あらすじ
高等小学校卒ながら類まれな金銭感覚と人心掌握術を武器に年若くして政界の要職を歴任。ついには日本列島改造論を引っ提げて総理大臣にまで伸し上がった田中角栄。「今太閤」「庶民宰相」と称され、国民の絶大な支持を得た男の知られざる素顔とは? 田中の金権政治を批判する急先鋒であった著者が、万感の思いを込めて描く希代の政治家の生涯。
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まるで、自伝のような文才が素晴らしかったです。
政治は今も昔も変わってない、ループ続けてるのかと思いました(金権とか)。また日本人の天才はアメリカに潰され続けるのは悲しいです(リクルート事件とか同様)。トランプさんになってアメリカの日本に対する態度が変われば、何か変わるのかもしれません。
強いて言うなら、昔は愛国心のある政治家でしたが、今は愛国心の無い政治に変わっている気がします。(むしろ今は自分が儲けるか否かという感じがします。)
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石原慎太郎って良い文章書くんだなと思った。一人称で田中角栄を綺麗に書いている。文が綺麗で、端的で良い本だった。そして、田中角栄ってすごいんだなと改めて感じた。
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天才政治家「田中角栄」の生涯を一人称の自述形式でまとめた作品。
本人も政治家であった筆者は角栄の金権政治を批判しつつも、その大きな業績と人物を認めているが、本作中では是も比もなく冷静に客観的に淡々と筆を進めている。
人間的魅力に富んで「人たらし」と言われた角栄だが、国を導く政治家に最も必要な愛国心と先見性を備えていたことを再認識した。
ただ、その故に、歴史的な実績を上げる一方で、米国の逆鱗に触れて失脚させられたことは何とも残念である。
大国、官僚、マスコミに迎合せずに”上手く”付き合って、国造りの信念を全うする姿勢は、現役政治家も一般国民も範とすべきところである。
なお、外交時のエピソードから、会談の脇で角栄が発揮するユーモアの感覚、これも実は首脳に求められる大切な素養の一つと感じた。
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石原慎太郎自身愛国心と田中角栄のそれが一致しているからこそ、日本人である我々に対してのある種のメッセージのように感じた。ロッキード事件はやはり難しく理解し難かったが、概ねの人となり、物の見方は理解できた。
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政治家であり作家でもあった石原慎太郎氏が、田中角栄元首相を主人公に据えた一人称小説である。ロッキード事件などを扱った他の田中角栄関連書籍と併読することで、史実と作中表現の差異や、角栄という人物像の立体感がより深く理解できた。かつて田中角栄批判の急先鋒であった石原慎太郎の視点を通してもなお、角栄という政治家・人間がきわめて魅力的に描かれており、その力量や人間的引力を否定しきれない筆致から、田中角栄が持っていた圧倒的な存在感が浮かび上がってきた。
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石原慎太郎による田中角栄のフィクション。
彼のフィルターを通した角栄の一人称物語。
文章が遠回しで長いところがあって、そこは凡人には難解でしたが、楽しく読めました。
歴史的勉強というものではない
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当時田中角栄の金権主義を批判していた石原慎太郎が、角栄が亡くなり、自らも政界を引退した後、彼を「天才」だと認めて、一人称でその人生の物語を書いた。年表を見ると総理大臣だったのは2年半ほど。意外。私が幼少の頃あれだけ存在感があったのに。日本人自身の判断で日本を良くするという信念を貫いたばかりにアメリカに疎ましがられ、嵌められた。世の中の流れから考えても、もう彼のような男気のある政治家は出て来ることは期待しづらいのではないだろうか。惜しい。
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石原慎太郎による田中角栄伝。一人称での語り口が、まるで本人の自叙伝のよう。小学校を卒業し、土建屋を起こし、国会議員になり、総理になり、ロッキード事件で失脚し、有罪判決を受け、病に倒れるまでが、生き生きと描かれている。一つ一つの出来事は詳しくは語られないが、田中角栄の生き方、考え方などがよくわかる。ロッキード裁判の是非などは闇に葬られた格好だが、今もあり得る気持ち悪さがある。米国や中国との関係は変化しているが、日本はしっかりやっていけるのだろうか。
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フックオフ110円
めっちゃ面白かった
田中角栄も石原慎太郎も愛国者です。
ロッキード事件もアメリカにハメられたとのこと
昔の政治家には信念があった
岸田をみていると、信念が無く自分の意見が無いから嫌いなんだと、この本を読んでわかったきがする
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一人称で語られる田中角栄の半生。
自信に満ち溢れていた前半から、ロッキード事件で失速し徐々に弱さを見せ始める後半からの語りの変化に、寂しいような哀しいようななんとも言えない切なさを感じた。
最期のシーンは、静かな余韻が残る。
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政治家には先の見通し、先見性こそが何よりも大切なので、未開の土地、あるいは傾きかけている業界、企業に目をつけ、その将来の可能性を見越して政治の力でそれに梃入れし、それを育て再生もさせるという仕事こそ政治の本分。
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ロッキード事件での失脚により、表舞台から消えていった稀代の政治家『田中角栄』
その田中氏の半生を一人称語りで描いた本著。
後書にもあった通り、石原慎太郎は本著を執筆するに至って、改めて田中氏にまつわる様々な情報を集めた結果、改めて田中氏のことを『天才である』と語っていました。
