【感想・ネタバレ】月まで三キロ(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「この先にね、月に一番近い場所があるんですよ」。死に場所を探す男とタクシー運転手の、一夜のドラマを描く表題作。食事会の別れ際、「クリスマスまで持っていて」と渡された黒い傘。不意の出来事に、閉じた心が揺れる「星六花」。真面目な主婦が、一眼レフを手に家出した理由とは(「山を刻む」)等、ままならない人生を、月や雪が温かく照らしだす感涙の傑作六編。新田次郎文学賞他受賞。(対談・逢坂剛)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章に惹きつけられるものがあってどんどん読み進められました
山を刻むでは母親が主人公で、家庭内での役割や夫と子供への思いが綴られていて、その立場に立ったことがなかったので読めて良かったです。
抑えていた自分を解放しながらそれを家族にも見せつけていきたい、みたいな結末になっていてよかったです

0
2026年04月21日

Posted by ブクログ

好きなシーンに付箋をつけたところ、たくさんの付箋が必要だった。どの話もこころに刻まれるすてきなフレーズがいっぱいあって お気に入りの1冊になった。

0
2026年04月03日

Posted by ブクログ

心が疲れている時は一回人間関係から少し距離を置いてみると、今までとは違う角度から周りの人との関係を捉えられるようになるというのは、実感としても感じたことはあるので、読んでいて心が落ち着く話が多かったです。
現実に向き合いすぎないためにも、現実から少し逃避する手段やきっかけが大切だなと思いました。

0
2026年03月23日

Posted by ブクログ

「宙わたる教室」の著書。
理系の話がたくさん出てきますが、分かりやすい文章で読みやすいです。人の心の温かさも感じられます。

0
2026年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

納得感のある、綺麗すぎず後味もよい話が多くストレスがなかった。自然科学を愛する者たちとの交わりが鋭いけれどもどこかとぼけた感じで楽しかった。

0
2026年03月22日

Posted by ブクログ

月とか星とか宇宙のお話が好きなので私にはとってもピッタリでした!科学の話になると途端に難しくなりますが、とっても読みやすかったです。
じわじわ心があったかくなって、前を向けそうなお話が多くて、ベッドサイド本にぴったりです。
ミステリー作家さんなのを知らなくて、確かに所々ミステリーぽさがあったのはそのわけか!と思いました。

0
2026年03月10日

Posted by ブクログ

名作というのは長くても最初のページを読み終えるまでには分かるもの。
この作品はそれよりも早く、きっと三行読み終えるまでには名作と確信したと思う。
六編の短編はそれぞれ毛色が異なっているにも関わらず、その全てに深く感情を預けることができたように思う。
こんなに没入できる作品は、そう多くはない。
タイトル作の「月まで三キロ」は言わずもがな素晴らしい短編。
それと同じくらい「エイリアンの食堂」も素晴らしかった。
科学が苦手、馴染みがない人にでも楽しめる作品であることは間違いないし、おすすめの作品は?と聞かれたら、迷わずすすめられる作品。

「月まで三キロ」の標識があるのは浜松市。
必ず行こうと思った。

0
2026年03月08日

Posted by ブクログ

理系のバックボーンなのに優しい文体で、面白いけど穏やかな作品集だった。 特にエイリアンの食道は全てが好みの小説だった。分かると分からないをきちんとわけるという言い回しはとても感銘を受けた。

0
2026年02月18日

Posted by ブクログ

第二回目伊与原さんブームということで、こちらの本。短編集で、人生に迷える人+行きすがりの理系(の特定の分野に詳しい人)という設定がもはや安定。まだ初期の本を読んでいないが、後書きでの逢坂さんとの対談を読むと当初は理系知識の謎解きトリックミステリー派だったということで、まあそれはネタ作りに疲れそうだなあと思ったので、この程度の軽いトリックが読んでいる側にも負担がなくてありがたい。

