あらすじ
♛2025年 本屋大賞ノミネート!
構想・執筆10年――
稀代のストーリーテラーが辿り着いた
最高到達点=長編バレエ小説
「俺は世界を戦慄せしめているか?」
自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家の萬春(よろず・はる)。
少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。
同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――
それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。
彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。
一人の天才をめぐる傑作長編小説。
♛読書メーター「読みたい本ランキング」月間1位(2024年2月2日〜3月3日/単行本部門)
♛今月の絶対はずさない!プラチナ本選出(「ダ・ヴィンチ」2024年5月号)
♛キノベス!2025 第10位
♛第1回「あの本、読みました?」大賞第5位
♛埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本第3位
史上初の直木賞&本屋大賞をW受賞した『蜜蜂と遠雷』や演劇主題の『チョコレートコスモス』など、
表現者を描いた作品で多くの読者の心を掴みつづける恩田陸の新たな代表作、誕生!
※電子書籍版には紙書籍版に収録されている「パラパラ漫画」と書き下ろし番外編二次元コードは付きません。
【目次】
I 跳ねる
II 芽吹く
III 湧き出す
IV 春になる
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
はじめての恩田陸さん作品。はじめてのバレエ小説。
物語に明確な起承転結があるわけではないのに、3人の語り手と一緒にこんなにも春に惹き付けられていったことに驚いた。最後の語り手が春なのもよかった。
語彙がすごく豊かで、バレエを習ったことがないのに常に場面が目に浮かぶ。バレエを取り巻く音楽や歴史や、演目の題材となる数多の作品に対する造詣も深い…
芸術をこんなに言語化して、良さを知らない層に伝えられることに感動した。
天才の伝記という感じで、あまりにも抜きん出た才能を発揮してる人達しか出てこないので感情移入できる要素はないけれど、ただただバレエと春に魅せられた小説。
Posted by ブクログ
「芸術は難しいもの」だと思っている人にこそ、読んでほしい一冊です。『spring』は、その距離感を一気に縮めてくれます。
恩田陸が描くのは、バレエという言葉を持たない芸術。しかしこの作品では、筋肉の緊張、呼吸のリズム、舞台に落ちる光までが言葉で丁寧にすくい取られ、読者の中に“舞台の空間”が立ち上がります。ページをめくるごとに、まるで客席から踊りを目撃しているような感覚になるのが印象的でした。
中心にいるのは、圧倒的な才能を持つダンサー・春。けれどこの物語は、単なる天才の成功譚ではありません。彼を見つめる周囲の視点を通して描かれることで、才能に触れたときの驚きや畏れ、そしてそれでも何かを表現しようとする人間の営みが、じんわりと伝わってきます。
また、舞台に立つ者だけでなく、教える人、支える人といった多様な才能にも光が当てられている点がとても良かったです。芸術は一人で完成するものではないという事実が、自然に胸に落ちてきます。
読み終えたとき、芸術は「理解するもの」ではなく、「体験するもの」だと感じました。文字を通してここまでの臨場感を味わえることに驚かされる、まさに“芸術の追体験”ができる一冊です。
Posted by ブクログ
舞台か長編映画を観ているような、美しい物語。
天才たちの織りなす美しい物語です。
バレエという特殊な職に人生を捧げた人たち、特にその主人公の独特な世界の捉え方には圧倒されます。
躍動感溢れる描写と、主人公を中心に変わっていく周囲と成長していく舞台。映画化して欲しいくらいに美しいと思いました。
Posted by ブクログ
天性の身体表現力を持つ「萬春」をバレエ仲間、叔父、元バレエ仲間で今は違うことで春と関わりのある友達の目線で彼を語っていく。
私はバレエのことは全く知識がないけれど、そんな私でも「こんな感じなんだろうな」と想像ができるくらい表現が細かい。春が何を感じそれをどう自分のなかに落とし込んでどう表現するのかワクワクしながら読んだ。
