あらすじ
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
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Posted by ブクログ
心に響く。
買うかどうか迷ってここを訪れた人は安心して、この本を手に取って欲しい。この本は、あなたの人生に、少なくとも影響を与えるものだろうから。
こういう類の小説を読むたび、思う。小説というものは、物語というものは、その作者の今までの人生の集大成なのだということを。
文学には、学校の教科書なんかよりも、よっぽど濃い学びがある。その学びとは、作者が、頭を抱え悩み、考え、そして至った結論の数々である。それは、登場人物の台詞を通して、我々読者に伝えられるものであり、我々が本文約200頁の中から唯一覚えて、吸収しなくてはいけないものだ。
匂いや温度を感じるような、まるで自分もおばあちゃんの家にいるように錯覚させられる繊細で美麗な一文も、植物の名前も、山の知識さえ、作者が歩んできた人生の成果だ。
何十年もの成果、その結晶を私たちにも共有してくれると言うのだ。私たちはそれに感謝と敬意を持ち、この本に書いてあることを、自分のどこかに染み込ませなくてはならない。
そうして、数多の本を読み、いろいろな結論が自分の中に揃った時、それらは混ざり、溶け合って「自分」というたった一つの色になってゆくのだと思う。
そういう、普段何気なく読んでいる小説のありがたみがわかるような、素晴らしい一冊だった。
Posted by ブクログ
衣食住の大切さ、自然さ(風景としても、生き方としても)について考えさせられた。
おばあちゃんみたいな人になりたいと思いつつも、まいのお母さんみたいな生き方も悪くないと思いながら読んでいたので、最後のまいの気付きには確かに!となった。
Posted by ブクログ
「西の魔女が死んだ」を読んで改めて感じたのは、しっかり寝て、しっかり食べて、しっかり運動するという、人間が生きるうえで本来とても大切なことを丁寧にやるだけで、私たちは自然の一部としてのサイクルにちゃんと戻っていけるということでした。
心も身体も、そして脳の中も余計な不純物が少しずつ抜けていくようで、それがとても心地よかったです。
おばあちゃんの言葉にはいつも温かい温度があり、心を温かくさせてもらえました。
まいが魔女修行をする姿を見ながら、私自身も一緒に修行しているような感覚になり、これからの人生でも、私なりの魔女修行を続けていこうと思いました。
自分で決めて、自分で決めたことをやり遂げる。
おばあちゃんの教えは簡単そうに見えるけれど、本当はとても難しいと思う。
日常には誘惑もあるし、心や身体や頭の中に障害物が現れて歯車が噛み合わない時もある。
それでもそのたびにおばあちゃんの言葉を思い出して、自然のリズムに戻ろうとすることが大切なんだと気づかされました。
そして、魂のお話も印象的でした。
解説にもあったように、魂と魂の間には物理的な壁がないから、離れていても永遠にそばに感じられるという考え方は、今まで私の中になかった発想で、とても素敵でした。
この物語は静かだけれど力強く、私にとって“心の根っこ”を整えてくれるような一冊になりました。
Posted by ブクログ
中学校に行けなくなった頃の自分に読んであげたい本。
作者の言葉遣いがとても読みやすくスラスラ読めた。
自分が学校にい行けなかった時期のことや、そこから回復するまでの間のことを照らし合わせながら読めて、とても懐かしい気持ちになった。
生きる上での色々な困難や悩みを、魔女修行という視点で書かれているとワクワクするし、変に自己啓発みが出たりせず、若い人たち(中高生)にもとても読みやすいと思った。
もし自分に子供ができたら読ませてあげたいと思える本でした。
Posted by ブクログ
様々な学びのある作品でした。
まず言葉の選び方が美しい。
中学生という難しい年頃の子対して、柔らかく諭す表現がすごく美しいと感じました。大人になった私にも響く言葉が多く、読んでいてハッっなり、思わずメモしてしまいました。
そして辞書を引きたくなる名前が多くでました
鳥の名前、植物の名前、花の名前、比喩表現
なかなか馴染みがない言葉が使われていて、とても好奇心をそそられ、勉強になりました。
最後に習慣について
今の自分を鑑みたときに、昔はごく当たり前だったことができなくなってるなと思いました。便利や効率ばかりを求めて、不自由さを楽しむことや、を忘れていることに気づきました。
