あらすじ
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
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Posted by ブクログ
私のバイブルのような一冊。
丁寧に暮らしたくなる憧れの世界。
亡くなられたベネシアを思い出す。
おばあちゃんの食事、寝室、庭仕事、家事、おうち全てが私の憧れ。
春夏秋冬それぞれの手仕事がなににも逆らわず当たり前のようにあるが、それは決して当たり前ではなくただただ優しい。
iKnow
その一言に全てが詰まってる。
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本作を読みながら、主人公のまいに何度も自分自身を重ねた。中学生という不安定な時期に感じる息苦しさや、生きづらさは、当時の私にも覚えがあり、まいの心の揺れに強く共感した。
物語に描かれる祖母の存在は、私自身の祖母の記憶を鮮やかに蘇らせた。特別に教養があるわけでもなく、何かを教え込まれたこともない。
強く叱られたこともなければ過保護に扱われたこともない。それでも、祖母と自宅の居間ですごした何気ない時間は、今思えばかけがえのないものだった。そばにいるだけで心が穏やかになり、守られているような安心感があった。
祖母が存命だった頃、もっと「ありがとう」と「大好き」を伝えればよかったと、読み終えたあと強く思った。反抗期で、照れくさくて、素直になれなかった私は、何も言えないまま時間を過ごしてしまった。
もし今、祖母に「大好きだよ」と伝えられたなら、祖母はどんな言葉を返してくれるだろう。西の魔女が「アイ・ノウ」と静かに応えるように、優しく、温かく、すべてを受け止めてくれたらいいな。
この物語は、失ってから気づく愛情と、確かな優しさ、静かな強さを教えてくれる。
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学校に行けなくなったまいは田舎のおばあちゃんと1ヶ月共に暮らすことに。魂の存在を信じたいまいにおばあちゃんは自分が死んだら教えてあげると約束するが…。わだかまりを残したまま別れて2年後、約束を忘れてなかったおばあちゃんの優しさが胸を打つ。
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あたたかいお話
西の魔女はちょっとわたしのおばあちゃんみたいにも感じた。生活の知恵とか、栄養のあるご飯を食べて、体動かして、夜はしっかり寝て、早起きする。
草木を育てながら生きてて、時間の流れが違う感覚。陽光もあの空間には優しくさすの。
そういう環境で、生きてるって実感しながら生活できるのってとても憧れる。
西の魔女が亡くなった時、ヒメワスレナグサのガラス窓のところにおばあちゃんのメッセージがあったの見て、おばあちゃんの愛に涙が止まらなかった。すごくすごく大きな愛でまいを包み込んでいてくれてたんだなと思った。それがまいにも伝わっててうれしかった。食欲ない時のゼリーとか、不貞腐れて寝た日の夜にお腹すいてないかって声かけに来てくれるところとか、そういうあたたかさをあげられる人になりたい。
ホッキョクグマが北極で生きるのを責める人はいない。サボテンだってそう。
今のところにいてもなにか大きく変わるわけじゃない。って思ったら、怖いけど、変われるチャンスかもしれないって違う場所に飛び込んでみるのもありなのかなって思えた。
総じてあたたかいお話だった。すきだなあ、これはまた読みたい!って思える作品だった
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空気感が澄んでいる。優しい自分の感性を呼び覚ますような作品。魔女のトレーニングは人生の核となる部分だと感じた。これをきっかけに魔女関連の書籍も読んでみようかな。日本では禅僧がそうであるように、西洋では魔女が、人間の本質的な大事な意識、視点で生きてたんだろうなと感じた。タロットカードやスピリチュアルが個人的に好きなので、その観点からも感性が刺激された、とても心の栄養になりました。かなり好きな作品。自分の感性が洗われました。ありがとうございました。