いわゆる「天才」だけれど、「枠にはまったまま生きる」に違和感を覚え、学校という縛られる存在にも違和感を覚え、心の孤独のようなものを抱えてきた春。読んでいて人との接し方に少し距離がある感じがした。それと遠くにどんどん行ってしまう感じがした。
「改めて考えてみて気付いたのは、人生というのは、綺麗に連続しているわけではない、ということだ。人格だって、必ずしもきちんと筋が通っているとは限らない。人間は多面的な生き物だし、相手によって見せる顔が異なり、齟齬と矛盾がそこここにある」
っていうところがすごく哲学的というか冷静に物事見れてて頭が下がる。
本のページのデザインに遊び心があって、楽しい。読み終わった後ついペラペラっとやってしまった。
Posted by ブクログ
登場人物が生き生きしているので、自分もバレエ学校にいるような、臨場感が素晴らしかった。人と違う才能があるのは幸か不幸か。ギリギリのバランスで生きる天才表現者たちから見る世界。技術を超えた表現の道。山岸凉子の「アラベスク」や萩尾望都の「ローマへの道」が好きな方はぜひ!続巻も読みたい。
Posted by ブクログ
文字表現って自由だ
作中に登場する振付けが1つ1つ分かることはない。でも、その熱、ダンサーが動かす空気が見えてくる。踊りが見えないのに見えてくる。わたしいま劇場にいる、そう感じた
恩田陸さん、やはり天才を描くのがうまい
どの章も好きだけど
Ⅱ 芽吹く
Ⅳ 春になる
が特に好きかも。Ⅳはそこまで人間味が薄かった春が、とたんに人間を見せてきて、苦しかった。
踊りたい欲求がむくむくと大きくなった
Posted by ブクログ
春の伝記と自伝 前半3章で親しい人それぞれの視点から描かれる春は、超自然的というか妖精のような存在だが、4章の自伝ではようやく人らしさが見える。性欲や憐憫の情、優越感などもありつつ、それでもやっぱり人と違う存在として描かれている。鼻につくところもあるが、そうであるからこそ物語の主役にするほどの特色があるのかな。人であったことにホッとする反面、人生をかけてバレエへの贄になろうとする様は圧巻でもある。
匿名
マンガでも読みたい
小説を読んでいるのにまるでマンガを読んでいるかのような錯覚に陥りましたた。それは緻密な描写力によるものに違いありません。
主人公を近しい3人の観点から、そして最後に自分の観点から語る展開は一種オムニバス映画を見ているようでもあり、同時に主人公たるものが私の中でほどよいスピードで肉付けされていきました。
数時間で読めてしまう小説は物足りないし、かといって長過ぎる小説は中だるみしてしまう。そういう意味では常にわくわくしながら読み応えのある素敵な小説でした。
Posted by ブクログ
読んでいる間じゅう頭の中に音楽が鳴り響いていた。この感覚、「蜜蜂と遠雷」以来だと思ってよく見たら同じ作者だった。文字で音楽を鳴らせるなんて、小説の力はすごい。
Posted by ブクログ
認められたいという羨望を持った時点で、天才ではないのかもしれないなと思いました。
自分が思いもよらない遠くへ行ってしまうことを、手放しで心から祝祭できるような人になりたいと思いました
Posted by ブクログ
『蜜蜂と遠雷』に衝撃をうけ、異なるジャンルの芸術を題材にした本書を読みたいと思い、手に取りました。
本読む前は、バレエを一体どう小説にするのか不思議でした。本の構成は、4人の視点から、1人の振付家を描いている作品です。バレエを文字で表現することに感心すると同時に、文中の振付作品の元となる文学や音楽、その教養の深さに驚きます。文中に出てくる音楽を調べながら読みました。恩田陸の別の作品も読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
spring 春、バネ、泉 といった意味があるけど、ぴょんって跳ねるようなイメージがコアにあるらしい。
バレエダンサー、振付師の萬春を周囲の人からの目線で描いた物語。
バレエのことは全然知らなかったけど、最後は圧巻だった。
バレエみてみたくなった。
Posted by ブクログ
バレエの天才「春」を描いた小説。
バレエの世界はあまりよく知らないが、第二の「蜜蜂と遠雷」を期待して読み始めた。
各章は、それぞれ一人称で描かれ、第3章までは彼と深くかかわる人たち、最終章は自身の目線によるもの。
