あらすじ
あまりに美しく激しい愛の物語
〇本屋大賞3位、島清恋愛文学賞受賞の話題作がついに文庫化!
――切ないほど美しく、激しい愛の物語
うらぶれた団地の片隅で出会った
小学2年生の結珠と果遠。
正反対の境遇に育ちながら、
同じ孤独を抱えるふたりは強く惹かれ合うも、
幸せな時間は唐突い終わりを迎える。
8年後、名門女子校で思わぬ再会を
果たしたふたりは――。
人がひとを想う気持ちを最高純度で描く、
本屋大賞3位、キノベス2位、直木賞候補、
島清恋愛文学賞受賞と、
大きな話題を呼んだ傑作長編が文庫化!
単行本の初回特典だった掌編「青い雛」収録。
解説:村山由佳
単行本 2022年11月 文藝春秋刊
文庫版 2025年9月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
複雑な環境で弱々しく育った2人だからこそ分かり合える、その絆と愛情がとても美しかった。果遠ちゃんが結珠ちゃんのリボン盗んだり、嘘をついて友達から住所を聞き出したり、あげく結珠ママに睡眠薬飲ませたりと、終始ずっと結珠ちゃんへの愛情から犯罪チックな行動をしててサイコパスみを感じてちょっと怖かったところもあるけど‥笑。「光のとこにいてね」っていうのは、「自分は汚れてもいいからあなたは綺麗なままでいて」という意味にも捉えられる気がする。あと結珠ちゃんのお母さんが嫌なヤツすぎた。本を読んでて最初から最後までこんなに嫌なやつ、なかなかお目にかかれない。笑
Posted by ブクログ
幼い頃からかなり苦しい背景を背負ってきた2人。影は多く光は小さいが、とても濃い。お互いを光にあてがっては想い合う描写に何故か苦しくなる。許されない愛や強い絆なんて言葉が安っぽく思えた。何度も何度も彼女たちは出会い、見つけては離れていく。いつかまた出会えた時のために。この本に出会えて良かったと心から思えた私にも光があった。
Posted by ブクログ
素敵すぎる作品、、、、、✨
2人の世界に没頭する読書時間でした。
2人の視点から交互に物語が描かれて、どちらにも感情移入をし非常に読みやすい作品でした。
小学生 高校生 大人 人生においてとても意味のある時間に出会う2人。
互いを想う気持ちには思わず涙を流してしまいました。
なんだろう、こんなに読んだあとの余韻に浸るのは久しぶりの読書体験だなぁと。
単に''良かった''の一言では片付けられないけれど上手く言語化できないこの気持ち、、、でも私の人生でこの作品に出会えて本当に幸運だなと思いました。
Posted by ブクログ
2人の少女が何度も出会い、別れ、再会を繰り返す話。
最後果遠ちゃんが水人さんが別れるシーンは、悲しくて辛いはずなのにそれが正解と納得させられた。
別れは寂しいものだと思っていたけど、必ずしも寂しいものだとは限らないって思ったし、お互いの幸せのために、選択したことは正しかったと思う。
かのんちゃんとゆずちゃんの関係性が羨ましくてどこか懐かしい
Posted by ブクログ
裕福で希薄な家族関係を背景に持つ結珠と、貧乏で毒親を持つ果遠の2人の目線で綴られる物語。
幼少期から始まり、高校生を経て、大人になるまでの彼女らの遠からず近からずの距離感を描いている。
無邪気な幼少期には見えてなかった彼女らの背景を高校生になって察してしまい、ギクシャクする様子やある種の諦観を持って過ごす大人の感情が妙にリアル。
2人の視線を元に進む物語は「子供は家庭を選べない」という当たり前なことをずっと言っているに過ぎないはずなのだが、家庭が100通りあるように、苦悩や喜び、理不尽な出来事も無限に感じ方があるような気がして考えさせられるものがある。
Posted by ブクログ
こんなにあっという間に読み切った本は久しぶり。とにかくこの物語を追いたくて数日の隙間時間を費やした。一穂ミチさんはぼくの人生で唯一偶然本屋さんで手に取った本から好きになった作家さん。無限に検索して自分好みの本や作家さんを絞り込んで探すことができるこの時代に、大袈裟だけど運命的な出会いをすることができて嬉しく誇らしい。解説の村山由佳さんも書いているが、とにかく描写が巧い。多くもなく少なくもなく、かつシンプルで伝わりやすく読みやすい。けれど浅さや物足りない感じもしない、ちょうど物語に入り込める描写。そして何より好きなのが絶妙な明るさの物語であること。暗すぎたり、考えさせられすぎたり、反対に温かすぎたり、幸せすぎたり、するとぼくはしんどい。少し前までは暗ければ暗いほど好きだと思っていたけど、一穂ミチさんの明るさがちょうど心地良くて好きだと思った。恋とか愛とかやさしさなら、もそうだった。どんな方なのか、顔も性格も知らないけれど、全ての作品に目を通して、自分がどれほど好きか確かめていきたい、2冊目を読んで強く思った。
Posted by ブクログ
