あらすじ
都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。
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Posted by ブクログ
実直なホテルマンの続力(つづきちから 別名チカ)と奔放な書家の遠田薫。
2人が仕事を通じて出会い、徐々に親交を深めていく様子が描かれる。あっ!BLではないです。
大人になってもこんな風に友情が育まれるって素敵だなぁと読み進めつつ、次第に違和感が膨らんで気になっていく遠田の過去・・・
一方で、遠田の書家としての才能を発揮する場面では「書」にクローズアップした描写に引き込まれる。
筆の躍動感や、墨の香り、精神と技が繰り出す空気感が伝わってきて、静謐な美しさを感じた。
余談だが、表紙のアーティスティックなデザインは造形作家shikafuco(シカフコ)氏の「胞」という作品で土で作られているそうだ。
是非、裏表紙も広げてご覧いただきたい。
本作は2人が主人公かと思いきや、実は遠田薫という書家の人生を生い立ちから掘り下げていく内容。
対照的な2人の性格と、遠田の過去を知った後のチカとの人間模様が一番の注目ポイントだろう。
更に作品にいい味を出すのが遠田の飼い猫「カネコ」の存在。名付けの所以から楽しいのも流石は三浦しをんさんだ。最後にペトペト足跡が登場する演出に完全にノックアウトされた。
安定の読みやすさと温かな読後感だった。
私も見本を真似るだけではなく、こんな風に書道を習いたかったなぁ。もっと素晴らしい才能が目覚めたかもしれん。ちがうか・・・笑
そうそう私もね、うまい棒はサラミ味派です。
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3人の娘達は小学生になると書道教室に通いました。良い先生に出会えてお陰様で習わせて良かったと思っています。きっかけは元気すぎる長女に一週間に1時間正座をさせるのが目的でした。習字を見る機会が多かったからでしょうか、毛筆に興味があります。この本の主人公は仕事で書道家と知り合いになり、その作品と人柄に惹かれて行き友人になれると思った矢先にやくざとの関係を知ることになりました。ホテルの従業員としての仕事上、元ヤクザと関わることはタブーでした。しかし、今は書道家であり、また素晴らしい作品を書き人間としての魅力もあり、これからも友達のままで行くことにしました。一途に書道と向き合う彼は決して悪い人ではないはずです。決別じゃなくて良かった。
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ホテルマンとホテルで契約している書耕士とのなんとも心温まる物語。面白くて一気読み。
初めは疎んじながらも居心地の良さに抗えず関係が続いていく感じが良い。代書の内容も冴え渡っている!
お互いの仕事にもプロ意識が感じられてこういう描写もスラスラ読みやすく楽しい作品だった。
Posted by ブクログ
ん?しをんさんのまっとうな小説は久しぶり?「エレジーは流れない」が最後だったかな。もっぱら爆笑エッセイを読み耽ってたし。そのギャップたるやもはや別人格。でもまぁ今作は主人公の続力(つづきちから:チカ)にしをんさんがすこし宿ってた気がする。もしくは書家、遠田薫にも。足して二で割ったら三浦しをんの完成か。しかししをんさん、相も変わらずいい感じの物語紡ぎすぎ。泣けるとまではいかなかったけど、漢詩の意味や遠田の生い立ちからじんわりするじゃないですか。二人で代筆屋やればいいのに。あ、まほろ駅前のコンビを思い出した。
Posted by ブクログ
書家とホテルマンの、何とも形容しがたい、魂の応答のようなものを感じました。もう面白い。これ読んでよかったなって思わないひといないと言いたいです。起承転結の、転から結にかけてが、ジェットコースターみたいに揺さぶられるけど、降りた瞬間にもっと乗る! まだ降りたくない! って訴えたくなるというか…とにかく面白くてもう本当に読み終わりたくなかったです。
Posted by ブクログ
読後、やっぱり三浦しをん大好き!と思えた。
子どもの頃、習字を習っていて「字がキレイ」と褒められて得をしたことは、何度もある。経費節約のために、結婚式の宛名書きもホテルにお願いしないで自分で書いたけど、お願いしていたらそれはそれで物語があったのかと思う。
硯で墨をする時間は、子どもながらに背筋が伸びて、別の空間の時間が流れている気がしたのを思い出しました。
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☆5じゃ足りない!