一番よかったのはエイリアン食堂(だったか)で、読者からの反応もよいとのことに納得。つくばで食堂を営む父娘のもとに訪れる、非正規雇用?の学者さん。彼女が持っているルーペ(それを持っている限り自分の立ち位置を確認できる)とか、自己を戒めるために「ないものねだり」と言ってしまった彼女が、その言葉が少女を傷つけたのではとちゃんと戻ってきてくれるところとか。不眠症の女の子と父という設定は、現実であればそんな個々人で子育てを背負って追い込まれる社会っていやだなあと思うのだが、根無草の女性との出会いで女の子にも、自分の居場所というか生きていくための指針のようなものが得られるのではないかという淡い期待を持たせてもらえてよかった。

0
2025年11月22日

Posted by ブクログ

短篇なので読みやすく、科学的な知識を分かりやすくそれぞれの登場人物の人生に落とし込み、読者に委ねる形で章を終わらせてくれる。ミステリーのような形でタイトルの意味や内容を最後まで引っ張る描き方で読者の関心を離さない。

0
2026年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やっぱ表題作がいちばんいいね。
「知ってました?」て連呼するのなんかジワる。
標識の場所行きたい
行くよ。

・月まで三キロ
人生いろいろあった(父親と不仲、起業したが失敗。子供できないまま離婚され借金7000万抱えて実家に出戻り。母が急死。そのまま父親が認知症を発症。父親は自分(息子)のこともわからない。下の世話もするしなくてはならない。)40代の男が、自殺の下見に樹海まで行こうとタクシーに乗る。しかし、タクシー運転手に連れて行かれたのは浜松市天竜区月に向かう途中の『月 Tsuki 3km』と書かれた道路の案内標識のところだった。
月は大昔はもっと地球に近くて、回転も速かった。だから、月のいろんな面が見えたし、大きくみえた。タクシー運転手は元高校教師で天文学が好き。月は子育て似ているという。月と子供は似てる。タクシーの運転手の息子は高校受験当日に飛び降り自殺した。自分も死んでしまおうと思ったとき『月まで三キロ』の看板を見つけた。満月の夜。月が息子だと思った。月に1番近いこの場所で息子に「お前にどうしてやればよかった?」と問い続ける。主人公は認知症の父親の介護に疲れ、老人ホームに預けてきた。その老人ホームは月より近い。(月は三十八万キロ離れてる。)父親に話を聞きに行こう。自分に本当はなにを伝えたかった?自分を愛していたか?

・星六花
雪の結晶の名前。
アラフォーの主人公女は紹介で気象関係の仕事をしている人と知り合い好きになる。しかし、彼は性的対象が男だった。雪の予報を当てるために雪の結晶の写真を一緒に観察する。

・アンモナイトの探し方
中学受験に悩む小学生が両親の故郷で化石を採掘してるひとに出会う。
わかるための鍵はわからないことの中にある。まずは何がわからないかを知らなければならない。わかるとわからないをきちんと分ける。
小学生は本当は自分の志望校によって両親が離婚することに悩んでいた。住む場所で親権とか。

・天王寺ハイエイタス
ハイエイスタは中断みたいな意味。
主人公、豆腐屋の三代目次男、健。父親の兄、哲治が元プロのギタリスト。今はプータロー。その哲治が主人公の兄、優にお金をたかっていたのを見たと聞く。優は秀才でつくばの国立環境研究所で働いてる。古気候の研究所。哲治にお金を渡そうとしていたのは本当。哲治は優の大学院進学時、レアなギターを売ってお金150万をつくってくれた。(親は豆腐やの経営がピンチ、祖母が倒れた)両親には成績がよかったから入学金と授業料は免除になったと言った。
哲治は結婚して娘がいて、やり直したいと音楽を捨てた。しかし、女性問題から奥さんは拒否。娘が大きくなって音楽の道に進むようになり、哲治が自分のために音楽を捨てたと思うようになる。それがつらい。「もうギターをひく気はないのか」聞いてほしいと優のところにきた。お金はギターを買うように30万渡そうとしていた。しかし突き返された。
はじめて哲治のギターを聞く。すごい演奏うまい。
哲治の娘への答え。娘のことは大切。
人生に後悔はつきもの。それでいい。そのためにブルースがある。優には優の、健には健の、ミカ(娘)にはミカのブルースがある。お父ちゃんは機嫌よくお父ちゃんのブルースをやってるから気にするな。