とってもよかったᐡ т · т ᐡ
初めて読む作家の方だったけど文章の雰囲気も物語の内容も素敵で読み始めて序盤の方ですぐに私の好みの本だって思った。
穏やかなところや暗いところ、キラキラ輝いているようなところがそれぞれ繊細に描かれていて情景が浮かびやすくて読みやすかったのと、楽しい話!ってわけではないんだけど、とにかく話の系統が好きすぎてゆずとかのんの二人の行く末がどうなるのか気になってわくわくしながら読めた。
女の子同士の友情を超えた、恋ともまた違うような特別な関係にも魅力を感じて引き込まれた。(読み終わってから帯を読んで恋のなんたらかんたらって書いてあったのを見て恋なのか!って思ったけどもっと運命的なものに感じた)
なんとも言い表しがたいこの二人の関係性の表現の仕方が、私にとって新鮮でとにかく面白かった。
最後の二行が泣いてはないけど泣きそうになるくらい、心にじわっと染み込むようなあたたかさ、ときめきみたいなのがあってなんて素敵なラストなんだ〜〜!ってなった。
ただどうしても引っかかったのがゆずとかのんはまだいいとして他の登場人物の凝った名前が気になりすぎて、なんでこの名前にしたんだろう、、って読む度に気になっちゃって気が逸れたのがちょっと残念だった。
こだわるのも素敵なんだけどほどほどによくある名前の方が内容に集中できて楽しめる、、、
自分の中の好きな本ランキングに上位にあがってくる本に出会えた!
のんびり読みすぎて時間かかったけどいい読者時間を過ごせた。
読みながら、あーこの本のこの感じ好きだなあと思いながら読めるのが本当に幸せだったので良い本に出会えたなと思う。
Posted by ブクログ
久しぶりの、魂が揺さぶられるような感覚。
こういう小説に出会うために、本読んでいるんだよなぁと思える作品だった。
世界でたった二人だけ、お互いだけの「共有」がある作品がやっぱり好きなんだなぁ。
Posted by ブクログ
どこが好きですか?
どこのフレーズがいい?
と、聞かれても上手く答えられないけれど、この本は凄く好きなんです。
最初の章で「あ、光のとこにいてねってそういう意味だったのか!」と思ったけれど、章が進んでいくにつれて意味も変わってきて…
こんな深い意味だったのか…、と思わず息を呑みました。
この本を読んでいる途中、YouTubeでピアノのカノンを流すことにしました。
曲と相まって涙が出そうになって…。
結珠ちゃんと果遠ちゃんが、もう離れ離れになりませんように、と、そればかりを祈ってしまいます。
Posted by ブクログ
『光のとこにいてね』は、「恋愛」という言葉では括りきれない、“愛”そのものの物語だった。
誰にも踏み込まれたくない、2人だけの世界で生きていたい──そう願うほどに、2人は強く惹かれ合っていた。けれど、どうしようもない理由で何度も引き離される。それでも再び出会ってしまうのは、2人にとっての幸福でありながら、同時に家族にとっては“今までの幸せ”を壊す始まりだったのかもしれない。
「光のとこにいてね」という言葉は、ただ相手の幸せを願う祈りのようでいて、同時に“そこに自分はいけない”という寂しい線引きでもある。光の側にいる相手を見上げながら、陰に立つ自分の想いを静かに包み込むような、切なくも美しい言葉だと感じた。
Posted by ブクログ
主人公2人の揺れ動く心の機微をとても丁寧に描いていて、何度も胸が苦しくなった。
また、人を想うことの喜びや切なさ、やるせなさ、何より尊さを感じさせてくれた。
2人で遊んだ公園や、高校から見た虹、海など、どの景色も2人を通して見るとさらに儚く美しく感じたし、ピアノの調べや雨音も効果的だった。
タイトルでもあり、作中何度か出てくる「光のとこにいてね」の台詞がとても印象的。
ラストも好きだった…
Posted by ブクログ
環境も性格も全く違う同い年の女の子が、
小さい頃は母親に振り回されながらも、
大人になって自分の人生を選択していく話。
全員どこか自分勝手で、でも誰かのことを想ってる。
細かい描写で、入り込める作品だった。
Posted by ブクログ
私の母親はここまでではないけれど、でもなんとなく似たようなものを感じた。
私の母はきっと私のことを愛してくれているし、私を大事に思っているのだろうけれど、それはやっぱり私が高校2年生くらいになってからだなあと思う。それまでの間、私にとって母は味方ではなかったし、未だに母は私の味方ではないと思う(きっと母は私のことを味方だと言うのだろうけれど)。
家族って、決して味方じゃなくたっていいのだと思う。父はずっと、私との距離感をはかりかねているし、妹は私が何をしようときっといつまでも私のことを好いていてくれる。母は私のことを勝手に似たような人間だと見ている。でも、この世に味方なんていないなんてことはないし、そもそも完全な味方なんて存在しない。