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心に響く。
買うかどうか迷ってここを訪れた人は安心して、この本を手に取って欲しい。この本は、あなたの人生に、少なくとも影響を与えるものだろうから。
こういう類の小説を読むたび、思う。小説というものは、物語というものは、その作者の今までの人生の集大成なのだということを。
文学には、学校の教科書なんかよりも、よっぽど濃い学びがある。その学びとは、作者が、頭を抱え悩み、考え、そして至った結論の数々である。それは、登場人物の台詞を通して、我々読者に伝えられるものであり、我々が本文約200頁の中から唯一覚えて、吸収しなくてはいけないものだ。
匂いや温度を感じるような、まるで自分もおばあちゃんの家にいるように錯覚させられる繊細で美麗な一文も、植物の名前も、山の知識さえ、作者が歩んできた人生の成果だ。
何十年もの成果、その結晶を私たちにも共有してくれると言うのだ。私たちはそれに感謝と敬意を持ち、この本に書いてあることを、自分のどこかに染み込ませなくてはならない。
そうして、数多の本を読み、いろいろな結論が自分の中に揃った時、それらは混ざり、溶け合って「自分」というたった一つの色になってゆくのだと思う。
そういう、普段何気なく読んでいる小説のありがたみがわかるような、素晴らしい一冊だった。
Posted by ブクログ
衣食住の大切さ、自然さ(風景としても、生き方としても)について考えさせられた。
おばあちゃんみたいな人になりたいと思いつつも、まいのお母さんみたいな生き方も悪くないと思いながら読んでいたので、最後のまいの気付きには確かに!となった。
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「西の魔女が死んだ」を読んで改めて感じたのは、しっかり寝て、しっかり食べて、しっかり運動するという、人間が生きるうえで本来とても大切なことを丁寧にやるだけで、私たちは自然の一部としてのサイクルにちゃんと戻っていけるということでした。
心も身体も、そして脳の中も余計な不純物が少しずつ抜けていくようで、それがとても心地よかったです。
おばあちゃんの言葉にはいつも温かい温度があり、心を温かくさせてもらえました。
まいが魔女修行をする姿を見ながら、私自身も一緒に修行しているような感覚になり、これからの人生でも、私なりの魔女修行を続けていこうと思いました。
自分で決めて、自分で決めたことをやり遂げる。
おばあちゃんの教えは簡単そうに見えるけれど、本当はとても難しいと思う。
日常には誘惑もあるし、心や身体や頭の中に障害物が現れて歯車が噛み合わない時もある。
それでもそのたびにおばあちゃんの言葉を思い出して、自然のリズムに戻ろうとすることが大切なんだと気づかされました。
そして、魂のお話も印象的でした。
解説にもあったように、魂と魂の間には物理的な壁がないから、離れていても永遠にそばに感じられるという考え方は、今まで私の中になかった発想で、とても素敵でした。
この物語は静かだけれど力強く、私にとって“心の根っこ”を整えてくれるような一冊になりました。
Posted by ブクログ
自然の描写が美しいんだよ、と聞いて手に取った本。
命あるものの魅力と、抗えない流れとか力みたいなものがしずかに溢れてきて心地よい。
老いやそれによる人との別れがまだ怖いけど、自然の摂理と受け止められるようになりたいなあと思う…
Posted by ブクログ
とても心温まる、どこかジブリの空間を体験しているようなお話だった。
しかし、暖かさだけではなく、芯をついてくる一言や展開がとても面白かった。
なんか読んでいて印象に残ったのは、まいがおばあちゃんにいじめられていたことをサラッと打ち明けるシーン。またおばあちゃんに対する見方の違い。色々と面白かった。
Posted by ブクログ
タイトルは物騒だけれど、一人の人間が成長していく美しい物語。
魔女修行という名目で、現代人がなおざりにしているものに向き合ってトレーニングを行い成長していく。
心温まる一冊だった。