結果、残念ながら「蜜蜂と遠雷」には及ばなかった。
著者の力量により、バレエと春はとても魅力的に描かれているのだが、いかんせん努力では届かない天才の話。何かを乗り越えるところに共感を覚え、感情移入するところなのだが、それがちょっと想像つかない領域なのだ。それはそれで楽しめる人もいるとは思うけど。
パラパラ漫画はよかった。
Posted by ブクログ
天才バレエダンサーにして振付家である萬春(よろず・はる)のバレエ人生を、共に日本からドイツのバレエ学校に入ったダンサーの純、叔父の稔、作曲家の七瀬、そして本人の視点から語るという構成。
主人公の春だけでなく、純をはじめとした他のダンサーたちのバレエにストイックに向き合う姿は、とても厳しい世界なはずなのに、読んでいてなぜか心地よく感じてしまう。それはバレエに対する苦悩よりも、純粋にバレエが好きで仕方ないという彼らの気持ちを全面的に感じることができる作品だからなのだろう。
本を開く度に、必ず頁下のパラパラマンガをパラパラして、毎回お〜と思ってから読み始めてました。
Posted by ブクログ
バレエの知識はまったくなかったけれど、なかなかよかったです。専門用語が多かったかな~~。
でも、引き込まれる面白さがありました。
バレエをきちんとみたことがないので、いろいろな踊りがあるんだな~とびっくりしました。
Posted by ブクログ
蜜蜂と遠雷も一気読みしましたし、こちらの作品ももちろんとても良かったのですが…恩田陸さんの作品はどこか少年少女向け小説っぽいというか、設定は魅力的なのにどこか軽いしあっさりしている気がする。
最近の小説ではよくありがちな、極端に不幸な登場人物を出す(グロテスクな悲劇で読者を楽しませようとする)ところがないのは、よいと思います。
Posted by ブクログ
とある天才バレエダンサーを友人や親族などの視点から語っていく作品。
めちゃめちゃ読みやすいしキャラの造形も分かりやすくて恩田陸の文章力にはまいどまいど感服します。
Posted by ブクログ
バレエダンサー兼振付家、萬春(よろず はる)。
類いまれにみる感性と才能が育まれ、開花していく物語り。
章ごとに語り手がバトンタッチされる構成で、
最終章でハル自らが語り出す。
大切な人たちとの出会いと別れを経て、
自身の名前「春」が入った特別な思い入れのある大作、
イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲「春の祭典」の振付へと挑む様子は、
まさにハルの集大成であり、圧巻の描写。
出てくる登場人物はそれぞれがとても魅力的、だけど
章が進むにつれて、ひときわハルにどんどん魅了されてしまった。
彼が見ているこの世のカタチ、どんな世界なんだろう。
ひたすらに躍りと向き合い、身を捧げる姿勢は、もはや崇高。高邁。畏敬。
……読み終わって何気なくパラパラ読み直して見たら、細やかな伏線が張り巡らされているのに気づく。
最後の最後まで、緻密な構成に舌を巻いた。
Posted by ブクログ
2025年本屋大賞ノミネート作品。恩田陸先生といえば芸術テーマで「蜜蜂と遠雷」が有名だが今度はバレエをテーマにした作品。天才バレリーナ兼振付師となる萬春(よろずはる)とそれを取り巻く周りの人々の関わりを描く。章ごとに人を変えて萬春という人物について語っていくという変わった構成。
天才・春の凄さを色んな人の目線で見てきて「この人何考えてるんだろう?」っていう登場人物と同じ感覚を抱いたところで最後春目線で伏線回収されていくのが気持ちいい。バレエや音楽、映画など実存する作品が沢山出てきて面白かった。
Posted by ブクログ
バレエをテーマにした芸術系恩田陸作品で、2025年の本屋大賞ノミネート作品。
バレエという歴史ある芸術だけど、馴染みがない人も多いだろうこのテーマで、ここまで読ませて本屋大賞にまでノミネートされてしまうのは流石と言わざるを得ない。実際、全く興味がなかったのにバレエの動画を見てみようと思ってしまった。
萬春というダンサー・振付家を、叔父、バレエの先生、パートナーとなる作曲家の目線から描き、最後に萬春本人目線での物語が語られる。構成は『成瀬は天下を取りにいく』に似ていて、天才ダンサー・振付家に接する人たちの話から、その天才は実はこういう人だったということが明らかになっていく。
