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ぼくが入社した村井設計事務所は、ひと夏の間、北浅間の「夏の家」へ事務所を移動する。そこでは稀有な感性をもつ先生のもと、国立現代図書館の設計コンペに向けての作業が行われていた。もの静かだけれど情熱的な先生の下で働く喜びと、胸に秘めた恋。そして大詰めに迫った中で訪れる劇的な結末。ただ夏が過ぎても物語は終わらなかった。かけがえのない記憶と生命の瞬きを綴る鮮烈なデビュー作。
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Posted by ブクログ
自然の恵みを享受しつつ、下手に抗うことなく人生を全うする設計事務所の所員、クライアントの人たちの姿がとても印象に残った。
浅間山の麓にある夏の家の姿をずっと頭に浮かべながら読んでいた。読んだ人はどんな建物の姿を想像するのだろうかとも。
住むことによって家は劣化するけど、住まないと建物自体の生命を失うというのを感じた。そして夏の家に着いて、真っ先にすることは窓を開ける。それによって建物に息吹を与えている。建物が息を吹き返す描写がとても好きだ。
人間模様では、雪子と結婚して夏の家に戻っていた。
『あぁ、よかった』と胸を撫で下ろした。雪子の主人公への思いが所々で垣間見えていて、何とか叶ってほしいと思っていた。夏の家に戻るというのが、また良い。
想像力を掻き立てながら、押し付けてこない。
建物や、自然のイメージをするだけで心が穏やかになる1冊だった。読み進めるごとに染み渡ってきた。
Posted by ブクログ
凄く良かったの一言。
初めは建築事務所での仕事ぶりなどが淡々と綴られているが、建築に少し興味ある方ならば『建築家はこんなことまで考えているのか』と感動するに違いない。
建築とはただ便利の追求やオシャレだけでなく、暮らしや生活に感じること(感性の部分)、四季、そしてちょっとした生活の中の悦びなども全て考えて作る仕事なのだなあと感じられたことがとても幸せだった。
恋愛要素もあるけど、スパイス程度なところも良いかな。
そして、人間も建築も全て諸行無常でありながら、それでも良いものは長く引き継がれるような余韻がある。うっすら涙すら出てしまった。
読めて良かった。自分の仕事ぶりに悩んだ時(建築関係でなくても)、指標になりそうな良書。
Posted by ブクログ
よい小説
高輪ゲートウェイの文喫の福袋で買った本
作者も知らず、作品も全く知らなかったけど、本を手にとったとき、なんとなく嬉しかったのを覚えている。
ゆったりとしたときの流れにうっすらとした人間関係が散りばめられている。
ゆったりとしたストーリー展開と何かが起きるわけでもない流れはつまらないと思う向きもあるだろうし、当世風ではないかもしれない。
けれどリアルな世界ってこうだよねと思わせる作品。
先生の人間性もよいな。白い巨塔の里見先生みたい
全体が抑制された人間関係でこういうコミュニティ憧れる
建築史も少し知れるのもよい
最後まで読んだ。
ラストは、あっけないけど人生ってそんな感じ
感動した
Posted by ブクログ
毎年夏に事務所機能を移転する浅間山のふもとにある、設計事務所の山荘「夏の家」。新卒入所の主人公が、この山荘で過ごすひと夏の時間が静かなタッチで描かれていて、自分も軽井沢の澄んだ空気の中にいるような気持ちになりました。
三度の食事の支度や買い物、掃除洗濯、山の日々の暮らし。日常を丁寧に過ごすことが建物を創ることに繋がっていくのかもしれない。設計の専門的なことはわからないけれど、レトロ建築が好きなので、ずっと残っていくものを創る意味についても考えさせられました。
読み終わってもまだ「夏の家」にいるような余韻が続いています。
美しい小説でした。
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