最近はずっとスマホやPCとにらめっこ。裸足で林や草っぱらを走り回って生き物を探したり、旬のものを食べてみたりしてないなと。いつの間にか人間性がつまらないものに変わっている。
つまりそういうものを思い出させてくれる名作でした。また人生に生き詰まったときには読み返したいな。それだけの力があるとおもう作品でした。
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なんと読みやすいこと。一気に読めました
まいが学校でかかえるややこしいこと
それの一次退避として英国人の祖母の家で暮らすことになる
祖母と生活をしていきながら、暮らしの知恵と、魔女修行をしていく
Posted by ブクログ
西の魔女が死んだ 梨木香歩
感想・独自解釈
まいがおばあちゃんに誘導されてる気がすると思ったことは間違いではなく、魔女の力=日頃の積み重ねによって起こっているのだと感じました。
魔法に目覚めた瞬間はおばあちゃんのメッセージに気づいたとき。おばあちゃんの修行とおばあちゃんの命のおかげで魂について触れ、魔女の力を無意識でも使えるようになったのではと考えました。
魔法と聞くとファンタジーのように聞こえ、誇張されてる表現ですが、それはまいが中学生だからおばあちゃんはそのように教えたのでしょう。実際に社会でもみくちゃにされ疲れた時(いわゆるうつ状態)にはリズムの取れた生活をして、リハビリのために少しずつ予定を立てて動いていくのが一番の回復方法です。それと同時にこれからの社会の生き方も学び、たくさんの価値観に触れることもできたことでしょう。
この小説は、まいの成長物語でもあり、読者の成長にも繋がる話です。勇気と安心感を与えてくれるお話でした。
Posted by ブクログ
心温まる作品。
思春期の少女とどこか不思議な雰囲気のある「魔女」のひと時を描いた作品。
当たり前だけど難しいこと・わかっているけど上手くいかないこと
だけどもやはり大切であること、それを教えてくれる作品だと思いましたね...
文体としては児童文学寄りにも感じました。
普段本を読まない・久々に本を読んでゆっくり温まりたい人にお勧めです。
Posted by ブクログ
同僚にとても泣けたと言われて読んでみた一冊
結果としては泣けなかった
ハートフルな話で感動したし、きっとおばあちゃんがいたら親とはまた違う心の拠り所のような存在になったのかなーと羨ましくも思った。
おばあちゃんの家みたいな生活には憧れある
あっさり終わってしまった感じもありもう一回読めば何か違うものを感じれそう…
Posted by ブクログ
タイトルから感じたイメージとは違って、ジブリ作品を見ているような感覚
自然でもあるし、まいの葛藤する気持ちも色んな人に共通するんじゃないかな
心地よい作品だった!
解説の生も死とても重くない表現でした
Posted by ブクログ
子供の頃の感覚が蘇った。
どこか俯瞰して見て素直に思う事ができてたあの頃が懐かしくなった。
西の魔女の丁寧な暮らし。
決めること、継続する事
それが、日々の積み重ねでいつの間にか自分の人生になっていくんだな。
魔女のような人をジャッジしたりせず、温かい心で過ごしたいな。
Posted by ブクログ
【実家に帰りたくなる本】
おばあちゃんが危篤だと一報を受ける。
まいは中学一年生のときに過ごしたおばあちゃんとの思い出を振り返るのだった。
登校拒否になってしまったまいは、療養として数ヶ月おばあちゃんと二人で過ごす。おばあちゃんとともに生活をしていく中で、意志の力、つまり自分の決めたことをやり遂げる力の大切さを学んでいく。
生活習慣を整えること、嫌な声が聞こえても無視をすること、死ぬことは身体と魂が分離して魂だけの旅を続けること、直感を信じすぎると憎悪に支配されてしまうこと。まいは、いい魔女になるまでの鍛練として様々な教えをおばあちゃんから貰う。
しかし、おばあちゃんの家の隣に住むゲンジさんとの折りが合わず、一方的に毛嫌いをしてしまう。結局、まいが家族のもとに戻る決断をして実家に帰るまで、その思いは払拭されず、この事件がきっかけでおばあちゃんとの関係もしこりが残るかたちとなってしまった。
それから二年後。おばあちゃんの訃報を受ける。それまでまいは心残りがあるものの、一度もおばあちゃんを訪れることはなかった。
久し振りの訪問時、今まで敬遠していたゲンジさんとまともに話すことができた。そして戸棚に書かれていた、魂の脱出大成功、という文字を見て、おばあちゃんが約束を覚えていてくれたことを感じ、まいはようやく涙を流すのだった。