類稀な先見の明により、近代日本の礎を築いた田中氏について、本著を読み進める中で魅力ある人物像にも触れることができたと思う。
それはもちろん、石原氏の文才があってこそでもあるとは思うが。
そして、ロッキード事件による失脚により、表舞台を後にすることになったが(真偽も定かではなく、未だ多くの謎に包まれてはいるが…)、もしそれらによる失脚がない世界線があるとするならば、どのような日本として現在に歩を進めていたのかは、大変興味深いと感じました。
そして、本著を通じてロッキード事件についての本や、石原慎太郎の他の著書も読んでみたいなーだと感じました。
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一人称視点の語りは独特で、惹き込まれるものがあった。テーマも政治ととっつきにくいが、魅せ方が上手ですんなりと入ってくる。田中角栄を知るには打ってつけ
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石原慎太郎の田中角栄を語った物かと思ったら、ずっと一人称で語られるためか一気に引き込まれた。時代が違うから比べられないとは思うけど、今この時代に田中角栄がいたら、どんな政治をしたんだろう。ロッキード事件がなければ、今の日本はどうなっていたんだろう。今の何でもかんでも批判され、許容されない息苦しい世の中では、ああいう政治家は出てこないのかなぁ。議員バッジ欲しさではなく、未来を見据え国や国民の事を本気で考えて行動し実行できる政治家が出て来てくれたらと思う。
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天才が天才を描いた1冊。晩年しか知らない氏だけど、今太閤なんてもてはやされたのはわかる気がする。いつの時代も永田町は魑魅魍魎や牛頭馬頭のうごめく世界なんだろうけど、50年にひとりの逸材だったんだろうなぁ。失意の晩年になってしまったことが悔やまれるが、時代が変わっていたのかな、寵児だったころからは。
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石原氏は、田中角栄がきっと大好き。
あとがきで自分が彼を批判した事も書いているが、でもきっと、政治家として人間として、田中角栄を好きなのだと感じさせられる。
リアルタイムでは知らない政治家ではあるが、著者に誘導されて田中角栄を魅力的に思う自分がいる。
『自ら反りみて縮くんば千万人といえども吾れ往かん。』
土木作業員としての経験や、庶民感覚を忘れない発想が、出自から一流の政治家たちを凌駕する。
今の世の中に彼が居たら、と思わされる一冊。
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2月1日、芥川賞作家で東京都知事等を務めた石原慎太郎氏が逝去された。享年91歳。
その波乱万丈の人生を報じるニュースを見ながら、一度はその著書を読んでみようかと思い手に取った。
「天才」--田中角栄元総理大臣について、かつてはその金権体質を追及もした著者が、田中氏になり切ってその生涯を語る形をとった。
1969年生まれの私にとって、物心ついた時の田中氏の印象は、「何か悪いことをして捕まった元総理大臣」。
ニュース番組では盛んに批判されるのに、バラエティー番組では氏のものまねをして笑いを取る人が後を絶たない。
ともかく影響力が大きい人であったのだろう。
高等小学校卒。
生涯に30以上の議員立法を成立。
ロッキード事件で逮捕・起訴後も政権与党の最大派閥の領袖として君臨した。
彼が最も大切にしたものは、家族。
故郷新潟の両親。
第一子を早くに亡くした悲しみ。
もう一つの家族との物語。
人間くささが、良くも悪くもスケールの大きい活躍をした。
田中氏も、著者の石原氏も、昭和という時代を駆け抜けた一つの象徴であったことは間違いない。
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石原慎太郎が田中角栄の一人称で書く「小説」
不勉強で歴史の流れはピンとこないことが多く、調べながら読んだのだけど、終盤の脳梗塞後は、小説家石原慎太郎の力量だなぁと思いながら読みました。
これは小説。
だけど石原慎太郎と田中角栄は根本が少し似てるのではと感じます。
だからきっと違和感なく田中角栄の想いを小説という形で代弁できたのでは。
田中角栄という人は、俺が俺がな人物。
周りに掌返しをされ、味方がいなくなってもなお、自分を信じることができる強さ。
この強さがなければ大業はなし得ないと改めて思います。
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石原慎太郎が描く田中角栄。当時の金権政治がリアルに角栄一人称で描かれる。先見性、剛腕ぶりが興味深い中で人間味溢れるところがあるが、これを見るとロッキード事件はアメリカの虚構ということになるが、真実はわからない。
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議員立法を30以上成立させ、54歳で総理総裁。日中国交正常化や日本列島改造、アメリカに依存しない石油外交などを成し遂げた政治家としての功績は言うまでもない。しかし、それよりも後世に語られたのは田中角栄という懐の深い人物像だ。本書では角栄の人物に纏わる逸話が多く引用されている。そうした意味でも田中角栄という1人の人間を描いた作品として読み応えがある。石原慎太郎が田中角栄の視点から「日本の自立問題」を提起したという角度からも考えるべき作品。
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読んだ時期が時期だったので、もし今、田中角栄が健在だったら、このコロナ禍にどのように対応するのか想像が膨らんだ。金権政治の是非は兎も角、これほどの政治的センスと懐の大きさを併せ持った政治家は今後現れないのではなかろうか。
金や賄賂への考え方、用意周到な根回し、10年後20年後を見据える大局観など、後の政治家・田中角栄を形作る要素を、幼少期〜青年期の実体験に求めている点が説得力がある。
本人の著作を含め、角栄に関する膨大な文献を基に、まるで自伝のようなリアルな一人称小説を書き上げた石原慎太郎氏にも脱帽。
天才、故の悲劇
YouTube大学で紹介されていたので、読んでみました。
一人称の視点で描かれた「俺」は、田中角栄自身であり、その生い立ちから最期までが小説として描かれています。
小説の題名通り「天才」ぶりが発揮され、パワフルに突き進む姿はブルドーザー!
