【感想・ネタバレ】墨のゆらめきのレビュー

あらすじ

都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

起承転結のお手本のような物語構造。
いつもの日常のように、このままだらだら続くんだろうなあというところからの急展開。

ホテルマンの力(ちから)も、書家の遠田も30半ばのいい大人なのに、二人の会話は妙に微笑ましい。
あくまで仕事の延長として敬語を崩さない力と、多分敬語を知らない遠田。

遠田の書く文字は、どんな気持ちが込められて、どんな景色を思い浮かべて書かれているのかがわかる。
しかしそれは、遠田の持つ本来の字なのか。
変幻自在に書体を変えて文字を書く遠田。

書家であり、書道教室の先生であり、筆耕士であり、代筆屋である遠田。
手を怪我して、または年を取ってうまくも字が書けなくなった人の代わりに筆を執るだけではなく、伝えたい思いをどう伝えればいいのかわからない人からも代筆の依頼を受ける。
そんな時、力が依頼者の意を汲んで文章を作り、依頼者に確認を取りながら手紙の形にしていくのだが、やっぱり代筆ってそういうことだと思うのよ。
紙や筆記具にこだわり、さらさらと手紙を書いて封をして投函という、ある人気小説に出てくる代筆屋は私には認められないけれど、こちらは納得。

閑話休題。
自分たちは友人ではないと互いに承知しながら、相手を思いやり、一線を引いたうえで心地のよい関係を築く。
そういう関係もいいなと思った。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

複雑で美しい表紙に惹かれる本。
自由なイケメン書家と、彼に筆耕を依頼するホテルマン。墨がつなぐ30代男ふたりの日常、ベタベタしない飄々とした空気感が心地よい。ちょっと「まほろ駅前」を連想させる雰囲気です。

ホテルマンの口述を書家が書き起こす「代筆屋」が面白い。これが軸になるのかな?と思えばそれほどでもなく。

書家の秘密は、登場した瞬間に「まぁそういうことなんだろうな」という描写があったので、強い驚きはなく。

それでも時折、服のスリットから生の肌が覗くように、美や過去の鋭利な片鱗がひらめいて読者を魅了するのは流石です。

読み手としては、もうちょっとストーリーで翻弄されたかったかな。あとお仕事うんちくももう少し欲しかったなぁ笑

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2025年07月23日

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