でも、きっと私の友人は私の見方をしてくれるのかもしれない。
正直に言って仕舞えば、私は彼女のことが好きだった。今はそんなことはない。普通に友達だと思っているし、付き合ったら付き合ったで多分なんだかとんでもないことになっていた気がする。なので、当時彼女に思いを打ち明けなかったことは今振り返れば大正解だったなあと思っている。彼女に私の胸の内を打ち明けなかったから、きっと今の関係性があるのだとも思っているし。
今更言ったところで意味もないのだから、言う気は無いのだけれど。でもずっと、どこかで罪悪感のようなものがあって、彼女にそれを打ち明けて許されたいような気持ちになっている。
みんなの言う恋愛にうまく組み込めない理由が、ようやくわかった気がした。私は人に、思想と文章で惚れるのだ。顔が好きとか、性格が好きとか、そういうのと同じように、私の中には思想と文章が並ぶ。だから私は惚れっぽいのだ。私の好きな文章はきっとこの世界にたくさんあるし、好きな思想もたくさんあるのだから。
Posted by ブクログ
深かった。
こんなに真剣に心にいる人って私にはいるんだろうか。
解説読んで離別の言葉なんだなと改めて思って二人それぞれに幸せになっていてほしい。
Posted by ブクログ
お互いだけではないけれども、お互いでなければ入れない、許せないスペースがある2人の物語
2人の関係は親友とか想い人とかで区分分けできない
それこそ タイトルの 光のとこにいてほしいという想いでつながっている
タイトルの光のとこにいてね はとてもあったかいんだけど、それを思う自分はその光の中にはいなくて、どちらかというと離れたところの暗いところにいるイメージがある
その気持ちの中には例え自分は辛いとこにいてひとりぼっちでも光のとこにいるあなたがいればそれでいい、というような少し憂い気な優しさを連想した
最後のシーンでは別れ続けた2人がそれまでとは違う形になるのではないか、と期待して読んでいるこちらが2人一緒に光のとこにいてほしい、と願った
Posted by ブクログ
悲しみや孤独を正面から描きつつ、完全な絶望には沈ませない。結珠の「心の中の家に誰をどこまで入れるかは直が決めていい」というフレーズが印象に残った。他者との距離は恐れではなく主体的な優しさとして選べるのだと。
Posted by ブクログ
「光のとこにいてね」ってタイトルがいい。
この物語を象徴してる。
お互いを眩しく憧れて魂の深いところで深く繋がっている。
誰も2人を傷つけられない場所。
これからもずっと光のとこにいてほしい。
Posted by ブクログ
【光のとこをみつけると思い出しちゃう病にかかること必至】
タイトルから抱いたイメージは、別れの予感と、
「私がいなくなっても光のなかでいてね」という優しさ。
正直、今の荒んだ私には合わないかも…と思いつつなぜか購入。
物語の中で「光のとこにいてね」は、
最初はただの「次の集合場所」として決めた言葉。
深い意味はない、無邪気な子供たちの合図。
だけど、太陽の動きとともに日向は移動する。
光を待ち合わせ場所にしちゃういびつさやかわいみ?
が、だんだんと2人だけの合言葉のような重みを帯びていく。
相手が大事すぎて、一瞬立ち止まる。
相手にとっての正解を探す。
その気遣いが、すれ違いを生む。
外から見るともどかしいけれど、私はその距離感にとても共感した。
小さな幸せがかわいくて、でもかわいくて、悲しい。
手放しに「良い物語」と言えない。
周りを巻き込んで傷つけて。
そんなこと描かれてはいないんだけど、幼い子が傷ついたりたくさん泣いたりって想像をいっぱいしてしまってそういうのは物語と言えども辛いな
Posted by ブクログ
お互いしかいないわけではない、自分を大事にしてくれる人もいる、けれどやっぱりお互いしかいない2人の少女の話。物語の中で2人は小学生から高校生、大人へと成長していくし、結婚したり子供ができたりもするけれど、やはりそれぞれが相手を想う時の瑞々しさは少女のままで、でも大人としての節度もちゃんとあって、その絶妙なバランスがこの物語の中にどこか軽やかさを与えているのだと想う。
これは確かに2人の少女の話なのだけれど、彼女たちを穏やかに愛した男性2人もどうか光のとこにいますように、と祈らざるを得ない。
Posted by ブクログ
一穂ミチさんの作品。
果遠と結珠 子供の頃に偶然出会った2人が高校生、そして大人になって 再会していく物語
2人は互いに性格が違うけれど、どちらも相手を思いやる心を持った優しさを感じる。
なんとも表現しづらいが、読みやすく次が気になって読み進められる良い作品でした
Posted by ブクログ
友達でも恋人でもない、でも確かにお互いの世界の一部。
この2人の関係を何と呼ぶべきなのか?