タイトルの『spring』、そして萬春という名前が一万の春を指すことがおしゃれで、話の中でも春が一人で渡欧する別れ、ユーリエとの死別、色々なダンサーとの出会い、そして最後は廃校になった学校の教室といった別れと出会いが描かれている。ただ物語全体的には結構爽やかな印象で、天才の苦悩みたいな重い展開はなかった。
Posted by ブクログ
バレエ界の1人の天才が、友人、叔父、作曲家、本人の視点で描かれる。同じ時期の事も視点によって理解が違い面白いが、作曲家のパートはちょっと冗長で飽きがちだった
ほんと、恩田陸は芝居などの情景描写がうまい。同じ作者の「チョコレートコスモス」では演劇を、「蜜蜂と遠雷」ではピアノコンクールを、そして本書ではバレエを題材にしている。私は演劇もバレエも見ないし、クラシック音楽は好きだけれども生のコンサートは行ったことがない。それでも、それぞれの著作を読んでいると、まるで目の前で演劇の舞台が繰り広げられ、あるいはピアノが鳴っている様に感じる。本書でもスポットライトを浴びたダンサーの跳躍や優雅な腕の動きが見える様だった。
Posted by ブクログ
自分の世界観をもった登場人物が魅力的でもあったが、時に理解不能な面もあった。
芸術家は、そういった独自の世界観がないと大成しないのかもしれない。
ストーリーがしっかりと頭に残るくらい斬新だった。
Posted by ブクログ
面白かったが、長かった。
天才バレエダンサー・振付師の萬 春(よろず はる)を同期・叔父・幼馴染の音楽家の目線で、最後は春自身で語る4部構成。
色々な作品が出てきて、その都度その作品にまつわるエピソードが語られるのが若干退屈だった。
稔叔父さんのお話が一番面白かった。
春自身で語る春のお話は、思ったよりさらっと描かれていて、周りから見た天才っぷりの方が面白かった。
もっと春の見てきた景色がどう映って、どう捉えていたのか、不思議の元を知りたかった。
Posted by ブクログ
バレエに詳しくないせいかあまり内容がはいってこなかったけどこんな世界もあるんだなぁという感じ。蜜蜂と遠雷はピアノに興味がそこまでなくても文章がドラマチックですごく楽しめたけどこちらは淡々としている。
Posted by ブクログ
バレエの歴史も登場人物も、自分にとっては未知の領域。まるで異国の地に地図なしで放り出されたような感覚だった。しかし、その『分からなさ』が、かえって先入観のない純粋な好奇心を刺激した。読み進めるうちに、霧の中から少しずつ舞台の輪郭が浮かび上がってくるような不思議な没入感があった。
Posted by ブクログ
バレエダンサー兼振付家である萬春(よろずはる)についての物語。
他者から見たハルと、最後はハル自身の視点で。
それがけっこうギャップがあって。
まぁハルは魅せるプロなのでかなり意図的ではあるんだけど、面白いなぁと。
物語としてはバレエダンサーとしての成長や苦悩、切磋琢磨みたいなのはほとんど描かれてなくて(もちろん成長はしてる)、バレエを作り上げる裏方がフォーカスされてる。
これ興味深くて。
バレエってこんなに自由なんだとびっくり。
ハルが振付けしたバレエ、見てみたいものばかり。
いつかやらないかな、無理かな。
バレエ無知でも興味なくてもとっても楽しめた。
しかしまぁどう考えても恩田さんの趣味全開!ってかんじで、別の意味でも面白かった。
続編も楽しみ。
Posted by ブクログ
やはり読みやすい
前半と後半で萬春に対する印象が大きく変わった
こんなにも客観視でき饒舌(心の中)な天才はいるのだろうか
イチローみたいな?
世界を戦慄せしめようとする天才
Posted by ブクログ
天才バレエダンサー兼振付家を周囲の人々の視点から捉えた作品。
ギフテッドとはこのように周りを惹き付けてしまう人のことを言うんだなあと思った。
あまりにも才能が次元を超え、常人とはかけ離れた存在であると感じさせた上で、最後に春視点の章があるのが良かった。
ギフテッドといえども、いや、ギフテッドであるからこそいろいろ思い悩んでいて、そんな弱さを知り、より春を魅力的に感じた。
あと、何よりバレエ描写がとっても美しい。
バレエの細かな仕草から自然や感情の機微を表現しようとするのすごいなあと思いました。こんなにストーリー性があるものと思っていなくて、バレエ面白いなあと思い、見てみたくなった。
バレエのこと何も知らなかったけれど、分かりやすく書いてくれていたので十分楽しめました。素敵な文化に触れられたのがよかった。
冗長な感じはしたけれど、バレエの魅力を伝えられた素敵な作品だったと思う。