あらすじ
蛍が舞う夏祭りの夜──山間にある小さな町に暮らす中学生の坂邑幸恵と桐生隆之は、生きるために互いの秘密を守り合うことを決めた。それから十五年後、大人になった幸恵と隆之の予期せぬ再会が、家族や友人、町の人々の人生に大きな影響を与えていく。明かせぬ秘密を抱え、思い描いた道のりではなかった。それでも、この小さな光が照らす世界を大切に生きたい。一人一人のささやかな祈りを描いた、心震える傑作小説。
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Posted by ブクログ
「52ヘルツのくじらたち」を彷彿とさせるような、胸が苦しくなる作品だった。
凄惨な幼少期を経た子どもたちは、愛情や繋がりを必死に求めて成長していくが、その先にあるものは決して幸せとはいえない現実だった。
「子どもは親を愛するしかない」
世代を超えて連鎖する不幸の中、わずかな温もりに癒されながら強く生きている姿が切なくて切なくてたまらなかった。
家族の愛の形、人と人との繋がりとは何かを考えさせられる作品だった。
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完全な救いとまではいかなくとも、どの章も緩やかに余韻が残った。
子どもは無条件に親を愛す。
子どもには、拒否という選択肢はない。
そうだよね、傷ついても憎んでも、ふとした瞬間に親からの愛情や優しさを求めてしまう。
紅美子の章が個人的に1番好きだった。
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親子関係を考えさせる作品
心がキュンとなる
子どもながら親を殺した二人
蛍祭りの日に蛍が乱舞する山で会う
時を経て男に裏切られ妊娠した女は
あの場所で死ぬために山に登る
そこで再び同級生の男に会う
女は再び殺人を犯していた
無理して登って為産気づき
男に助けられ男の子を産み出血性ショックで死ぬ
子どもの名を「正道」と名付けて
時を経て男はその子どもの養父になる
訳ありの四人での暮らし
男の子は成長してそこに家族を感じる
子どもは親を選べない
親も子どもを選べない
現実いろんな環境がある
私も年を経てやはり子どもの頃を思う
親の有様で子どもは大きく影響される
哀しいけど事実
一人一人にいろんな環境がある
家族について子どもの成長について考えさせられる素晴らしい作品
Posted by ブクログ
心が抉られる物語でした。子どもは親を選べない、どんなダメな親でも子どもは親を愛してしまう、だからこそ親は子どもにありったけの愛情を注がないといけない(というかふつうはそうなるはずが、出来ない親は確かに存在する)というメッセージを受け取りました。逆に愛情さえあれば、家族になれるし、親殺し(他人も含めて)を完全に否定している点にも共感しました。そして、最後には全てを許した正道の器の大きさに只々感動いたしました。
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52ヘルツのクジラたちの進化版。最初の章はサスペンス劇場。夏祭りの夜、人里離れた山の中でたまたま出会った敬之と幸恵。蛍の乱舞する中で共有した秘密。15年後偶然にもに同じ場所で再開した二人。2章以降は親ガチャではずれを引いた正道の話だが、それでも亡き母の「正しい道を生きてほしい」という名前の由来の通りに生きている姿は涙ぐましい。そして、自分の過去と境遇を飲み込み、人に優しくできるのは並大抵のことではないのだと思う、敬之にしても正道にしても。町田作品はどれも読むのがしんどいのだが、それでも最後は一気読みです。
Posted by ブクログ
なんとなく仄暗い香感じがずっとあるので辛いなと思う部分も多かった。親だけじゃなく大人たちに子供って振り回されてるんだよなと思った。子育てしてると子供に振り回されてるって感じることが多い、それって時間とか体力とか人生が大きく変わるなんて事はほとんどない、けど子供は周りの大人達に人生を大きく変えられたりするんだよなと再確認した。子供との関わり方について考えさせられる話だった。定期的に読み返したい。
作者買いです。様々な親と子の切っても切れない関係が描かれる連作短編集です。