・エイリアンの食堂
母親を亡くした女の子。父親は食堂をやってる。その食堂に通うつくば研究所の女性との交流。すべてが素粒子?水素?みたいな話。女の子は母親の存在をいつも感じていた。父親は妻の死を嘆いていた。

・山を刻む
専業主婦がシュミだった登山と写真を再開させる。
家族に主婦やってあたりまえに扱われて、家族をすてるのかな?っておもったら、山登りで火山学者と学生に会い、山小屋を買う(経営する)決心をする。娘や息子、夫が山小屋にきてくれる想像をする。「山っていいでしょ」と言いたい。
学生は医者の家系だけど、落ちこぼれ。
院生で火山学者の手伝いをしている。先生は自分のやっていることが世界一おもしろいって本気で思ってるから、一緒に仕事をすれば、将来やって良かった、面白いと思える確率が高い。「仕事なんてつらいもんだ。」という医者の父親のもとで働いても面白いわけない。

・特別掌編 新参者の富士
富士山だって日本アルプスの山々の中では新参者。日本海が開いて日本列島の原型ができたのは1500万年前、日本アルプスの山々が隆起を始めたのが2、300万年前、富士山が生まれ始めたのは1万数千年間前。
来年30になる主人公は鬱で静岡に帰ってきたけど、人生まだまだ、人生100年時代、30なんて新参者と励まされる。
第8回静岡書店大賞受賞記念掌編(しょうへん)を文庫化に際し収録。

掌編っていうのは短編より短い小説

最後に逢坂剛との対談がある。
この本はミステリーらしい。

0
2026年04月26日

Posted by ブクログ

とにかくすべてが温かく優しい。
専門的な内容をちょうどいい読み応えに昇華する丁寧さや、それぞれの登場人物のこれからに少しの明るさを添えるような展開が素敵でした。

0
2026年04月21日

Posted by ブクログ

科学をテーマに据え、自然を現象学的に捉えるアプローチで描かれたヒューマンドラマ短編集
最近は涙腺が弱すぎるから表題作を読んで電車で涙を一筋流したりしてて社会の中でもとびきり自我を放つ存在になた✌︎やむなし
どの話も完璧に美しいハッピーエンドを迎えるわけではなく読者に先を委ねるような余白があり、筆致も軽やかで押し付けがましくないのでとても読みやすかった。科学知識が絡められる際にも衒学的な印象を読者に抱かせない文章力!
ままならない人たちが自然や人との出会いで心を動かされてままならないなりに前を向いて行く姿に励まされる。「星六花」に登場する奥平さんがメロすぎる

0
2026年04月23日

Posted by ブクログ

人との出会いを通して主人公たちが前を向いていく姿が生き生きと描かれていて印象的だった
天文学って奥深くて面白い!とてつもなく概念的で手に負えないくらい大きなものかと思いきやとても身近なものでもあり魅力的だと感じた

0
2026年04月20日

Posted by ブクログ

死に場所を求めている男と息子と家族を失ったタクシードライバーの不思議な邂逅ほか、何かを失い人生の指標に迷った人を巡る救済と寛解の群像劇。心温まる解決が待っているわけではない、喪失を抱えながらも新たな人生に向かって前向きに進み出すための処方箋がそれとはなく与えられる。

0
2026年04月19日

Posted by ブクログ

はじめましての作家さん伊与原新さん、
優しい理系な小説のイメージ。
NHKの影響つよっ!

『月まで三キロ』、短編でございました。
やっちまったか!と思いながらの読書スタート。
1編50ページが6編。

なんて読みやすい。
すべて理系というより理科。
月、雪、化石、地層、化学物質、火山などなど
図鑑で楽しんだ世界がここにありました。

短い分、登場人物の魅力がでないかな?と思いきや、思いきやでした。素晴らしい!
『天王寺ハイエイタス』、『エイリアンの食堂』は
特におすすめ短編です。無理に話を盛り上げ過ぎないストーリー、読後感良かったです。

カバンの中に一冊、空き時間にちょいと読むに最適な一冊です!

