あらすじ
「この先にね、月に一番近い場所があるんですよ」。死に場所を探す男とタクシー運転手の、一夜のドラマを描く表題作。食事会の別れ際、「クリスマスまで持っていて」と渡された黒い傘。不意の出来事に、閉じた心が揺れる「星六花」。真面目な主婦が、一眼レフを手に家出した理由とは(「山を刻む」)等、ままならない人生を、月や雪が温かく照らしだす感涙の傑作六編。新田次郎文学賞他受賞。(対談・逢坂剛)
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絶望しているときに読むべきものだと思った。私は、まだ22歳。絶望するには、若すぎる。でも登場人物には、凄く同情したよ。最初は順風満帆でもそれがいつまでも続くか分からない。分かろうとする努力が大切だと思ったな。感情を人にぶつけるのは本当に大切なことだと思うと同時にそれをしないことも大事だと思う。極端は良くない。ゼロヒャクで決めない。月まで3キロ。妙に惹かれたそのタイトル。見てみると、生きる希望を見つけることの大切さを伝えたいような気がする
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短編小説であったが、全ての章において余韻をもたせてくれている。読み手の想像力に委ねるということだと思われる。そして、理系的要素を余す事なくストーリーに当てはめてくれている。理系的知識も得られる等、至れり尽くせりな小説だと感じた。
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伊与原新の短編6編+1編。
問題を抱えたり行き詰まったりの主人公たちが、様々な分野に詳しい人と出会って…
・天体に詳しいタクシー運転手
・雪の結晶を集める気象台の職員
・博物館の元館長
・温暖化を研究している兄
・定食を食べに来る研究者
・火山を研究する教員と学生
科学って、理路整然としたクールなイメージがあるのですが、逆にそこに「心情や境遇に左右されない揺るぎない安心」みたいなものも感じるのかなぁと思ったり…
どれも「この後いい方向に向かうといいな…」とじんわり感じられるラスト。雰囲気と読後感が好きです。
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静かな人間ドラマの短編集です。
物語の奥にある“理系出身の作者ならではのエッセンス”が、じわりと効いてきます。
これがね、作品全体の透明感と説得力を底から支えていると思います。
登場人物たちは、特別な能力を持っているわけでもないし、劇的な事件が起こるわけでもない。むしろ、誰もが日常の中で抱えている小さな痛みや、言葉にしづらい後悔、そしてほんのわずかな希望を抱えて生きている。
伊予原さんは、その“人の心の揺れ”を、丁寧に拾い上げています。
だから詠み手は、気づけば登場人物の感情の軌道を、まるで自分のことのように追いかけてしまう。
特に印象的なのは、物語の構造そのものが“理系的な美しさ”を持っていること。
無駄がなく、過剰に飾らず、それでいて必要な温度だけは確実に残す。
まるで、余計なノイズを取り除いた後に残る純粋な信号みたいに、物語の核心だけが静かに胸に届くの。
そして短編それぞれが独立していながら、読後には不思議とひとつの大きなテーマに収束していく。
派手さはない。
だけど、静かに深く沁みてくる。
読んだあと、ふっと息をつきたくなるような余韻が残る。
そういう作品を探している人には、迷わずすすめたい一冊です。
(今回は、りき入った、
でもこれじゃ、なゲぇーわ)
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難しいのかなとおもったけど、短編だから読んでみようと思った。
エイリアンの食堂と山を刻むが特に好きだった。
小説でありながら、学びにもなって一冊でたくさんのことが得られる本だった。
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すごく読みやすくて箸休め的に読める。短編集なのも気軽で良い。出てくる話がどれもありそうな現実感があり、主人公の心理描写も細かくてわかりやすい。最後に付いている対談を読んで食堂と山にそういう要素あったんだ…という読解力の無さを感じて泣いた。
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それぞれの話がちょっと明るめの方へ向かい始めてる感じで終わっているのが良いなあと思いました!
「八月の銀の雪」を読んだ時もですが、読みながら気になってしまい調べたりしましたし、実際に見たりしてみたいなぁと思いながら読んでました!
また、これからの日常の中で自然を楽しみたくなります!
