あらすじ
都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。
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Posted by ブクログ
老舗ホテルに勤務する続力は、書道教室を営む遠田薫に筆耕係を頼みに行った。あらゆる筆跡を自在に書き分ける遠田の文字に魅入られていく。続が文章を考え遠田が小学5年生の字を真似て代筆をする話がよかった。書家の思いや霊も含めた森羅万象が映し出さされ、最後の一筆が、いつ止んだかわからぬ音楽のように、画仙紙に淡い余韻を残した。その文字は静けさがみなぎってどこまでもうつくしく、けれど艶やかな炎のように、あるいは底知れぬ深さを秘めた夜の湖の水面のように、黒く激しくゆらめいていた。しをんさんの言葉選びにドキドキした。