0
2026年03月30日

Posted by ブクログ

チャッピーにおすすめされて手に取った1冊。

登場人物達のこれからが幸せでありますようにと願わずにはいられないお話でした。

この作品は何か劇的な変化や急展開があるわけではないです。

ただ優しく語りかけるような、心にすっと入ってくる作品でした。

心が落ち着く本を探してるあなたに読んでほしいです。

0
2026年03月29日

Posted by ブクログ

理系と人情。
どこか傷を負った人たちが、日常の中で科学的な出会いを経て、前向きに歩き出す話。
短編6編に、おまけと対談。
正直、表題作はあまり好きな話ではなかった。次の星六花で少しいいなと思い、あとの4編はとても好きな話だった。
どれも、負った傷が癒えるわけではないけど、何気ないことから前を向く力を得ていく過程は、どこかほっとする。

0
2026年03月19日

Posted by ブクログ

科学をテーマにした短編集だが、難しい説明は少なくとても読みやすかった。作者が理系出身ということもあり、科学的な話も自然に物語の中に溶け込んでいて、すんなりと理解できて読み進めやすかった。

どの話も人生につまずいた人や迷いを抱えた人が登場し、科学や自然との出会いをきっかけに少しだけ前を向く姿が描かれている。

特に「エイリアンの食堂」が一番好きだった。宇宙という遠い存在と、食堂という身近で温かい場所が結びついているところが面白く、人と人とのつながりの大切さを感じられる話だった。

最後の「対話」でも描かれているように、伏線や会話の運び方などにミステリ作家らしさを感じる文章で、短編ながら読者に考えさせる余白があるところも良かった。

0
2026年03月06日

Posted by ブクログ

 どの短編も、未来が劇的に変わるような、今抱えている問題が解決するような結末ではない。それにもかかわらず、なんだか少しだけ未来に希望を持てる、この先も大丈夫かもしれないと思えるようなストーリーで好ましかった。

0
2026年03月06日

Posted by ブクログ

面白かった。巻末に書いてあったが、ミステリー?日常の分岐点のストーリーを書いてある感じですが、どこに着地するのか期待を持って読み進めてしまう。ふわっとした余韻が楽しめます。よかったです。「アンモナイトの探し方」が1番好きでしたかね。

0
2026年03月07日

Posted by ブクログ

6編からなる短編集
〈月まで三キロ〉
表題作。人生に絶望し、死に場所を求めて
青木ヶ原に向かおうとタクシーを拾う主人公。
タクシー運転手は彼を、月に一番近い場所へと
案内する。
運転手は二度と息子には会えない。だが、自分の
父親はまだ生きている、すべてを失ったわけでは
ない。いきなりじわじわとくる話だった。
悲しいけれど、月がとても綺麗だ
〈星六花〉
後輩の美彩と、知人の紹介で男性二人と
食事会に行った、主人公の千里。
そこで気になる男性と出会う。
気象庁東京管区気象台 気象防災部 技術課
技術専門官という肩書きを持つ男性、奥平潤
彼にときめく千里だが、彼には秘密があった。
二人には、生涯の友人となって欲しい。
〈アンモナイトの探し方〉
小学生6年生の朋樹は、夏休みに母の故郷である
富美別(架空の街)にひとりで滞在している。
そこで化石を採取していた気難しい老人、
戸川さんと出会う。アンモナイト探しの場面は、
自分も一緒に化石を探しているような気持ちに
なってワクワクした。
〈天王寺ハイエイタス〉
「ハイエイタス」とは「中断」を意味する言葉。
舞台は大阪。主人公の父親に度々金をせびりにくるような元ギタリストだった伯父。そんな伯父が
実は、自分の夢の象徴でもあった高価なギターを
売却し、主人公の家族を救っていたこと
を知る‥人情味のある話でとても良かった
〈エイリアンの食堂〉
小さな食堂を営む父娘と、常連客である
素粒子研究員の女性を描いた物語。
「水素は海になり、雲になり、生き物の体もつくりながら、地球を巡っている。あなたもわたしも、
138億年前の水素でできている。だから、わたしたちはみんな宇宙人」
138億年前の水素の話が壮大で素敵。
〈山を刻む〉
自分を後回しにして生きてきた主婦が、
自分の足で人生を歩み始める姿に感動。
最後に彼女が下した決断に驚くが
頑張れ!と応援したくなる。