殺人者の息子として迫害された過去のある正道を中心に物語が展開します。時を経て正道の心境や苦しみが変化し、涙なしには読めない作品でした。
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真っ暗な世界で祈った先にあったのは、柔らかな光。
外からから窺い知れない親子関係や人と人とのつながりの救い、光と闇が連作で描かれていて、最後まで読みたくなる本。
子供は親を選べないし、親の言動に影響を受けざるを得ない。
子供から大人に向けての叫びを見ているかのようだった。
罪を犯すと臭いが染み付くというのも、心にずんと来た。
幸恵にとっての光は、蛍が見れる場所であり、隆之であり、やはり正道なのだと思う。
そして正道も光を求め、見つけた光を引き継いでいく。
正道、隆之、紅美子は血の繋がりは無く、期限付きの生活であったが、確かに家族だった。
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町田そのこさんの、連作は好きです。
好きな連作「うつくしが丘の不幸の家」は、温かな作品だったけれど、「蛍たちの祈り」は…
でも、やっぱり物語の繋がりに、どんどん引き込まれました。
明日は、明けの明星を探してみようかな。
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私の中のインナーチャイルドが泣いている。
「あのときのおれは確かにいるのに、でも、あのときのおれを誰も知らない。」
前半は、正直ありきたりな部分があって読み進めるかは微妙だったけど、中盤〜結末が特に良かった。
たくさんの人の人生を、繋げて繋げて書いている
マサミチ君は少し現実味がない人間性で、不自然な部分も多かったが…
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町田そのこらしい物語だった。どこか救いのある、静かな絶望感。連作集ならではのゆるやかなつながりと、次はどんな人?というワクワク感。余韻のある章の終わりと、すこしずつその答えが明らかになっていくつくり。親というものがいかに危うく、聖人などではなく、すこし年上の大人であり時に愚かであるかということを思い知った。読後感はとてもよかったが、心を打たれ、よく考えさせられた本だった。
Posted by ブクログ
町田そのこさんらしい作品でした。
登場人物みんながヒリヒリした人生を送っていて、全てが全て、めでたしめでたしにならないところが好きです。
登場人物に比べると、私の人生イージーモードかもしれないなと思ったりしました。
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抜け出せない苦しみの渦に差し込む小さな光。辛く悲しい描写が多くても、その光が誰かを救う優しさに繋がっていく。すべてを詳らかにするのではなく、各章ごとの余韻も良かった。
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評判が良かったので、手に取ってみました。
今回も、しっかり泣かされました。
本作は全五編からなる短編集ですが、物語の軸となるのは幸恵の息子・正道。
それぞれの物語は独立していながらも、時間が少しずつ進み、正道の人生が重なっていく構成になっています。
一話ごとに「余白」があり、読者に想像を委ねるような終わり方をするのですが、次の話でその答えがそっと明かされていく。
読後に残るもどかしさと、その先で用意されている救い。
この“焦らしと回収”のバランスが本当に巧みで、毎回胸をつかまれました。
そして何より、泣かせ方があざとくない。
感情を無理に煽られることがなく、気づけば静かに涙がこぼれている。
町田先生の筆力には、ただただ感服するばかりです。
物語の中心にいる正道は、生まれながらにして重たいものを背負った人物です。
母の罪、そしてその罪の向こう側にある想い。
血のつながりのない人たちに囲まれながら、彼は生きていきます。
時に厳しい現実に直面し、時に隆之のような人物に救われながら、正道は「人は一人では生きられない」ということを、身をもって知っていく。
どこか達観した雰囲気を持つ彼の姿は、その経験の積み重ねそのものだと感じました。
印象的な言葉はいくつもありますが、とくに心に残ったのがこの一節です。
