あらすじ
疑惑の女性を描いた直木賞候補作!
息子を殺したのは嫁なのか? 疑ったら最後、もう家族には戻れない――。ベストセラー作家が放つ、ファミリーサスペンスの最高峰!
単行本 2022年9月 文藝春秋刊
文庫版 2025年8月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
息子を殺害した犯人は、息子の嫁の元カレ。その犯人が判決後に、息子の嫁から殺害を頼まれたと発言。残された家族は疑心暗鬼の渦に巻き込まれる。著者のかつての作品「火の粉」を彷彿させる、家族内疑心暗鬼ミステリー。直木賞選考委員の宮部みゆきの「無自覚な犯罪者が無自覚だからこそしれっと成し遂げてしまった完全犯罪の話」は言い得て妙。
飽きさせない展開で、ページをめくる手が止まらず、一気読み。久しぶりの雫井悠介作品だったが、面白かった。
Posted by ブクログ
読んでいる最中は、非常に胸がざわついた。
この暁美や、姉の東子の反応や対応はいたって一般的だと思う。
逆に貞彦の反応は妻の暁美にしたら歯痒く感じるのも無理はないし、読んでいて、こういう男の人って、いるよなぁ、と思った。
想代子の、本心がわからない胡散臭さ…。恐ろしい。
濃淡あれど、こんな人、いますね。
最終的に想代子が店を引き継ぎ幸せを手にするのだが、解説にもあるが、宮部みゆきさん曰く「無自覚な犯罪者が無自覚にしれっと成し遂げた完全犯罪の話」と評していたが、まさにそうだと思う。
さらに付け加えるとしたら、想代子は無自覚でいることを自覚している女だ、と思った。
違う世界線で想代子をコテンパンにやっつける話も読みたいなぁ…。
Posted by ブクログ
最初入り込めなくてどうしようかと思ったけど事件が起きてからはまんまと引き込まれた。最後に真相というか答え合わせ的な心情を説明していくところもいい。他人の奥の奥まではその人にしかわからない。
Posted by ブクログ
雫井修介、直木賞候補作。
老舗陶磁器店『土岐屋吉平』の息子・久野康平が殺された。犯人は、康平の妻・想代子の元カレ・隈本。
想代子を康平に取られた腹いせに、殺害したものと思われていたが…
『想代子に頼まれて、康平を殺害した』と、発言する。
想代子に対して、疑いの目を向ける、康平の母・暁美…
想代子がほとんど語らない…
何を考えているのかがわからない…
暁美はどんどん想代子への疑いを強めていく。
姉・東子の存在、発言も暁美の疑いを強めていく。
想代子は想代子で何も言わない,何もしない…
結局は何もない…
ただ何もしなかっただけだった…
何かモヤモヤしたまま。
何か靄がかかったまま終わってしまった。
疑い始めると、疑いはどんどん強くなる。
それを晴らさないと、余計に強くなる。
Posted by ブクログ
なんか「笑うマトリョーシカ」みたいだな~って思ったけど結末は真逆みたい感じでした。
最後までどっちに転ぶのかな~って思ってたけど、まぁ、現実にもそういうことってあるのかな、って思った。でもほんと、解説でもあげられてたけど無自覚ってこわい。
Posted by ブクログ
陶磁器店の跡取り息子が殺害された。
捕まった犯人は妻、想代子の元恋人。
犯人が裁判の判定直後に放った、"想代子に頼まれてやった"の一言に、義父母や、その家族が翻弄される。
人の心はほんとに、わからない。
計算なのか、無意識なのか。
他人の言葉に翻弄され、自分を見失ってしまう。あげく、何が真実なのかもわからない、ほんとに怖い。
Posted by ブクログ
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息子を殺したのは、
嫁なのか。
疑ったら最後、
もう家族には
戻れないーーー
彼女の涙に、
全員食われる。
「素顔の見えない女」をめぐる
究極のサスペンス
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積読が増えすぎて読みきれない気がするから、
もう必要以上にあれもこれも買わない、
と心に決めていたのですが、
新刊コーナーであっさりダメでした。苦笑
著者の作品では「犯人に告ぐ」が好きで。
思わず手に取りました。
最愛の息子が殺された。
逮捕された犯人は、
息子の嫁に殺人を頼まれたと言う。
読み進めながらザワザワが止まらず。
終始、不穏で不安な空気が漂っていて。
ミステリーでもサスペンスでもなく、
私の中ではホラーでした。笑
Posted by ブクログ
直木賞候補作品なので期待して読みましたが、期待した程ではなかったかな。ただただドロドロとした人間関係で暗い印象。最後の章は人によって感じ方は違ってくるかな。殺害された妻は善人なのか悪人なのかが違って見えるかも。クロコダイルティアーズの意味は嘘泣き。タイトルの意味を解くと・・・
Posted by ブクログ
タイトルのクロコダイルティアーズは嘘泣き
鎌倉にある老舗の陶器店
一人息子が刺殺された所から物語は始まる
残されたのは両親と妻と幼い男の子
犯人は息子の妻の元交際相手。裁判判決後、DVに苦しむ妻からの依頼殺人だと犯人が暴言を吐いた所から、嫁を疑心暗鬼で見始める姑。
同居の家族ぬ疑いの関係が始まる。
面白い
Posted by ブクログ
疑心暗鬼の沼に嵌る。健気に頑張る被害者の妻か、強かな悪女か。怪しいと思うと全てが怪しく思えてくる、という人間心理。序盤はやや入り込めなかったが、徐々に「疑惑」が放つ魔力に引き込まれ、中盤以降は一気読み。東野圭吾の超傑作『白夜行』を彷彿とさせるが、「疑う側」にある種の悪意や僻みが宿っている点が大きな違いであり本作の面白み。終章が良い。
Posted by ブクログ
雫井脩介の新刊文庫本。
『火の粉』『望み』『霧をはらう』…なかなか好きな作家さんです。
思わずタイトルに惹かれて購入。
『クロコダイルティアーズ』とは『ワニの涙』…嘘泣きという意味らしい。
陶磁器店を営む熟年夫婦には息子がおり、その息子夫婦と孫と幸せに暮らしていたが、息子が何者かによって殺害されてしまう。
犯人は、息子の妻の元交際相手だが、被告の男は裁判である発言をする。
また、妻が遺体と対面したときに、「嘘泣き」をしていたという発言もあり、妻が犯人なのでは無いかという疑念が大きくなってゆく…
疑心暗鬼という言葉があるように、人はだんだんと思い込みがそう実際に見えてくることもあるのか…雫井脩介は『思い込み』が非常に危ういものだとこの小説で書きたかったのか。
何かどんでん返しがあるのかなぁと思いきや…