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敗戦から15年、皇居「新宮殿」造営という世紀の難事業に挑む建築家・村井俊輔。彼を支える者、反目する者、立ちはだかる壁……。戦前から戦中、戦後、高度成長期の日本社会と皇室の変遷を辿り、理想の建築をめぐる息詰まる人間ドラマを描き尽くす、かつてない密度とスケールの大長篇。『火山のふもとで』前日譚ついに刊行! 上巻。
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Posted by ブクログ
戦後10年ほどを経てようやく社会が軌道に乗り、戦災で焼け落ちた皇居の新宮殿を造成する話。天皇皇后、皇太子、皇族、宮内庁、建設省、大蔵省、通産省、文部省、東京都などの職員、ゼネコン(と大工さん)、建築デザイン事務所など、非常に複雑な思惑が絡み合う。それだけなら、ああみんな勝手なことを言うし、ポジション...続きを読むトークだし、我田引水だし、そんななかで情熱を持った主人公が頑張って素晴らしい宮殿を建てましたとさ、めでたしめでたし。と言う陳腐な小説になるところ。本作は、複数の主人公の生い立ちから青年期に経験した数々の出来事(空襲体験、留学、メダカを買うことなど)、浮気も含めた日常生活、食の好みまで描いていことで、それぞれに人物に対すて強い思い入れを持つことができる。まるで大河ドラマで、全体の主人公はいるのだが、一話一話の主人公もいて、緻密に重なっていく感じ。史実に基づいたフィクションではあるが、本当にその一幕を見ているような臨場感。
宮殿は戦争で焼け落ちた。 焼失した宮殿の再建計画が動き始める。 杉浦は建設省から宮内庁へ出向し 国家的一大事業としての宮殿造営に携わる。 P424 〈開かれた皇室ー しかし「ここまで」という一線は残っている〉 チーフアーキテクトの建築家・村井は 宮内庁の牧野と対立することが多くなっていく。 ...続きを読む1巡目は他の本を挟みながらサラッと読み終える。 新宮殿の建設、開かれた皇室 現場にいる人たちはどのような考えで取り組んだのか。 それぞれの思いをしっかり受け止めたいと思った。 そして2巡目へ。 松家さんはインタビューで 〈プロジェクトの推移を人物の視点を変えながら見ていくことで、 できるだけすみずみまで描いてみたい――そう考えたんです〉と話す。 今回はしっかり読み込んだ(つもり)。 下巻2巡目へ。
建築家や建築史などほぼ何も知らないが、「この人は誰がモデルなんだ?」といちいち調べて「ふむふむ」となっている。 その章の中心人物を間違いながら読んでしまって(杉浦と村井が混ざる)途中で気づくこともあった。
『火山のふもとで』がとてもよかったので、登場人物が被る分どうしても比較してしまう。皇室のことなど史実的な記述が多く、また新宮殿の建設がメインにある以上、建築の専門的な内容も多く、あまり興味が持てなかった。 下巻、最後まで読み通せず。
空襲で焼けた宮殿を新しく建て直すことになった。それにかかわった人たちを通して、戦後日本の皇室を中心とした復興の過程を、建造物が造られていく事に主軸を置いて描くフィクション。 上巻の初めは、宮内庁の技官として宮殿再建に関わる杉浦と、建築家村井の若い頃の姿を描く。中盤からは、時の政治家や宮内庁職員、侍従...続きを読むなどが登場し、ほとんど昭和戦後史の様になっている。 「火山のふもとで」を彷彿とさせる浅間山山麓の別荘なども登場する。東京オリンピック開催が決まり日本は高度成長期へと向かっていく
〘皇室〙の話も、建築家の生い立ちからの仕事の話も、ずっと対岸から見てきた事だけどこうやって上下巻の一冊目を手にしたら、しかも昭和の東京中心部の地図なりストーリーなりにふれてしまったらもう、引き返せないという覚悟で読み始めた。 もう引き返せない、下巻が楽しみ。 それにしてもお濠の内に住まう方々はい...続きを読むつの世も普遍的なイメージです。 こう言うことは不敬罪なのでしょうが。
焼け落ちた明治宮殿に代わる新宮殿を建てるという大仕事、宮内庁の杉浦と建築家村井を中心として、様々な人々が書かれる重厚な群像劇。「火山のふもとで」の前日譚ということで、村井の生い立ちや登場人物たちの若かりし頃の話が読める。村井と衣子との不倫がなんの罪悪感もなく気軽におしゃれに描かれている(下巻の紹介「...続きを読む恋人」じゃないだろ、愛人か不倫相手と書けよ)のがイラッとするが、いかにも松家さんの作品という感じでもあるな。衒学的なところもまた、いかにもって感じ。 建築は全然わからないし、天皇や日本現代史は全く興味がなくて小学生レベルの知識すらない始末なのだが、それでも面白く読み進められるのはさすがだ。このボリュームで物語に没頭できるのは嬉しい。物語自体の感想は下巻を読んでからにしたいと思うが、読むのが素直に楽しみ。
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