月の公転や岩石の種類、素粒子など、
科学的な要素が出てくるが、知識がなくても
大丈夫。科学が全ての悩みを解決できるわけではないけれど、科学の要素がこの物語に違和感なく入り込み、ままならない人生を送る登場人物たちの
心にそっと寄り添う。

読書仲間さんに勧められて読んだ本。
どの話も心に残り、とても良かったので、
私もこの本を誰かに勧めたい。

あと、特別掌編〈新参者の富士〉と
著者と逢坂剛氏の対談も収録されている

0
2026年03月04日

Posted by ブクログ

受験生、リストラ(だったかな?)、専業主婦など…の人たちが壁にぶち当たり、絶望してる中で天文学や火山学などの博識な人と出会い、未来に希望をもつ。そんな短編集。名言が多すぎてたくさんメモをしてしまった。
特に感心したのは、、
体のほとんどが水素でできていて、それを循環してるから、過去から未来のみんなや、惑星にいるだろう生命体も私たちの兄妹みたいなもの
こういう考え方が好きだなぁと思った。

0
2026年03月03日

Posted by ブクログ

伊与原新さんの短編は近作の「藍を継ぐ海」の方を先に読んでいた。巻末の対談のご本人の言葉によると、普通の小説を書くことを勧められて書いたのが、表題作の「月まで三キロ」とのこと。日常的に触れることはあまりない専門的な知識が、物語のオマケではなく、ストーリーに無理なく融合されているのが、伊与原作品の特徴であり、強みだと思うのだが、それは初めからだったということのようだ。説明が分からなくて読み飛ばすようなこともなく(分からないことはあるのだけれど飛ばさない)、うるさく感じることなく読めるのはすごいと思う。
今作では月、雪、アンモナイトの化石、海底の堆積物、素粒子物理学、火山の石が取り上げられる。雪の儚い美しさと形にならない恋愛のイメージが重なる「星六花」 不良オヤジの実はカッコ良い過去が明かされる「天王寺ハイエイタス」 火山の石を拾う師弟コンビとの出会いから、山岳写真に夢中だった自分を思い出し、まさかの決心を固める(予想外でかなりびっくり)「山を刻む」 そして人生を捨てようとする男にタクシー運転手が語りかける表題作「月まで3キロ 」 鮮やかな月のイメージが強く印象に残る。月まで三キロ、きっと著者ご自身がこの標識を目にして、え?と思ったことがきっかけなのだろうな。
自然がテーマとなっているからか読後感は清涼でとても気持ちが良い。

0
2026年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

理系的知識が文学と融合した短編集。根っからの文系の私には苦手意識の塊の様な理系の要素が物語に深みを与えていて、縁遠かったもののはずなのに身近に感じました。雪の結晶を観察する「星六花」が特に好きです。消えていった淡い恋心と儚い雪の結晶の美しさが重なって少し切ない想いが残りました。学生時代にこの作品と出会っていれば、理系科目にもっと興味を持てていたのかなぁ…。

0
2026年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良い。
基本、悲しい話なんだけど、少し希望が持てる展開。恋愛は成就しないけど、幸せな気分になれる。
エイリアンの食堂の話が好き。

0
2026年02月14日

Posted by ブクログ

のっぴきならない人生から何とか脱却しようと奮闘し、色々な形で試行錯誤を試みながら必死に足掻き続ける人たち。
この短編集は、そんな悩みをもつ彼らを、まさに月の光のように静かに、しかし優しく包み込む。
その時、彼らの深刻な悩みは、仄かな希望へと穏やかに昇華を遂げていく。

そういった素敵な過程をいくつも見ることができ、貴重な読書体験ができたと、僕も胸を張って言えそうだ。


この独特の光明の隠し味は科学的テーマだ。
僕もそうなのだが、科学にはどこか理知的で冷たい部分があると思う方も多いだろう。
だがこの短編集では、それはそのような冷却剤としては機能していない。

