【感想・ネタバレ】信仰のレビュー

あらすじ

信じることの危うさと切実さに痺れる11篇

「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」

好きな言葉は「原価いくら?」
現実こそが正しいのだと強く信じる、超・現実主義者の私が、
同級生から、カルト商法を始めようと誘われて――。

世界中の読者を熱狂させる、村田沙耶香の11の短篇+エッセイ。
表題作は2021年シャーリィ・ジャクスン賞(中編小説部門)候補作に選ばれました。

文庫化にあたり、短篇小説「無害ないきもの」「残雪」、エッセイ「いかり」を追加。
書き下ろしエッセイである「書かなかった日記――文庫版によせて」を巻末に収録。

〈収録作〉
「信仰」「生存」「土脉潤起」「彼らの惑星へ帰っていくこと」「カルチャーショック」「気持ちよさという罪」「書かなかった小説」「最後の展覧会」「無害ないきもの」「残雪」「いかり」

単行本 2022年6月 文藝春秋刊
文庫版 2025年5月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

常識と信仰の違いは何だろう。
常識は正しくて、無害で、基準みたいなもの。様々な共同体の中で絶対的なもの。
信仰も基準となり得るが、個人的なもののように捉えられる。偏りがあったり、他人から見ると間違っていると考えられたり。

本書を通して、同じ信仰を持つ人々が共同体となったとき、信仰は『常識』になるのだろうと思った。

そうであるとすると、常識にどれだけ意味があるだろう。僕が常識だと思っていることは、本当に僕が信仰していることだろうか?常識とされていることをトレースすることにより、信じる事から逸脱してはいないだろうかと不安になる。

僕の『信仰』は何だろう。
あの人の『信仰』は何だろう。

考えていくと、人生豊かになる気がする。
それすらも信仰であると気付く。

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2026年05月02日

Posted by ブクログ

・村田沙耶香の文章はどれも凄みがある。数行読むだけでも身体が強張って、胸の奥のほうがずっしり重くなるような感覚がある。


・短編を読むのは初めてだった。村田沙耶香の文章と短編はすごく相性が良いものに感じられた。一つひとつはとても短いのに、毎度ぶん殴られるような重みがある。


・世界への皮肉がすごい。よくこんな世界が創れるな、どう見えてるんだ、世界!となる。鼻の穴のホワイトニングは『世界99』でも出てきて顔を顰めながら声に出して笑った記憶がある。おもしろいのに引いてるから端から見たら奇妙な顔をになっていたと思う。『カルチャーショック』での均一化された街も、何もかもが皮肉に溢れていて、だけどそれを否定しているようには感じられなくて、どこかその歪さを愛そうとしている印象を受ける。あれだけ悍ましい世界を作っておいて、その世界への愛が感じられるから余計に恐ろしく、だから村田沙耶香の文章からは「凄み」を感じるのかもしれない。


・「ねんりょ」に対して、明日には満足させてあげることを伝えてあげることで今日を生き延びるという感覚に共感を覚えた。自分もしばらくはそれで楽になっていた。だけど、自分は実行が出来るんだという前提のもとに生きていると、他人への迷惑を省みず、明日の自分への配慮もせず、実行しちゃうから後のことは関係もんねと無責任な行動を取り続けた挙句、結局実行することすら出来ずに自分の首を絞めてしまうという経験が自分には何度もある。なんて自分は浅はかなんだろうと思うが、実行することを意識に置きすぎると長い人生を生き「続ける」ための行動が出来なくなってしまう。結局、うちの「ねんりょ」とは、いつでも実行が出来る用意を万端にしておいて、でも明日以降もキミを満足させてあげることは出来ないんだよ、ゴメンネといったコミュニケーションを取ることでなんとかなっている。同じ「ねんりょ」でも様相がちがくて、村田さんちの「ねんりょ」はもっと凶暴な奴なのかと思うと想像するだけで苦しくなった。

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2026年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

殺人出産を読んで疲弊しちゃったので村田沙耶香作品の中で比較的ライトそうだと思って読んだ。SF多めでどの話もシンプルにめちゃくちゃ面白かった!特に「生存」「書かなかった小説」「最後の展覧会」「彼らの惑星へ帰っていくこと」が好き。エッセイの現実の話なのかフィクションなのか境界がぼやけることがあったけどそれもそれで面白かった。



