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互いに事情を抱え、母親達の同意を得られぬまま結婚した外山くんとゆき世。新婚旅行先のヘルシンキで、レストランのクロークの男性と見知らぬ老夫婦の言葉が、若いふたりを優しく包み込む(「ミトンとふびん」)。金沢、台北、ローマ、八丈島。いつもと違う街角で、悲しみが小さな幸せに変わるまでを描く極上の6編。第58回谷崎潤一郎賞受賞作。
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「シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE」
2026年6月26日公開 出演:岸井ゆきの、ツェン・ジンホア
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
かつて 僕は 時間というものに関して貧乏性で 何かをあてどもなく待つことや 他人のために自分の時間を差し出すことができない人間だった。だから傷ついた人の傍らでその人の吐露に耳を傾けながら寄り添うとか、月日の経過によって物事が おだやかに収まっていくのを見守るとか そういう大人なスタンスで自分や他人と...続きを読む向き合うこともなかった。こうした生き方が安っぽく奥行きを欠いた、他人を寄せつけない不毛な人生だ、と気づいたのは ずいぶん年を重ねてからのことだ。 大切な人を失った心の傷、喪失感が ささやかなできごとや ふとした出会いの積み重ねによって癒されていく6編の物語。人それぞれ、他の人とちがうスピードで時間が流れていたってかまわないのだ。自分を取り戻すにも、他者の痛みに寄り添うにも、時間の流れに 身をゆだねる鷹揚さが必要だ。
特に大きい出来事はないのに、止まらなく気づいたら終わっていた様な感覚でした。 そっと寄り添ってくれていて、ひとつひとつの文章にずっごくなにか大事なことが隠れている気がしてならなかったです。 再読していくたびに味が出て深くまで知って行けるような気がします。 私の中でこの本はお守りのような小説になると思...続きを読むいます
宝物の一冊になりました。 吉本さんの家族観、恋愛観、死生観… 人生観が丁寧に梱包された本。 親、きょうだい、親友。 大切な人との愛別離苦を覚えた時の、あの頃からずっと胸の中に詰まったような緊張のような苦しさを、そっと解きほぐしてくれ、久しぶりに肺いっぱいに空気を吸えた気がしました。 そして、...続きを読むこれからの未来に訪れるであろう別れに対して少しの心構えをさせてくれる物語。 人を思うことや人に思われることこそが、私たちの人生を潤す水分であることに気が付きます。 誰かを思って泣くことがあれば、そんな風に思えるあの人の存在そのものが私の幸せなんですよね。 私の人生に存在してくれる人、してくれた人が、来るべき時に見る走馬灯のように浮かんできます。 私も誰かにとってのその存在だと思うと、自分のことも抱きしめたくなる。 ただの日常が強く、愛しくなる一冊でした。
境遇は大変かもしれないけど、登場人物の言葉がどこまでも純粋で癒された。セリフが好き。 心に響く本はそんなにないけど、これはずっと胸の中にある本だと思う。
とても良かった。言葉の紡ぎ方が本当に素敵でずっとそばに置いておきたいと思える本 全ての生き方を肯定してくれる気がしました。
生きている以上、大切な人をなくしてしまうという絶望を、いずれ味わなければいけない…。それをふとした瞬間に思い出し、酷く恐ろしく感じることがよくある。 でも、この本を読んで、それは確かに酷く恐ろしいことだけれども、もしその絶望を感じることがあったとしても、その人から貰った愛情や思い出を大事に抱えなが...続きを読むら、少しずつ薄まりゆく記憶により、泣く頻度を減らしながら、たまにその人の事を思い出し、なんとか生きていく…それが人生なのだと思った。 私はまだ大切な人をなくしたことがないからぼんやり想像するくらいだったところを、現実として改めて突きつけられたような感覚になった。 いずれ来るその時のために今すべきことはなんなのか考えさせられ、今大切な人と過ごしているこの時間が宝物のように感じた。 いつか後悔をしないよう、大事な人たちから貰った愛情や思い出を、すべてもらさず覚えていかなければいけないと思った。 【好きだった表現】 《小さい感謝はおいしいふりかけのように私の心全体にぱらぱらと散った。》 《どんなに他人と親しくなり、その人のことをわかったつもりになっても、結局その他人とは自分の中に生きているその人にすぎない。》 《だれかと暮らすというのは、青海苔が細かく散ったその人のTシャツをひたすら手で洗ったり、ラベンダーのろうそくをつけてごきげんに過ごしていた部屋に、全身酒と炙りものの匂いをさせながら帰ってきた人を、「ラベンダーに打ち勝つなんて最強のアロマだな」と苦々しく思っても文句を言わず良きタイミングで細く窓を開けたり、風呂に入ろうとすでに半裸になっていたのに、なかなか彼が風呂から出てこないで風呂の中で歌まで歌っていたりするのを、なにか羽織りなおして待っていたりすることだ。》 《だいじなのは、突き詰めないこと。そして、本気で自分の死を、この風の中で、美しい景色の中で、こんもりした緑にダイブして人生の最後の瞬間を見るときを観想したときに、一瞬だけ見える彼らの顔の心配な表情がほんものであれば、それがどんな占いよりも自分を確かに支えるということ。》
吉本ばななさんの短編集です。本人があとがきで「なんということもない話。大したことは起こらない。登場人物それぞれに傷はある。しかし彼らはただ人生を眺めているだけ。 長い間そういう小説を書きたかった」と言っています。吉本ばななさんのさんの優しい包み込むような表現で、何がとは形容し難いのですが心がフワっと...続きを読む軽くなるような柔らかいもので守られているようなそういう読後感がありました。 無理に心の傷に手を突っ込んで癒しにいく感じではなく、何気ない会話、ことの成り行き、いろんなものが重なった偶然。そういうものを傷を抱えた登場人物たちが受け取ってじんわり傷が塞がっていくようなそんな印象の話が集まった短編集です。 本のタイトルにもなっているミトンとふびんに、「自分の人生を受け入れるだけ、生きていることを認めるだけ」という表現があるのですが、今あることを難しく考えずに時間という流れに身を任せながら肩肘張らずにいればいいのかなと思えました。
なんとも言えない、心地よい読み終わり 短編集でそれぞれよかった あとがきにあったように知らない間に癒されている、切なさと優しい世界
大切な人を亡くすと乗り越えるまでに時間がかかる。そんな時に隣に誰かが居てくれたら気持ちは少しでも和らぐだろう。辛くなった時、その人が恋しくなった時に読み返したい一冊。
朝井リョウさんが勧めていたのを機に購入。 (自分にとって)長編小説を読んだ後だったので、短編集かつ1頁の文字数が少ないのはスイスイ読めて気持ちいい。 ちょっと現実逃避したい人。 誰かを何かを失い、悲しみでひと通り泣き終えた人に読んでほしい。 異国を舞台にした話のお陰で、ちょっとヨーロッパに旅行で...続きを読むきた気分にもなれる。 胸にポカンと開いたままだった穴が、柔らかい気持ちでそっと撫でてもらえたようだった。
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