それどころか、その知識は人びとの心に温もりを与え、彼らの互いの繋がりを強固にする万能薬として作用している。

著者の伊与原さんの豊かな感性に裏打ちされた手腕が見え隠れするところだ。
短編のひとつ、『天王寺ハイエイタス』の中にこういうセリフがあるのだ。

「僕は研究者のわりに、ロマンチストやねん」

これはこの人物の端的な内面描写であるとともに、著者の伊与原さんのきわめて明晰な自己紹介でもあるように、僕には感じられた。

その気質が根底にあるがゆえに、伊与原さんの科学的知識は、決して冷たくならない。寒い冬でも決して熱を失わないカイロのように、ほんのりと優しい温かみを帯びている。
科学をこのように扱える作家さんは、稀有ではないだろうか。

ここから先はネタバレが入る可能性があるため、これからこの作品を読みたい方は注意してほしい。


どの作品も、胸のあたりが熱くなる余韻を長く感じさせてくれたが、個人的に最も響いたのは先ほども書いた『天王寺ハイエイタス』だろう。

僕が関西人であることも関係しているだろうけれど、大阪南部のあのキビキビとした、しかし根底に人情味の溢れる語り口は、どこか懐かしいものを感じさせてくれた。

アロハシャツと色の薄いサングラスを身に纏う、ワイルドで自由奔放な、いかにもステレオタイプの大阪的な哲おっちゃん。
元プロのブルース・ギタリストだが、今は何もしていない。

だが彼の内には、そんな今の外見では推し量れない熱いものが燃えていたのだった。
研究者を目指そうとしていた頃の、主人公の兄(優)との核心的な秘密が明らかになってから、再び何気なく姿を現した哲おっちゃん。

そのとき彼は文字通り哲学者めいた魅力と威光とをもって、僕の眼前にも迫ってきたのだった。

漆黒の海開ける大阪港の元、むなしい街灯を映し出した水面の前に腰掛けながら、哀愁の漂うブルースを、虚空に向けて演奏する哲おっちゃんの後ろ姿。皆さんも想像してほしい。
ただただ、カッコいいと思わないだろうか。

今でこそ何もしていないものの、哲おっちゃんは、研究者となった優の直感通り、『ハイエイタス』、つまり今後の飛翔のための準備期間にあるのではないだろうか。

そして彼は、今後高く高く飛翔を成し遂げるに違いない。そう確信させる強い彼らの絆を、僕は言葉の端々から感じとることができた。

0
2026年01月14日

Posted by ブクログ

新潮文庫の100冊をきっかけに。
ままならない人生を送っている、いろいろな年代の主人公の日常に科学との出会いがあり、人生に光が見え始める…という短編集。
科学は日常の中にさりげなく出てくるので、理系小説といっても、とても読みやすかったし、科学がいいスパイスになっていたように思う。
ミステリー要素もあって楽しめた。
どの話もすごく好きだったけれど、「山を刻む」が一番好きだった。
表題作の「月まで三キロ」は比喩表現が素敵でとても印象に残った。
いつか看板、見に行きたい。

0
2026年04月25日

Posted by ブクログ

直木賞受賞作品。

こんなに不幸を重ねなくても。加えてラストもそこまで救われるわけじゃないしな、とブルーな気分が増すだけで、ああ、ちょっと合わないかもと思いつつ読み始めた3本目の「アンモナイトの探し方」〜ラストまでが胸にくる、目にくる、ですごく良かった。

山に興味が湧く小説でもある。

0
2026年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地球環境、宇宙、素粒子などの科学をテーマとした、ままならない人生に光が射すような短編集。表題作の「月まで三キロ」など、タイトルを見てなんなんだろうと興味をそそられて、その意味が回収される。ちょっとしたミステリー感もありつつ、数字と理論で語られる科学の話が、辛い境遇の人たちの心に沁み込んでいくという展開が面白かった。

0
2026年04月12日

「小説」ランキング