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6つの短編が入っていた。
なかでも「アンモナイトの探し方」が少年時代の記憶を掘り起こしてくれた。
主人公は頭のいい小学6年生。元館長は無愛想なお爺さんだけど、化石の掘り方を教えてくれる。
元館長の言葉は、経験に基づいた力強い言葉だった。悩みを解決する糸口になる予感がする。期待してしまう。
「わかった気になるというのは、危険なことだ」
「わかるは、わけるだ」
「わかるとわからないを、きちんとわけるんだ」
わかっているつもりだから、判断を間違ってしまうんだと気づいた。わかっていることでも、わかる部分とわからない部分が混じっている。
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NHKのドラマ「宙わたる教室」を観て著者に興味を持ち、書籍も読んでみようと思い購入。
読み始めは今まで読んだことのない作風(理系出身の著者ならではの専門的な表現が多く出てくる)で戸惑ったが決して小難しくなく、読み終わるころには気にならなくなった。
また全編、登場人物がどこにでもいる人たちで、最後には希望とともに清々しい気持ちになった。
次は「宙わたる教室」も読んでみたい。
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やっぱり伊予原さんのの作品は好き。
山を刻むが一番今の自分に響いた。
エイリアンの食堂も好き。読んでる最中恋愛小説かな?って思ったけど、巻末の対談で逢坂剛さんが同じこと話してらしてやっぱそう感じるよねって嬉しかった。
とにかくどのお話も頑張ろうって思わせる素敵なお話だった。
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最近読書から離れていた私にとっては、とても読みやすかった。凝り固まっている文章ではなく、すらすらと読めた。専門用語がちりばめられていて、それも新たな知識として得られて楽しく読めた。
今の私の境遇と、とても重なるところがあり、
出会うべくして出会ったな、という感じ。
理系学部に進学し、准教授から、惑星や天気の研究について最近話を聞き、親が離婚の危機に瀕していて、尚且つ中学受験も経験した私の心に、びたっと嵌まる感覚。この本を今読めてよかった。ほっと心が暖かくなります。関西人としては、関西弁が自然だったのが、個人的なお気に入りポイントです。
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読み途中、しかし読み進めていけばいくほど引っ張られるような話。
果たしてどうなるのか。
自殺したい男がタクシードライバーと月まで3キロ場所に行く物語(最初)、その後は40の女性が気象オタクのタクシードライバーと恋する。
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短編は読み始めて、体温を上げていき面白さを味わい始めた頃に終わってしまう事が多いので、あまり好んで読まないのですが、これは楽しめました。短くても余韻があって、しばらく味わってから次を読み始めるとちょうど良かった。
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短いですが、どれも心がほっこりしました。
個人的にはこの6編の順番も良かったと思い、山を刻むを読み終えて、この本の、作者の雰囲気や心の穏やかさを感じ、その必要性を再認識できたように思います
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直木賞を受賞された作家さんというところが気になって本を手に取りました。好きなお話は「星六花」と「山を刻む」です。とても綺麗なお話だと思いました。もともと理系の方だからかは分かりませんが、月とか自然とか、そういった大きなものの表現の仕方がとても美しいと感じました。別の作品も読んでみたいです。
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良かった。
ヘイルメアリーからのこの短編だったので科学繋がりだったけど、肩肘張らず心休まる内容でほっこりしました。
天王寺ハイエイタスの
「人生に後悔はつきものや。でもそれでええやないか。そのために、ブルースがある。」
の一言、あとでよく考えると何言ってんだかわからないセリフに何故だかウルッとした自分。
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まるで教科書に出てくるかのような作品。短編全話、悩みが解決したり劇的な変化がある訳では無い部分が現実味帯びていて好きでした。
そう上手くはいかないのが現実だけど、少しでも前を向いて進もうと前向きになっていることがもう進歩。素晴らしいことなんだと肩の荷を少し振りほどいてくれる作品だと思います。
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短篇なので読みやすく、科学的な知識を分かりやすくそれぞれの登場人物の人生に落とし込み、読者に委ねる形で章を終わらせてくれる。ミステリーのような形でタイトルの意味や内容を最後まで引っ張る描き方で読者の関心を離さない。