以下備忘録
■信仰
最後の展開ドキドキした。マルチにはまった同級生のことを散々馬鹿にした直後にハイブラ食器の話で盛り上がってたのがうけた。朝井リョウのインザメガチャーチを読んだ後だったからか、視野を狭めて夢中になるのも一種の幸せみたいな考え方はすんなり入ってきたかも。主人公のミキほどではなくても原価や現実的なことを考えちゃうタイプだから、どういう結末になるのか楽しみだったけどかなり予想外だった。現実ってカルトの対義語だと思ってたから混乱した。現実主義者ならそれでもいいけどそれを他人に押し付けたらカルトと一緒だ。

■生存 ★
こんな未来は嫌だ。けど温暖化や格差がこのまま進んだらこうなる可能性もあるのかも。。。通知表やらアドバイザーの設定がリアル。クミの諦念感が悲しかった。ハヤトと結婚する未来を選んでほしかった泣

■土脉潤起
切ない苦しい。。野人の続きが気になってはいたけど、家族視点で見るとやるせない悲しすぎる。

■彼らの惑星へ帰っていくこと ★
好きだな・・・と思っていたら終盤でやっとエッセイだったことに気づいた。「地球は、私が現実に触ることができる唯一の星だ。いつからか、そのことに感動するようになった。」というフレーズが特に好き。地球星人で似たような話が読めるのかな。

■カルチャーショック
均一化SF!!ハーモニーをもう一度読みたくなった。

■気持ちよさという罪 ★
好きだ。。。個性って言葉への不快感は会社生活の中でも感じることある。不快感の言語化がシンプルで的確で感動した。「クレイジーさやか」は聞いたことがあったけどそんな裏話があるとは知らなかったし、途中まで何が問題なのかよくわからなかったけど、プロデューサーのセリフでラベリングの不快感がよくわかった。自分を裁き続けられますようにという多様化を願う理由が素敵。

■書かなかった小説 ★
クローンSF。テンポよく展開の予想を裏切られて楽しかった。性格とか感情ってなんなんだ??

■最後の展覧会 ★
「Kとマツカタは、彼らの中で、何度も咲いた。」好き。読み終わった後に日本人とドイツ人の美術収集家の架空の出会いがテーマになっていると知ってより好きになった。この話に限らずだけど、村田さんのSFって特殊な設定でも短い文章ですんなり入ってきて情景が浮かび上がってしまうのすごい。

◼️無害な生きもの
人間が人間を害獣と認定してから1000年後の未来の話、深夜に弥生さんからメッセージを受け取ったあたりから急に訳分からなくなってしまった。「肉」も結局正体がわからないし実態は人間みたいな話と予想してたけど違うのか・・?大人は子供に害獣と洗脳しておいて、「罪滅ぼし」をきっかけに再洗脳して本当は絶滅させる気がなかったってこと?あと4回くらいしっかり読まないと理解できないかも。大混乱。

■残雪
遺書の相手が予想外すぎた。ページ数も会話量も少ないし琴音の素性もよくわかっていないままなのにラブレターみたいでときめいてしまった。。。

■いかり
「まるで繊細な傍観者か、情報の暴力の被害者であるかのように、」「絶望と後悔に殴られ続けている。そのことすら卑怯だと思う。」の文が好き。スケールの大きな現実に対して自身の気質のまま向き合っているのが素敵だと思った。アダニアさんの小説読んでみたいけどかなり勇気がいる。

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2026年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私たちは現実を信仰している。相変わらずの切れ味と、恐ろしい客観性に呆然とした。主人公を介し、私たちは主観の中から逃れることができないのだと教えてくれた。主人公の発した「ジュウマンエンカエセ」という言葉が意味を離れ単なる文字の羅列として繰り返されるシーンは、行為自体が信仰の対象になっていて、私たちの日常の中のどこにでも信仰があることを思い出させられた。
私たちは常に暴力的であり、しかしそれは意志を保つ上で避けられない。