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なんと読みやすいこと。一気に読めました
まいが学校でかかえるややこしいこと
それの一次退避として英国人の祖母の家で暮らすことになる
祖母と生活をしていきながら、暮らしの知恵と、魔女修行をしていく
Posted by ブクログ
西の魔女が死んだ 梨木香歩
感想・独自解釈
まいがおばあちゃんに誘導されてる気がすると思ったことは間違いではなく、魔女の力=日頃の積み重ねによって起こっているのだと感じました。
魔法に目覚めた瞬間はおばあちゃんのメッセージに気づいたとき。おばあちゃんの修行とおばあちゃんの命のおかげで魂について触れ、魔女の力を無意識でも使えるようになったのではと考えました。
魔法と聞くとファンタジーのように聞こえ、誇張されてる表現ですが、それはまいが中学生だからおばあちゃんはそのように教えたのでしょう。実際に社会でもみくちゃにされ疲れた時(いわゆるうつ状態)にはリズムの取れた生活をして、リハビリのために少しずつ予定を立てて動いていくのが一番の回復方法です。それと同時にこれからの社会の生き方も学び、たくさんの価値観に触れることもできたことでしょう。
この小説は、まいの成長物語でもあり、読者の成長にも繋がる話です。勇気と安心感を与えてくれるお話でした。
Posted by ブクログ
心温まる作品。
思春期の少女とどこか不思議な雰囲気のある「魔女」のひと時を描いた作品。
当たり前だけど難しいこと・わかっているけど上手くいかないこと
だけどもやはり大切であること、それを教えてくれる作品だと思いましたね...
文体としては児童文学寄りにも感じました。
普段本を読まない・久々に本を読んでゆっくり温まりたい人にお勧めです。
Posted by ブクログ
同僚にとても泣けたと言われて読んでみた一冊
結果としては泣けなかった
ハートフルな話で感動したし、きっとおばあちゃんがいたら親とはまた違う心の拠り所のような存在になったのかなーと羨ましくも思った。
おばあちゃんの家みたいな生活には憧れある
あっさり終わってしまった感じもありもう一回読めば何か違うものを感じれそう…
Posted by ブクログ
内容はとても良い 内容はとても良いのに、文章がぎこちないというか……今ひとつ共感できない感じがある。
もう少し、感情の機微が説明されていたり、ゲンジさんが前半と後半でだいぶ印象が変わるのだけどその辺りの深堀りがあると良かったな、と思った。
Posted by ブクログ
不登校になった女の子がおばあちゃんの家で生活する話です。女の子の経験したことが大切な宝物のよう に見えました。文章に書くとシンプルですが、楽しいこと悲しいこと含めて、誰しもそういうものを持っているのかもしれません。 本書は、後日談として、渡りの一日も収録されていて、女の子の成長も読むことができます。
Posted by ブクログ
昨今はみんなスマホばかり見ている。親の私たちも学生の娘も。おばあちゃんのように子育てできたらいいのに。自然を感じて、清々しい空気を吸って、朝の光を浴びて生きて欲しいけど、実際は難しい。
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自分で考え、自分で決める。
当たり前のことだけど、人や情報に囲まれて生きているうちに自分の考えではなくて、周りの考えに合わせて苦しくなることがあるかもしれない。
決めたことをやり切る。規則正しい生活をする。簡単そうで続けることが難しいことだけど、改めて自分の生活を見直そうと感じた。
将来結婚できて子どもができたら読ませたい1作。
Posted by ブクログ
久しぶりの読書2冊目
ちょうどいい長さで読後感よし
自分の立場から不登校の子どもを抱える共働きの親の視点になってしまった。
渡りの一日はあやさんさまいの理想に近いかもしれないけど、自分に子どもができたときにはまいのお母さんになるのか、しょうこのおかあさんになるのか、それともまた違う道がみつかるのか…
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まったり系のおはなし。
自分も子どもに戻ったような気持ちで、「ああ、わかるわかる」と思いながら読み進められます。毒気の少ない本が読みたい方にどうぞ。
