小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレいやーおもしろかった。兎にも角にも泰麒かわいいよ泰麒、これに尽きる。この言葉は感想の中に定期的に挟んでいきます。
前作は王に選ばれた者の視点、今回は王を選ぶ者の視点。
麒麟が一体どういう存在で、どういう過程で王が選ばれるのか、その辺が詳らかにされるという、この物語の世界観の核心について説明する話であるいわば導入の部分でもあるのだけど、それなのになんでこんなにおもしろくできるの。
私のファンタジーの世界観説明のところを読むのは結構しんどい理論が見事に破綻した瞬間であった。
それよりもなによりも、この作品の主人公である戴国の麒麟:泰麒がかわいすぎる。それを堪能できるだけでも、この本は「買い」であることは間違いない。特に自分の選択が間違っていたんじゃないかと思い悩むシーンは身が悶えそうになった。おい! かわいい御子を言葉足らずな情報で悩ませるんじゃないよ!! ったくこれだから景麒は……。
泰麒かわいいよ泰麒。
前作と共通する登場人物は景麒と雁国の二人くらいなもんだけど、特に景麒は結構見せ場があったね。コミュ力ゼロ人間から優しいお兄ちゃんになっていく過程が良き。それでも泰麒が悩む原因を作ったことは許してないからな。
泰麒かわいいよ泰麒。
今後の作品にも泰麒は関わってくるようなので、さらに成長した泰麒とまた会える日が待ち遠しいです。
泰麒かわいいよ泰麒。 -
Posted by ブクログ
小川洋子さんの作品は、私の好きな作品のひとつです。
有名な「博士の愛した数式」などがありますが、概ねどの作品においても、場所や時代、国などが明確に背景として描かれていない。小川作品につって、これらはさほど重要ではないのだと思います。
この「琥珀のまたたき」も、ママに6年8ヶ月家の中に閉じ込められた3人の子どもたちの心証をきめ細やかに描かれています。家の外には、魔犬がいるというママの言いつけを守り、家の中で子どもたちなりの楽しみを見つけていきます。
その一つが、自分たちの父親が出版した数々の図鑑を読んで行くことです。
この図鑑で彼らは横の中のことを知っていきます。
さらにその図鑑の中に、長男にあたる「琥珀」が、魔犬のせいで命を落としたとママに教えられた妹を琥珀色の左目で見つけ出します。
これがこの物語の主軸になって展開していきます。
一つ一つの事象の描写や説明がこれほどの形容が可能なのかと思わず感嘆するフレーズが随所にあります。
その一つは、ママがパパが出版する(キッチンについての)図鑑のモデルの採用のためカメラテストを受けたときの事です。テストをしたパパは、ママを合格させるのですが、その理由を「普通、人間はそこにいるだけで何かしら不必要な主張ををしてしまうものです。主役の事物を邪魔する、それを際立たせ、読者が図鑑を閉じた途端、事物の記憶だけを残して自らの気配は完全に消し去る。そんなふうにできる人は、滅多にいません。あなたには図鑑モデルとしての才能がある」と表現しています。こういった表現が随所に見られます。
登場人物は、せいぜい5人しかいませんが、まさに「小宇宙」的な小川洋子ワールド感が全開の長編小説です。
2026年27冊目。 -
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極上に面白く、物語の展開が絶妙に上手く、614ページを滞る事なく一気に読んでしまった。
宗教2世で偽造した身分証を使いトクリュウ犯罪をしている青木慶彦。
青木が狙うのは資金を纏めるトクリュウの幹部であり、偽造身分証により追われる気遣い無く大胆な犯行で大金を収奪していく。
物語は青木が次々とトクリュウ幹部を襲う手際の良さを描き、ヤクザや警察からの追及を躱していく緊張感で読ませてくれる。
ところが青木の物語だけでも十二分に面白いのに、物語は青木の視点から前半では後手に回っていた警察が次第にその存在感を増していく。
この切替が意外性を伴い、物語を次の段階へとグイグイ引っ張り、読み手はいつの間にか警察の視点から物語に没入していく。
量と質の双方を備えた犯罪小説であり、警察小説でもある本作に⭐️は5つでは足りないと思う。
とにかく面白かった。 -
Posted by ブクログ
小説家ってやっぱり魔法使いだ!!!
自分で一から物語を紡ぐなんて魔法使いみたいな所業を成し遂げる小説家が、いちばんかっこよくて尊敬できる人達だと昔から思っており、小説家の頭を覗きたいなあという私の願望に見事にマッチした作品。
小説の書き方を、できるだけ方法論的に纏めようとアルゴリズムを記していただいたわけだけど、こんなの実践できない!すごすぎる!という、結局魔法使いなんだという感想に落ち着いてしまった(笑)
小川哲とは何をやるか分からないという契約を見事に結んでしまってたので、すごい人だなあと改めて唸らされた。
私自身、なんでこんなに小説が好きなんだろうかと答えを見つけられないまま小説を読み貪ってきたけれど、その答えは正しくこの本に書いてあったような気がしました。
小説でしか味わえないコミュニケーションが大好きです。
読み手起点でコミュニケーションを取ろうと試行錯誤して、長い時間をかけて綴られた素晴らしい小説たちを読者として読めるのがなんと贅沢なことか。
改めて小説の良さに気付かされる1冊だった。 -
Posted by ブクログ
ミステリーは謎を推理して真実に辿り着くことが描かれてきたし、探偵が謎を華麗に解く様こそが見所だと思っている。
でも、この本は明確な探偵はある意味存在していないのかもしれない。存在するのはレストランのシェフなのだから。
だが、私がこの本に突っ込みたいこと。それは、依頼の内容さえ人づて、証拠を集めるのもシェフに雇われた人、探偵の出した答えを依頼人に届けるのもまた配達人、ここまで探偵を歩かせないミステリーが他にあるかと思ってしまうほどに探偵は動かないのだ。動かないのにその推理は華麗で、さながら熟練した料理人の包丁捌きを見ているようだった。
そして何より、私もまた本の中の依頼人達と同じく、あの探偵と呼んでいいのかも分からない1人のシェフに腹を満たされた1人の客であることは確かだ。なぜなら私の腹はどうしようもなく満たされてしまったのだから。
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