事業家としても、議員としても、大臣としても、総理大臣としても、才覚が凄いです。
こんな政治家はもう出てこないだろうな。それが寂しいです。
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【読もうと思った理由】
田中角栄のことを知りたくて手に取りました
【感想】
自分が求めていたものは違い、そういった意味で星3をつけました。ただ、政治家になるまでの生まれてからの田中角栄の半生を描いた部分は、めちゃくちゃ面白かったし、田中角栄本人が語っているような文体も、とても引き込まれました。政治家になってからの話は、当時に事件や政策などに関する話が事細かに語られているんだけど、当時を知らない自分としては、正直チンプンカンプンで、全く楽しめず、ほぼ読み飛ばしてしまいました。田中角栄の思想や話したことに興味を持ってこの本を取って自分としては、この本を選んだこと自体が間違いでした。
いや、でも序盤は本当に面白かった。
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田中角栄という人は、歴代総理大臣の中でも最多の立法数を誇るらしい。私は法律の専門家では無いが、確かに政治家は本来、法律を作って世の中の仕組みを良くするのが仕事なんだよなぁ、と思った。著者の石原慎太郎もらそうだが、基本的に欧米諸国に対してきちんとNOが言える人だったように思う。私自信、欧米諸国の言う事には最近首を傾げることが多くなってきているため、田中・石原のような人の生き様や価値観などは大いに参考にしたいと思う。
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都知事の印象が強すぎる石原氏の遺作。
角栄の自伝かと思いきや、作者の創作。もちろん、歴史的な事実は踏襲してるのでしょう。
ただ、ロッキードの件はどうなんでしょう?同書では、嵌められた、やってないと一貫して主張してますが、司法としては有罪判決がでています。
これは筆者である石原氏の想いを、代弁さしたのでしょうかね?共に、鬼籍ですので真相は彼方に行った時にでも、答え合わせしたいと思います。
戦後から、昭和の高度成長期、自民によるじゃぶじゃぶのインフラ投資に、裏金、二号さん、3号と、今の世では文春砲と、ワイドショーの格好のネタでしょうね。ただ、色んな意味でやることをやる。そんな逞しさとバイタリティに満ち溢れてた時代を、引っ張り続けた角栄の裏話を知れる意味では、一読の価値はあるかと思います。ただ、冒頭書いた通り作者の創作の部分もあるので、鵜呑みにはしない方向で
Posted by ブクログ
おもしろかったぁ〜
やはり田中角栄は、怒涛の人生だった。
父親の博労から、いじめ、病気、戦争などなど
田中角栄みたいな政治家がまた出てきてくれたらいいなぁ・・・
Posted by ブクログ
石原慎太郎氏からみた田中角栄氏の1人称自伝小説。政界のカリスマ性や日中国交正常化を実現した政治家としての敏腕ぶりなど数々の業績を作って世に知らしめた方。今生きていれば此の日本をどう采配していたのか?興味深いところです。
Posted by ブクログ
角栄の手記のような文体だが、あくまで石原慎太郎が書き下ろした題材ベースの小説だそうな。自分が子供の頃、角栄の名はとにかくロッキード事件にからめて頻繁にニュースに登場していた。政治のことなどもちろん皆目わからなかったが、鋭い眼光が放つオーラに並々ならぬ大物感を子供心に感じたものだ。
オーラのみでなく実際に大物であったことは小説の中身からもよく伝わってきた。男ならこういう仕事をしろと檄を飛ばされているようだった。ロッキード事件については未だになんとなくしか知らないが、有罪判決至らしめたのは本当に米国の陰謀なのだろうかと思わされた。あと、どうせ小説なのだから(という言い方はよくないが)、愛人についてももう少し触れてほしかった。
Posted by ブクログ
田中角栄の人生を描いた小説。一人称で描かれている。とても長いモノローグ。いや、角栄の目を通して石原慎太郎が語っているようにも思える。石原は角栄を描き何を伝えたかったのか。そして、ロッキード事件とは何だったのか。答えは見つかるのか?