小説・文芸の高評価レビュー
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ドラマが終わったら読もうと思っていたのですが、号泣するくらい毎回面白いので気になって読み始めたら一気に読んじゃいました。レース展開や馬生などはリアリティあって、もっと続きが読みたい。
ドラマと違う部分も多々ありました。
馬の美しさとか性格の表現とか、そういった描写は競馬ファンにとって想像しやすくて世界に入りやすかった。現地で観戦したことある人は、あのダービーなどのG1レースの熱狂、有馬記念の年末のお祭り感の想像に容易く、わくわくするはず!また馬主側のことを知れるのも良かった点。
余談ですが、
昨年末の有馬記念を最後に、初めての推しの競走馬が引退し、種牡馬になることが決まり、寂しい気持ちでいっ -
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ネタバレ江戸川乱歩(平井太郎)と杉原千畝の前途多難な人生と、その友情を描く物語。
歴史に弱く、何がフィクションで、どれが史実通りなのかを判断できなかったので(知ってるのは千畝がビザを発行したことと、乱歩が作家ってことだけ)、すべてフィクションだと思いながら読みました。
三朝庵という蕎麦屋ではじめて太郎と千畝は出会うが、じつはその9年前に出会っていたという運命的な話や、太郎のどうしようもない生活など、最初のほうは平和でほのぼのとした展開が多く、後半は一変、戦争の鬱々とした話が続く。とくに千畝のターンはやきもきする展開も多く、おそらく史実どおりなのはこちらのほうでしょう。戦争やら、国の情勢やら難しい話も -
Posted by ブクログ
ネタバレ天井から落ちてきたテンのあかちゃんを育てる話。
絵本かと思ったら、ちゃんと文字の本だった。大きめの文字に分かりやすい言葉……児童書って素敵。
ゴミ袋に放り込まれて捨てられそうになっていたテンちゃんをひづるさんが、拾い上げて育てる。最初は掌サイズでネズミと思われていたけれど、獣医さんによってテンだとわかる。毛皮にされて数が減ったテンの子をひづるさんは育てる。
野生の子は野生に返すと決めて育てるけれど……別れは突然にやってきて、テンちゃんは姿を消してしまう。
最後、サブタイトルが『ある日、とつぜん』だったので、死んでしまうのかなと思ってしまっていた。人に懐いてしまうと車に轢かれて死ぬ羽目にな -
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わたしたちは現代社会を生きていく上で遭遇する「時間泥棒」とどう対峙していくべきなのか。
現代はいたるところに灰色の男たちがいて、隙あらば私たちの時間を狙っている。一寸先は致死的退屈症である…と、資本主義への恨みつらみを述べた後に「とかくに人の世は住みにくい。」などと結ぶニヒルな感想が浮かんだがこれではあんまりだ。
別のアプローチを取ろう。それはそれとして、現代社会を生きるために大切なのは生活に彩りを加える姿勢やそれを見逃さない視線といったものなのではないか。
すなわち、どうしようもない現代を嘆き悲しんだり、時間の開放に思考を巡らすよりも、むしろ人生における「時間の花」と言える瞬間を見落と -
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ネタバレ伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」が、明日100年の歴史にいったん幕を下ろす。
ホテルを訪れるのは、女優、スリ、作家、宣伝マン、老夫婦。一貫した主人公のいない、群像劇だ。ただ、仕掛けがある。
女優の印象が変わること、文学賞の回数、震災、パンデミック、どこで気がつくかは読む人次第だけど、いや〜してやられた!
最初は嫌なやつと思っていた人物が、ある人と出会った事で変わったり、心中を考えていた夫婦が踏みとどまったり、スリが更生を決意したり。物語は多岐に渡るが、だいたいが良い方向への変化で、いい気持ちで読み終えることができた。
そして、登場人物の様々な「ことば」がとても良い。当たり前か