小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ICCについて、恥ずかしながらこれまで全く知らなかった。「力の支配ではなく、法の支配を」「公正・公平に」という理念を知り、国際社会において法が果たしている役割の大きさを実感した。何百年、何千年と力の支配によって虐げられた被害者は数知れない。
一方で、日本はICCに多くの資金を拠出しているものの、政治的には慎重な姿勢を取り続けていることを知り、少しがっかりした。平和な日本に暮らしていると、平和や法の支配が当たり前に存在しているように感じてしまうけれど、それを守るために世界で何が起きているのか、自分はあまりにも知らなかったのだと思う。いわゆる平和ボケというものを、自分自身のこととして痛感した。
また印象に残ったのが、日本の若者についての言葉だった。「日本の若者は内向きだ」と言われがちだけれど、機会や知識を与えれば、世界に目を向けて情熱を持って挑戦する若者はたくさんいるという。(大学で勤められていた経験や公園等で実際に肌で感じられていた。)若者に意欲がないのではなく、意欲を向ける機会が十分に与えられていないだけなのかもしれない。
そして、赤根さん自身が「女性初の○○」とされることについて、日本の女性の職位の低さに忸怩たる思いがあると語っていたことも印象に残った。「女性初」が特別なニュースにならないくらい、女性がさまざまな立場にいることが当たり前になってほしい。
ICCという一つのテーマから、国際社会、法の支配、日本の外交、若者、女性の社会進出まで、恥ずかしながら、自分の知らなかった世界が一気に広がった本だった。
もっと自分の視野を広げたいな。日本国内だけで物事を見るのではなく、世界で何が起きていて、その中で日本がどんな立場にいるのかを、もう少し知るように今から行動を変えたい。 -
Posted by ブクログ
冒頭から、「15年前の女教師の自殺事案につき他殺の疑い濃厚と有力情報あり
至急、帰署されたし。」と署長に連絡があり察官が動いた。
あれは殺しだと署に情報が入ったのだ。
教え子の男子生徒三人が犯人だと…
「殺しだったとしても、明日いっぱいで時効が完成するそうです」
―時効まで二十四時間ってわけか―
時効を取り扱った著書は、何冊か読んだ記憶がありますが、特に本書は読み進めるうちに熱が入っていき、現場の臨場感と緊迫感がダイナミックに表現され読者を飽きさせない。横山秀夫さんの本を、数多く読んでいませんが、傑作でした。そして、戦後最大の強奪事件に紐つけるなんて…。
被疑者逮捕だけでは事件は終結しない時間との戦い!終盤までの息詰まる攻防が圧巻で、読者も焦燥してきます。
◆終盤まで一抹の疑問が残っていました。
15年も前の事件です。いったい誰が何のために有力情報をタレコミしたのか?
どんでん返しの巧妙さと、トリックの面白さや、締めのエピソードも素晴らしい作品でした。
読書は楽しい -
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漆黒の長いトンネルを抜けるとそこは比奈ちゃんだった
はい、スピンオーフ!
比奈ちゃんシリーズのスピンオーフ!
内藤了さんのデビュー作『ON』は、実は心理カウンセラー中島保こと野比先生の視点で構想された物語だったことが、比奈ちゃんシリーズ最終作の『BURN』のあとがきにおいて明かされ、いつかその物語を書きたいと仰っていて、それがこの『OFF』というわけですね
まぁ、当然と言えば当然の如く野比先生を取り巻くのはもう、闇、闇、闇ですよ
でもね、分かってますから
こちとら全て分かってますから
もう一回読んだことあるんじゃないかってくらい全て分かってますから
そう!大丈夫だよ野比先生!
闇の先に比奈ちゃんがいるから!
比奈ちゃんが待っているから!
『ON』は比奈ちゃん目線で描いた「スイッチを押す者」の苦悩の物語でした
そして『OFF』は野比先生目線で描いた「スイッチを切る者」に出会う物語だったのです
やったね!
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Posted by ブクログ
美術館に行ったり絵画を観たりするのが好きなので、作中に漂うアートの空気感や作品をめぐる情熱に引き込まれて面白く読めました。
ルソーの絵画『夢』をめぐる真贋鑑定の緊迫感や、アートの世界の裏側を覗き見るようなワクワク感は、間違いなく本作の大きな魅力です。
ただ、読み進めながらふと思ったのは「絵画や美術館に普段あまり興味がない人が読んだら、このミステリーはどう感じるんだろう?」ということ。
知識があればあるほど美術うんちくや作品の背景描写がごちそうに感じられますが、純粋なサスペンスやミステリーのスピード感だけを求めて読むと、少し好みが分かれる部分もあるのかもしれません。
とはいえ、一つの絵画をめぐって人生を狂わせる人々の熱量や、絵に秘められたストーリーの魅せ方は見事でした。
絵画が好きな人は絶対に読んで損はないですし、普段アートに馴染みがない人にとっても、新しい扉を開くきっかけになるかもしれない一冊です。 -
Posted by ブクログ
文章量は少ないので、1時間くらいですぐ読めます。
が、その分量に収まりきらないドラマが、語りきれない一人の少年の人生が、青春が、この一冊には詰まってる。貧困と、ヤングケアラーとなってしまった家庭環境、よくぞここまでたどり着けたなあ、と淡白な文章なのに後半涙が勝手にこぼれました。
横浜翠嵐に最後1ヶ月で合格、そこから事件はありながらも東大に現役合格。
地頭がよくなければこれはない。でもやっぱり地頭だけではここまではこれない。
友達や先生、警察官と助けてくれる人たちとの巡り合わせはがあったこと、そして何より本人の努力がないとここまでは来れない。
だれでもが辿り着ける場所じゃないけど「諦めずにトライすると、辿り着けることもある」というのは何よりの応援。勇気をもらえました。
生活保護を受けていると、大学には行けないとか、彼だけでなく受験期にいろんなバックグラウンドで悩む子がいるとか、この先世の中に変わってほしいことも知れました。
読んでよかった!この先も頑張ってほしい。