なんですかこれ!最高でした:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。♡︎
書道家の遠田薫とホテルマン続力
ちなみにツヅキチカラの兄はツトム
2人合わせて続努力…笑
この2人の掛け合いが漫才のようで心地よいのです
イケメン書道家の薫は、書の才能溢れる軽いヤツかと思えば物悲しさを感じる男…対してホテルマン続力は真面目で優しく微笑み人の良さ全開のホテルマン天職です!みたいな男
笑えてちょっとホロっとくる
まほろばに次ぐ傑作シリーズにして欲しい♡
しをんさんが楽しんで書いている姿が見える笑
男性キャラのセンスが良すぎます♪
そして登場人物は男ばかり笑
お気に入りは書道教室の小学生ミッキーの友達の土谷くん
流石しをんさん♡そんな作品(●︎´艸`)ムフフ
ちょっと前に水墨画やりたくなって(小説読んで)
次は書道がやりたくなったわたくしです笑
Posted by ブクログ
ほのぼの〜いい感じ。過去の人生もあるけれど、幸せに、ゆるりと生きてる感じが、とても良い。この本を読んだ頃、個人的に禁酒していたが、お酒のシーンがあって、「美味しい食べ物とお酒」って、やっぱり幸せのイメージの一部なのかも?とか、思った。
Posted by ブクログ
右上の角がまろやかだ、左上の角はかすかな空隙がある。
空隙というチョイスが心に刺さる!
目に見えないはずの文字のイメージが伝わってくる!!
続さんと、遠田さんの関係も心地よい。パソコンとプリンターに例えている表現があったが、言い得て妙。
遠田さんの過去が明かされるところからの怒涛の展開。後半は早かった。
続さんの字に対しての気持ちや想い、漢詩の話、どの要素もうまく絡まってきれいにおさまっている。
映像化をお願いしたい作品。
Posted by ブクログ
「墨」には書ともう一つの意味が込められていた。
ホテルマンの力は真面目で親切で聞き上手が滲み出て、何故か見知らぬ人から道を聞かれたり宗教の勧誘にあったりする話し掛けられ体質。競馬好きというところが意外。
遠田は書道教室の師範で、展示会に出品もする書家。また宛名書きの筆耕士や代筆屋の才能が秀でている。大雑把に見えるが仕事は丁寧で美しい。
そんな2人がウマが合う心地良い間柄になった頃、遠田の過去を知りもう一つの墨を身体に見せられる。
戸惑いはあったが遠田の魅力や思いやりの心に触れ更に強い絆で結ばれる。カネコさんかわいい。
続編希望!
Posted by ブクログ
久々の三浦しをん作品。
書道家とホテルマンの話ということだったので、どんな感じの話になるのかと思っていましたが、同じく三浦さんの『まほろ駅前』シリーズの多田と行天のコンビを彷彿とさせるコンビの話でした。
で、書道家の方が行天の役回りだったのがさすがに三浦さんという感じでしたし、全体的な文調も三浦節炸裂で安定の面白さでした。
Posted by ブクログ
真面目でお人好しなホテルマンのチカと、
大雑把で奔放なイケメン書家の遠田。
あることをきっかけで2人で代筆を担うことに。
性格は正反対だが、仕事の相性はとてもよかった。
そして書道を通じてこの2人の関係が変わっていく。
とにかくチカと遠田の会話が楽しい!笑
とくにパンダは地球外生命体説の代筆は笑ってしまいました。
2人の関係は一旦崩壊しかけますが、ミッキーや金子さんの協力により、また続いて行けるんだと嬉しくなりました。
あたしも銀河鉄道の夜ちゃんと読もう。
Posted by ブクログ
起承転結のお手本のような物語構造。
いつもの日常のように、このままだらだら続くんだろうなあというところからの急展開。
ホテルマンの力(ちから)も、書家の遠田も30半ばのいい大人なのに、二人の会話は妙に微笑ましい。
あくまで仕事の延長として敬語を崩さない力と、多分敬語を知らない遠田。
遠田の書く文字は、どんな気持ちが込められて、どんな景色を思い浮かべて書かれているのかがわかる。
しかしそれは、遠田の持つ本来の字なのか。
変幻自在に書体を変えて文字を書く遠田。
書家であり、書道教室の先生であり、筆耕士であり、代筆屋である遠田。
手を怪我して、または年を取ってうまくも字が書けなくなった人の代わりに筆を執るだけではなく、伝えたい思いをどう伝えればいいのかわからない人からも代筆の依頼を受ける。
そんな時、力が依頼者の意を汲んで文章を作り、依頼者に確認を取りながら手紙の形にしていくのだが、やっぱり代筆ってそういうことだと思うのよ。
紙や筆記具にこだわり、さらさらと手紙を書いて封をして投函という、ある人気小説に出てくる代筆屋は私には認められないけれど、こちらは納得。
閑話休題。
自分たちは友人ではないと互いに承知しながら、相手を思いやり、一線を引いたうえで心地のよい関係を築く。
そういう関係もいいなと思った。
Posted by ブクログ
ぶっきらぼうな書道家と仕事が縁で知り合ったホテルマンの交流のものがたり
過去のある書道家がホテルマンに段々心を開いていく様子と
書道家の魅力ある字と本人に惹かれていくホテルマンの様子に
引きつけられた
Posted by ブクログ
大人になってからはなかなか友達はできにくいが、今までの環境が違いすぎる二人が歩み寄っていく感じがほっこりあたたかい。足りないものを補いあう、それは大人同志に限らず、時に子供に助けられたり、猫に助けられたり。
文章が読みやすく、楽しかった。
遠田さんの素晴らしい書は想像の世界ですが、参考文献ページ周辺の猫印に書風?あり、いい感じです。
Posted by ブクログ
面白かった!