互いを思い合う気持ちは確かにあって、ただ静かで繊細で激しく、そしてどこか危なっかしい。
丁寧に描かれる交流を目にする度に何故か背筋が粟立つ感覚を覚えた。そこには底知れぬ愛が確かにあって、それがこの関係に名前など必要ないと言っているようにも思えた。
賛否ある結末で感じたのは希望半分、切なさ半分。現実ではなかなか奇跡は起きないけど、この2人のように想いが届く瞬間があるのかもしれないと少し信じたくなるような、そんなラスト。
私もいつか誰かに「光のとこにいてね」と言えるような相手と出会うだろうか、それとももう出会っているのかな。
煌々とした光ではなく、柔らかくあたたかく差し込むような光を思わせるタイトルが読後の心に沁みた。
Posted by ブクログ
生まれ育った環境の違いからして、本来ならば出会うことのなかった二人が、ある日運命的に出会ってしまう。
果遠と結珠の出会いから、別れと再会を繰り返す二人の運命がとても切なく描かれていました。
村山由佳さんの解説で、互いが永遠に特別になる過程を〈説明〉ではなく〈描写〉を重ねて描ききったと書かれていましたが、まさにその通り。多くを語らなくても、風景や表情などで物語に引き込まれていく感覚がありました。
「光のとこにいてね」の意味が、だんだん変わっていく過程も切なかった。ラストの結珠の決意のこもった行動がとても好きです。やはり一穂ミチさんの作品は美しい!新作も楽しみです。
Posted by ブクログ
「光のところにいてね」
それは自分から見えるところにいて欲しいという意味もあるけど、光のある安全なところで、だったり、光のあるような幸せに満ちてるところで、みたいな相手を想う愛情溢れる言葉だったのかなと
愛だな
最近の寒さでやられてた心が一気にほかほかになった
いやーーー愛だな
Posted by ブクログ
面白かったです。幼少期に受けた衝撃が鮮烈な記憶となって残り続け、ある時は背中を押し、ある時は呪いに形を変えて彼女たちを翻弄する様子にドキドキさせられました。
真逆だからこそ、お互いに欠けたものを深いところで欲し続けているのだろうなと、切なくもどこか情熱を感じました。
本当の愛と自由は何なのだろうと考えさせられました。
Posted by ブクログ
「光のとこにいてね」って優しくて残酷な言葉。明るい、あたたかいところにいてほしいという祈りが込められた愛情である反面、私とは居場所が違うっていうある種拒絶というか線引きな気がしてしまった。
光のところに立ったら影が生まれるように、その光に照らされて自分の醜さも全て明るみに出されて隠れる場所がなくなる。
果遠の言う「光のとこにいてね」は、光に照らされて、嘘偽りのない真っさらなあなたでいてねという願いだったのかな。光のとこにいられたから、ラストの結珠はあの選択をとったのかな。
Posted by ブクログ
2人の少女の視点で交互に物語が進んでいく。
幼い彼女達の生活に垣間見える
黒くて危うい部分が見え隠れして、
読んでいて切なくなる。
彼女たちが成長し、
その黒い部分の意味も分かってきて、
分かったからこその痛みや苦しみの描写もまた切ない。
2人が永遠に光のとこにいてくれたらいいなと思う。
誰かの幸せを願うことが、こんなに尊くて胸が苦しくなるんだと、切ない物語だった。
Posted by ブクログ
家庭環境も性格も境遇も正反対の二人の少女。
それでも強く惹かれ合っていく。
それは友情なのか愛なのか執着なのか、、、。
言葉では語りきれない、二人にしか分からない固い絆。
大人になり、時にすれ違い、遠ざかりながらも、その結びつきは消えない。果たして二人は再会できたのだろうか?そんな問いが、余韻として残る。
この物語は、人と人の間に生まれる、名付けようのない絆を描き出しているように思った。
Posted by ブクログ
同じような境遇とも全く異なる境遇ともいえる2人の出会いと別れの話。
それぞれの出会いと別れでの心の変化が感じられて面白い。生き方が変わっていく中で「光のところ」という言葉の意味合いが変わっていくき考えさせられた。今までになかった愛の物語で、とても現代的なものを感じた。