小説・文芸の高評価レビュー
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悪童
中国の東野圭吾と言われた作者のミステリー作品。
夏休みを過ごす少年達のビデオカメラにたまたま写りこんでしまった殺人の様子から始まるハラハラな展開に序盤からとても引き込まれた。
ストーリーが二転三転していき、まったくどうなるのか予想がつかず、先が気になって結果的に一日かけて一気読みしてしまった。
まず、主人公含めてそれぞれのキャラクターがとても良く、夏の子ども達の青春も感じが後半のストーリー展開の対比にもなっていた。どんな手を使ってでも目的をやり遂げる子ども達VS殺人犯の頭脳戦の場面になっていきどちらが上回るのか最後の最後まで分からなかった。 -
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ネタバレ今村夏子さんは、世の中の “ 普通 ” とは、ずれた人たちをただ、そのまま書く人、という印象。そこが好きです。
絶対に忘れられない小説を書く作家。
あみ子はもうまさに。少し風変わり、なんて可愛いものではない。
周りのチョコだけ舐めあげたクッキーを、好きな男の子にあげるのですよ。。クッキー食べようと思ったけどまわりのチョコ全部舐めたらお腹いっぱい→のり君が好きだからこれあげよう!…なんという完璧なあみ子理論。
のり君に告白するシーンは壮絶の極み。
あみ子にロックオンされたのり君が不憫でしょうがないし、再婚相手の子供があみ子だった母親にも同情してしまう。なのに。
なぜだか、「あみ子に傷ついて -
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ネタバレ圧巻だった。
久しぶりにすごい小説を読んだ。
全てがつながる伏線回収はもちろんのこと、話が進む事に見えてくる世界の真実が、重く、リアルで、凄まじい。
物語はさとこ41歳の目線で始まる。さとこが抱く子育てや親同士の苦悩、キャリアと旦那、長く厳しい不妊治療、そして養子縁組をむすぶまでの心の変化、迎えた後に訪れる大きな幸せ。
その全てが丁寧に、精密に描かれる。
前半の栗原家の内容だけで十分に面白く充実した物語になるのに、なんと生みの親であるひかりの物語も、後半2章を丸ごとかけて甘く、切なく、苦しく、全てを教えてくれる。
我々はここまで詳細に見ていいものなのだろうか。
何度もわらい、何度も驚き、 -
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★5 なぜ犯罪に手を染めたのか、なぜ巻き込まれてしまったのか、なぜ早く解決できなかったのか #家族
■あらすじ
11月のある朝方、八王子の交番に勤務する警官が外に出ると、全裸の女性がふらふらと歩いていた。助けをもとめる彼女は以前から警察に相談をしていたものの、面倒な案件に巻き込まれたくない警察は、民事不介入を理由に事件化をせずにいたのだ。その後警察が捜査を開始すると、背後には多くの犠牲者がいることが浮き彫りになり…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 家族… たった二文字、シンプルかつ強烈なタイトルですね。もはや予想はしていていたのですが、され以上に鬱々たる気分にしてくれる作品でした。
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この長編もいよいよ後半。モスクワ市街がフランス軍に制圧され市の大半が焼失、その中でピエールはナポレオン暗殺を考えるが、あっけなく捕虜にされ容疑者たちが銃殺される現場を見る。以来ピエールの中で宗教や政治、妻エレンのことは遠ざかってしまう。捕虜生活の中でプラトンという男と知り合う。これがトルストイの傾倒した老荘思想の持主ということらしい。しかし東洋的なことを言うわけではない。モスクワから逃げ延びたロストフ一家は負傷したアンドレイと偶然落合い、ナターシャとマリアはその臨終に立ち会う。末期のアンドレイも現世のことには興味がなくなっていたようだ。このあたり作者の無常観が漂っている感じだった。そんな中でニ
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ネタバレ「赤と青とエスキース」
このタイトルがすべて。タイトルが全部語ってくれている。
エピローグを読むまではタイトルのことなんかすっかり忘れていたけど、最初から最後までこのタイトルを回収するためにこの物語は展開されていたんだと気づいたときは感嘆の声を上げてしまった。
とある絵を軸に、各話の人物の人生を写し出すような話である一方で、一つの結末に向けての伏線を散りばめ、エピローグですべて回収する。まるでクラシックの音楽を聞いているような美しい流れを体感できた私は幸せものだ。
ミステリーで犯人がわかったときみたいな爽快感もあるし、好きなことを仕事にする葛藤、別離を余儀なくされることへの悲しみ、新たな人