最初、シリアスな内容だろうと思って読んでたらいきなり吹いてしまいました。
しをんさんの言葉のセンスが光っていてツボ。
ストーリーとは別の部分でも、ふつふつと楽しさが沸き上がってくる三浦しをん作品。
ホテルマンのチカが宛名書きを筆耕士・遠田に依頼したことで始まる物語。
二人の関係がゆるやかに育まれていく様子が良かった。遠田とチカが距離を縮めていく様子、子どもたちや猫の存在にも和んだ。
微笑ましくリラックスして読める。
真面目そうなチカの文章力が斜め上をいっていて笑った。
「遠田書道教室」に流れる時間は、穏やかで優しくて、久しぶりに帰った実家のように寛いだ気分になる。
最後はニヤリとしつつ、晴れやかな気持ちになりました。
Posted by ブクログ
ホテルマンの続力が仕事上でとある書家と繋がりを持つことになる
冒頭から何か引き込まれるものを感じた。
子供の頃書道していたのもあるけど墨と言う文字に惹かれた。
二人の性格の描写にも惹かれるものがあり没頭していく
そして.‥薦めたい1冊です
匿名
三浦しをんさんの書く人物が好きです。
自分は字を書く事が苦手で、なるべく避けてきていたので、書家の奥深さや字に感動する気持ちなど初めて知りました。字を書くのは苦手だけど、字に意味を込めて書いてみたいと思いました。
Posted by ブクログ
引っ越す友達に送る手紙、彼氏に愛想を尽かしてもらうために送る手紙。ホテルマンがパソコンとして文面を考え、書道家がプリンターとして描いて出力するタッグの物語。小川糸さんの「ツバキ文具店」みたいな感じかな〜、いや、砥上裕將さんの「線は、僕を描く」の圧巻の筆さばきみたいな感じかな〜と勝手に予想してました(´-`).。oO
結局、三浦しをんさんの書くエッセイが、コミカルでエキセントリックだったのを思い出します。うまい棒の件もパンダの話も面白かったのに、すっかり後半の展開へ持っていかれてしまった(笑)
『なにが「線路沿い」だ。こんな事態があっていいのか。五叉路の中のどれが正解だ?「とおだかおるうぅぅ~!」独り言にしてはかなりの声量になったものの、むろん返事はない。』
先の展開が気になるので、続編あったら嬉しいな。
2025.4
Posted by ブクログ
お人好しで真面目なホテルマンと奔放でガサツな書家。書よりもこの2人の笑えて時に不器用な友情物語という印象でした。互いに心地よく自分本位でいられる、これ大人の友情の形として理想的かも!代筆屋バディものとして2人のその後の話も読んでみたい。
Posted by ブクログ
書や、書いている姿の描写が素敵だった。
中編だからか、三浦氏の他の本に比べると
人物描写があっさり目な気がした。
それにしても、書を習いたい。
Posted by ブクログ
書道や書家には興味がなかったが、なんとなく高尚なことに触れたくて、読んでみた。
イケメン書家の遠田さんとホテルマンの続力さんの会話が面白くて、良い出会いがあり、良い友人関係を築いていくのだろうと、清々しさを感じた。
ただエピソードとしては盛り上がりに欠けていた。
少しだけ、書の世界を感じて興味を持てたことは収穫。
Posted by ブクログ
〔Ⅰ〕好もしい小品という感じ。スルッと入ってきて心地よい。
〔Ⅱ〕三日月ホテル従業員のチカはホテルが登録している筆耕の一人、遠田薫と出会う。事前のイメージとは異なり意外にざっくばらんでええ加減な人柄で、書道塾の子どもたちに好かれていることに驚かされる。当初はビジネスライクに接するつもりだったが、しだいに彼の書、そして遠田自身への興味を感じるようになっていく。
〔Ⅲ〕事前に情報を持ってなかったので読む前は、この著者なら墨づくりに携わる人びと話あたりかと思ったりしてましたがまったく違いましたし書道界のあれこれがわかるわけでもないわりとシンプルなお話です。
