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★紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞!
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一生に一度はこういう本を書いてみたいと感じるような書でした。――星野智幸さん
この本は、奇妙な「外部」に読者を連れていく。
大冒険ではない。奇妙に断片的なシーンの集まりとしての社会。一瞬きらめく違和感。
それらを映画的につないでいく著者の編集技術には、ズルさを感じもする。美しすぎる。 ――千葉雅也さん
これはまず第一に、無類に面白い書物である。(…)
語る人たちに、共感ではなく理解をベースにひたすら寄り添おうとするスタンスは、
著者が本物の「社会学者」であることを端的に伝えている。─―佐々木敦さん(北海道新聞)
読み進めてすぐに、作者の物事と出来事の捉え方に、すっかり魅せられた。――唯川恵さん(読売新聞)
社会は、断片が断片のまま尊重されるほど複雑でうつくしい輝きを放つと
教わった。─―平松洋子さん(東京人)
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「この本は何も教えてはくれない。
ただ深く豊かに惑うだけだ。
そしてずっと、黙ってそばにいてくれる。
小石や犬のように。
私はこの本を必要としている」――星野智幸さん
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どんな人でもいろいろな「語り」をその内側に持っていて、その平凡さや普通さ、その「何事もなさ」に触れるだけで、胸をかきむしられるような気持ちになる。
梅田の繁華街ですれちがう厖大な数の人びとが、それぞれに「何事もない、普通の」物語を生きている。
小石も、ブログも、犬の死も、すぐに私の解釈や理解をすり抜けてしまう。それらはただそこにある。[…]
社会学者としては失格かもしれないが、いつかそうした「分析できないもの」ばかりを集めた本を書きたいと思っていた。(本文より)
Posted by ブクログ 2024年03月09日
短期間で3回も読んでしまった。。。
目の前で起きている事を、そのまま理解する「観察」は今最も重要な事の一つだが、これが意外と難しい。どうしてもバイアスがかかる。
この本の作者の岸さんは、目の前で起きる、語られらるどうしようもない事を、どうしようもないと、ただ記録する。でも、諦めつつも受け入れている。...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月14日
人間や社会は断片的なものの集合体であるという言葉にハッとさせられた。御多分に洩れず、あらゆる物事に対して明確な意味や一貫した物語を無意識に求めてしまっていたから(そして自分も周りからそれらを求められている気がしていたから)
「他者を完全に理解することはできない」ことの孤独を抱えてもなお、他者とつな...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月03日
日常は苦しく無常であると感じることを、そういうものであると、肯定される。少なくとも、幸せでないといけないと思わなくていいんだと。
救いという概念は、イメージするよりもずっと些細なものであるということ。ただ、それが例え、かすかなものであろうとも熱をもち、潰されそうになる一夜に惑う私の足元を照らす。そん...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年12月24日
冒頭のインタビュー途中に犬が死ぬ話から、著者が直に聞き取ったとらえどころなく一筋縄ではいかないエピソードの数々に圧倒される。
この世に偶然に生を受け、断片的な物事に囲まれながらどうにも中途半端で大したことのない人生を歩む(著者を含む)人々に対する、愛憎入り混じった感覚がドライな文体で刻まれて心の奥底...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年08月15日
社会学者である著者が聞き取りを行った中で惹かれた無意味な部分を詰め込んだ短編集。何の意味もないけれど妙に記憶にだけ残るエピソードが集められている。きっと私が今後関わる機会がないであろう風俗嬢や大阪の路上のギター弾き、異国の刑務所で過ごした元ヤクザのちょっとした人生や生活の一部の話が断片的に書かれてい...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年07月06日
明確なオチはない、という意味では、わかりやすい話を期待している人には訳がわからず、つまらないものに受け取れるだろう、ということがわかる(実際ここの感想もだいたい二つに分けられる)。
これが書かれた時よりも今のほうがさらに混沌としているし、何も求められていないのを知りつつ、自分だけは認められたいという...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年04月30日
チェルノブイリの祈りでも感じたことだけど、現実のエピソードとストーリーの断片を書き留めた物語は圧倒的な存在感を放つ。脈絡も意味も善悪もなくてもその「出来事」が起きた事実、それだけで充分。そういうことを書き綴って言語化したエッセイ、世界の片隅を味わったようで読んで良かった。
人生を捨てる賭けに勝って...続きを読む
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