「……(省略)でも、お前の名前だけは、あいつの本心だ。あいつの残した、誰にも否定できない本物の、きれいな心だ」
そしてもうひとつ、正道が梅野可憐に語るこの言葉。
「拒否できないのは、親の犯した罪もです。誰が、負の遺産を喜んで受け取りますか? 愛があればと言うかもしれないけど、愛と罪は別だ!」
この言葉は、正道という人間だからこそ紡げたものだと思います。
愛と罪、そのどちらも背負って生きてきたからこそ出てくる言葉であり、重みが違う。
誰かに支えられてきたからこそ、今度は自分が誰かを支えたい。
その連なりが、静かに、でも確かに描かれている物語でした。
感情が揺さぶられる場面が多く、少し散漫になってしまいましたが、それほどまでに心に残る一冊だった、ということで。
Posted by ブクログ
自分の痛みや苦しみを認めるのは、自分自身だよね。誰がどう言おうと痛い、苦しいと思ったことを自分だけはちゃんと認めて、ここにあると言わなきゃいけない。と言うセリフがあるんだけど。
自分の痛みや苦しみを自分で認めるなんて ちゃんと自分のことをみて大切にして好きになっていないとできないことなんだろうなぁと思った。
自分は傷ついていない。痛めつけようとしたんだろうけど 何ともないよ。と言ったほうが 誰かに故意に傷つけられた傷が深くならないように思える。
だけど 本当は 傷ついてたんだなぁ。
痛かったんだね。って
Posted by ブクログ
これも、町田さんらしい一冊。読みながら切なさがこみあてきた。自分ではどうにもできないことは、多々ある。子どもの頃は特にそう。生きていくにはあきらめて見ないふりして、自分のきもちにもふたをしていなければならないこともある。運命と言ってしまえばそれまでだけれど、出会いがなにかを変えてくれるかもしれない。
正道くんが、母の願いどおりに育ってくれたことは、嬉しい。生まれなければよかったと思う子どもたちがいなくなることを願わずにはいられない。
Posted by ブクログ
重たいテーマだったけど、優しくあたたかい感じをもたらす内容でした。
町田さんのこの感じ好きです。
印象に残る言葉がたくさんありました。
『親は子どもを選べない』
『自分の痛みや苦しみを認めるのは、自分自身だよね』
『誰がどう言おうと、痛い、苦しいと思ったことを自分だけはちゃんと認めて、ここにあると言わなきゃいけない。』
大人も子どもも、1人でも助けてくれる人がいれば救われる、誰も1人にしてはいけない、と考えさせられました。
Posted by ブクログ
子は親を選べない。
子は親がどうであれ、愛してしまうようにできている。
でもそれと同時に親への憎しみを持ったまま、生きていく。
親なりの愛のかけ方に気がついた人、親なりの不幸を理解しようとする人や、親の立場なんか考えてられない、自分の不幸はせめて自分が不幸だと言ってあげたいという人など"毒親"に対して考え、導き出した答えが十人十色でした。
正道は今後も親への憎しみを持ったまま生きていくだろう。その経験をへて、同じような目に遭っている子供の未来を作っていく。
それは親を許すということではなく、自分の報われなかった気持ちを癒すためだと思った。
正道が他の子供たちにかける言葉は、きっと自分がかけられたかった言葉なのかなと気がついた時
どうしようもなく正道を抱きしめたくなりました。
Posted by ブクログ
どんなクズ親でも、子どもは与えられた環境の中で生きていくしかない。
正道くんは母が望んだ通り正しい道を歩んでいくだろう。
隆之が愛情深くずっと寄り添ってくれたから。
「子どもにとって、親って絶対なんですよ。子どもは親を選べない。ひとりで生きる術がないから、どんな親であっても受け入れなくちゃいけない。学校に楽しく通いたい、お腹いっぱいご飯を食べたい、穏やかに布団で眠りたい。そんな当たり前の願いすら、親によって奪われる。生きることを諦めたくなる瞬間が、何度も訪れる」
こんな子どもがいない世の中であってほしい。
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重たいテーマだったけど、人の弱さに寄り添うような優しさを感じる作品だった。
暗闇の中で誰かが迷っていたとしても、いつか光が灯りますように。
そんな祈りが込められていたような気がした。