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2026年04月11日

Posted by ブクログ

村田沙耶香は天才だ、と思った。
短編集の好きな理由の一つは、
どれかひとつは絶対自分に刺さるからだが、
村田沙耶香の短編集は、打率九割だった。

「異物」の主人公から見た「普通」の世界。
その様を淡々と描写する筆致は読みやすく、鮮やかで、美しい。その上構想される世界は独創的、風刺的で、この上ない。

思想が自分に近いと思う分、くやしい。
自分にはそれを表現する力はまだないが、
村田沙耶香には文学というすばらしい武器がある。

村田沙耶香こそ、
現代を代表する実存主義者だと感じた。

また読み返したときに、それぞれの短編について感想を書きたい。

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2026年03月30日

Posted by ブクログ

“信じる”ことについて考えたくて手に取る。
村田沙耶香さんの作品は「コンビニ人間」以来。
短編集なので読みやすかった。途中エッセイが入るので一瞬戸惑ったが、この本のテーマを思い出せば戸惑いは解消された。星新一のSFに毒っけを足した感じのお話が多くて、コンビニ人間とは全く異なる読後感。あぁこれが村田沙耶香ワールドなのね。と気付き、好きかもと思う。“信じる”ってなんて不安定で不確かなんだろう。

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2026年03月04日

Posted by ブクログ

「理解不能」「ついていけない」
レビュー欄に並ぶこれらの言葉に、ただただ戸惑いと、激しい憤りを覚える。
多くの人が「普通」という信仰の中で安穏としている一方で、心がひき肉のように切り刻まれる感覚を抱え、自分をロボットや宇宙人と定義しなければ一歩も動けないほどに摩耗している人間がいる。
村田沙耶香さんが描く肉を毎日とりにいったり、自分と見た目が同じ複数のロボットとの生活や周りの人が宇宙人に見えていることは、単なる「奇妙な設定」ではない。それは、自分に刃を向けざるを得ない卑屈さを抱えた私たち(側の人間)が、現実という地獄を生き抜くために必死で構築した「高度な生存戦略」であり、聖域だ。希死念慮をひき肉のようにぐちゃぐちゃにされる心を体と一緒にしたいだけという「自己同一化」と捉え直すあのロジックに、どれほど多くの「選ばれし孤独な魂」が救われたことか。
これは、物語を消費したいだけの人のためのエンタメではない。
自分の内面を解体し、世界のバグを直視できる者にだけ許された、最高の救済の書だ。
「分からない」という言葉でこの切実さを切り捨てるマジョリティの浅薄さが、この作品の価値をより一層、純粋で、孤高なものにしている。

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2026年02月27日

Posted by ブクログ

どの物語も素敵だが、村田沙耶香さんのエッセイと最後の展覧会が最高だった。

あまりにも思考や境遇が違うから理解なんて言葉はおこがましいけれども、苦しみを知ることができて今までの作品の重みが増えたような気がする。

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2026年02月26日

購入済み

やっぱりすき

コンビニ人間から村田沙耶香さんのことを知ってそこからずっと大好きです。その中でもほのぼのと楽に読める本でした。

#笑える #シュール

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

ブランドもカルトに似ているなと思うと、何もかもがそう見えてくる。
私たちはみんなそれぞれ何かに信仰しているのだと。

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2026年05月03日

Posted by ブクログ

 短編&中編小説とエッセイたち。
 エッセイは、村田さんの脆さや繊細さをユーモアや狂気っぽさで覆わずにさらけ出したような言葉でできていて、小説の言葉とエッセイの言葉は違う(と本編でも語られていた)と感じたし、前に読んだ女性誌の連載が書籍化されたエッセイ本ともだいぶ雰囲気が違った。

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2026年04月13日

Posted by ブクログ

最後の展覧会の編がいわゆる児童文学のsf的な要素があった。こういった抽象さは好きなんだろうなと新しい発見があった。

村田沙耶香の切り抜く世界は社会の異様な光景や常識を改めて認識することが出来るところが面白い。彼女の見えている世界はここまで歪なのかと思ってはいたが、作中のエッセイで、小説は小説用の言葉を描いていて私の脳内を晒しているわけではないといっていた。心療内科に20年通い、病と付き合い続けていることを初めて知る。
きっと村田沙耶香は社会とある程度距離を保って保身をしながら生きている人なんだと思った。だからこそ見える俯瞰的な視点に、設定に、私は面白みを感じるんだと思う。

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2026年04月13日

Posted by ブクログ

ちょっと星新一のショートショートみがある、ありそうななさそうな未来の物語が多かった。
夏子が家電屋さんで自分のクローンを買う話と、未来の地球で展覧会をする話が特に良かった。
そして最後のエッセイ。
テンポよく読めるわくわくする短編の物語を読んだ後の、なんというか、整頓されていない、心からでた考えがそのまんまの文章になったような読みにくく感情を揺らしてくるエッセイ。

