小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
とても印象的な本。
読み終えたあと、メラメラを赤い炎を上げて燃える寺と、汚れた着物を着て絶命している夕子の様子が脳裏から離れなかった。
金閣寺 という話と似ている箇所が多いが、本作は 娼妓として店に売られ、命を削りながら生き、儚く命を散らしていった夕子の生き様がメインのようだ。
ただ、そんなふうに読んだとしても寺の炎上の事件はインパクトが大きく、読者の関心を掴んで離さない。
京都の寒村から京へやってくるというストーリーがまず良い。
薄幸そうなイメージを植え付け、男に頼らないと生きていけないという女の立場を明らかにするからだ。
小金が入ったからといって散財するわけではなく、病身の親へ送金す -
Posted by ブクログ
伊与原新さんのハートウォーミング学園ストーリーですね。
東新宿高校定時制の教師藤竹が、科学部を立ち上げる。
様々な事情を抱えた学生たちの中から、目星を着けて、一人ずつ科学部に勧誘するが………?
もう定時制を辞めようかと苦悩する、年齢も境遇もバラバラの学生たちだが、藤竹が相談に乗ると共に、自分が進める「火星クレーター」を再現する実験に誘い込む。
藤竹の目的は何か?。
謎を秘めて、学生たちの再生のドラマが始まる。
目次
第一章 夜八時の青空教室
第二章 雲と火山のレシピ
第三章 オポチュニティの轍
第四章 金の卵の衝突実験
第五章 コンピューター室の火星
第 -
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昭和十八年、宇治山田市で起こった一家殺人事件で犯人として逮捕された谷口喜介は死刑判決を受けた。彼は無実を訴えるものの、時代が変わっても判決は覆ることはない。父親の無実を信じる波子を中心に、冤罪事件の重さとそれに立ち向かおうとする人々の戦いを描いたリーガルミステリです。
証拠物件の適当さといい取り調べの横暴さといい、戦時中日本の時代情勢がそういうものだったから、と言ってしまうのは簡単ですが。しかし時代を経ても冤罪を雪ぐことはなぜこんなに難しいのでしょうか。もちろん判決の揺るぎなさというものがなければその判決に安心できないというのも納得はできますが、それでも冤罪の被害者からするととんでもないことで -
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序盤は少し退屈に思ったが、読み進めていくうちにやめられなくなり、成人後のパートは一気に読んでしまった。
10歳と20歳。
成長した阿佐と咲。
2人により少し変わり始めた野々花。
どの登場人物にも心当たりがあり、浅く広く、学校や職場が変わるたびにともだちを一新し続けてきた自分を回顧し、残念に思う。
だけど、年齢を重ねても、いろんな出逢いがあり、その中で親しくなる方々は意外といるものだ。
これから先の人生も、人とのご縁を大切にして行きたいと思う。
嫌なところを言ってくれるともだちは貴重だと思う。
何も言わずに疎遠にされてしまうより、ずっといい。
良いところも嫌なところも人間だからあって、そ -
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ろう者が手話で生きる。手話を生きる。手話はいのち。という所以をさまざま考えること知ることができた。バイリンガルろう教育のこどもたちが生き生き議論をする場面は、映像が目に浮かぶようでとてもいい教育だと感じた。ろう児が母語で学ぶ、母語で語れる、母語で他者と意見を交換できる、とても有意義だと思う。英語が話せなくてなんとなく言葉を控えてしまう気持ちがわくときがある。日本語になった時にきっとそんな感じなのかもしれないなと。聞こえないものでわからないもので語り合うことを目指すことは子供に無理を強いていると言われても仕方ないと思う面がある。子どもの明朗快活な様子が賑わう、とても理想的だなと思った。
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Posted by ブクログ
ネタバレこれは面白かった。彬子女王殿下(この方のことも、こうお呼びするのも初めて知ったのだが)のオックスフォード留学記。英語学習の話や側衛の方がイギリス留学にはついてこないという話から始まり、留学中お世話になった人々、ご友人の話、旅の話、研究や論文執筆の話などが落ち着いた平易な文章で面白く綴られている。特に後半に進むにつれ身体と精神を壊すほどに過酷になる論文執筆作業の話は生々しい博士論文のリアルを知れて面白かったし、大英博物館で人知れず眠るたくさんのお宝たちの話はロマンがあってわくわくした。
正直、皇族の人がこんなに血のにじむような苦労をして留学や研究をしているとは思いもよらなかったので驚きだった。そ