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やっぱ表題作がいちばんいいね。
「知ってました?」て連呼するのなんかジワる。
標識の場所行きたい
行くよ。
・月まで三キロ
人生いろいろあった(父親と不仲、起業したが失敗。子供できないまま離婚され借金7000万抱えて実家に出戻り。母が急死。そのまま父親が認知症を発症。父親は自分(息子)のこともわからない。下の世話もするしなくてはならない。)40代の男が、自殺の下見に樹海まで行こうとタクシーに乗る。しかし、タクシー運転手に連れて行かれたのは浜松市天竜区月に向かう途中の『月 Tsuki 3km』と書かれた道路の案内標識のところだった。
月は大昔はもっと地球に近くて、回転も速かった。だから、月のいろんな面が見えたし、大きくみえた。タクシー運転手は元高校教師で天文学が好き。月は子育て似ているという。月と子供は似てる。タクシーの運転手の息子は高校受験当日に飛び降り自殺した。自分も死んでしまおうと思ったとき『月まで三キロ』の看板を見つけた。満月の夜。月が息子だと思った。月に1番近いこの場所で息子に「お前にどうしてやればよかった?」と問い続ける。主人公は認知症の父親の介護に疲れ、老人ホームに預けてきた。その老人ホームは月より近い。(月は三十八万キロ離れてる。)父親に話を聞きに行こう。自分に本当はなにを伝えたかった?自分を愛していたか?
・星六花
雪の結晶の名前。
アラフォーの主人公女は紹介で気象関係の仕事をしている人と知り合い好きになる。しかし、彼は性的対象が男だった。雪の予報を当てるために雪の結晶の写真を一緒に観察する。
・アンモナイトの探し方
中学受験に悩む小学生が両親の故郷で化石を採掘してるひとに出会う。
わかるための鍵はわからないことの中にある。まずは何がわからないかを知らなければならない。わかるとわからないをきちんと分ける。
小学生は本当は自分の志望校によって両親が離婚することに悩んでいた。住む場所で親権とか。
・天王寺ハイエイタス
ハイエイスタは中断みたいな意味。
主人公、豆腐屋の三代目次男、健。父親の兄、哲治が元プロのギタリスト。今はプータロー。その哲治が主人公の兄、優にお金をたかっていたのを見たと聞く。優は秀才でつくばの国立環境研究所で働いてる。古気候の研究所。哲治にお金を渡そうとしていたのは本当。哲治は優の大学院進学時、レアなギターを売ってお金150万をつくってくれた。(親は豆腐やの経営がピンチ、祖母が倒れた)両親には成績がよかったから入学金と授業料は免除になったと言った。
哲治は結婚して娘がいて、やり直したいと音楽を捨てた。しかし、女性問題から奥さんは拒否。娘が大きくなって音楽の道に進むようになり、哲治が自分のために音楽を捨てたと思うようになる。それがつらい。「もうギターをひく気はないのか」聞いてほしいと優のところにきた。お金はギターを買うように30万渡そうとしていた。しかし突き返された。
はじめて哲治のギターを聞く。すごい演奏うまい。
哲治の娘への答え。娘のことは大切。
人生に後悔はつきもの。それでいい。そのためにブルースがある。優には優の、健には健の、ミカ(娘)にはミカのブルースがある。お父ちゃんは機嫌よくお父ちゃんのブルースをやってるから気にするな。
・エイリアンの食堂
母親を亡くした女の子。父親は食堂をやってる。その食堂に通うつくば研究所の女性との交流。すべてが素粒子?水素?みたいな話。女の子は母親の存在をいつも感じていた。父親は妻の死を嘆いていた。
・山を刻む
専業主婦がシュミだった登山と写真を再開させる。
家族に主婦やってあたりまえに扱われて、家族をすてるのかな?っておもったら、山登りで火山学者と学生に会い、山小屋を買う(経営する)決心をする。娘や息子、夫が山小屋にきてくれる想像をする。「山っていいでしょ」と言いたい。
学生は医者の家系だけど、落ちこぼれ。
院生で火山学者の手伝いをしている。先生は自分のやっていることが世界一おもしろいって本気で思ってるから、一緒に仕事をすれば、将来やって良かった、面白いと思える確率が高い。「仕事なんてつらいもんだ。」という医者の父親のもとで働いても面白いわけない。
・特別掌編 新参者の富士
富士山だって日本アルプスの山々の中では新参者。日本海が開いて日本列島の原型ができたのは1500万年前、日本アルプスの山々が隆起を始めたのが2、300万年前、富士山が生まれ始めたのは1万数千年間前。
来年30になる主人公は鬱で静岡に帰ってきたけど、人生まだまだ、人生100年時代、30なんて新参者と励まされる。
第8回静岡書店大賞受賞記念掌編(しょうへん)を文庫化に際し収録。
掌編っていうのは短編より短い小説
最後に逢坂剛との対談がある。
この本はミステリーらしい。
Posted by ブクログ
とにかくすべてが温かく優しい。
専門的な内容をちょうどいい読み応えに昇華する丁寧さや、それぞれの登場人物のこれからに少しの明るさを添えるような展開が素敵でした。
Posted by ブクログ
科学をテーマに据えて自然を現象学的に捉えるアプローチで描かれたヒューマンドラマ短編集 読みやすい!