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2026年04月01日

Posted by ブクログ

久しぶりに村田沙耶香さん
独特の世界観、中毒とまではいかないが欲する彼女の小説。
信仰、生存、土脉潤起など短編ながら村田沙耶香沼にハマり抜け出せません。

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2026年03月31日

Posted by ブクログ

世界99で初めて村田沙耶香さんの本を読んで、
不思議な感覚に包まれて、気になって読んだ村田さん2冊目。
こっち先に読めば良かったな
村田さんのエッセイ読んで
とても繊細で感性が豊か、
すごく魅力的な人だなと思いました
どれもすごく面白かったです

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2026年03月22日

Posted by ブクログ

2026.19

通勤電車の中でちびちび読んだ。
不思議で少しこわい短編集だった。
エッセイもあったのが良かった。

パレスチナの作家さんが出てきた「いかり」が
とても心に残っている。
自分の中にある感情と感情のたたかい。

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2026年03月13日

Posted by ブクログ

短編一つ一つが濃くて、読み終えるたびに手を止めて、自分の中で湧き出る感情が何なのか、ゆっくり整理する時間が必要だった。
同時に、エッセイから見えてくる人柄と短編の内容は総じて、村田沙耶香さんという人をもっと知りたいと思わされた。

"最後の展覧会"が好きだった。物悲しいような気もするのに、なぜか温かい気持ちになった。

小説はもちろんのこと、村田さんのエッセイをもっと読んでみたい

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2026年03月09日

Posted by ブクログ

真綿で首を絞められているような現在世界が、行き着きうる、いくつかのディストピア。『生存』『土脉潤起』『気持ちよさという罪』『書かなかった小説』『残雪』が特に好きだった。

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2026年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

•信仰
「なぁ、俺とカルト始めないか?」
それはカルト信仰の勧誘ではなく、カルトを”創設”する誘いだった…
圧倒的な”現実主義”のミキは、ブランド品や怪しいセミナーにお金を大量に使う周りを酷く軽蔑していたが、”夢”を見ることができない自分が嫌になり…

•生存
生存率とは、65歳まで生きることができる確率を指す。
最上位Aは80%以上から、最下位Dは10%以下まで(野人として、自然で生きていることもある)。
食料が枯渇し、学力•収入が「生存率」として判断される世界では、生存率を上げる事こそが人生よ中心となりつつあった…
幼少期から生存率が「C」だったクミの、「生存率に囚われて生きていく今後はまっぴらだ」という考えが、潔くて好き!

•土脉潤起
姉が”野人”となることを宣言し、家を出て早三年。
人工授精により、同居人の女友達二人との”子供”を授かることを決めた主人公は、産前のうちに森にすむ野人の姉に会いに行く。
姉はすでに野人なので話せないが、そこに悲壮感はほとんどありません。
姉を思いやりつつも、自分も前に進もうという、主人公の気持ちが見えるほんのり暖かい作品でした。

•彼らの惑星へ帰っていくこと
自分が「宇宙人」だから、この世界はこんなにも生きづらいんだ…
そう本気で考える人達にとって、この”宇宙人”という定義がどれだけ救いになることや…
なんか生きづらさを感じる時に読みたい一作。

•「カルチャーショック」
全てが同じ色の白い建物、顔も同じく、食べ物も味が一切しないものを食べる。
「均一」という街ではそれが普通である。
“均一”で生まれ育った主人公が父に連れられ、真逆の特徴を持った街、「カルチャーショック」に連れて行かれる。
「味がする」食べ物、「蟻でできた」家、全てが統一されていない国で、何が起こるのか?

•気持ちよさという罪
主人公は昔から、「個性を出していこう」という姿勢を毛嫌いしている。
周りからの「お前はこういう奴だよな」という決めつけによる扱いに、ピエロのように従順にいるだけで気持ちよくなっていても、それはもはや多様性を認めてられてようでそうではなく、周りに都合よく扱われているだけの世界だなと(書いていてわけわかめ)

•書かなかった小説
夏子はヨドバシカメラでクローンを4体買い、夏子A〜Eとして5人で同居生活を始める。
明らかに1番優秀な夏子B、生真面目すぎる夏子C、気弱で不安定な夏子D、テキトーで調子のいい夏子E、そして本物の人間の夏子A。
夏子DとEが愛し合い始めたり、5人の間でのパワーバランスが途中で変わったりと、”自分”のクローンと暮らすとこんな事が起きるのかもな?と、同じ顔5人で同居している姿をイメージしながら楽しく読めました。