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おばあちゃんとまいの関係性に心温まる。終始、まいに愛情と教えを渡していくさまは、心が洗われるようだった。
また、それぞれの感情を言語化する表現の豊かさも文章としてのリズムも良く、おばあちゃんの話が説教臭く感じない。
父親と母親は描かれてはいるものの、まいにとっては希薄な存在なのは、これが正直で素直な子どもの感性なのだろうと、いち読者としてはある意味残酷に感じた。
ゲンジさんを毛嫌いするまいの気持ちも、そこから先入観と色眼鏡で見てしまうのも、子どもの心理としては非常に共感する。
別れ際に心残りがありながらも離れて暮らし、日々の生活に勤しむがあまり、その感情が少しずつ風化していく。その場所に帰ったときに、急に記憶が鮮明に蘇り、故人を思う気持ちが溢れる。
感謝の気持ちを伝えたいのに、その気持ちに気づいたときには、もうその相手はこの世にはいない。
親を故郷に置いて上京している身としては、敢えて見ないようにしてきた、見ることを先延ばしにしてきた生々しい現実を、突き付けられるような気持ちだ。
Posted by ブクログ
まだスマホもなかった幼い頃を思い出た。あの頃は身近にある自然が遊び相手だった。名前も知らない草花、小さな虫、風の匂い。それらにときめいたり、時には怖がってみたり。死とは何かを考え込んでみたり。それらへの感性がいつからか鈍くなってしまっていたんだなぁと、主人公と一緒に西の魔女と過ごすうちに思い出した。魔女修行とは自分とはなにかを理解すること。まだまだ私も修行が足りないなぁ。
Posted by ブクログ
学校では当たり前とされるグループや派閥、
はみ出すことがおかしいという空気。そんな同調圧力の中で、まいは自分の気持ちより空気を読むことを優先してしまっていた。その息苦しさに、強く共感した。
おばあちゃんの家での暮らしはその真逆だった。
自然のリズムに合わせて過ごし、庭で実るものを収穫し、ジャムを作り、太陽と眠る。人工的な時間割から解放されることで、人間が本来持っているペースを取り戻していく。
タイトルにある死は最初から避けられないものとして提示される。だからこそ読み進めるのが辛いのに、おばあちゃんとの最期の描写はただ悲しいだけではなかった。生と死が地続きであり、自然の営みの一部であると静かに受け止めさせてくれる。
おばあちゃんの死は喪失でありながら、
まいが自立へと踏み出すための大切な通過儀礼。別れの痛みごと、未来へ背中を押す優しい力を感じた。
Posted by ブクログ
小学生ぶりに読んだ。
おばあちゃんの愛が深くて優しくて、最後は絶対に泣いちゃう。
こんな生活、憧れる。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。」
「一番大切なのは意志の力。自分で決める力。自分で決めたことをやり遂げる力です。」
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久しぶりの読書2冊目
ちょうどいい長さで読後感よし
自分の立場から不登校の子どもを抱える共働きの親の視点になってしまった。
渡りの一日はあやさんさまいの理想に近いかもしれないけど、自分に子どもができたときにはまいのお母さんになるのか、しょうこのおかあさんになるのか、それともまた違う道がみつかるのか…
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まったり系のおはなし。
自分も子どもに戻ったような気持ちで、「ああ、わかるわかる」と思いながら読み進められます。毒気の少ない本が読みたい方にどうぞ。
Posted by ブクログ
優しい気持ちになれる本と聞いて読見ました。
しかし、いい意味で予想と違った話の展開で、
主人公の女の子まいの思い、
おばあちゃんの思い、
両親の思い、
それぞれに悪意はなく、考えていることがあり、
正義があり、それがどういう意図なのかを考えさせられる話でした。
この本に出てくる人たちは、
すごく理想的な人というわけではなく、
生きている人たちでした。
迷い、矛盾している考えが入り混じっているようでした。
だからこそ、私は自分に重ね共感や反発をしながら読み進めることができました。
きっと年を重ねるごとに受け止め方が変わってくる本なんだろうなと思います。
25歳独身の今は、自分の好きな場所を守りたい、自分の思いを言葉に表すことの恐怖を感じるまいの気持ちが共感できました。
自分の生き方を自分で見つけられる人になりたいです。
Posted by ブクログ