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優しい気持ちになれる本と聞いて読見ました。
しかし、いい意味で予想と違った話の展開で、
主人公の女の子まいの思い、
おばあちゃんの思い、
両親の思い、
それぞれに悪意はなく、考えていることがあり、
正義があり、それがどういう意図なのかを考えさせられる話でした。
この本に出てくる人たちは、
すごく理想的な人というわけではなく、
生きている人たちでした。
迷い、矛盾している考えが入り混じっているようでした。
だからこそ、私は自分に重ね共感や反発をしながら読み進めることができました。
きっと年を重ねるごとに受け止め方が変わってくる本なんだろうなと思います。
25歳独身の今は、自分の好きな場所を守りたい、自分の思いを言葉に表すことの恐怖を感じるまいの気持ちが共感できました。
自分の生き方を自分で見つけられる人になりたいです。
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思春期の子ども達に読んでほしい。親目線になってしまい20代に読んだ時ほど刺さらなかったが、規則正しい生活をすることの大切さ、死を悲しませないための約束…心が温まる物語でした。
Posted by ブクログ
有名な本なのでずっと読みたかった本。タイトルから勝手にファンタジーを想像していたが、そうではない。
穏やかに進む描写が丁寧に書かれている。私もおばあちゃん家って何となく落ち着くので主人公に共感できた。シンプルだけど、日々の生活を丁寧に、規則正しか過ごすことの大切さを感じた。
Posted by ブクログ
私の心の問題だけど、心温まるというより、心が温まるんだろうなぁ…って感じの、他人事な感覚になってしまった…
でも、こういうアプローチの方法で、うまく人間関係が馴染めない子に接するのはいいなぁと思った。なかなか理想論で難しいと思うけど。
そして最後のシーンは、ちょった好きだった。
喧嘩して別れてしまっても、おばぁちゃんはずっと後悔しながら、会いに来ないのはうまく行ってる証拠だと信じながら、最後まで過ごしたんだろうなと想像した
そして私は夢のある人が好きだから、夢のある約束をはたしたおばぁちゃんが、本物の魔女として生きていて好きだなと思った
体力と同じように、意志の力もうまれつき弱くても強くしていけること、おばぁちゃんの言葉の中でも印象的だった。
最後についてる話も好きだった。
誤解は人生を彩る。
とけてがっかりの誤解。
なんて素敵な言葉なんだろうと思った
Posted by ブクログ
表題作「西の魔女が死んだ」「渡りの一日」が収録された連作短編集。「西の魔女が死んだ」では、主人公まいとおばあちゃんのやり取りが微笑ましかった。最後おばあちゃんとは喧嘩別れのような形で離れ、それを最後におばあちゃんが亡くなるという悲しい結末であったが、おばあちゃんの優しさで包まれるような気持ちになれました。
Posted by ブクログ
息の長い本ですよね。私は初読でした。
中学校に入学してまもなく学校に行けなくなってしまった まいは大好きなママのママであるイギリス人のおばあちゃんの家でひと夏を過ごすことになった。 そこで まいはおばあちゃんから魔女修行を受けることになる。
魔女になる為の必須条件は〝自分で決めること〟。
おばあちゃんの家をとりまく環境が素敵だ。なんとなく『魔女の宅急便』のキキの実家や『赤毛のアン』のグリン・ゲイブルズを想像してしまう。
おばあちゃんとの別れの日、ある事件のせいで まいはいつものように「おばあちゃん、大好き」と言えなかった。
それから二年後 訃報が届く。
まいはママとおばあちゃんの家に向かった。そこでまいはおばあちゃんが約束を覚えていてくれたことを知る。 おばあちゃんはまいだけにわかる方法でそれを伝えてくれた。
二年前は雑草のように小さく頼りなかった まいがヒメワスレナグサと呼んでいた花は見事な一株になって咲き誇っていた。 それはまいがこの二年間〝この場所を〟必要とせずに成長することができたことを表しているようにも思えた。
とても良い話しでしたが…中学生の頃に読みたかったかなぁ〜