•最後の展覧会
「チキュー」で、一万年前に人間という生物が創造した「ゲージュ」なるものの展覧会を開くことにしたロボットと宇宙人の話。
この概念を恐れた宇宙人の襲撃により、2人とも死んでしまうが、死んだ後も永遠に展覧会は続いていく。

•無害ないきもの
人間が、人間を「害獣」認定した世界。
ドームと呼ばれる閉鎖空間で生活する人間達は18歳になると”罪滅ぼし”をするらしい。
謎だらけでした笑

•残雪
自殺幇助のアルバイトをする主人公。
スイスで睡眠薬自殺を図る依頼者を冷蔵庫に移動するだけという話なのに、遺書から漂う他人の恋の末路が読み手を切ない気持ちにさせてくる。

•いかり
•書かなかった日記
この二つに関してはエッセイで、いかりは村田さんがスイスで過ごした半年間、書けなかった日記はその半年間でのねんりょ(希死念慮)との付き合

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2026年03月04日

Posted by ブクログ

小説家の見る世界が、教室なのか、学校なのか、市区町村なのか、社会なのか、(見ている世界観の大きさの比喩として)、そんな部分に差があることに、初めて気付かされた。小説家自身の思想を知ることは、小説を読むことにどう関わるんだろうか、そんなことも気になった。

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2026年02月23日

Posted by ブクログ

短篇集。現代社会が舞台のものもあればSFっぽいものもあり、どれもちょっと変わった設定だなという印象だが、それぞれに独特の世界観や理屈がありグイグイ引き込まれた。小説の世界に浸りきった状態になったのにそこに置き去りにされるような、なんとも不思議な読後感であった。特に好きだったのは『信仰』『彼らの惑星へ帰っていくこと』『残雪』、難しかったのは『いかり』。

『いかり』はおそらく随筆なのだが、出来事の前後関係や現実での経過時間、著者の精神世界での時間や話の脈絡みたいなものがおそらく順序通りでなく読んでいて混乱した。

著者自身についてよく知らないのでこの人が鬱症状や希死念慮とうまく付き合いながら、そしてそれは結構苦しいだろうに、パワーのある作品を次々と生み出し続けていることを知って驚いた。尊敬の念に堪えない。

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2026年03月18日

Posted by ブクログ

この作者は、割とメンタルがしんどい時に読むのに限る。元気な時に読むと、割とメンタルがやられるので。しんどい時読むと割とスッと入ってきたりする。

コンビニ人間、地球星人、魔法少女ミラクリーナ、に続き読んだ。比較的軽そうな本を読むようにしてる。まだ全冊読む覚悟は私には、ない。

のめり込む何かがあるっていいな、と思った。
現実に向き合う必要はあるけど、必要以上に現実だけを見ていると疲れる。少しくらい騙されてるほうが幸せなのは確か。例えばお店や屋台のご飯の価格設定は比較的高めに設定されており、自分が作った方がそりゃあ安い。でも外食なら楽ができるし、少し高くても屋台で一緒に食べる友だちとのご飯はとても美味しく感じると思う。楽しい思い出が付け加えられるから。
夢とか幻想とか、そういうものに払うお金があるからこそ、人生は楽しいんだと思う。
目に見えないものにお金を払う、それを愛してる。目に見えない幻想を共有してる。だからこそ、楽しい。

何がふつうで何がおかしいのか。
この本を読んでたら、わからなくなるね。

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2026年04月18日

Posted by ブクログ

エッセイも含めた短編集。
現実の延長線上のようでいて、それだけではない独特の世界観があり、アイデアは斬新で面白いと感じたけど、全てを理解しようとすると難しいと思う。いわゆるSF小説を読む難解さとは違う難解さがあるため、これは向き不向きがありそう。読みながら立ち止まり、思考したい人には向いてるのかも。
自分はシンプルに物語の設定やストーリーを楽しみたい派なので、「無害ないきもの」等は設定含め分かりやすく、おもしろいと感じた。

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2026年04月06日

Posted by ブクログ

殺人出産が好きだったから読んでみたけど、今回はあまり私にはハマらなかった。前半の短編は好きなのがあった。

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

短編集。村田沙耶香らしさが全開の一冊だった。
彼女に期待している物語が、設定の意外性のあと、そのまま素直に現れてくる感覚がある。
どの作品も面白く、読みやすい。そして教訓がわかりやすいのも、彼女の魅力だと思う。