思春期の子ども達に読んでほしい。親目線になってしまい20代に読んだ時ほど刺さらなかったが、規則正しい生活をすることの大切さ、死を悲しませないための約束…心が温まる物語でした。
Posted by ブクログ
有名な本なのでずっと読みたかった本。タイトルから勝手にファンタジーを想像していたが、そうではない。
穏やかに進む描写が丁寧に書かれている。私もおばあちゃん家って何となく落ち着くので主人公に共感できた。シンプルだけど、日々の生活を丁寧に、規則正しか過ごすことの大切さを感じた。
Posted by ブクログ
私の心の問題だけど、心温まるというより、心が温まるんだろうなぁ…って感じの、他人事な感覚になってしまった…
でも、こういうアプローチの方法で、うまく人間関係が馴染めない子に接するのはいいなぁと思った。なかなか理想論で難しいと思うけど。
そして最後のシーンは、ちょった好きだった。
喧嘩して別れてしまっても、おばぁちゃんはずっと後悔しながら、会いに来ないのはうまく行ってる証拠だと信じながら、最後まで過ごしたんだろうなと想像した
そして私は夢のある人が好きだから、夢のある約束をはたしたおばぁちゃんが、本物の魔女として生きていて好きだなと思った
体力と同じように、意志の力もうまれつき弱くても強くしていけること、おばぁちゃんの言葉の中でも印象的だった。
最後についてる話も好きだった。
誤解は人生を彩る。
とけてがっかりの誤解。
なんて素敵な言葉なんだろうと思った
Posted by ブクログ
表題作「西の魔女が死んだ」「渡りの一日」が収録された連作短編集。「西の魔女が死んだ」では、主人公まいとおばあちゃんのやり取りが微笑ましかった。最後おばあちゃんとは喧嘩別れのような形で離れ、それを最後におばあちゃんが亡くなるという悲しい結末であったが、おばあちゃんの優しさで包まれるような気持ちになれました。
Posted by ブクログ
まいがおばあちゃんと過ごした1ヶ月余りを描いた物語。
家の間取りとか周辺の地形の描写がやや分かりにくかったり、行動の一つ一つの描写がところどころ冗長な気がしてちょっと読みにくかった。おばあちゃんがまいに優しく色々教える様子やまいがそれを聞いて一生懸命理解しようとしている姿は温かみがあってよかったが、それらの教えから自分が学ぶことはあまりなかった。前評判から期待して読んだが、ちょっと期待外れ。
おばあちゃんは最後まで粋でかっこよかった。
Posted by ブクログ
評判のこの本、以前にも読んた気がするのですが、ところどころしか覚えておらず、結果的に良い話を2回も新鮮な気持ちで楽しめました。
「魔女」のおばあさん、こんなふうに自信に満ちて年若い人を導くことができるなんて、双方にとってなんて幸せなことだろうと思いました。
Posted by ブクログ
経緯はよくわからないけど、なんとなく読んでみた本。
思ったより薄くてびっくり。
なんか、千と千尋の神隠しを思い出してしまった。
ちょっと変わり者?周りからは浮いていると言われている女の子が、おばあさんとの生活を通じて自分らしさと向き合っていく。
ゲンジさんの存在がちょっと私には最後まで分からなかった。あの人はいい人なのか悪い人なのか。そう決めつけてはいけないのだろうけど、最初にあの人が放った差別的な言葉については、何も解決していない気がする。もちろん、それから主人公が偏見で彼を見てしまっているのもいけないとは思うけど、まだ子供だしなぁ・・・。
なんで急におばあちゃんが死んでからマイにも優しくなっているのか?マイがたまたまそう感じているだけなのか?2人が分かりあう描写もなく、終わってしまった。
最後ケンカしたように別れてから会わないままにおばあちゃんが死んでしまったのは悲しい。自分も大切な人には感謝の言葉を言えるときに言っておかなきゃと思う。
ただ、期待した分あまり心には残らなかった。私の読み込み不足のように思う。
Posted by ブクログ
独特な雰囲気を持った本だなと感じた。
まいから見た、おばあちゃんとの暮らしの中に込められたメッセージ性を確かに感じながら、おばあちゃんの生涯が気になっていた。特にまいの母親とは仲違いとまではなくても、交わらない価値観があったように思う。おばあちゃんと繋がりがあった人物との余白、魂が解放されたことで、おばあちゃんのことを好き勝手に話し出すこともあると思うので、まいからみたおばあちゃんという妄信ではなく、ひっくるめてのおばあちゃんをまいが知る日もくるのかな、と思った。
Posted by ブクログ
2025/11/9
読んだことのない名作を読んでみよう月間。
繁忙期でバタバタな今はこの空気感を満喫できない。
じんわり、ゆっくり読み込みたい。
ラスト涙。