の大統領が所属する政党が含まれていたからだろう。それが覆って流れが変わったが、末端まで行き届いていない。
ゆえに他人事ではない。特に移民政策に関しては地方自治は侵略されていると感じるし、知事連合とやらは元はどうであれ現在は随分と筋が怪しいと感じられる。
本書は啓発の書といっていいが、問題がないわけではない。
関わった範囲にだけ言及してくれればよかったのだが、当時話題になったからと引用している箇所がある。特に兵庫県知事のパワハラとされるものは、事実無根のことがらを流布した職員に対する懲戒であることは、現在では明らかになっている。本書が刊行された2025年7月時点では、著者はそれを否定する立場だったということになる。
百条委員会の性質については本書も強調しているが、兵庫県は百条委員会でなにも明らかにできなかった。百条委員会を設置すると言えば知事は屈するだろうと高をくくった行為であり、スラップ訴訟の亜流だったとみなさざるを得ない。遠地のことゆえゆるく見守っていたが、その頃から筋が怪しいと感じるようになった。
それを援護するようでは、厳しい視線で見つめざるを得ない。あと石破を暖かく見守ってる点も。
著者は、マスコミが行政の監視を怠っていると述べている。松本清張の『深層海流 現代官僚論』を読めば、その頃の知識人は官僚を監視していたと感じられる。消費税の前身である売上税を潰されて、大蔵省は税務署経由でマスコミを粛清したと言われている。それで折伏されてしまったのだろう。現在の大手マスコミは政党というか自民党は監視し批判し支持率下げてやるだが、官僚についてはまったくなにも言わない。政権が変わっても消費税が増えたのだから、政治家だけを糾弾すれば済む問題ではないことが、今では一介の市民にも知られているというのに。
エピローグで本書は弁護士の素行の悪さにも言及している。あと第三者委員会。市井の目から見ても、第三者委員会はだいたい弾劾される側の飼犬という印象がある。
Posted by ブクログ
2025年度、コンサルタント会社の倒産が過去最多だというニュースを見て「コンサル会社のことはよく知らないけど胡散臭いよなぁ」と思っていた矢先、この本のレビューを読んで早速取り寄せて読んでみた。
ここに出てきた会社は補助金欲しさに自治体を騙し、地方議員を雑魚と呼ぶ。正に外道という印象。
しかしながら、自治体も自治体でコンサル任せ、自分の地域のことなんかこれっぽっちも考えてないのだから雑魚と言えば雑魚である。
雑魚コンサルと雑魚行政がくっついて最悪の展開になっていったのだなという感想。
それでも中には義憤に駆られ、不正を通報したり追求する人たちもいるのだから、地域創生の芽が潰えたわけではない。
国見町他の自治体のように過疎ビジネスの餌食にならないよう、住民の行政に対する監視の目、住んでるところに誇りを持つ事がより一層必要となる。