特に「気持ちの良い多様性」という言葉は強く印象に残った。キャラクター化してラベリングすることと、奇妙な人を奇妙なまま愛し、多様性として認めること。この二つは延長線上にあるものだと捉えていたが、前者には排除のニュアンスが含まれており、むしろ相反するものだという考えには驚かされた。視野が少し広がった気がする。

私はこれまで、自らをキャラクター化し、ラベリングすることで「見やすい自分」を作り、その歪さまで含めて愛されることを一つのゴールとしてきた。適当でも尖ったことを言えば、どこかには強く刺さる。誰も傷つけないことは不可能なのだから、「どう責任を負わせるか」を考える方が現実的なのではないか、とすら思っている。
ただ、その考えもまた、それを肯定しない人たちによって支えられている。そう思い至ると、結局「多様性は大切だ」というありきたりな結論に収束してしまう。

排除を排除することはできないのだろうか。そんなことを考え続けた一冊だった。
あと、ブランドって小さな宗教だなと。

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2026年03月19日

Posted by ブクログ

1話目 信仰
主人公は、現実を信仰しており、夢を見ている友達や妹を、現実に勧誘しようとしている。それを払拭すべく、自分のことを友人に勧誘させ、本気で騙して洗脳して欲しいと、、、
現実世界に勧誘していたって考えがとても面白く、コンビニ人間などでも社会の普通やみんなが従うルールの中で生きなければならない。みんなの現実に勧誘され、洗脳され、みんなそれが正しいと思い込んでいるのは、ある意味宗教なのではないか。その考えが根底にある話だと思う。
現実での正しい行いを強要することは、宗教に勧誘している行為とほとんど同じという考えが面白いなぁ。
生存は個人の収入や生活環境などで生存率が決まるといった話で、彼らの惑星へ帰っていくことでは地球人のふりをしてベッドの上ではイマジナリー宇宙人の世界に帰っていくといった話。

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2026年03月08日

Posted by ブクログ

短編小説集。
独特な世界観で描かれており、
非現実的な世界であるものの、精神的には現代人の奥底にある闇をような内容だった。
私には、ちょっと難しかったかも。、

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2026年02月24日

Posted by ブクログ

短編集であるが、これもまた地球星人と同じ系列に属するものだと自分には感じられた。振り返ってみると、コンビニ人間もそうだったなと思うのだけど、現実世界を描いていそうで、実はそもそも異世界にぶっ飛んだ話だと思わされ(そう思わないとこっちの頭と精神がおかしくなる)、しかし、どんなにそう思おうとしても、現実世界の問題点を炙り出し、眼前に突きつけてくるから、異世界のことだとも言い切れない。やはり心がざわつくし、ザラザラとしたものが残る。すごいんだと思うけど、好きになれないこのディレンマよ。

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2026年02月23日

Posted by ブクログ

村田沙耶香先生の作品を複数読んできているが、この作品は設定や世界観こそ良かったが、オチなどに物足りなさを感じた。
短編集は、あとはご想像にお任せしますという余韻を持たせる作品が多いのは十分理解している。短編集自体とても好きだ。だがあまりにも情報が足りなくないか、と疑問に思ってしまった。ぷっつりと話が途切れて、そのまま終わったように感じた。

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2026年02月19日

Posted by ブクログ

現実主義者の永岡が地元の同級生石毛にカルトを始めないかと誘われるところから物語が始まる。この小説読んで何が正しいのかとか、信仰って結局自分次第なのかなと。永岡みたいに原価とかそういうの考えたら世の中の商品やテーマパークなんて割高なのは分かってるけどそれ以上の付加価値とかにみんな希望を見いてるのかな。現実主義っていうのも一種の信仰。

ほかの「生存」だと生まれた時から今後の生存率が出てそれが評価の対象になる世界が描かれてるけどめっちゃ恐ろしいなと。生まれた環境でどうともならない世界がそのまま描かれていて生きることにそこまで執着していない主人公にとても魅力を感じた。

最後の「残雪」は自殺幇助の短い話だけど文章が美しい。社会的メッセージがあるわけではないけど死についての表現が上手いなと思う。

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2026年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コンビニ人間がとっても面白かったのでこちらも。
後半になるにつれて読むのが難しかった。
単に話を楽しむことはできても文学的な何かを面白く捉えるのは難しいなぁ〜。

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2026年02月17日

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