無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
なんという綺麗な本なの。
聞いている音を通して、実際はわたしはただ活字を読んでるだけなのに、景色がとても鮮明に美しく広がる。
清少納言の枕草子
「春は、あけぼの。やうやうしろくなりゆく山やまぎは、すこし明あかりて、紫むらさきだちたる雲くもの、細ほそくたなびきたる。」
に通じるものがある。
本作
「春はまず空からやってくる。」
「抜けるような青空でもなく、雪を生むぶ厚い雲でもない、かすみで薄ぼんやりした白く明るい空が広がるようになった。」
御法川さんが見た夕焼けのシーンでは、自然と涙があふれてた。
目の前は本なのに、御法川さんの言葉でわたしのまわりが雲とオレンジの夕焼けが広がった。
その後もね。御法川さんの「無理をして起きあがろうとは絶対にしないこと」の言葉に涙があふれた。
呼吸を聞くだけでも、いろいろなことが分かる。
そう、緊張してると呼吸って浅くなるもんね。
でもその音に意識を向けたことってあったかな。
自分自身にも、かかわっている相手にも。
かたちあるものはいつか消えてしまう
消えたものは、かたちを失うことでいつまでも残る
Posted by ブクログ
松家仁之『沈むフランシス』新潮文庫。
デビュー作の『火山のふもとで』を皮切りに本作の『沈むフランシス』『光の犬』と、3ヶ月連続で新潮文庫から刊行されるようだ。
タイトルの『フランシス』とは一体何か。表紙に犬かキツネのような生き物の顔の写真が掲載されているが、これが『フランシス』ではない。読んでみてのお楽しみなのだが『フランシス』とは全く予想外の意外なものだった。
自然豊かな北海道の小さな村を舞台に描かれる男女の恋愛の物語。静謐な自然を背景に儚くも、綺麗ごとだけでは済まない恋愛の形が少しずつ明らかになっていく。
他人との付き合いに煩わされることなく、自分のことなど誰も知らない自然豊かな田舎でひっそり暮らしたいという主人公の撫養桂子の気持ちはよく解る。自分も昨年、隣近所の無い田舎の中古の平屋に住み始めた。地域の住人とは最低限の付き合いをすれば良いし、他人の目など気にしなくとも良いので、非常に楽である。
本作に描かれる撫養桂子と寺富野和彦の30代半ばの男女の肉体を優先する恋愛関係も解らないでもない。恐らく2人は結婚などという形式的なことなど頭には無く、残された若さを肉体的なつながりで費やしたいと思うのだろう。
都会での仕事を35歳で辞め、男とも別れ、北海道の小さな村に郵便局の非正規社員となった撫養桂子は郵便配達をする毎日を送っていた。やがて、桂子は川辺に佇む木造家屋で世界中で収集した音をオーディオで楽しみながら暮らす37歳の寺富野和彦と知り合う。2人は急速に惹かれ合いながら、身体を重ね合う日々を送る。
桂子は、和彦の噂を耳にすると共に和彦に対する疑惑から心が揺れ動きながらも、肉体は和彦を求めていた。やがて、村を嵐が襲い、和彦の川辺の家にも危機が迫る。
読んでみるとデビュー作の『火山のふもとで』の出来が良く、そこまでのレベルではないが、巧い小説であると思う。
本体価格550円
★★★★
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