■簡単な単語集
【笑顔】ホテルマンは? 笑顔で表情筋が固まってしまう。
【カネコ】遠田の飼い猫。金子信雄みたいだから。
【チカ】続力。語り手の「俺」。話しかけやすい特技と言うか体質を持っている。遠田は「チカ」と呼ぶことにしたらしい。遠田はチカに代筆屋の才能を見いだしたらしい。三十代半ばくらいらしい。趣味は競馬。築四十三年、1DK、家賃六万八千円のアパートで暮らす。釧路出身。
【続力/つづき・ちから】→チカ
【代筆】カウンセリングみたいなものとも言える。
【遠田薫】書家。父である康春の後を継いで書道教室をやってる。ルックスはとても良い。
【原岡】引退した、三日月ホテルの先輩。チカとは競馬友達でもある。
【遥人】書道塾の生徒。石好きのいい子。
【パンダ】地球外生命体。
【仏滅】結婚式を開くことができるホテルのホテルマンにとっては休みを取りやすい日。
【三日月ホテル】こちんまりしたホテル。サービスが行き届いており、レストラン「クレセント」の料理がおいしいのが自慢。専属の筆耕を抱えるほどの規模ではないので、その都度向いた書家に依頼する。
【水無瀬源市】亡くなったお得意様。豆腐屋だったが自分の使っている清浄な水が化粧品にも使えるのではないかと考え会社を立ち上げ今や百貨店でも置かれているブランドに成長した。本人はずっと豆腐を作り続けた。
Posted by ブクログ
遠田のキャラクターが結構好きだった。大人になると子供のころのように、純粋に性格や趣味があうから友達というよりは、仕事や子供の関係で知り合った人と、付き合いが多いと思う。2人みたいに自然体で、心地よく付き合える人ができるのはとても良いなと思った。
ストーリーもよいが、特に遠田の家や佇まいの雰囲気がとてもよく表現されているなと感じた。遠田と力の飾らない空気感がこれまた飾りの少なり書道や教室、家や猫になぜかとてもなじんでいると自然に感じられた。
Posted by ブクログ
複雑で美しい表紙に惹かれる本。
自由なイケメン書家と、彼に筆耕を依頼するホテルマン。墨がつなぐ30代男ふたりの日常、ベタベタしない飄々とした空気感が心地よい。ちょっと「まほろ駅前」を連想させる雰囲気です。
ホテルマンの口述を書家が書き起こす「代筆屋」が面白い。これが軸になるのかな?と思えばそれほどでもなく。
書家の秘密は、登場した瞬間に「まぁそういうことなんだろうな」という描写があったので、強い驚きはなく。
それでも時折、服のスリットから生の肌が覗くように、美や過去の鋭利な片鱗がひらめいて読者を魅了するのは流石です。
読み手としては、もうちょっとストーリーで翻弄されたかったかな。あとお仕事うんちくももう少し欲しかったなぁ笑
Posted by ブクログ
読みやすいからスラスラ読めるしよかった。
でも、後半走りすぎでなんか薄くなったかなあ。
中盤、書を見た主人公が遠田の哀しみを感じ取るシーンとかすごく良くて、遠田ってどんな人なんだろう?と思ったけどちょっと後半が早すぎた。もっと深めて欲しかった。
Posted by ブクログ
Audible用に書き下ろされたとのこと。そんなのもあるんですね。
といっても後から紙本も出ているようだけど。
櫻井孝宏の美声が心地よい中編小説。
ホテルマンの青年が、書道教室を営む書家の青年に筆耕を依頼するお話。
三浦しおんさんは舟を編む以来です。
書の描写や、細やかな猫の生態、子どもたちの会話などが美しい一冊でした。
オーディオブックは、ながら読書用ではありますが集中してないと聞き逃したりするので、散歩とか移動のときに聞くのが良いです。
家事しながらとかだと、ふと他に気をやったら分からなくなったりします。
櫻井孝宏ボイスをBGMにするだけというのも大いにありですが。
この本で感想1000冊目でした。
おー、凄い。もっと書きたいけどなかなか。