【感想・ネタバレ】過疎ビジネスのレビュー

あらすじ

福島県のある町で、「企業版ふるさと納税」を財源に不可解な事業が始まろうとしていた。著者の取材から浮かび上がったのは、過疎にあえぐ小さな自治体に近づき公金を食い物にする「過疎ビジネス」と、地域の重要施策を企業に丸投げし、問題が発生すると責任逃れに終始する「限界役場」の実態だった。福島県国見町、宮城県亘理町、北海道むかわ町などへの取材をもとに、著者は「地方創生」の現実を突きつけていく。本書は「新聞労連ジャーナリズム大賞」受賞の河北新報の調査報道をもとに、さらなる追加取材によって新たに構成、「コンサル栄えて、国滅ぶ」実態を暴く。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

調査報道の話なのでノンフィクションだが、内容が面白く(といったら不謹慎になるのか?)、先が読みたくて仕方なくなる本だった。
本当に地方の為になる施策であれば「安かろう悪かろう」に公共入札が陥らないよう制度は必要なのだろうが、この件は不要なものを押し付けて金をむしり取る悪質な話だった。けど、世の中はこういう戦いで溢れているのかもしれない。
地方在住で、しかも出身地はさらに田舎の過疎地域である自分は地元の過疎に目を背けて外で働いていることに罪悪感があるので、この内容は故郷でも起こり得る、もしかしたら起きているのではと思わせられた。
また、お金のバラマキだけで地方丸投げを疑問視する論調もあったが、仕事においても似たようなものだと思った。課題を報告すれば予算だけ付けて(ひどければ予算もないが)、人手は増えない、上部組織の「支援はする、頑張れ」の言葉だけ。いざ相談すれば現場での対応を責められることもある。そんな中で甘い言葉に惑わされずに居られるか、自分の身に置き換えたら…を考えながら読んだ。
これはかなり当たりの本です、間違いない。

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2026年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ
福島県国見町で「企業版ふるさと納税」を財源にした事業が始まろうとしていたがその事業に正当性はあるのか?本当に町民のためになるのか?

過疎地域に目をつけ自治体を食いものにし、公金を掠め取る私企業と過疎地域の現実的な問題を取材した河北新報記者の記事をまとめた新書。

・感想
素晴らしい新聞記者さんだなと思った。
そしてこの件を「問題なのではないか」ときちんと取り上げて戦った議員、市民の人々もすごい。

民主主義は、選挙で投票するだけじゃなくてその後も継続的に監視しなければ十全に機能しないもの。
でもそれを意識している、そして実行できている人なんて本当にごく少数なんだよなぁ。

私個人で言うと数年前から社会保険料の問題について関心が高く、(それに伴いSNSではややリバタリアン寄りのTLを構成してしまっている自覚はある)一般の人よりかは社会問題に対して関心のある方だとは思う。
でもじゃあ議会を傍聴したりまでしてるかというとそこまではない…なのでこうやってきちんと監視してる人には負い目があるわぁ。

医療福祉介護など人命に関わることになればこの国の人たちは思考停止して「善いことなんだからもっとお金と人を使おう」とする。
その結果がこの現状なんだけど…。
もっともっとって求めるけど、いや十分医療福祉介護にはリソース使ってますけどね、何ならそのせいで日本は滅びますけどね、と思ってる。

この本を読んでから数年前から思ってる「撤退戦」の必要性を改めて感じた。
もはや現状維持は不可能なのに、この話はあまり理解されないんだよね。
撤退戦の時期なんだって訴えてもあまり響かない。

「もっと補助金を」「もっと国が支援を」とか言うばかりで自分がお金を出す、自分で動くことをしない人は多い。
他人の金、他人の労働力で善いことしたこと気になってる奴やお客様気分の人たち。

ていうか補助金の申請も難解なんだよ。
結局活用できるのは補助金にたかるハエどもばっかり。
本来なら公で行うべき政策を民間に委託しなければならない現状。
公僕を減らし、奴隷のように考えてた結果成り手が減って自分たちを苦しめてる。
(大きな塊が動くからこそ複雑になって誰も対処できなくなるんだからもっと小さく簡便にすべきなんだよなー。だからリバタリアン寄りのTLになってしまう)

それにしても他人事、何かあれば「万能な国パパ、政府パパ」が何とかしてくれるはず。と思ってる人が多すぎない?
当事者意識が欠如し、やりたくないことや面倒なこと、嫌なことは自分じゃない誰かがやってくれる。
そんな社会はもう維持できない。持続可能性皆無!

この手の話題になると不平不満が多くなるけど、そんな自分だって出来てないくせにねって。

健全な民主主義を実現するためには一人一人が当事者意識を持って、勉強して討論し、利害を調整しあっていく地味で面倒くさくって時間のかかる作業が必要。
甘えや怠惰は許されない。
とっても困難な道なんだな、と思う。

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2026年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本書が取り扱っている内容は、昨今の言葉で表現するなら「公金チューチュー」に分類される。エコ、弱者救済、多様性など、人道や倫理で着飾って利権を貪るムーブメント。21世紀になって、さまざまな局面でこのスキームが暴露されるようになった。前世紀は潜在していたのだろうが、もはや隠しようもなくなっている。市井の身でも知れることが大手を振ってまかり通っていたのは、主導者勢力に大国の大統領が所属する政党が含まれていたからだろう。それが覆って流れが変わったが、末端まで行き届いていない。

ゆえに他人事ではない。特に移民政策に関しては地方自治は侵略されていると感じるし、知事連合とやらは元はどうであれ現在は随分と筋が怪しいと感じられる。

本書は啓発の書といっていいが、問題がないわけではない。
関わった範囲にだけ言及してくれればよかったのだが、当時話題になったからと引用している箇所がある。特に兵庫県知事のパワハラとされるものは、事実無根のことがらを流布した職員に対する懲戒であることは、現在では明らかになっている。本書が刊行された2025年7月時点では、著者はそれを否定する立場だったということになる。
百条委員会の性質については本書も強調しているが、兵庫県は百条委員会でなにも明らかにできなかった。百条委員会を設置すると言えば知事は屈するだろうと高をくくった行為であり、スラップ訴訟の亜流だったとみなさざるを得ない。遠地のことゆえゆるく見守っていたが、その頃から筋が怪しいと感じるようになった。
それを援護するようでは、厳しい視線で見つめざるを得ない。あと石破を暖かく見守ってる点も。

著者は、マスコミが行政の監視を怠っていると述べている。松本清張の『深層海流 現代官僚論』を読めば、その頃の知識人は官僚を監視していたと感じられる。消費税の前身である売上税を潰されて、大蔵省は税務署経由でマスコミを粛清したと言われている。それで折伏されてしまったのだろう。現在の大手マスコミは政党というか自民党は監視し批判し支持率下げてやるだが、官僚についてはまったくなにも言わない。政権が変わっても消費税が増えたのだから、政治家だけを糾弾すれば済む問題ではないことが、今では一介の市民にも知られているというのに。

エピローグで本書は弁護士の素行の悪さにも言及している。あと第三者委員会。市井の目から見ても、第三者委員会はだいたい弾劾される側の飼犬という印象がある。

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2026年02月20日

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