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大人も子どもも孤独にしてはいけない
人との出会いが負の連鎖を止める一助になる
そんなメッセージを含んだお話。
一生のほとんどを暗く湿った地中で過ごす蛍
美しい光を放つけど、その期間は10-14日ほどらしい。
蛍が黒い虫だと思うと苦手だと感じる人もいる。でもいつの世も、蛍の放つ光は誰かに感動を与え、希望になることもある。
そんな小説でした。
Posted by ブクログ
最初から最後までハードな内容で読み進めるのが辛かったのが正直なところ。
子供は親を選べない。毒親から生まれた時点で、その子供は幸せになれないんだろうか。親の負の遺産を一生背をっていくのだろうか。
生きていても辛い。親を殺すことが出来ても、また別の辛さが追いかけてきて、不幸から抜け出せない。
自分は殺してしまいたいくらい、親が憎いなんて思ったことはない。たまたま恵まれていただけで、世の中には想像を絶する世界が広がっているのだと、改めて気付かされた。
螢たちの祈り。いまこの瞬間にも、小さな螢たちの祈りが捧げられていると思うと、とても切なく苦しい。
Posted by ブクログ
最初は短編かと思った。
でも、短編のように主人公が一話ごとに変わるけれど、話は繋がっている長編のようなお話だった。
親が殺人を犯していたり、親のせいで苦労をした子供達の話。特に、正道くんが良い青年に育っていて良かった。
「子どもは、無条件に親を愛します。そういう風にできている。愛されなくても、傷つけられても、しあわせを奪われても、求めるようになっている。子どもには、拒否という選択肢はないんです」という正道の台詞が印象に残った。
自分も親になり、子供はこんな自分でも、「ママ、ママ」と愛してくれるが、甘んじずにしっかりしないとなと思った。
Posted by ブクログ
決して裏切らない作家がいる。私にとって町田そのこさんはその中の1人だ。
第1章を読み始めてすぐ、これは裏切られたと思った。つまらない小説を読んでしまったと。でも、2章を読み終える頃には違う確信があった。これは面白い。
とにかく隆之がカッコいい。小説を面白くさせる材料として欠かせないのはキャラクターだと思う。この物語にはクソみたいな登場人物がかなり出てきて、胸糞悪い思いもするが、全章に登場する隆之がとにかく魅力的だ。
正道が隆之と出会えて良かった。最後は蛍が出てきてくれと強く願った。
Posted by ブクログ
田舎の山あいの小さな町に暮らす、中学2〜3年生の少女、坂邑幸恵(さかむら ゆきえ)は、両親を失い、頼れる人の少ない孤独な境遇にいます。ある夏祭りの夜、町の「蛍(ホタル)が舞う場所」で、同級生の桐生隆之と出会います。二人とも家族にも社会にも居場所を見い出せず、「死」という選択すら視野に入れた極限の状況の中で、生き延びるために互いの“秘密”を守り合う“共犯者”となることを決めます。
tsogen.co.jp
+1
それから十五年後。大人になった幸恵は、かつて抱えていた罪・恐怖・絶望の記憶を背負いながら、自らの人生を模索しています。偶然の再会によって隆之との関係が再び動き出し、彼らだけでなく、幸恵の息子・正道や、町で育つ子どもたち、親や友人たち――それぞれに傷と孤独を抱えた人々の人生が、少しずつ交錯していきます。
読書メーター
+1
物語は、幼い頃の”逃げ場のない日々”/“共有された秘密”を出発点に、親からの暴力や放置、死への誘惑、絶望の中で選択を迫られる若者たち、そしてその後の人生の軌跡を、章ごとに語り手を変えながら描きます。
note(ノート)
+1
そして、「自分の居場所を探し続ける人々」が、それぞれにささやかな祈りとともに、どんなに暗い場所でも“光”を見つけるために生きていく――そんな希望と救いを、静かに、しかししっかりと描いた作品です。
Posted by ブクログ
両親に恵まれなかった子供達がもがき苦しみながらも生きていく話。
主人公の成長と共に関わる人目線の短編集。
逃げられない子供は本当に気の毒に思う。
現実、小説のように手を差し伸べてくれる他人はいないだろうし親の事情を知ったところで、苦しかった過去がゼロに近づく程感謝するには至らないだろうなと想像する。
だけども最後まで一気に読み切れた一冊でした。