どの話も完璧に美しいハッピーエンドを迎えるわけではなく読者に先を委ねるような余白があり、筆致も軽やかで押し付けがましくないのでとても読みやすかった。科学知識が絡められる際にも衒学的な印象を読者に抱かせない文章力が素敵
ままならない人たちが自然や人との出会いで心を動かされてままならないなりに前を向いて行く姿に励まされる。「星六花」に登場する奥平さんがメロすぎる
Posted by ブクログ
人との出会いを通して主人公たちが前を向いていく姿が生き生きと描かれていて印象的だった
天文学って奥深くて面白い!とてつもなく概念的で手に負えないくらい大きなものかと思いきやとても身近なものでもあり魅力的だと感じた
Posted by ブクログ
死に場所を求めている男と息子と家族を失ったタクシードライバーの不思議な邂逅ほか、何かを失い人生の指標に迷った人を巡る救済と寛解の群像劇。心温まる解決が待っているわけではない、喪失を抱えながらも新たな人生に向かって前向きに進み出すための処方箋がそれとはなく与えられる。
Posted by ブクログ
新潮文庫の100冊をきっかけに。
ままならない人生を送っている、いろいろな年代の主人公の日常に科学との出会いがあり、人生に光が見え始める…という短編集。
科学は日常の中にさりげなく出てくるので、理系小説といっても、とても読みやすかったし、科学がいいスパイスになっていたように思う。
ミステリー要素もあって楽しめた。
どの話もすごく好きだったけれど、「山を刻む」が一番好きだった。
表題作の「月まで三キロ」は比喩表現が素敵でとても印象に残った。
いつか看板、見に行きたい。
Posted by ブクログ
伊予原さんの作品は、ドラマ『宙わたる教室』がとても好みで他の作品も読んでみたい!と思い、タイトルに1番惹かれたこちらを。登場人物の決して明るくない人生の悩みや心情を自然に馳せて紐解いていく内容。登場人物たちはみんな、借金、介護、大切な人の喪失、挫折など、消えない傷を抱えてるけど、それを解決ではなく、「過酷な現実を抱えたまま、それでも生きていくための解釈の変更」を科学を用いて行なっているのが斬新だった。
でも、短編だからか面白くなってもっと続きを読みたいと思っているところで終わっちゃうので物足りず星4。
読み切りたくなくて残りの1章だけ読めておらず残したまま、、早く読もう、、、
Posted by ブクログ
めっちゃ科学小説で最初は苦手かも……と思ったけれど、専門用語は理解できなくても読めます。
むしろ、読みやすくて面白かったです。
月や雪や火山や地層等の自然の科学の専門家たちと章ごとの主人公が対峙して、自然を通して救われる、みたいな小説だと感じています。
今までは、気の利いた警句(今回でいうわかるための鍵は常に、わからないことの中にある。でもその鍵を見つけるためには、まず、何がわからないかを知らなければならない。つまり、わかるとわからないを、きちんとわけるんだ。みたいな)を沢山集めて、それがその本の価値と感じていた。
こんなに柔らかでほんのり、けれどたしかに自分の背中を押してくれる小説は初めてでした。